I'll introduce some films from my favorite films list
time to time.
Siu lam juk kau / 少林足球 少林サッカー |
Written and Directed by : Sing-Chi (Stephen) Chow
Starring : Man Tat Ng, Vicki Zhao, Yin Tse, etc
Official Site : Japanese
渋谷東急にて。
いや〜〜〜、傑作!傑作!大傑作ですっっっ!!!香港歴代興行記録を次々と塗り替え、また香港のアカデミー賞と呼ばれる香港電影金像奨で史上最多の13部門ノミネートを果たしたと聞いた辺りではまだ、「人気があるから名作であるとは限らない」とあまり期待はしてなかったんですよ。
それが、日本に帰国して真っ先に話題に上ってきたのがこの映画。配給会社に務めていて、映画の評価にはちとウルサイ友人でさえ、「コレはスゴイ映画だっ」とベタ誉めしていたので、期待も膨らむばかり。ただ、同時に期待し過ぎて逆にがっかりしてしまうのではないかという懸念も、おそるおそる抱いていたのでした。
それがそれがっっっ、期待していたより優に10倍以上はスゴイ映画でしたっ!!!もぉ、それまでチャウ=シンチーをノーマークしていた自分が恥ずかしいっっっ!それにしても、いくら映画大国とはいえ香港とゆ〜所は、その土地の狭さと人口の少なさから考えると、天才の出現する人口密度の高いこと高いこと!!!いや〜、私ってば、自ら主演・そして何より脚本もこなせる監督さんにはめちゃめちゃ弱いヒトなんですよ(チャールズ=チャップリンとか、ティム=ロビンスとかね(^_^;)。それまで、ブルース=リーにもジャッキー=チェンにも全くよろめかなかった私ですが、チャウ=シンチーにはキタなぁぁぁぁぁぁぁ!!!
『少林サッカー』と言えば、CGとかワイヤーアクションとか、そのオバカぶりばかりが話題になっていますが、とにかくまず、脚本が細かくて非常にしっかり書かれていたコトが超オドロキ!!!制作期間2年のうち、ナント1年を脚本に費やしたとゆ〜のですから、タダのアクション映画と言うなかれ。さすがに構成もしっかりしてるし、何と言ってもそのディテールがニク過ぎる!!!
ちなみに、香港ロング&日本での公開バージョンは112分であるのに対し、アメリカでの公開バージョンは92分になる予定なのだとか。そう、あのカット・カットで有名な(詳しくは周防正行著『Shall We Danceアメリカを行く』を読んでみて下さい)アメリカの配給・制作会社ミラマックスが、またまた切りに切りまくって、チャウ=シンチーも大憤慨なのだそうで(^_^;)。一〜体どこを切るとゆ〜のだぁぁぁっっっっ!!!
え〜、お話全体の流れとしては、社会から落ちこぼれた冴えない男達(&ブスの饅頭作りの女の子)がめきめきと頭角を現し、遂には香港サッカー界の頂点にいるチームと対戦するという、あくまでオーソドックスなもの。誰もがその成り行きを分かり切って観ているのですが、一つ一つのエピソードが非常に細かいディテールから成り立っているので、全く飽きさせないんですよね。とにかくツボを突きまくっております。
それまでの香港的ギャグ(?)に有りがちな、スラップスティックや、アクロバットや、ナンセンスといった次元のモノとは一味違う、いわば彼なりのユーモアセンス。何と言ってもスゴイのが、脇役一人一人のキャラがほんの一瞬にして見事に立っているとゆ〜こと!!!サッカー・プレイヤーの一人一人に関しては言うまでもないですが、前半のダンスシーンで突然歌い出すナゾの通行人とか、フラワーと呼ばれるチャウ=シンチー映画にはお馴染みの鼻クソおばさんとか、ムイの後半での抱腹絶倒の変身ぶり(しかも2回もある!)とか…。いや〜、とにかく最後の最後まで笑わせてくれますよぉぉぉぉっ!
チャウ=シンチーの”徹底的”とまで言える細やかなこだわりぶりは、その脚本にだけではありません。全編に渡ってふんだんに使われたコンピューター・グラフィック。CG技術だけに頼りまくるハリウッド映画には超否定的な私ですが、脚本のしっかりした映画に対しては、これまた全く別の話です(例えば『トィ・ストーリーPart 1』や『シュレック』に関しては、手放しで応援している私ですから)。例えばキックの風圧でたなびく敵の髪の毛。こんな些細なシーンにまでもCGが使われていたと後で知って、本当にびっくりしました。それにCGの技術も相当なモンです。ボールの動きとキック・アクション等、よくアレだけ細かく正確にやったと思いますよ。早撮り&早編集で有名な香港映画界にあってCGだけで異例の9ヶ月を費やしただけのことはありますね。
ところで、後でチャウ=シンチーのインタビューを読んでみたら、彼って相当な日本の漫画ファンなんですね。監督第二作目の『食神』は『美味しんぼ』からヒントを得ていたというし、この作品に関しても映画制作の前から『キャプテン翼』を相当読み込んでいたのだそうで…(^_^;)。昨今の香港映画や韓国映画に見られるこのマンガ的リズム、私には非常に興味深いモノなのですが、意外と日本の監督サンでそれやってる人っていないんですよね。どうしてかな???
キャストに関しては、皆文句なしです。特にチャウ=シンチーの名コンビと言われるン=マンタ。つい先日亡くなってしまったアン=リー監督映画ではいつも名バイプレイヤーを務めていた、ロン=ションを彷彿させるモノがありますね(顔も心なしか似てませんか???)。ウォン=ヤッフェイ&ティン=カイマンも最高〜〜〜。チャン=クオックアンは、ほんとにブルース=リーにそっくりだし、カレン=モク&セシリア=チャンのカメオ出演にも笑えますね〜〜〜〜〜(^_^)。
…というワケで、コレは日本でも口コミで十分大ヒットする映画となるでしょう。どこまで伸びるか見物ですね。このワールドカップ・フィーバーに乗って、オジサン達の観客動員もなるか???私もあと1回は絶対に、もう一度スクリーンで観る予定!!!
チャウ=シンチーの次回作については、『少林サッカー2』の企画も含めて沢山あるみたいなので、今からも〜楽しみですねっっっ!
夏休みということでなのか、東京では来週から日本語吹き替え版の上映になってしまうので、まだ観ていないっ!とゆ〜今時レアな(?)人をとっつかまえて2回目の鑑賞と相成りました。いや〜、とにかく今年一番!誰カレ構わず勧めまくった映画です。私自身は現在、ネットで売られている7ドルの英語字幕版VCDを購入するか、それとも9月頭に下高井戸シネマで上映されるまで3度目を観るのを待つか悩んでいる所。う〜ん、でもやっぱこの映画はスクリーンで観なきゃでしょ〜〜〜。
ところが何人も勧めまくった中でただ一人、この映画を嫌いだと言った人がいます。何を隠そう(?)この感想ページには何度も登場するアメリカ人の友人なのですが、とにかくこの映画が“暴力的過ぎる”とゆ〜のです。彼女に言わせてみると、この映画はタランティーノの映画よりも暴力的なのだそ〜で(「何でこんな映画を勧めたんだ〜」と怒られちゃいましたよ。マジで(^_^;)。ふ〜ん、今回そう思って見てみると、確かに目を覆ってしまいそうなバイオレンスシーンは、多々あります。けどね〜、コレってどれも、いわゆる“マンガ的なバイオレンス”じゃないですか〜。いたって戯画的とゆ〜か、コレでホントに痛い思いをしてる人なんて実際には存在しないんだろ〜っていう大前提があるわけでしょう?私なんかから言わせれば、タランティーノの映画の暴力性の方がずっと残酷に見えるんですけれど〜。コレってやっぱりマンガ感覚に慣れきった日本人と、銃感覚(?)に慣れきったアメリカ人との感覚の違いなんでしょうかね〜〜〜。
で、言い訳とか弁護するワケじゃないですが、私に言わせてみればこの映画って実際の所は、弱いモノに対する愛情に満ち満ちている映画なんじゃないかと思うんですけれど、この辺りアメリカ人には分かんないのかな〜〜〜。
ま、長すぎる前置きはこれくらいにして。やっぱこの映画は大人数でバカ笑いしながら観るに限りますね!!!いや〜、オバカ過ぎる!ここまでやってくれると愉快爽快!!!
今回は彼の前監督作品である『喜劇王』も観ていたので、豪華なCG技術やギャグのセンスよりも、チャウ=シンチーという一人のフィルム・メーカーが自身の作品に共通して持っている暖かさの部分に殊更惹かれてしまいました。
(2回目 July 24, 02の感想)
ホントはこの映画に対する(映画オタクでない)一般のアメリカ人の評価を早く知りたくてしようがないのですが、当初2002年4月から8月へ繰り越された全米公開の予定が、現在配給会社ミラマックスの意向で年度末の公開へズレ込んでいるのだとか。ややや?もしやミラマックス、この映画で来年のオスカー狙ってるの?????
けど、それとゆ〜のも、やはり前半でキャラクター達がここまでヒドイか?とゆ〜くらいどん底の生活を送っている部分があるから、後半で生き生きとして来るんじゃないかと思います。穴の空いた靴やたった一個の饅頭も買えないという情けなさ。このチャウ=シンチーというヒトは小さな頃からそれなりに裕福な生活を送ってきたハズなのに、ど〜してここまで惨めな人間達の姿をリアルに描くことが出来るのでしょうか???
それは彼の監督作品に共通する、虐げられた女の子達にも言えること。でもって彼女達は決して清くて美しいだけの薄幸少女ではないんですよね。不幸なれどもしたたかという文字からは縁遠い“どんクサイ女の子達”。こんなヒロイン達、いまだかつて映画の世界に存在したことがあったでしょうか???彼はとにかく彼女達に向かって“自信を持てよ”と言う。う〜ん、この暖かさがもうたまらないなぁぁぁ。
この映画には確かにおバカ&残酷なシーンは沢山あります。けど、そのおバカ&残酷というセンスは、彼のリアリズムの極端な形での裏返しなのではないかと、もう果てしなくこの映画を弁護してしまう、にわかチャウ=シンチーファンの私なのでありました(^_^;)。
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