*** Late Reviews - その他のレビュー 6***

このHP開設前に観た映画の感想や、
リバイバルやビデオで観た映画の感想などなど。
評価の最高数は5つ星です。

"Legally Blonde" - 「キューティ・ブロンド」****
"Cast Away" - 「キャスト・アウェイ」****1/2
"Desperately Seeking Suzan"- 「マドンナのスーザンを探して」****
"Keeping the Faith" - 「僕たちのアナ・バナナ」***

"Legally Blonde"
「キューティ・ブロンド」 - ****
Jan 15, 02

昨夏、ティーンズの間でヒットを飛ばしたこの映画(全米第1位の週もありました)、実は予告編を観て、けっこう面白そうだな〜、観たいな〜、ねぇ〜???って思っていたのです。けど、友達皆から「あんた一体何歳よ???」みたいな眼で、ジロ〜という感じだったので結局劇場では観損ねてしまっていた映画(いくじなさすぎ…(−_−)。実際、ビデオ屋さんで借りるのもけっこう恥ずかしかった〜〜〜(^_^;)。
ルームメイトにも隠れてコソコソ観ようと思っていたのですが、そ〜いう日に限って家に帰るとキッチンに居るのよね〜。「あ、今日何借りてきたの???」・・・って(^_^;)。「あ、コレ?HPでゴールデン・グローブ賞の予想やるからさ〜、作品賞のノミネートくらいは全部観なきゃと思って」…(くくぅ〜。そ〜いうルーミー君はジョン=カーペンター監督の古いビデオ借りてきてやんの。相変わらずオタクなヤツ^_^;)。

さてさて、前置きはこのくらいに…。え〜、というワケで今年のゴールデン・グローブ賞でコメディ部門の最優秀作品賞にノミネートされたこの作品。晴れて(?)観る理由も出来たので、やっと観ることが出来ました。
感想を一言で言うと…、“フォームかわゆく決まりました〜♪”って感じです。アハハ(^_^;)。え〜、映画をオリンピックの体操競技に例えてみませう(いきなり)。私の場合、映画を観る時は大抵、そのフォーム(起承転結のフォーマット)は崩れていても、捻りの効いた変わったアクロバットを好む傾向があるのですよね。それは例えば(クドイですが)蔡明亮監督の作品とか、デビッド=リンチの映画とか。ただし、脚本そのものだけに関して言うと、わりと全体の構成にこだわるタチなので、この映画の様に細部や全体としてはそんなに大した作品でもないのに、ここまで起承転結のフォーマットをキレ〜に決めてもらうと、着地した地点(つまり映画のラスト)で、パチパチパチ〜と拍手したくなってしまうワケなのです。

ハイ、この映画「○○日間で脚本を書こう♪」な〜んていう映画脚本マニュアル本の例としては、それこそパーフェクトに近い形で書かれていると思います。1)主人公のユニークな生活が思いっきり描かれて始まる。2)映画が始まって10分以内に、主人公が何かを失う。3)主人公が目的(Dramatic Needs)に向かって進み出す。4)困難アリ。5)人間関係のDynamismが変化していく。6)一難去ってまた一難。7)主人公めちゃくちゃ落ち込む。8)今までの複線部分がここでうまく繋がって、クライマックスのシーンへ。9)最後は成長した主人公と、このストーリーのテーマが表されて大団円へ。ハイ、もう完璧です。表面上は超オバカ映画なのですが、ちゃ〜んと教育的に描かれているので、これを観てひそかに感動しちゃう中高校生はけっこういるんじゃないかな。
私ってば、どうもハリウッド映画を目の仇にしている様に思われがちですが、こ〜ゆ〜脚本のきちんと書かれたストレートな映画は好きですよ〜。私が嫌いなのは、スターや特撮にばかり頼って脚本をおざなりにしているよ〜な映画なのです。奇をてらうだけのインディー映画だったら、この映画の方が全然好きだし〜。

難を言えば、裁判シーンのオチがちょっと甘かったのと、教授との関係に新しさがなかったというコト。まぁ、そこまで文句いうのはちょっと欲張りかな?でも、全体的には、本当によく書けてる脚本だと思いました。原作のネタが良かったのかな???
好みの女優サンではないものの、いつもウマイな〜と思うリーゼ=ウィザースプーン。撮影時にはすでに1児のママだなんて、信じられないくらいのキャピキャピぶりです。多分この役って、2〜3年前だったらアリシア=シルバーストーンがやりそうなモンだったけど、やっぱり彼女だと知性が…ね(^_^;)。そう言った意味でR=ウィザースプーンは、“嫌味のないキャピキャピ&スマート・ガール”を無理なくウマ演じていました。
ルーク=ウィルソンは、ど〜しても好きになれないな〜。あんなベースボール顔で、ど〜して次から次へと美味しい役が廻ってくるのか超不思議。殺人容疑の妻役を演じた女優サンは、前にNYのインディー映画で一緒に仕事したことある人でビックリ。ポーレット役の女優サンは、どっかで観たことある人だなと思っていたら、『ドック・ショウ』に出てた人でした。

しかし、この映画の監督サンって男の人なんですよ〜。『ムーラン・ルージュ』のバズ=ラーマン監督といい、オーストラリア出身の監督サンにこの手のミーハー作品がお得意なのは、果たして偶然なのでせうか???『ロード・オブ・ザ・リングス』を監督したニュージーランド出身のピーター=ジャクソンもキャンプ系だし、この辺の所、やっぱり何か繋がりがあるのかな???
ともあれ、とにかく“清く明るいミーハー・ガール”の映画です。私は自分がミーハーだから言い訳しているワケではありませんが、“突き抜けたミーハー”っていうのは、もっと市民権を持ってもいいと思う。ミーハーって、ポジティブな方向に向かえば凄いパワーですからね〜(^_^;)。

"Cast Away"
「キャスト・アウェイ」- ****1/2
Jan 05, 02

もう一年以上前に公開された映画ですが、ケーブルTVでたまたまチャンネルを合わせたら冒頭をやっていたので偶然に観始めた作品です。実のところ、私みたいにインディー系のプロデューサー&ライターのたむろする映画学校などへ下手に行ってしまうと、友人達の間で“ハリウッド資本”“ハリウッドのドル箱スター”“興行成績全米一位”という三拍子揃った映画は絶対に観ない、という暗黙の了解みたいのがあるというか、観たら友達にバカにされる…みたいのがどうしてもありまして(^_^;)、この映画を観ることは一生ないんじゃないかと勝手に思い込んでいました。正直、タダで観れても人生の時間の無駄使いだろ〜な〜なんて…(^_^;)。いやはや、映画たるモノ、やっぱり喰わず嫌いはイカンな〜と改めて思い知らされてしまいましたデス(^_^;)。勿論、映画と言えども“観たシチュエーション”によって天と地ほども感想の変わる時がありますから、実際去年の今頃劇場へ観に行っていたらまた全然違った見方をしていたのかもしれませんが。

…と、まぁ前置きはこのくらいにしておきませう。この映画の粗筋や全体的な感想についてはあちらこちらで散々書かれていることでしょうから、ココでは書きません。あくまでも私の個人的な細かい感想を書きますね。え〜、まず冒頭、トム=ハンクスがロシアの出張所で“タイム、タイム、タイム…(って台詞じゃなかったかもしれませんが)”ってやってる所までは、目も当てられないくらいヒドイ映画だな〜と正直思っていた私(勿論、このセカセカした世界というのは、後のなが〜〜〜〜い無人島時間との対をなす為に挿入されているのですが)。第一、もうこの作品、Fedexのプロモーション映画みたいなコトを露骨にやってるし。だから彼がメンフィスに帰って来てから次に飛行機へ乗り込むまでのシーン、私観てないんです(他のコトしてたんで(^_^;)。で、話題の遭難シーンになり、“じゃぁ、これからどうするんだろう?”っていう辺りからすっかり引き込まれてしまったんですよね。もう、途中適当な所で夕飯でも作って食べ様と思っていたのに、そのまま最後まで観てしまいました(^_^;)。

いわゆる無人島漂流のシーンはおそらく軽く一時間以上あると思うのですが、コレが全く飽きなくて(雷嫌いの私には、ストームのシーンがやたら多くて辛かったでしたけど(^_^;)、それこそあっと言う間という感じ。やってるコトは、火を起こしたり、魚を獲ったりと、有りがちなコトばかりというか、誰にでも想像出来てしまうことばかりなんですけどね。やっぱり演出と演技の勝ちなのかな???実際トム=ハンクス嫌いの私ですが、『フォレスト=ガンプ』だけは異様に好きで、まだ興行成績の10位にも入ってこない頃から(実はこの映画、全米公開直後はひどく興行成績が悪かったのです)、何度も劇場に足を運んでしまったりしています(この映画、ビデオも入れるともう10回近く観ているかもしれません)。この映画も、トム=ハンクスと組んでいるのは同じくロバート=ゼメキス監督なモンで、ちょうど私の波長と合っていたのかな???。

けど、何と言っても脚本が良く書けてると思います。最近、あまりにも「コレで終わり???」みたいな映画が多すぎるので、この映画みたいに、最初からラストのシーンまでを細かくPay Offしている映画って貴重だと思うし。ハリウッド映画の割には安易なハッピー・エンドに逃げていないし、むしろ哲学的な終わり方だとさえ思ってしまったのは、私だけではないのではないでしょうか。
いわゆるファースト・トラック的な生活に追われていたチャック、そして漂流してからの彼は、まさにプラクティカルなアメリカ人の生き方そのモノを体現(とにかくやれるコトはすべてガシガシとやって行く…みたいな)。そしてラストの彼の穏やかなこと。それは決っして“良かった、良かった”っていうのでもないし、“しょうがないよね”っていうのでもなく、まさに”As it is”みたいな…。

とにかくこの映画は公開前から宣伝作戦がもの凄くて、殆どのシーンをすでに目にしてしまっていたのですが、観る前に想像していた作品とはまるで違っていましたね。この映画は、決してそのシチュエーションを楽しむサバイバル映画でもなければ、そのテーマは、“文明&野生”とか“生きているコトのスバラシさ”なんていうちっぽけなモノじゃないんです。
ある程度の年齢に達してしまうと、人生がすでに四面楚歌の様に見えてしまうコトがありますけれど、実はちっともそうじゃない。本当は、あっちにも果てしなく行くことが出来るし、そっちにだって果てしなく行くことが出来る。この映画のビジュアル・ハイライトである果てしなく広がる青い空と海、そしてニクイ演出で再登場するアメリカの広大な原野が、そのテーマを象徴している様な気がしてしまいました。

"Desperately Seeking Suzan"
「マドンナのスーザンを探して」- ****
Dec 28, 01

アメリカには、各ジェネレーションごとにハイスクールやカレッジで観る定番B級ティーン向け映画みたいのがあります。例えば今のハイスクールやカレッジの世代には、『Scream』『Scary Movie』『American Pie』シリーズなどがソレ。おバカと分かっていながら、寮で皆がビデオを廻し観している様な作品のことですね(ちょっと前の世代になると『Wayne's World』とかになるのかな?)。
80年後半の世代に何度も廻し観(?)された作品の一つに『Sixteen Candles』(『ER』に看護士役で出演しているギャディ=ワタナベが、おかしな中国人留学生の役で出演)というのがありまして、コレは私がこっちに来てからの寮時代、何度もビデオやケーブルで観せられました(^_^;)。で、もう一つ噂には聞いていながらなかなか観るチャンスのなかった作品が、この『Desperately Seeking Suzan〜マドンナのスーザンを探して』というワケです。

いや〜、思いっきり80年代してますね〜。私の全く知らないニューヨークの姿がそこにはあります。濃い〜化粧にピンクとブラックとゴールドの組み合わせ(^_^;)。エイダン=クイン、ジョン=タトゥーロ、ジャンカルロ=エスポジートなどの面々が出演しているのも見モノだし。あ、ちなみに邦題に騙されてマドンナの独壇映画を予想しているとコケますよ。彼女は、あくまでも脇役ですから(^_^;)。
それにしてもリオラ=バリッシュの脚本がウマイ!!!さすが女性ライターならではの細かいディテールがにっくいし、新聞広告を巧みに利用するという発想が凄くイイ。彼女ってば、この後共同脚本を一本書いてそれっきりなんですけどね(T_T)。

ま、今となってはNY80’sノスタルジック映画と化してしまったので、誰にでもお勧め出来る映画というワケではないのですが、私的にかなり印象が良かったのでメモ書き程度まで(^_^;)。

"Keeping the Faith"
「僕たちのアナ・バナナ」- ***
06/18/01

デビュー作「真実の行方」でド肝を抜かれ、「ラリー・フリント」で虜になって、「世界中がアイ・ラブ・ユー」で完璧に注目俳優の一人となったエドワード=ノートン初の監督作品(実際のところ、前作「アメリカン・ヒストリーX」では、演出から編集まで相当監督に口を出していたらしいのですが)。
この作品は、ノートンのイェール大学時代からの友人が書いた脚本で、昨年度、東京国際映画祭最優秀脚本賞を受賞したということもあり、かなり期待も膨らんでレンタルしてきたのです。ところが…。

う〜〜〜ん、つまんなかった!!!何とゆ〜間延びした映画!!!しかも、エドワード=ノートン、これまでで最悪の演技だぁぁ!!!やっぱりよき俳優=よき監督ではないのですね〜。それは、この作品で特別出演していたミロシュ=フォーマンの間抜けな演技ぶりを見ても分かります(マーチン=スコセッシも俳優としてよく映画に出演しているけど、私としてはやめて欲しい)。
その点、自身も監督を務めるベン=スティラーは、主演3人の中では一番マシだったかも(私は、彼の監督作品「リアリティ・バイツ」がけっこう好きだったりする)。彼の場合、ロマンティック・コメディはお得意の分野だからなのかもしれませんけどね。
ABC TVのシットコム「ダルマ&グレッグ」でお馴染みのジェナ=エルフマンは、アナ役としての洗練さとか魅力は兼ね備えていたものの、演技が〜〜〜。彼女が「I Love You」と言っても、全然シリアスに聞こえないんですよね〜(^_^;)。

原題が「Keeping the Faith」という様に、この映画のテーマは、ある意味、宗教とアイデンティティ。特にユダヤ人世界の厳しさっていうのは(カソリックもそうだけど)、話にはよく聞くものの、今の若者にとっても深刻な悩みなんですね〜。下手な三角関係より、そっちの方にもっとフォーカスが当たっていたら(つまり、主演の男二人の友情にもっと焦点が合っていたら)、この映画も随分と面白かったと思うんですけれど。何てったって、E=ノートンの役が情けなさ過ぎた〜〜〜(T_T)。
とは言え、やっぱりクリーピーな役の方が似合うノートン君(アレっ、椎名サンと同じか?)。次回作は、またもクレイジーな役に挑戦らしいですが、監督としての彼の次回作にも期待。ちなみに彼は、イェール時代日本語の勉強をしており、建築家だった祖父について大学卒業後は大阪にも数年間住んでいたのだとか。将来、日本を舞台にした映画なんか撮ってくれないかな〜、と勝手に期待している私です(^_^;)。

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