*** mook's US watching 2000 ***

あくまで個人の眼から観た雑感を中心にしています。
数字などのデータは基本的にCNNのウェッブサイトから取っていますが、
特に投票数などは刻々と変わって来ています。
最新の数字には訂正していませんのでご了承下さい。m(_)m

アメリカに住んでいる友人には常識的なことばかりなので、日本語のみですが…。
新しいモノから順に上に足していきます。

Not Elected But Becoming the Next...
12/16/00

投票日から38日も経って勝者の決着がつくという、前代未聞の大統領選も、なんとか一先ず一段落着きました。「消極的ゴア派、超積極的アンチ・ブッシュ」の私としては、何とも後味の悪い結末です。という訳で、ここでは私的HPの特権を最大限に利用して、いかにブッシュが「選ばれた大統領ではない」ということをグダグダと書いてみようと思います。ま、てっとり早く言えば愚痴ってヤツですね(別に賭けで20ドル負けたからじゃないっすよ〜 ^_^;).

アメリカ時間13日夜に行われたゴアのいわゆる「敗北宣言」で、彼がブッシュに通常祝福の為に使われる「Elected to be the next President」ではなく、「Becoming the next President」という言葉を使った“小さな抵抗(嫌味?)”は、翌朝の政治コラムなんかでもちょっとした話題になりました。また、12月13日付けNYタイムスの見出しには、「Victory」や「Won」ではなく「Prevails=優勢となる」と、何とも微妙な言葉が使われていました。
まず、このサイトを見てみて下さい。12月16日現在、ゴアの全米得票数50,158,094、ブッシュの全米得票数49,820,518(この数字はまた後で変更になる可能性があります。ご了承下さい)、その差ナント33万7576票もあるんですよ!!!フロリダにおいて、ゴアが最終的にブッシュに追いつけなかった得票差(皆さんご存知のようにこれは再開票途中の数字です)は、たったの193票差!!!こんな少人数の得票差が、最終的には「アメリカ大統領」の勝敗を決めてしまったのです〜〜〜〜(T_T)。

さて、それではここでよく分かんないですが突然、“mookの独断と偏見による「ゴアがブッシュに負けたワケ・ベスト(ワーストか?)5」” を発表してしまおうと思います。

第1位 – アメリカ国民、忍耐力ってモンが全〜然ないよっっっ!!!

今回の連邦裁の決定は、世論調査で「もういい加減疲れた」という意見が国民の大半を占めていた結果を受けての決定だとも言われています。確かにアレでまたゴアに有利な判断が下れば、再集計のやり直しでさらに何日もの間決着が伸び伸びになることは眼に見えていましたからね。
12月はX’mas、ハヌカ、クワンザ等さまざまな人種にとってお正月みたいな行事がいっぺんにある月ですから、関係者にとっては早く落ち着きたい気もあるし、アメリカ国民の多数派にとっても、「もうどっちだっていいよ」という空気が充満していたのは確かです。
でもね〜、仮にも「自分の国の顔」になる人なんですから、もうちょっと粘って欲しかったなぁ。なんであんな「アル中・石油成金ボンボン息子」に、この先4年間も(形の上だけとはいえ)Primal Powerを譲る気になるんだ、君たちは〜〜〜(もぉ、私情まるだし ^_^;)???
そりゃぁ、クリントンだってスケベおやじだし、ゴアだってつまんない堅物だし賄賂もらっちゃうし、完璧とは言わないですけどね。でも、ど〜せならマシな方選んで欲しかったなぁ。あと4年もあるんだから(彼が酔っ払い運転で事故らない限り…ですけど。巷ですでに囁かれているジョークです ^_^;)。

第2位 - もう“選挙人”制度はやめたらぁぁぁぁっ???

この“選挙人制度”というのは、もともと「政治のよく分かんないアホな有権者の代わりに賢い選挙人サマが投票してあげませう」って感じで、何年からとかは忘れましたが、ず〜〜〜っと昔に始まったらしいのですね。選挙活動といえば、口コミくらいしかなかった大昔の話です。新聞・TV・インターネットとあらゆるメディアで候補者を選べるこのご時世、代理人なんってもういらないでしょぉっ!
下でも書いたので省略しますが、選挙人は州ごとに勝者の方へごそっと取られてしまいますので、今回の選挙の様に全米総得票数と総選挙人の獲得数に差が出てしまうという何とも割り切れない事態が起こってしまうわけです。それにコレって、大票田以外の有権者にはナンカ失礼じゃないですか???私だったら怒るよなぁ…。
今回、何だか再集計の方にばっかり焦点が当たってしまって、選挙人制度そのものに対する議論が殆ど皆無だったのは、ちょっと残念でした(まぁ、そこまでの時間はなかったから、しようがないんですけどね)。

第3位 – あの投票用紙をデザインしたヤツ、潔く名乗り出て来いっっっ!

今世紀最後の悪名高きデザイン - - - 混乱を招いたパームビーチ郡のバタフライ・バロット(=蝶型(?)投票用紙)。タイム誌では今年のワースト・デザインに選ばれ、スミソニアン博物館では、まもなくその投票用紙現物の展示が始まるそうです(今回行われた選挙の歴史的証人として、永久に展示されるんだとか ^_^;)。
ここでもすでに書いていますし新聞・TVですでにご存知だと思いますが、今回フロリダの再集計が最終的に1か月以上もつれ込んだのは、その分かりにくい投票用紙のせい。2000票あまりのゴア票がブキャナンに。そして別の2万票近くが2重穴などの理由で集計もされずに捨てられてしまうところだったのです(結局全部はカウントされませんでしたけれど)。コレ、最初からこんなややこしい混乱がなければ、フロリダだって間違いなくゴアの勝利でしたよ。あ〜っっっ、悔しいっっっ!!!

第4位 – ホントに誰にとっても民主主義???

今回の選挙ではまた、黒人やラティーノの男性が投票所にさえ入れてもらえなかったという事実もかなりクローズ・アップされました。最初は僅差のフロリダ州でこの話題が持ち上がったのですが、追々他の州でも投票所から追い出されたという話が続出したのです。
これに関連しますが、南部の3州(フロリダ・アラバマ・ミシシッピ)では、全黒人の実に約3分の1の有権者が選挙権を剥奪されています(アラバマでの永久選挙権剥奪者は全有権者の7.5%)。州によって、一度逮捕されたら永久剥奪だったり、保護期間中のみの剥奪だったり、事情はいろいろとまちまちなのですが、こうした事情について、私は今回の選挙まで全く知りませんでした。けっこうショックな数字ですよね。
で、どうしてコレとゴアが負けたことに関係あるかっていうと、このサイトから”President”の項の”exit poll”をクリックしてみて下さい。この出口調査の結果を見ると、ナント黒人の90%がゴアに投票しているのですよ。もちろんマイノリティーに強い民主党というのは、今日に始まったことではありませんが、90%ってのは凄い(@_@)。
ゴアに入れたくても、選挙権を剥奪されたり、投票所で追い出されてしまったマイノリティー票が全て投票されていたら(特にフロリダで)…。こんな状況、とても民主主義の原点である投票権がきちんと保護されているとは思えませんデス。

第5位 – 個人的には非難しないですけど、ネーダーさん〜〜〜。

結局はお約束の5%が取れず、「ブッシュを大統領にしただけだった」と非難轟々浴びている緑の党党首・ラルフ=ネーダー氏。まぁ、彼は彼なりにこの2大政党制に風穴を開けたかったワケですから、やることをやっただけなのでしょうけど。悔やまれますよね〜、もし彼が出馬を断念していたら…。と。
日本みたいにくっついたり離れたりって、もうワケわかんない雑多政党制もやめて欲しいけど、たった2党しかチョイスがないってのも考えモンです。また、今回の選挙ではマスコミでもさんざん言われていた通り、両候補・両政党の政策に殆ど違いがなくなってきているというのが、今回の選挙が稀にみる大接戦になった最大の理由でした。そういった意味では、新たな第3党が民主・共和両党のカンフル剤にでもなってくれれば良かったのですが、ホントに残念でしたね。まぁ、ネーダーさん、挫けずこれからも頑張って欲しいと思います。

で、最後にどうせならこの選挙でよかったこと一つ。 - - - やっぱり「一票の重み」がクローズ・アップされたことですよね。アメリカも日本に負けじと(?)その投票率の低迷化は進んでいて、今回の投票率は51%(11月8日CNN発表の数字)。でも、今回のことで「自分も投票すればよかった」とか、「今度は投票しに行こう」という人が随分増えたとどこかの世論調査でやっていました(そのサイトが見つからないのですが)。
どうやらフロリダでも新しい投票方法についてさっそく協議が始まったそうですし、次回の選挙で、どのくらい投票率が上がっているのかが楽しみです(^_^)。

<<おまけ・アメリカ大統領選関連サイト>> 

2000年大統領関連サイト集

 1996年大統領選、公式資料集

 Census(国勢調査)の選挙関連サイト集

Federal Election Commissionの選挙関連サイト集

 内容うんぬんより、政治関係者をパロったページに注目 

若者と選挙のサイト(ティーンズの投票率等もあります)

  

センキョ、嗚呼、センキョ
11/09/00
(NY時間午後11時半 / 日本時間10日午後1時半:現在)

と、いうわけで…What an election! ですね〜。
夜6時のニュースの時間は外にいたので、タイムズスクエアにある大きなTVでニュースを見ました。小雨の降る中、皆真剣に画面に見入っていましたよ。CNNも、今日ばかりはもう3分置きにサイトを更新していました(^_^;)。

さて、一体何から書き始めたらよいのやら…。とにかく情報が錯綜していますね。現在ブッシュ氏のゴア氏に対するリードは229票というのがCNNの発表ですが、一部2000票以上という情報もありますので。
第一、 投票日の翌朝フロリダ州の開票結果が100%になった瞬間、CNNの発表した両候補者の差は224票だったのです。それが、数時間後には2000票近くに変わっていました。私はこの2時間程眠っていたので、どういった経過で数字が修正されたのかまるでわからないのですが…。
今日一日にしても、CNNとニューヨークタイムズの発表している2人の選挙人・得票数の数は違っています。ニューヨークタイムズの方では再集計をする事になるらしいニューメキシコ州の選挙人・投票数をすでに除いて書いていますが、CNNの方ではまだ含まれたままの数字だからです。

今日現在の時点で、これからの票数変動を左右する動きは以下の4点です。

1)間違えてブキャナン氏に投票されてしまったと思われる2000票以上の票を無効にする為、再投票をするかどうか。これは昨日も書きました様に、パームビーチ群の投票用紙が紛らわしかった為、ゴア氏に投票したと思った人達が実はブキャナン氏に投票していたらしく、民主党の票田である同群でブキャナン氏が3000票以上も獲得しているという異常な現象が起きています。
これに対してバリバリの保守派であるブキャナン氏が、ブッシュ氏を助けず「これらの票は私にではなく、ゴア氏に投票されたものだと思っている」とTVでハッキリと発言しているのを聞いた私はちょっとびっくりしました。う〜ん、”Justice is justice”ですよね。

2)同じパームビーチ群の話ですが、やはり紛らわしさの為に2重に穴をあけられた投票用紙が19000票も無効票として捨てられていたということ。これらの票には(どうやって分かるのかは知りませんが)マイノリティーの投票者が多いらしく、それはつまりその多くがゴア票であるというワケです。この1)と2)に関しては、ケースをまとめて来週にも法的手段に訴える措置が取られる様ですが、何としても再投票に持っていって欲しいものです。

3)変わってこちらはブッシュ側のHopeですが、来週あたり約2000通の不在者投票・在外投票の集計が行われます。こちらの方は今のところ、ブッシュ側に有利な数字が出ると予想されています。

4)ニューメキシコ州を初め、僅差でゴア氏が勝利を収めた州の再集計が予定されています。これもやり始めるとキリがないのですが、ま、ブッシュ側だってただ指を加えて見ているだけってことはないですよね。

今朝のニューヨークタイムズ氏に面白い地図が載っていました。CNN等のサイトで見られる様な州ごとの勢力地図ではなく、地域ごとの全国勢力地図。
例えばニューヨーク州全体ではゴア氏が60%、ブッシュ氏が35%を取っていますが(私が8日に書いた数字は、開票率100%以下の時点もの)、同じニューヨーク州でも地方に行けば行くほどブッシュ氏への投票率が多くなってきています。それに比べてNYの都市部では80%以上がゴア氏へ投票。州としては、その平均値が結果として出ているだけなのです。
同じようにカリフォルニア州に関しても、ロスやサンフランシスコ等の都市部では70%以上がゴア氏に投票しているのに対し、山間部ではブッシュ氏への投票の方が上回っています。他のブッシュ氏が制した保守的な州に至っても、州都のある都市部ではやはりゴア氏が60%近くを取っているところをみると、この選挙は都市在住のゴア派 vs. 地方在住のブッシュ派の戦いということも出来るのでしょうか。

余談ですが、CNNのコラムニストBill Press氏が、今日付けの自身のコラムの最後でこんなことを書いていました。「8年をかけて前進してきたアメリカだが、ジョージ・ブッシュ大統領の元で急に後戻りしてしまうことにかもしれない。…」単に自分の考えと同じという理由からではなく、一人のジャーナリストとして、ここまで自分の立場・意見をはっきりと書いている彼をちょっと尊敬してしまいました。

最後に。国際的には殆ど無名であった民主党のクリントン候補が、現職の共和党ブッシュ大統領(そ、J・W・ブッシュ候補のお父さんです)を破って大統領選挙に勝利した8年前の今日、私は某TV番組の取材でパラオ共和国の大統領選挙を取材していました。
詳しくはこちらを読んで頂きたいのですが、わずか1万そこそこの有権者数しか持たないこの小さな島国は、かつて“センキョ”(日本語の“選挙”からきています)という手段によって、天下の大国アメリカを打ち負かしました。パラオという国は、政治学を専攻していた私に“センキョ”というものの大切さを教えてくれた国なのです。あれから8年。私はその小国に“センキョ”で負けた国、そして今、1票1票の重みに一喜一憂している大国・アメリカに住んで、その姿をこの眼で見ているのです。人生ってやつはホントに分からないモノで…。
しみじみ「センキョ、嗚呼、センキョ」と、一人心の中でつぶやいてしまう私なのでした(アブナイって…^_^;)。

Too Close To Call
11/09/00
(NY時間午前3時/日本時間午後5時:現在)

もし、アメリカに「流行語大賞」のようなモノがあったら、今年の大賞は間違いなく「Too Close to Call」が選ばれることになるでしょう。昨夜の夜中過ぎからこの言葉を何回耳にしたことか。つまり「どちらかを大統領だと言うには(僅差すぎて)時期早尚だ」ということ。それでも午前2時過ぎには一旦ブッシュ氏が、各マスコミから”Call”されました。で、わずか2時間後に再び「Too Close to Call」と、大統領選では前代見聞の再集計となったわけです。
今日はもう、道を歩いてても、地下鉄に乗ってても、巷の話題は「いかにゴアがブッシュに逆転できるか」という話題に焦点が絞られていました。会社でも、皆ネット見まくってて全然仕事が手につかなかったし・・・(^_^;)。

すでに何度も書いていることですが、NY、特に都市部ではゴアの人気が圧倒的に高いです。それは、ゴアがブッシュに比べて“優等生型”の候補者であるから。
今回の大統領候補者は、ゴア・ブッシュ・ネーダー氏3者共ハーバードに籍を置いていたことがあった為「ハーバード三つ巴」なんて言い方をする人もいましたが、ブッシュ氏は大学院でハーバードに行っただけで(将来私の留学期でも書きますが、アメリカでは大学より大学院に入る方がずっと簡単なのです)4大の方はイエール大学。しかも同校を卒業生した親を持つということで優遇的に入ることの出来た特待生で、学年の成績も常に“下から”20位以内。酒と女にあけくれ、どうしょうもない学生だった、というのが、日本のマスコミには出てこないけれど、ニューヨーカーの間では誰もが皆知っている常識的な(?)噂。

対してゴアの方は、ハーバード在学中の時から有名なエリートだったというだけでなく(これは学校の寮でルームメイトだった俳優のトミー=リー=ジョーンズも盛んに宣伝していましたが)、新聞記者としての仕事ぶりの評価や、副大統領就任以前に執筆された彼の環境やインターネット構想に関する著者も多数あり、彼は言ってみれば「出来すぎた優等生」。
勿論だからと言って、彼がホワイトハウスに入ってからの数々の不正疑惑に対して皆が眼をつぶっているわけでは決してなく、まぁ、ぶっちゃけて言えば「親の七光りでボンボンの石油成金(=ブッシュ)なんか大統領にさせてたまるか」というのが、多くのニューヨーカー達の本音です。

もし仮に、ブッシュ氏がフロリダ州の再集計で改めて勝利を収め、最終的に大統領に就任することになっても、ニューヨーカーだけでなく、全国ほぼ半数の投票者の間で不満の声が上がることは間違いないでしょう。

1)まず盛んに言われているのが、「”選挙人”間接選挙制度」自体に対する疑問。昨日下に書きましたが、この選挙制度では、各州で勝った候補がその州の選挙人数をごっそり持っていってしまうので、いわゆる“死票”の数がもの凄く多くなってしまいます。今回、全国総得票数ではゴアがブッシュを上回っている為、もしブッシュが勝った場合、彼が実質的には国民から選ばれた大統領ではない、という声が上がることは必至。フロリダではわずか何千票の差で、大統領の決着が決められようとしていますが、ゴア氏は全国票としては20万近くもブッシュ氏を上回る得票数を獲得しているのですから。
ま、まだオレゴン州の結果が出ていませんけどね。余談ですがこの州の投票、ナント全て郵送なのだそうです。つまり投票所に行くという制度はないのだそうで、これまたユニークというか、のどかでいいなというか…(^_^;)。

2)これは日本のマスコミで伝えられているかどうか分かりませんが、実はフロリダ・パームビーチ群の投票用紙に不手際があり、ゴア氏に投票したと思ったのに実はブキャナン氏に投票してしまったという苦情が相次いでいるようです。他の地域のパーセンテージから見ると、間違ってブキャナン氏に流れてしまった得票数は2000票以上あると推定され、これがごっそりゴア氏に回ればゴア氏の勝利となります。
また、マイノリティーの投票者で、投票所への出入りを拒否された人達も少なからずいる様で、マイノリティーの間で圧倒的な人気を誇るゴア氏だけにこの辺も後々問題として浮上してくるかもしれません。
何だかんだで、フロリダ州では昨日も書いた様に上院選挙では民主党が勝ってますし、実際出口調査ではゴアの方が勝っていますからね。「本当はゴアの勝利だったのでは?」という疑惑は後々まで糸を引いていくことになると思います。(な〜んてまるでもう、ブッシュが勝ってしまった様な言い方ですけれど^_^;)

をを、現在9日午前2時すぎですが、CNNウェッブにニュース速報が入りました。Robert Wexler民主党下院議員が、フロリダ・パームビーチ群の投票は投票用紙の不手際によって無効であるという表明を出した様です。「再投票の可能性」もアリなんでしょうか???

もし再集計の結果がさらに僅差になった場合、約2000票の不在者投票・在外投票の行方が一国の大統領を決めるわけで、下手をすると最終決着が10日も延びることになってしまいますが、私としては「在外投票」というモノの大切さを訴える意味で非常に有意義なことだと思います。
ただし、フロリダにおける「在外投票」の場合、ゴア氏は決して有利というわけではないらしいです。これは、今年前半にあった「エリオット君」騒動(キューバから難民としてフロリダに漂着した少年エリオット君を、同州に住む祖母の元に置くか、キューバに住む父親の元に返すかという問題で、リノ司法長官をはじめとする政府側が、エリオット君を不法入国者として父親の元に強制送還したこと)に絡んでくるのだそうで。ゴア氏も、この問題がここまで自分の行く末に絡んでくるとは思いもしなかったでしょうね。

さ、早ければ明日(日付ではもう今日ですね)の午後には、ホントにホントの決着が付くのでしょうか。ゴア氏は、どんな決着になろうとも法に従い、勝利者を祝福するなんて言っていますが、当然周囲は黙っちゃいないでしょうね。さぁ、果たしてどうなることやら…。

<<おまけ>>
てんやわんやの新聞見出しなのでした。
古いバージョンは、オークションで高額取引されています。

"New York Times"
Nov 8th, 2000
朝一番(定期購読者用)の見出し
Bush Appears to Defeat Gore; Hairbreadth Electoral Vote

ニューススタンド発売版の見出し
Bush and Gore Vie for an Edge with Narrow Electoral Split

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"Orlando Sentinel"
Nov 8th, 2000
見だし:その1 --- Oh, so close
見だし:その2 --- It's Bush
見だし:その3 --- Is it Bush?
見だし:その4 --- Contested (^_^;)

大統領選, Over Time (^_^;)
11/08/00
(以下はNY時間11/08 3amまでの情報を元に書いたモノです。その後、フロリダ州の投票が再カウントされることになり、ブッシュ氏の勝利は撤回されています。---11/08 4:50am)

これほど僅差の選挙戦がかつてあったでしょうか???いや〜、フィーバーしまくってしまいました、今回の大統領選挙(選挙権もないくせに)。大抵NY時間夜10時前後には大勢が見えてくるのですが、最終的にブッシュ氏に当確マークが出たのはナント午前2時15分デシタ(^_^;)。

まず今日は夜の10時まで絵のクラスがあったのですが、20分ごとの休み時間、皆ラジオにかじりついていました。昨日も書きました様に、アーティスト系には圧倒的に民主党が多いので、ゴアが勝つ度にスゴイ歓声で…(^_^;)。
まず、家に帰って来た時点(=午後10時半)ではブッシュ217人vs.ゴア173人でした。それが11時10分にはゴア230人 vs. ブッシュ217人とゴアが逆転。11時30分にはゴア231人vs.ブッシュ229人とブッシュが追い上げ、午前12時にはブッシュ237人 vs. ゴア231人と再びトップに。12時10分には両氏242人のタイとなりました。(iwaki先生のBBS参照^_^;)
その後午前2時には一旦ゴア249人vs.ブッシュ246人とゴア氏がリードしたものの、最終的には遅〜いフロリダ州の開票を待って、結局ブッシュ氏の勝利。史上まれにみる(?)延長戦選挙開票となったのです。

さて、学校の社会科の授業でも習ったと思いますが、忘れてしまった方の為にもう一度大統領選挙の投票形式についておさらいをしておきましょう(^_^;)。
アメリカの大統領選挙では、投票者が直接ブッシュ氏orゴア氏に投票するわけではありません。各党の“大統領選挙人”に投票します。で、州ごと勝った方が“その選挙人を全てそっくり獲得出来る”というワケ。例えばNY州の場合、ゴア氏は全体の60%獲得、ブッシュ氏は33%獲得。でも選挙人33人はそっくりそのまま全員ゴア氏の方に行ってしまい、ブッシュ氏には1人の足しにもなりません。カリフォルニアなんかいっぺんに54人ですよぉ。だからどの候補も大票田の票獲得には力が入ってしまうというわけです。
上にもすでに書きましたが、最後まで注目されていたフロリダ州の開票が終わる直前の両氏の選挙人数は、ゴア氏249人ブッシュ氏246人。で、その後フロリダを取ったブッシュ氏がいっぺんに25人をそっくりもらって総過半数の270にプラス1人取ったわけですから、この州の票の分け目が最終的にこの選挙戦全ての分かれ目となったわけです。

さてさて、時差の関係でカリフォルニア州の開票が遅いのは頷けるとして、なぜ東海岸時間のフロリダ州の開票率がこんなにも遅かったのか?
一つの原因として、慣れないボランティアによる紛失票が少数ながらもあったとか。それにしたって、ほぼ同じ600万票を持つ同じ東海岸のNY州とは4時間もの差、時差で3時間のハンディがあるカリフォルニア州とでさえ3時間のがあったのはなぜなのでしょう?
実はカリフォルニアやNY州などの投票は、「投票用紙に書いて箱に入れる」という形式ではないのです。各ブースには、それぞれの候補(大統領選挙人)に投票するレバーやボタンがあって、それを押したり倒したりするだけ。そうすると、そのマシン(?)を通じて、各候補者に自動的にカウントされるというしくみ。ですから、いちいち投票箱を開票して票を読み上げたりする手間が一切ないのです。コレ、一度やってみたいんですよね〜。でも、私には投票権がありません。しくしく(クドイですが、詳細はこちらで)。

両氏はフロリダが天下分け目の「関が原」になることを知っていたので、最後の最後までここでの選挙活動に力を入れていました。共和党の強い南部にあるとはいえ、他の南部州とは違うフロリダ州(ちなみに今日同時投票された上院選挙では、民主党候補が勝利しています)で、今回なぜブッシュ氏が勝利したのか。一番の原因は、やはり何と言っても“ブッシュ氏がスペイン語を流暢に話せること”。ご存知の通り、フロリダ州にはプエルトリコやキューバ出身のヒスパニック系が多く、「スペイン語しか話せない人口」は驚く程多いのです。奥さんがヒスパニック系であり現フロリダ州知事でもある実弟を持つブッシュ氏に、フロリダでの票が流れたのも無理はありません

また、総体的に言ってもう一つ今回の選挙でゴア氏にとって不利だったのが、緑の党・ラルフ=ネーダー氏の存在。今回の選挙で彼が総得票率5%を獲得すれば、緑の党は政府からきちんと助成金の出る“第3の党”として認められるというワケで、2大党制に飽き飽きした超革新(?)の人達がそちらの投票に流れてしまったのです。今回、ネーダー氏の革新票が全てゴア氏に流れていたら、確実にゴア氏の勝利だったんですけどね(^_^;)。

今回の選挙は“ネット選挙”とまで言われた通り、選挙票集めへのネットの活躍はすごかったです。また、開票速報はウチのアパートに2台あるTVの両方で2チャンネルずつ別々にチェックして見ていましたが、殆どの場合CNNのウェッブページ速報の方が3大ネットワークのTV速報より早かった様です。
でも、最後の最後ブッシュ氏が大統領に決まった瞬間はやはりTV速報の勝利でしたね。だってTVでは、アナウンサーが一言「決まりました」と言えばいいのですから。その瞬間、CNNのサイトを更新してみましたが、ウェッブページは「書いて・アップ」しなきゃいけない時間分だけTVに負けてました、とほほ(^_^;)。

最後に。TV解説者の一人がコメントしていた言葉が印象に残りました。
「今回の選挙はフットボールの延長戦の様に例えられたが、考えてみれば、たった一つのフットボール競技場に集まる人数だけで、アメリカの大統領が決まってしまったのだ。」そう。本当に、わずか何万票の差だったのです。選挙の一票、おそるべし…。皆さんも大切な一票、ちゃんと投票しませうね。

来週「オーファンズ」の復習編が終わったら、“mookの在米ガイジンはつらいよ日記”の方で、海外在住者の持つ在外投票権のお話書きまっす。うう、もう午前3時半だぁ…。明日も会社(^_^;)。

マスコミと米大統領選挙
11/06/00 (11/07、ちょこっと付け足しました)

あっという間に、明日はもう大統領選挙です。早かったな〜。
さて、皆様もニュース・新聞でご存知の通り、まれに見る大接戦です。昨夜の時点で、CNNの調査ではブッシュ氏47%、ゴア氏が45%でした。決め手は「第3の男」、緑の党のラルフ=ネーダー氏の票(=革新票)が最終的にゴア氏に流れるかどうか。
まぁ、分析的なことは日本のニュースでもカバーしているでしょうから、ここではもう少し、ミーハーなお話を致しましょう。

ケネデイ大統領がTV討論で勝利して以来、TV・その他のマスコミで稼ぐ人気票は大統領選挙にとってなくてはならないモノとなりました。今回は計3回のTV討論が行われましたが、ブッシュ氏が自分の背を高く見せる為に踏み台を使ったり、汗っかきのゴア氏が会場の室温に気を使いまくったりと、両者は自分の「見た目」をよくする為にもう必死(^_^;)。
夏頃はTVの出演を渋っていたブッシュ氏も、秋以降はありとあらゆるTVトークショーに出演。もちろんゴア氏は最初から出まくっていましたよ。先週は、夜の「笑っていいとも」の様な番組、”Tonight Show with Jay Leno”に、2人共一日違いで出演していました。とどめは、昨夜の日曜に放送された「サタデーナイトライブ・大統領選挙特番」。ゴア氏・ブッシュ氏本人同士のギャグの応酬で番組が始まりました。(勿論、台本あったみたいですけどね。)こんな両者候補を笑い飛ばしたギャグが、延々とゴールデンタイムに2時間も放送されてしまうのですから、この国ってのはつくづくわけ分かんないというか…面白いです(^_^;)。

また、この国の選挙で特徴的なのが、対立候補への批判合戦。今夜は特にTV−CM合戦がすざまじいです。もう1つおきに選挙関係のCMって感じ…(^_^;)。
ウチのルームメイトには、アンチ・ブッシュ・ドキュメンタリーのビデオ”Texas Trail”という30分ビデオが送られて来ました。また、今回の選挙でゴア陣営のドキュメンタリー映画を監督したのは、今映像作家の若手としては一番人気のスパイク=ジョーンズ(CM&ミュージックビデオの監督としては業界トップ、映画「マルコビッチの穴」の監督さんでもあります)。まさに「百聞は一見にしかず」に訴える戦法ですよね。

いわゆる芸能人達が、おおやけにどちらかの候補へ付く事を表明するのも、日本とは随分違うところ。今年一番の話題は、トークショーホストとしては今やオプラ=ウィンフリーに次ぐ人気のロジオ=オドネルが、自分の番組でバーバラ=ストライザンドによるゴア氏の応援演説を放送しなければ、来期の契約更新をしないと制作会社を脅し(?)たことでしょうか。その演説は今日、ちゃんと放送されていました。
もう一つの話題は、ケネディ家に繋がる民主党系の妻を持つA=シュワルツネッガーが おおやけにブッシュ候補へ付くことになって、マスコミのインタビューが殺到したこと等など(^_^;)。でも、実は夫婦で共和党と民主党、というカップルはそう珍しくないそうです。

これは日本でも同じことですが、都市部ではやはり革新系(=民主党)が強く、南部等では保守派(=共和党)が強いです。ハリウッドでは伝統的にも、圧倒的に民主党派が多数。彼らは過去に「ハリウッド・テン」というレッド・パージにあった苦い経験がありますから、ある程度の歳の人達は皆民主党です。NYでもやはりアーティスト系の人達は皆民主党。ビレッジ・ボイスのような老舗新聞でも大々的に共和党批判をしています。
私は個人的に、大きなメディアが自社の立場を明確にしていることには賛成です。世の中に「中立」なんてあり得ないのですから、変に中立を装ってどちらかに先導するより、読者・視聴者に反論の余地を与える方がよっぽど分かりやすくて公正であると思っています。

ま、なんだかんだ言っても私はアメリカでの投票権を持っていません。(詳しい話はこちらで)でも、ウチの会社では選挙に行けるようにと2時間のお休みタイムが出来ます。(ホントは一日お休みになる会社の方が多いんですけどね)そんなこんなでお祭り騒ぎの大統領選挙。明日の今頃には大勢が判明している頃でしょうか。ブッシュが泣くか、ゴアが泣くか…。

↓そうそう、明日はNY州の上院議員選挙もあります。その結果も楽しみ、楽しみ。

ヒラリー新NY上院議員誕生なるか???
09/20/00

さてさて、これは先週書きたかった話題だったのですが、大幅に遅れてしまいました(^_^;)。

先週の9月13日、NY州上院議員選挙の公開ディベートが、一地方議員の選挙としては異例の全国放送で行われました。この選挙戦、11月の投票に向けてますます盛り上がりをみせてきています。

民主党からの候補は、現大統領夫人であるヒラリー=ロドム=クリントン。これを向かえうつ共和党からは、これまた大物の現NY市長ルドルフ=ジュリアーニ氏が出馬して、前代未門の一騎討ちになるかと思われていました。ところが彼の不倫・別居騒動に加えて自身が癌治療に専念しなければならなくなった為、現下院議員でわずか42歳のリック=ラヅィオ氏が名乗りをあげることになったのです。

彼の知名度は、良くも悪くもその名が全米中に知れ渡っているジュリアーニ市長と比べると、殆どゼロに等しいと言っても過言ではありません。
それにしてもまぁ、とにかくここ1か月ほど、両者の「ネガティブ・キャンペーン」(お互いの汚点を攻撃する広告)は、泥沼の様相を見せ初めて来ています。

ラヅィオ氏の筆頭攻撃材料はもちろん、ヒラリー氏の夫であるクリントン大統領のモニカ=ルインスキー・スキャンダル。これを彼女が知っていたのか知らなかったのか、という論議は、ディベートの中でも話題に登りました。
そしてもう一つは、クリントン一家がかつて”一度もNY州に住んだことがない”という事実。(もちろん彼女は立候補氏名に名を挙げる為、今年NY郊外に巨大な邸宅を購入しています)つまりラヅィオ氏は、NY市民が、クリントン一家の”将来の”踏台にされているだけにすぎないと訴えているのです。

一方、ヒラリー夫人の攻撃材料は、ラヅィオ氏が元ハウス・スピーカー(日本語では”議長”でしたっけ?)ニュート=ギングリッチ氏の秘蔵っ子の一人であるという事。
今回のディベートで、ヒラリー夫人は6回以上もギングリッチ氏の名前を挙げたのだそうです。ラヅィオ氏が共和党タカ派の一員であるというイメージを植え付けたいのでしょう。

公開ディベートの直前には、ラヅィオ氏が以前PLOのアラファト議長と握手している写真がすっぱ抜かれ、大きなニューススキャンダルとなりました。これに対してラヅィオ側は、以前ヒラリー夫人がアラファト議長夫人の頬にキスしているビデオをすっぱ抜き、「私は握手をしただけで、キスも抱擁もしていない」と応戦。またまたヒラリー側は「ラヅィオ氏の握手しているのはアラファト議長本人だが、私は夫人にキスしただけ」と仕返しして…。
なんだか凄いでしょう?NY州でいかにユダヤ人票が大きな位置を占めているのかがよく分かりますよね。 (アメリカにおける”人種の話”は、けっこう複雑できりがないので、独立した一つのコーナーに分けました。こちらの方も読んでみて下さい。)

さて1時間の緊張した公開ディベート、最後の3分間は本当に張り詰めた空気が流れました。それはラヅィオ氏がヒラリー夫人の所に歩み寄って、「”ソフトマネー”(特定団体からの政治献金)を選挙戦に一切使わないという文書に署名しなさい」と強く迫った事。結局時間切れになってヒラリー夫人の署名もうやむやになったのですが、コレ、後で「じゃあ、ラヅィオ氏は一切ソフトマネーを使っていないのか?」という話になり、殆どラヅィオ氏の得点にはならなかったようです。
このディベートを放送したNBCが放送直後に行なった調査では、ヒラリー氏の勝利に46%ラヅィオ氏に33%という結果が出ました。

選挙戦も残すところ1か月余り。これからどうなっていくのでしょう?私は就労ビザしか持っていないので、選挙権ないんですけどね(^_^;)。でもアメリカでは政治家一人が変わると、街も本当に大きく変わるので、これは全くの人事ではありません。
その良くも悪くもいい例なのが、現市長のジュリアーニ氏の変えたNYの街。このお話は、またまたまたなが〜くなりますので、別の機会にでも…。

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