アメリカのさまざまな人種模様について、私の見たまま・聞いたままを書いていこうと思います。
それから、このコーナーはアメリカ人の連中にとってはデータ等、裏取りなしでの情報もあるので、かなり偏った情報になるかもしれませんが、。
この点は予めご了承下さいね m(_)m
けっこう常識なことばかりになるので、日本語が中心になります。
ちなみに新しい書き込みから上に足されていきますので、初めての方は下からお読み下さい。
…というわけで、前回のカキコから早4ヶ月半!!!時の経つのは、早いもので…(^_^;)。実はネタ本の「ニューズウィーク北米版」9月18日号を、日本に行った時にどうやら置いてきちゃったみたいで、図書館でコピーし直すのに時間がかかっちゃったんですぅ〜(^_^;)。
まぁ言い訳は置いといて、“2000年アメリカの人種地図”、本当はこの地図自体をスキャンしてお見せ出来れば一番いいのですが、著作権のモンダイとかがいろいろとややこしそうなので、文章でご説明することにしますね。
まずはデータもとの説明から。以下のデータは、10年に一度アメリカ連邦政府によって行われる国勢調査(=CENSUS)を基にしています。CENSUSの対象には、未成年や(違法・合法を問わず)全ての外国人も含まれますので、正式な「アメリカ市民」だけではありません。回答者の提供する情報は、連邦政府の法律によって極秘扱いとされ、個々の情報が移民局や裁判所など、他の政府機関には絶対漏れないようになっています。実は同じことが確定申告にも言えるんですよね。例えば違法移民が確定申告をすることによって違法であることがバレて、即刻強制送還なんてことにはなっていないのだそうで…。アメリカという国は、つくづく“違法も含めて”移民で成り立っている国なんだなぁと思います。
さてこうして集められたデータは、人口統計学に使用されたり、州議会の議席数を決めるのに利用されるだけではありません。アメリカの場合やっぱり一番大きいのは、各州ごとの人種・民族別のニーズに応えること。特に学校やコミュニティーに、エスニシティーごとのインストラクターや翻訳者を派遣する上で、このデータは非常に重要なものとなっています。アメリカに住んでいる人全員が全員とも英語を話すのだと思ったら、大間違いですよ〜(もちろん私も含む ^_^;)。
だから地域ごとに公共教育としての英語クラスを設けたり、反対に子供達の為に英語以外の母国語のプログラムを組んだり。さらにこのCENSUSも含め、政府・裁判所などが発行する公文書を各国語に翻訳したりと、翻訳スタッフの仕事もたくさんあります。地域ごとにエスニシティーの割合も違うわけですから、派遣する人種や予算も変わってくるわけなんですね。
昨年のCENSUS、もちろん私もやりました。CENSUSの用紙には2種類あって、コンピューターで無作為に選ばれた6世帯中1世帯は、問いが52もある長バージョンを受け取ります。ちなみにうちは短バージョンでした(^_^;)。殆どの質問がエスニシティーに関するもの(あとは世帯住民の関係とか、住んでいる所が持ち家かどうかなど)。
ただ、前々回のCENSUSくらいから言われているらしいのですが、最近ではアイリッシュ&ジューイッシュだとか、カリビアン&チャイニーズとか、いわゆる混血の人が年々増えてきているわけで、彼らの回答はどうするんだというモンダイも当然おきてきています。次回2010年のCENSUSはどうなるんでしょうね。
あ、また前置きだけで激長(^_^;)。では、いよいよ本題へ(?)。
まず合法移民の数ですが、1991年の180万人をピークにどんどん減少傾向にあり、2000年にはほぼ3分の1に減っています。これはまた別の機会にちゃんと説明しなきゃなと思っているのですが、ここ10年の移民法は殆ど毎年の様に変わっており、最近ではそう簡単にアメリカ市民になることは出来ない様なしくみになってきています。移民の多いカリフォルニア州でさえそうなのですから、めちゃ保守のブッシュ政権に変わった今年からは…、考えるだけで恐ろしいですね(^_^;)。
ただしご存知の通り、違法移民の両親を持とうが何だろうがアメリカでは“生まれちゃえばアメリカ国民”ですから、移民の“子孫”は年々増えつづけています。
ここにエスニシティー別による人口増加の割合が書いてあるのですが、白人の人口増加は1990年から2000年にかけては4%、2000年から2050年にかけてはたったの6%です。これに比べて黒人は90〜00で14%、00〜50年は60%、スパニッシュとなると90〜00年ですでに45%、00〜50年だと197%にもなります。人口的には圧倒的に少ないアジア系ですが、増加率になると俄然強く、90〜00年で50%、00〜50年ではなんと209%なんですよぉぉぉ。これはスゴイ。ちなみにアジア系は、1家庭あたりの子供の数としては一番少ない部類に入るのですが、幼児死亡率が断然低いのです。あと、意外だなと思ったのは、減少傾向にあると思っていたアメリカ・インディアン、エスキモーなどの先住民(全部一緒にするなって感じですけど)も、90〜00年は14%、00〜50年になると72%も増えると予測されています。
ではでは、ここでやっと州ごとにエスニシティー・ウォッチング2000を展開(?)してみませう。
・カリフォルニア州 - - - CENSUS実施前から一番話題になっていたのは、「カリフォルニアで白人の人口比が50%を割るか」ということでした。結果は、白人の人口比49.9%(CENSUSをやらなかった移民も含めたら、軽く49%は下回っているでしょうね)。他の人口比は黒人8%、ヒスパニック30%、アジア・太平洋系12%という割合になっています。
ちなみに白人人口比の低い州は、1位:ワシントンDC&ハワイ州(共に29%)、2位:ニューメキシコ州(47%)、そして3位がカリフォルニア州。
また移民人口の多い州の順番は、1)カリフォルニア州、2)フロリダ州、3)イリノイ州、4)ニュージャージー州。5)ニューヨーク州、6)テキサス州だそうです。
・ニューヨーク州 - - - 白人65%、黒人18%、ヒスパニック11%、アジア・太平洋系6%です。白人の割合が高いのは、郊外の住民に白人が多いからで、都市部に行けば行くほど、非白人の割合は大きくなります。ちなみにこのニューヨーク州、全体の人口比では全米第10位の黒人人口ですが、その数からいうと全米最大の人口数を抱えています。
・ワシントンDC - - - ここは正確にいうと州ではなくて特別区なのですが、CENSUSでは州扱いにされています。ワシントンDCというと、政府に勤める白人のイメージが強いかと思いますが、彼らの殆どがDC郊外メリーランド州などに住んでいる為、この住民調査には入って来ません。
割合でいうと、白人29%、黒人61%、ヒスパニック6%、アジア・太平洋系3%となります。意外なことに DCの黒人の人口比は全米最大。続いてミシシッピー州の36%、ルイジアナ州の32%、サウス・キャロライナ州の30%。他はやはり南部が多いですね。
・ニューメキシコ州 - - - ここはメキシコと国境を接していることもあって、全米一ヒスパニックの多いところ。白人47%、黒人3%、ヒスパニック39%、アジア・太平洋系2%です。ヒスパニックの多いのは、他にカリフォルニアの30%、テキサスの29%、アリゾナ州の21%など。
・ハワイ州 - - - アジア・太平洋系64%、とダントツを誇るハワイ州。もともと他の州と比べて地理的・歴史的背景が違うから当たりまえなんですけどね。
アジア系に関して次に多いのが、意外なことにアラスカ州。フィリピン系だけで16%にも及びます(なぜここにフィリピン系が多いのかは知らないんですけれど)。続いてカリフォルニアの12%、次がワシントン州&NY州&NJ州の6%となります。
・メイン州 - - - ここは、パーセンテージでいうと全米最大の白人人口比を持ち、非白人の割合はたったの2%。その内訳は、白人98%、黒人0.5%、ヒスパニック0.7%、アジア系0.8%です。他に白人比の多い州は、バーモンド州97.6%、ニューハンプシャー州&ウエスト・バージニア州96%、アイオア州94%です。
1998年現在、移民人口の最も多いのはやはりメキシコ。比率的に(人口的にとは違います)多いのはニューメキシコ州の10%、サウス・ダコタ州&オクラホマ州の8%、アリゾナ州の5%あたりでしょうか。
カナダからの移民は、人口比でいくとノースダコタ州の5%、メイン州0.5%、バーモント州0.2%の順かな。
これまた理由はわからないのですが、東海岸にはインド系の移民も多いです。ミシシッピ-州で全体の0.4%、デラウエア州、ニュージャージー州で、0.3%、ニューハンプシャー州、オハイオ州、ミシガン州、ペンシルバニア州で0.2%、ウエスト・バージニア州で0.1%。
中国系移民のパーセンテージが一番多いのはなんとモンタナ州の6%、続いてはマサチューセッツ州の0.2%。繰り返しますが、これはあくまで州別の人口比ですので、人口でいうと西海岸の方が数的には多いと思います。
キューバ系移民の多いのはやはりフロリダ州で0.4%。次はケンタッキー州となっています。他に意外だったのはドミニク共和国の移民が、全米最小の州であるロードアイランド州に0.5%もいること。続いてはニューヨーク州の0.4%でしょうか。エルサルバドルからの移民はメリーランド州&バージニア州、ワシントンDCそれぞれ0.3%ずつという数字が出ています。
まぁ、だいたいこんなところなんですか。一口に“移民の国アメリカ”といっても、地域ごとに見るとやはり千差万別ですね。今回は、ニューズウイーク誌がクローズアップした部分だけを重点的にご紹介しましたが、CENSUS全体のデータを見るともっといろいろなアメリカが見えてくると思います。
こちらの公式サイト(www.census.gov)から、殆どのデータは得ることが出来ますので(一部、特別なソフトが必要ですが)、興味のある方は覗いてみて下さいね。
ゲストブックで予告しました通り、ニューズウィーク北米版9月18日号で特集された「アメリカの新しい人種地図」はとても興味深いもので、先週から今週にかけては、友達と話す度にその話題になったくらいでした。
これからこのコーナーでは、私がこの7年間で一夜漬け的に学んだアメリカのさまざまな人種模様について書いて行きたいと思いますが、
今日のカキコはその「新しい人種地図」ご紹介までの長い前置きになります。
さてさて、私mookが7年前に留学を決意したメインの目的は、とある映画撮影に参加する為「スタッフとコミュニケーションができる程度の基礎英語力を身につける」でした。その留学先を決めるに当たって私が候補に挙げた地域は、以下の3都市です。
1)シンガポール(国そのものが一つの都市ですが^_^;)
2)ウェリントン又はオークランド(ニュージーランド)
3)ニューヨーク
これらの都市に共通していること。公用語が英語であることはもちろんですが、その他、私にはこれらの地域に 「多民族が共存している地域」という”勝手な妄想”をいだいていました。
シンガポールにはご存じの通り、公用語が4つ(英語・中国語・マレー語・ヒンズー語)あります。その人口からいって一番よく話されているのは中国語ですが、建て前的には全4ヵ国語が平等に扱われていると聞きました。(あわよくば他の言葉も覚えたいという、欲張りな考えもありましたし...^_^;)
ニュージーランドは私が以前訪れた時、当時のロンギ首相が、先住民族マオリとの融和制作に非常に力を入れていました。(オーストラリアのアボリジニー政策に比べると天と地ほどの差があったと聞いています)実際自分の滞在中、マオリの人達が他の人種の人達と自然に溶け込んでいる姿を見て、それはそれは感動したものです。
そして、最後のニューヨーク。ここは私にとって未開の地(?)であったので、出来れば避けたかったのですが、1993年当時、前者2つの地域にまだ大規模な映画産業が確立していなかったことにより(今はありますよ)、消去法によって結局ニューヨークに行くことに決めました。
ちなみに英語という条件がなければ、スゥェーデンという国も多民族融合・移民受け入れを学ぶ上では非常に興味深い国だと思います。
さて「NYは多民族の街」という幻想、しょっぱなからもうズタズタにされてしまったのですよ。
私は渡米して最初の3ヵ月、NY市から電車で20分の郊外にある小さなカレッジに通っていました。キャンパスを見回してみると...あれあれっ?生徒達のグループが見事に”白黒”分かれているではありませんか!カフェテリアでも、
遊戯場でも皆別々...。(@_@)?????
また、ちょうどこの時期、この街=ブロンクスビル(あのブロンクスとは全く別の地域です)に、黒人では全米一番人気のコメディアン=ビル・コスビーが引っ越して来ようと計画と立てていたのですが、住民の猛反対にあって家が建てられなかった(つまりそこは白人ばかりの街だったのです)のだそうです。それを聞いた私はとてもびっくりしました。
そしてその状況は、後に私がコロンビア大学の近くに引っ越してからも、大して変わることはなかったのです。
マンハッタン内でも、白人(&アジア人)と黒人(&ヒスパニック)の人達(特に家族)の住む地域はかなりくっきりと分かれています。例えば私の住んでいた110丁目から123丁目くらいまでは白人家族が圧倒的に多いのですが、通りを一つ隔てただけの109丁目に住む白人家族は殆どいません。多くは黒人やヒスパニックの家族です。特に109丁目は危険区域と噂されていて、私もアパートの入り口にくっきりと残った弾痕を見てびびった覚えがあります(^_^;)。
そして、125丁目以降は皆さんもご存じのハーレム。現在昼間は全く安全ですが、さすがに夜10時を過ぎるとタクシーすら通らなくなってしまいます。
コロンビア大学内でも前の学校程ではなかったものの、生徒達のグループはやはりかなり人種別に別れていました。
人種の違いが一層くっきり別れるのが、11月から12月にかけてのホリデーシーズン。(日本のお正月のようなものです)この7年間でアジア系、白人系、黒人系と、さまざまな家族の感謝祭やクリスマスにお呼ばれしましたが、友達の家族や親戚一同が集まると、やっぱり彼/彼女は○○系なんだなぁ、と改めて思わされてしまいます。私はいつも殆どただ一人だけ、○○系ではない人でした。まぁ、イジメられたことはありませんでしたけれどね。何だか居心地の悪い時もありました。
このご時勢、異人種間で付き合ったりアパートをシェアしたりするケースはもう驚く話ではありません。でも結婚となると話は別なのです...。それはいまだに”混血”の赤ちゃんに抵抗のある両親が多いからでしょう。そうした理由によって、親戚付き合いとなると途端に同人種ばかりの集まりになってしまうのだと思います。
そういった背景の中、このニューズウィークの特集はナイジェリア・アフリカ系・アイルランド系・ネイティブアメリカン・ロシア系&ポーランド系ユダヤ人の混血児である男の子のアップの写真から始まっています。
21世紀に向けて、これまでの人種の壁がこの先果たして崩れていくのかどうかを問いながら...。
というわけで次回、「新しい人種地図」の内容紹介に続きます。
最後に、カレッジライフと人種問題を”大袈裟に描いた映画”としては、ジョン=シングルトン監督の「ハイヤー・ラーニング」(1995年)がお薦めです。映画全体の質うんぬんではそんなに素晴らしい出来とは言えませんが、ここに描かれている地方大学における学生達の人種間の確執は実にリアルです。白人系と黒人系の話ばかりで、アジア系の学生は飾り物みたいにしか出てこないのがちょっと淋しいのですけれどね(^_^;)一度機会があったら観てみて下さいね。
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