*** mook's POV of Museums in New York ***
mook的 NY美術館

私のメトロポリタン美術館(以下MET)&近代美術館(以下MOMA)詣出も、数えてないけど
両者併せるとおそらく100回以上にはなると思います。
ココで、観光ガイドには載っていない、私的お気に入りポイントを一挙ご紹介〜。

Jan 26, 02 (Last updated Mar 10, 02)

<<mook's Favorite spot 10 - mookのお気に入りスポット10 >>
とにかく巨大なMETは、まともに観たら全部で1週間はかかってしまう様なだだっ広さ。
そんな巨大迷路のご休息スポットをピックアップしてみました。

1位. Japanese Lounge
日本美術コーナーのラウンジ

日本美術の部屋に入ってすぐ右に入るとあるラウンジ。いきなり飛騨か何かに瞬間移動してしまった様な落ち着きの部屋なのですが、窓から1階下のエジプト広場が見降ろせる所がたまらなく不思議な雰囲気を醸し出しています。

ジョージ=ナカシマのデザインによる大きな円卓と座り心地のよさを極めた椅子、部屋のコーナーには畳の縁側と生け花が置いてあって、まさにNYのど真ん中にある日本のオアシスです。

2位. In frot of Fireplace @ Lehman Collection
リーマン・コレクションの暖炉の前

METの西にはロバート=リーマン・コレクションという独立したパートがあるのですが、その南ウィングに暖炉の部屋というのがあります。

勿論アート・ピースである暖炉の上にはエル=グレコの絵が飾ってあり、その目の前になんとソファが置いてあるんですよね。METの会員などで、月に何度も足運ぶ人達の間では、読書に最適な場所として人気のスポット(^_^;)。もしそのソファに誰も座っていなければ、貴方はかなりラッキーです。なかなかゴシックな雰囲気が味わえますよ。

3位. Sculpture Garden @ American Wing
アメリカン・ウィングの彫刻庭

まだ25年の歴史しかないアメリカン・ウィングですが、着実に増殖を続けています。その中庭は緑も多いし、小さな噴水もあって本当に落ち着けますよ。

周りに置いてある彫刻もけっこう好きだし、ティファニーを初めステンド・グラスや暖炉みたいなコーナーもあります。

4位. The Balcony above Main Lobby @ 2nd floor
メイン・ロビー2階のバルコニー

ここにはけっこう値の張るレストランがありまして、金曜・土曜の夜にはピアノや弦楽4重奏などの生演奏を楽しめます。私のよ〜なビンボー人は、バルコニーの対岸で生演奏を楽しむだけなんですけれど(^_^;)。

生の弦楽奏を大理石のバルコニーからタダで(METの入場料だけで)聴けるってのは、なかなかのオススメですよん。

5位. Sculpture Garden & Cafe @ European Art
ヨーロッパ美術の彫刻庭&カフェ

窓からは外のセントラル・パークが見えるし、何しろコーヒー1杯でゆっくりくつろげるという点で、利用率はNo.1。

ちょっとしたスナック類やアルコール類も置いてあります。カフェテリアに比べるとちょっとお高目ですが、コーヒーの味はなかなかのモノ。

6位. Foutain Garden @ Lehman Collection
リーマン・コレクションの噴水広場

とにかくリーマン=コレクションというところは、他の展示コーナーと違って静かです。

地下のこの噴水広場は、本当に別世界の様。周りには中堅レベルのコレクションが展示してありますが、これがなかなか掘り出しモノ。

7位. Temple Dendur
デンドゥールの神殿

映画『恋人たちの予感』で、メグ=ライアンとビリー=クリスタルが会話をしているMETの一角。巨大な窓からセントラル・パークの景色が見えるので、そのミスマッチがまたまた面白いのです。

とにかくその贅沢な巨大スペースが最大の魅力でしょうか。ウォークマンを持ち込んで、そこで一日中読書してる人なんかもいます(^_^;)。

8位. Oceanian Aquare
オセアニア・コーナーの窓際

一番のポイントは人が少ないのでゆっくりと落ち着けること(^_^;)。

こちらの窓も建物一杯の巨大な窓で、天気のよい日には本当に気持ちがいいですよ。下でご紹介したmbis poleの前にあります。
(写真は、出入口のメインロビー)

9位. Astor Court
アスター庭園

中国美術のコーナーに出現する、まるごと一個の庭園。もともとは蘇州の網師園がモデルになっています。

明暗・剛柔といったテーマを見事に表現。難を言えば天井が真っ更に吹き抜けていないので、いつも暗いんです。これでもっと自然光が入ってきたら完璧なんだけどな〜。

10位. Main Cafeteria
メイン・カフェテリア

児童文学の名作で何度も映画化された『From the Mixed-Up Files of Mrs. Basil E. Frankweiler 〜クローディアの秘密』では、このカフェテリアの真ん中が、その昔は巨大な池であったというエピソードが出て来ますが、今その部分はレストランになってしまっています。

カフェテリアの部分はかなりいろいろなチョイスが揃っていてお薦め。金曜・土曜の夜にはピアノの生演奏も聴けます。

Mar 10, 02

<< 5 reasons why you still must go to MOMA >>
それでもMOMAに行かなきゃの5つの理由

2005年までの改装期間、マンハッタン西53丁目にあるMOMA本館は半分以上がクローズ・ダウン。
それでもやっぱりMOMAはスゴイぞというmook的5か条(?)です(^_^;)。

1. "Georgeous Collections"
やっぱりそのコレクションはスゴイ。

ゴッホの『星月夜』(写真右)や、ウォーホルの『ゴールデン・マリリン・モンロー』等は2002年5月よりクィーンズの分館へ移されますが(勿論、分館での鑑賞可)、ピカソやマチスなどの多くの作品が本館に残される予定。

そのコレクションの質の高さは、ここで改めて書くまでもないですよね。

2. "Epoch-Making Exhibitions"
画期的な企画展。

昨年2001年に行われたホイットニー美術館とのミース競作展など、前代未聞の企画を次々に発表。詳しくはこちら。ホィットニー美術館による企画・展示力との圧倒的な差を世に見せ付けました。

2002年3月からは、美術館レベルとしてはいち早く、最初のテロ事件に呼応した展示会"LIFE OF THE CITY"を企画・展示。詳しくはこちら。民間レベルの展示会や一般の作品も公募する等、そのフットワークの軽さもピカイチです。

3. "Free Ride to Queens"
ちょっとクィーンズまでタダで行ける。

昨年、クィーンズにあるP.S.1美術館がMOMAに吸収されて以来、本館からの無料シャトルバスが出る様になりました。

このシャトルバスでは、P.S.1だけでなく、2002年5月オープンのMOMA分館、アメリカ映像博物館など(映画オタッキースポット第7位参照)、地下鉄で行くにはなかなかおっくうなロケーションを全てタダで廻ってくれるのですね〜。

マンハッタンとはまた全く違う顔を持ったNYクィーンズもバスで廻ってしまうことが出来るという、一石二鳥のこのシャトルバス。是非お試しアレ。

4. "Free Screening"
レアものの映画を無料で。

MOMAの地下には大スクリーンの劇場が2つありまして(右下はそのロビー。オスカー像の実物や、レアものポスターが展示されています)、連日レアものの映画が上映されていますが、美術館の入場券をデスクに持って行けば当日の映画鑑賞チケットを無料で引き換えてもらうことが出来ます。

2002年3月後半には、昨年テロ事件で一部上映が見合わせられていた市川崑監督のレトロスペクティブが再上映、またこの劇場は毎年ニューディレクターズ・ニューフィルム映画祭の会場にもなっています。

5. "Cool Giftshop and Restaurant"
オシャレなギフトショップとレストラン。

本館改装でカフェテリアが閉鎖中とは言え、ギフトショップ、デザインショップ、そしてレストランはまだまだ健在。

ショップには、通常の美術館にある様なオーソドックスなお土産品から、最新デザインの日常品までいろいろ。先月よりデザインショップにて日本の無印良品も売り出されるようになりました。写真参照

レストランはちょっとお高目の気もありますが、週末にはライブがあったり落ち着いてとってもいい雰囲気。ドリンク1杯でも足を運ぶ価値はあるかも鴨〜。

さてさて、日本人建築家谷口吉生氏によるMOMA大改造計画。2005年の完成が楽しみですね〜〜〜。

Jan 26, 02 (Last updated Mar 09, 02)

<< mook's Favorite Pieces 10 - 好きな作品ベスト10 >>
何万点とあるMET所蔵作品の中から、私のお気に入りをピックアップ。
どれもガイドブックにはあまり載っていない作品ばかりです。予めご了承下さい。

1位. "Two Tahitian Women" by Paul Gauguin - 『赤い花と乳房』

ゴーギャンという画家を好きになったのは、何より彼がこの作品(写真右)を描いた人であるからに他なりません。絵だけの拡大写真はこちらから

構図的には単純だし、私が好きな物語性もない。絵の精密性という意味でも乏しいこの絵の何に惹かれるかといわれれば、やっぱりその何とも言えない雰囲気でしょう。タヒチのけだるさと神秘性を同時に表現している、私にとってはまさに傑作の一枚。左はゴーギャンの愛人だった女性と言われています。

この画像ではよく分からないけれど、その不思議な色彩もこの絵の大きな魅力。

2位. "Danaide" by Auguste Rodin - 『ダナイード』

パリにあるロダン美術館には、これと全く同じモノの石膏バージョンがありますが、METにあるのはブロンズ・バージョン。とても小さなモノなので、ガラスのショーケースに他の作品とごっちゃになって展示されています。だからけっこう見つけにくいかも。

私の好きなのはうなじの部分。とにかくこのポーズだけでクラクラしてしまうくらい艶やかな作品です。

また、この作品の置いてある廊下付近には他のロダン作品も多数。『神の手』(…だったかな?)とか、レズビアンを象徴する作品が2〜3点置いてあります。

3位. "Yatsuhashi" by Kohrin Ogata - 『八橋図』

日本を離れる利点の一つに、日本では観ることの出来ない日本美術の傑作を観ることが出来る、というどうにもおかしな事実がありますが、日本ではなかなかお目にかかれない尾形光淋の傑作を観ることが出来るのも、METならでは。

色、構図、サイズ、その精密さ共に素晴らしいの一言(この写真は、右半分のモノ。実際の展示物は左右両方の屏風が展示されています)。“八橋”って、最初8つの橋という意味かと思っていたら、尾張八橋という地名のことでした(^_^;)。『伊勢物語』をモチーフにしているのだそうで。
METはこの他にも『波涛図』などの光淋作品を展示。日本座敷に飾られた『老梅図』も一見の価値アリですよ〜。

4位. "Elizabeth Farren" by Thomas Lawrence
『エリザベス=ファーレン』

日本では馴染みの薄い、イギリス絵画のコーナーにある巨大な作品。
(2002年3月現在、一時的にお蔵入り(T_T)
このエリザベス=ファーレンは舞台女優なのですが、
後にダービー伯爵夫人となります。

これは、ローレンスがロイヤル・アカデミーの学生として認められる
3年前の相当初期の作品。
でも、後期の作品に比べ、私はこの作品の瑞々しさがとても好きです。
ちなみに彼の描く子供の絵はどれもすっごく可愛くて私は大好き。

5位. "Naked Man, Back View" by Lucian Freud
『裸の男、背面』

ルーシャン=フロイトという画家はかなり有名な人の様ですが、私はこの絵を観るまで全く興味を持ったことはありませんでした。

構図は歪んでいるし、背景ものっぺりで本来私の好むような絵ではないのですが、とにかくでぶでぶ〜っと太った男性の背中に圧倒されてしまう不思議な一枚。

6位. "mbis poles" in New Guinia
『ムビスの柱』

ムビス、またはビスの柱と呼ばれるニューギニア地方のポール。敵種族の首と一緒に飾る習慣があることから、血塗られた柱として文化人類学的にも有名なモノです。そのせいもあって、スミソニアン美術館や自然博物館などにも展示されていますが、さすがにMETのコレクションは美術作品として圧巻。サイズも規模も他の博物館とは別格の感がありますね。

私が改めてここで書くまでもないかもしれませんが、突き出た部分は男根を象徴、柱の主な部分はカヌーがモチーフになっています。

7位. "Joan of Arc" by Jules Bastian-Lepage
『ジャンヌ・ダルク』

やはりこの作品を観るまで全く馴染みのなかったフランスの画家、レパージュの作品。

タイトル通り、この絵の右側に描かれているのはジャンヌ=ダルク、左上には(この画像では見難いと思いますが)、啓示をする天使の姿があります。

けっこう大きな絵なので、近くで見るとかなりの感動モノ。

8位. "Littel House" by Frank Lloyd Wright
『リトル・ハウス』

これぞまさに私の理想の部屋。和風の落ち着きと、西洋の機能性を一点に統合。家具の高さはあくまで低く部屋の隅に置かれて、“開かれた空間”を強調しています。

とにかく部屋一個分展示してあるんだからスゴイですよね〜。

9位. "A Rose" by Thomas Anshutz
『一輪の薔薇』

アメリカン・ウィングには、ジョン=シンガー=サージェントなど私の好きな肖像画コレクションが数多く展示されていますが、その中でも特にハッとしたのがこの一枚。絵だけの拡大写真はこちらから

左隣りに静かな感じの肖像画が並べてあるので、その対比はいっそうはっきりしています。

10位. "Blind" by Paul Strand
『盲目の老婆』

有名な写真ですし、一目瞭然なので、説明不要ですね。
とってもパワフルな作品です。

やっぱりこれだけの数の作品から10点選ぶというのは、かなり無理がありますね〜(^_^;)。また、METは常設展示も1〜3ヶ月ごとに随分変えているので、いつも同じ作品にお目にかかれるとは限らないのが悲しいところ(T_T)。私の大好きなレーピンやミュシャの作品は、2002年1月現在お蔵入り(または他の美術館廻り?)になってしまっています。

また、その膨大な数から言って、関連した作品を並べて見ることが出来るのもMETならでは。
ピカソとブラック作品の関連性は有名ですが、下のクールベとマネの絵も実は関連しています。クールベが1866年に発表した『女とオウム』(左下)は、みだらな作品であると当時のサロンが反発。それを受けてマネは、全く同じタイトルである『女とオウム』(右下)を発表しました。
METでは、この両作品を比べて見ることが出来ます。どちらが好きかは、お好み次第〜。

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