"Hole in the Sky" - 「空の穴」 ****1/2
"AKIRA" - 「アキラ」 ****1/2
"The Taste of Others" - 「他人の味」 ***1/2
"The Foul King" - 「反則王」 ****
「空の穴」 - ****1/2 |
Written and Directed by :Kazuyoshi Kumakiri 熊切和嘉
Starring : Susumu Terajima 寺島進, Yukiko Kikuchi 菊地百合子, etc
Related Site : English and German
Seen at New Director’s New Film
う〜〜〜ん、むっちゃ好みだぁぁぁっ、この映画。このわたくしめのホームページ、勿論めちゃめちゃ贔屓目100%で書いていることはすでにご存知のことと思いますが、今回はモロ贔屓目200%で書いております。予めご了承下さい。m(_)m
「鬼畜大宴会」で鮮烈のデビューを果たした熊切和嘉監督の長編第2作目。まず1作目とあまりにも違うその作風に面喰らってしまった私。前作品がスプラッタ・ファンタジー群像劇(?)なら、この映画はホントに二人だけに焦点を絞ったピュアなラブ・ストーリーなのです(ね、モロ私好みでしょ???)。
お話は、北海道の自衛隊基地にほど近いドライブイン「空の穴」で、今日も黙々とトラックの運ちゃん達にぶた丼やカレーを作る一男(いちお)の物語。そこへある日、内地から
やってきたタエが迷い込んで来る所からお話は始まります。
一言で言えばこれはじれったい中年男と女の子のラブストーリー。くっついたり離れたり、口数も少なければドラマチックなことも殆ど起こらず、プロットみたいなモノはあんまりありません。そんな物語をぐいぐい見せつけてしまうこの映画のヒミツ、私は大きく分けて3つあると思います。
一つ目は、脚本的ディテール。例えばこの主人公の一男。普通なら“かずお”と読むところを“いちお”という名前にしているのは、そういう名前を付けた父親に育てられた息子という設定にしているのだそうです。
「ペパーミント・キャンデイ」と同じく、重要なイベントをわざと描かずに、観客の想像を掻きたてることによって、お話によりハマらせようとするのもこの脚本のうまい所。でも、そういった想像の答えが、会話の口調の変化などによって微妙に明らかになっていくのです。
とにかく“ラブ・シーン”というものを一切見せずに、これだけのラブストーリーを描いてしまった熊切監督の力量は凄いです。例えば別々の時間に二人がベンチの全く同じ場所に吸殻を押し付けているシーンは、それこそ二人の恋を運命的なものに印象付けてしまうし、二人が煙草の先同士でキスしている(勿論、煙草の火をもう一方へ移しているだけなのですが)シーンや、一男がタエの足の包帯を取り替えてあげているシーンがかくもエロティックに見えてきてしまうのですよ〜。こういうのって、日本人(もしかすると欧州人含む?)にしかピンとこないディテールなのかもしれませんが、“間接的”であれば間接的である程、私なんかには感覚的により刺激的なものになっていくんですよね(仏では、ル=コント監督の「橋の上の娘」なんかがそのいい例だと思います)。
二つ目は、映像的ディテール。このドライブイン「空の穴」のセット、殆ど有りモノの小道具で間に合わせたそうですが、実は監督、セットのディテールにももの凄くこだわっていたのだそうで。例えばこのお話には蝶が何度か象徴的に登場するのですが、キャベツに青虫がくっついて来たり、水道の蛇口が蝶型になっていたり(コレは後で監督に聞いて知ったのですが)、この映画を2回・3回観ると分かってくるようなディテールが随所に散りばめられています。
またこの映画に何度か登場する火が燃え盛るシーン、コレも凄いっすね。ちなみに燃える塔は燃える男根を象徴しているのだそうで、これも言われてみると合点のいく部分がかなりあります。
劇中使われている8ミリ映写機の使い方もニクイ。ああ、この監督って本当に映画(=フィルム)というものを愛している人なんだなぁ〜というのがよく分かります。映像に映し出される深い森は、おそらく監督の心象風景なんでしょうね。
しかし何と言ってもこの映画のハイライトは、その広大な北海道を背景とした空の映像(左の映像は、監督サンから頂いた海外宣伝用用の特大絵ハガキ)。この映画では、“天気”が非常に重要な役割を果たしています。この撮影、とにかく天気にはいつも恵まれていたのだそうで、これだけバラエティな天気を撮影し、撮影期間はたったの3週間だったのだとか。監督の普段の行いが良かったからでしょうか?監督が「空の穴」というタイトルを思いついたきっかけになった、水溜りのシーン。とってもキレイに撮影されていますよ。
3つ目はその演出的ディテール。この脚本、もともと主演の寺島進サンを念頭に置いて書かれたものだそうで、とにかく彼の魅力が120%引き出されています。例えば、劇中彼がモゴモゴ口の奥で何かを言っている部分が何度か出てくるのですが、これは実際寺島サンのクセなのだそうです。
いや〜、それにしてもこの作品は、今年是枝裕和監督の新作「Distance」、「天国までの100マイル」「BROTHER」等で公開作品目白押しの寺島進サンにとって、間違いなく“生涯の金字塔的作品”となるでしょう。彼は現在36歳、次男坊独身。小さな劇団から出発して、ヤクザ映画を点々とし、高崎映画祭で初めて賞をもらう所なんか全〜部椎名桔平さんとおんなじですね(こじつけ???)。後は皆さんご存知の通り「その男、凶暴につき」以来、北野武の映画で活躍されていますが、こんな素晴らしい映画がめぐってくるとは、なんて幸せモノの俳優さん。監督曰く、地の寺島サンは長渕とか矢沢入っちゃっている人なのだそうで(ここも椎名さんと同じだ)、この映画では、そんな寺島サンを“いかに崩すか”を念頭に置いて演出していたのだそうです。
それにしても彼の新しい魅力爆発というか、彼のどアップがあんなに“深み”のあるものだとは思いもよりませんでした(失礼)。いやホント、めっちゃ魅力ありますよ。おそらく一男というキャラクターを一言で言ってしまうなら、“ただの情けない30男”になのでしょうが、その中で奥深くに沈んだ魅力をじわじわじりじりと出している所が凄い。嗚呼、ファンになってしまいそうです〜(^_^;)。
しっかしホントに気合の寺島サンです。撮影中は監督がよくセリフ覚えているなぁと感心する程脚本のセリフを忠実に喋っていたそうですが、劇中一回あるケンカのシーンと一回ある口論のシーンでは、思わずアドリブがたくさん入ってしまったのだそうです。だからその2箇所については、北海道弁ではなく東京弁(彼はちゃきちゃきの江戸ッ子なのだそうで)がモロ入っちゃってマス。でも、どちらのシーンにもかなりの名アドリブが入っていますので、よ〜く注意して聞いてみて下さいね。
共演の菊池百合子チャンは、もともとCM(パワーステーションとか)に出ていた女優さんなのだそうで、映画は初主演。すっごくいい味出しています。お父さん役の役者さんも、出番少ないけどいい味出してますね〜。
そして最後に熊切和嘉監督について。1974年生まれで今年27歳(右の写真中央)。この上映会の後数人で飲みに行ったのですが、すごくピュアでロマンチストな人だなぁと思う反面、自分のやってることがちゃんと分かっているしっかりした人なんだなぁという印象も受けました。当たり前の様で、自分が何を作りたいのかハッキリ分かっていて、それをキチンと他人に伝えられる人ってなかなかいるものではありません。この作品は、PFF(ぴあ)スカラーシップで出たお金を元に制作されているのですが、撮影準備段階でいろいろと文句や制約の多いPFFと、彼がきちんと渡りあってなんとか撮影にまでこじつけた話もアレコレいろいろと聞きました。PFFって、ホント今日本のサンダンス状態になってしまっているのですね〜(^_^;)。
彼の好きな監督は山程いる様ですが、やっぱりダントツでマーチン=スコセッシが好きみたいですね。1作目の「鬼畜大宴会」では彼、スコセッシを意識して細かいカット割りを沢山してみたそうですが、今回は敢えて長回し撮影を多くしています(撮影は「鬼畜大宴会」と同じ大阪芸大からの同級生)。私は個人的にはこっちの方がずっと好きかな。また、ジョン=ウーのことも大好きなのだそうで、将来はジョン=ウーばりのアクション映画も撮ってみたいとか。ますますジャンルの広がる熊切監督なのでした。
それにしてもこの映画、何よりも彼が映画を愛する心と、恋に対する切なさと、それを見つめる暖かい眼差しが全編を通して感じられる所が、最大の魅力なんだろうなぁという気がします。
「空の穴」は、すでにロッテルダム映画祭で審査員特別賞を獲得し、ベルリン映画祭でもフォーラム部門で正式上映されていますが、これからさらに幾つもの国際映画祭を巡業し、日本での凱旋公開(?)は9月からになる予定とのこと。興行的にはどうなるか分かりませんが、少なくとも何年先にも残る、伝説的な作品となることは確かでしょうね。熊切監督の次回作は、またまたジャンルの全く違った作品になるのだそうで、これからもますますガンガン頑張って欲しいですね〜〜〜。
As you know, my reviews in this homepage are not fair at all. When I liked a film, I cannot judge it coolly. At this review, especially, I might have to mention it again.
This is the second feature of Kazuyoshi Kumakiri, who debut with a controversial independent feature"Kichiku". Although "Kichiku" is a bloody-splatter-ensemble character film, which is not my taste, "Hole in the Sky" is a cutie pure-two character-focused film, which is totally my kind of film. I still cannot believe that the director of both film are the same.
The story is very simple, which is a love story of a guy in his 30s stuck in his place in Northern Japan and a girl in her early 20s visiting there.
Though there is no plot or any exciting events in this story, I was very attracted by this film. I think there are three reasons why...
1. Detailed Character Set-ups and Screenplays: You never see any big events in this film like "Peppermint Candy", however, you will know who the characters are and what is going on through from the small details of how they talk or how they act.
Even though this is purely a love story, amazingly there is no love scene, which I love. You know, sometimes (or maybe always) the indirect imagination makes you more ho- -y like "Girl on the Bridge". My favorite scenes are... a) when they transfer light from one cigarette to the other, it looks like they are kissing b) when the guy changes bandage of the girl's feet, it somehow looks so erotic!
2. Beautiful Images: They shot this entire film in Hokkaido (North Island of Japan), where you can see a wide horizon. The sky, the field, the forest, and the mountain on the back are beautiful. You also see such various weathers in this film, which I also loved. He got the idea of the title, when he saw a paddle on the street, therefore you'll see a memorable paddle shot in this film. In addition, you see some subliminal shots of fire, which almost contrast to those quite / cool shots of the sky.
He uses some footage of super 8 mm camra, which shows us how much the director loves film.
3. Directing Actors: The director Kumakiri wrote the screenplay for the lead actor, Susumu Terajima, who you might have seen in Takeshi Kitano's films was great!!! As the character was set, he looks a pitiable old guy. Yet he still looks very very attractive in some point.
It was the first feature for Yuriko Kikuchi, the lead actress, who also did a pretty good job.
The director, Kumakiri, was born 1974 makes him 26 years old when he directed this film. After he won the second Grand Prix for the Pia Film Festival in Japan, he had been negotiated with Pia to get a scholarship. This film has been screened at Rotterdam, Berlin, Saint Sebastian film festivals and planning to be screened at more international festivals.
I had a chance to talk with the director after the screening. He said he loves Martin Scosessi and John Woo, and he wants to make an action film someday. I am totally looking forward to seeing his action film!!!
「アキラ」 - ****1/2 |
Written and Directed by :Katsuhiro Ohtomo
Official Site :English
Do not die without see this film on screen. I am so embarrassed to admit that I didn't realize there is another genius, Katsuhiko Otomo, besides Hayao Miyazaki and Osamu Tezuka, who are the master of Japanese Animation.
This was made more than 12 years but it doesn't looks old at all and still looks great!
う〜む、良かった〜〜〜死ぬ前にこの映画を劇場で観ることが出来て。今週の日曜日、友達数人がまず最初に観に行って「コレを劇場で観ずに死ぬなよ」(大げさ)みたいなコト言われたので、めっちゃ忙しくて疲れてたけど頑張って観に行きました。
おそらく日本ではもう皆さんよくご存じだと思いますので、内容について多くは触れません。それにしても、まさにマスターピースですね。凄すぎ…。 恥ずかしながら私、今だかつてこの映画を観たことがなかったのです。 皆さんもうご存じだと思いますが、日本のアニメーション(=ジャパニメーション)の海外人気(特にアメリカ)というのはなかなか凄いモノがあり、このAKIRAの上映館にも、どこから湧いて出たのか(?) アメリカ人の若者がワンサカ集まって来ていました(アジア系は殆どいなかったです。2〜3人しか見かけませんでした) 。確かに私も、こちらで「攻殻機動隊」「オネアミスの翼」「エヴァンゲリオン」「もののけ姫」等のジャパニメーションを、”普通の”一般映画館で観ました。 日本では、こういった映画を観に行くと”アニメおたく”とか思われてしまうかもしれませんが、こちらではアニメにもちゃんとした市民権(?)があるようで…。
いや、それにしてもスゴイ。冒頭の15分くらいは息もつかせぬ早さで、「ブレード・ランナー」の世界をもっと緻密に、そしてさらにスピード感を持たせた映像がのべつまくなしなしに出てきます。 コレだけで、まいっちゃいますよね。こっちだと、映画館だろうが何だろうが、観客はおかまいなしに声をあげて騒ぎますので、最初のシーンの賑やかなこと、賑やかなこと。皆拍手するわ、歓声あげるわ、ピーピー口笛吹いちゃうわ…(^_^;)。
私、アニメの作品を”映画的アングル”で観たことってないんですけど、この映画の”撮り方”はまさに実写映画のそれでした。脚本の書き方もしかり。 コレはまさにハリウッド映画の脚本、でも実はそれ以上に深かったりなんかして。第一、キャラクター構成がいい。金田(兼田?)とタケシの関係はいいですね。原作だったらもっと複雑なんだろうなぁ。こちらでは勿論英語版が発売されていますので、今度原作の方もちょっと読んでみよう。おもちゃ達が暴れるってのもイイ。コレも私は読んだことがないのですが、同じ大友克洋の「童夢」にも、あんなシーンが出てきませんか?
そ、気付くのが遅すぎるかもしれないけれど、日本にはもう一人”天才”がいたのですね。大友克洋の絵って、なんかコワそうで、私全然彼のマンガ読んだことがなかったのですが、機会があれば是非読んでみたい作家の一人になりました。一体何歳くらいの人なんでしょう???劇中60年代の学生・反安保運動みたいなシーンがやたらと出てきますよね。コレ、やはり去年ジャパン・ソサエティで押井守監督が来た時に観た「人狼」(彼は、確か製作で監督は別の人だと思いますが)を観た時も、未来の話なのに、「あの頃の風景」が強烈に描かれているんですよ。アニメ制作者と反政府・学生運動って、実は全く関係ないようで、もの凄く繋がっているんだなぁ、と思ってしまう今日この頃。それはハイ、手塚治虫氏も、宮崎駿氏もその例外ではありません。
あ、話が全く関係ない方向にぶっ飛んでしまいました。↑の話、本編をご覧になった方なら随所にそういったペーソスが詰まっている事、お分かり頂けると思います。それにしても、そういった政治的背景をあくまでもバックグラウンドに留め、前面に出るキャラクター達が不良少年少女達というのはい〜ですね。あと、映画では何か中途半端な役だったけど(おそらく原作ではもっと重要なんじゃないかな)、カーネルの役(日本語では大佐って呼ばれてるのかな?)はキャラとして面白いなと思いました。もし実写だったら彼は助演男優賞モノですね(笑)
ただ私がこの作品を5つ星にしなかったのは、そのラストのオチ。う〜〜〜ん、も〜ひとヒネリ欲しかったです。ま、映像的にはいいんですけれど、あそこまで引っぱっておいてね〜。ところでこの映画(もしくは原作マンガ)の続編ってあるんでしょうか???第一、この映画が制作されたのって、10年以上も前ですよね?それでいて古い感じが微塵もない(今でさえ、とっても新しい)所がまたこの作品の凄い所。鳴呼、いくらなんでもちょっとベタ褒めしすぎでしょうか(^_^;)。でも、それくらい私にとっては衝撃の作品なのでした。
この大友克洋という人、というわけでこれまで正直全く注目したことがなかったのですが、今となってはそんな自分がとても恥ずかしいです。今夏には、彼が脚本を書いた手塚治虫原作「メトロポリス」が日本で公開されますよね。まだまだ、というかますます飛躍する日本アニメの黄金時代に大いに期待したい私です。
Le Gout des Autres 「ムッシュウ・カステラの恋」 - ***1/2 |
Written and Directed by : AgnEs Jaoui
Official Site:in French
I guess I expected it too much. It always happens, when I see an ensemble-multi character srories. I really liked the director, who acted the waitress, though (I thought she looks like Marie-Lous Parker, and the lead actress looks like Lily Tomlin(^_^;)
この映画を観た知人から、このお話はさえないビジネスマンがある日劇団の女優にのめりこんで…という粗筋を聞いていたので、てっきり彼が劇団に入団するものだとばかり思い込み、フランス版「Shall Weダンス?」みたいな映画かと思っていたら、もぉ、全然違いましたね(^_^;)。
お話はどちらかというと、中年男女(にしてはちょっと若い人達もいますけど)の群像劇って感じでしょうか?う〜〜〜ん、やっぱり私って「マグノリア」といい「トラフィック」といい、群像劇はあまり好みじゃない様です。実はこの日めちゃくちゃ疲れていまして、映画を観ながら寝るということは1分もなかったのですが、どうもお話にのめり込んでいけなかったというのが本当の所(やっぱり字幕映画を観るのって、体力が要りますね(^_^;)。また、ベストなコンディションの時に改めて観てみたいものです。
主演の女優さんはリリ=トムリンに、ウエイトレス役(監督本人)は、「Proof」のマリ=ルイス=パーカーに似ていると思ってしまったのは、私だけでしょうか?不謹慎な見方かな?監督さんの方はサバサバしていて、けっこう好きでしたけどね。
ドライバー役とボディガード役(誰の役名&俳優名も分からない私)も、それなりの味が出ていて良かったものの、私にはいま一つパンチが足りなかった様な…。巧いんですけどね〜。でも、それ以上行かないの。
この映画、今年度のセザール賞(フランスのアカデミー賞)最優秀作品賞、およびモントリオール映画祭最優秀作品賞を受賞し、今年度米国アカデミー賞外国映画賞部門でもフランスからのノミネート作品に選ばれる等話題性も多く、評判ももの凄く高かったので期待が大きすぎてしまったのかもしれません。監督のAgnEs Jaoui(読めない(^_^;) は元々女優業が本業で、この作品がナント監督第1作目。まだめちゃ若なんですよ〜。さすがに話題に登っているだけあって、とても処女作品とは思えない演出さばきを見せてくれました。日本では2001年の秋公開予定。
Banchikwang 「反則王」 - **** |
Written and Directed by : Jee Woon Kim 金知雲
Staring : Kang Ho Song 宋康昊、Jee Nyong Chang, etc
Official Site :Korean
Seen at the “New Director’s New Films Film Festival 2001” New York
いや〜〜〜〜ん、めちゃくちゃ面白かったです!!!なんか私ってアジア映画となると点を付けるのが甘くなっちゃうから、最近はもっと辛口にしなきゃと思いつつ、嗚呼好きだなぁぁぁっ、この映画。前々から耳にタコが出来るくらい「この映画、面白いよっ!」でな話は聞いていたのですが、もう大げさではなく、3分に1度笑わせてもらいました。あ〜、面白かった。
この映画、日本では昨年公開になった「クワイエット・ファミリー」(アメリカでは未公開なので、私は未見です)でデビューした、キム=ジウン監督の長編第2作目。実はこの上映会の後、監督・プロデューサー含め数人で飲みに行ったのですが、な、な、なんてもの静かな監督さん!(現在36歳、でも20代後半に見える。プロデユーサーなんか、高校生にも間違えられそ〜なかわゆい顔してた ^_^;)いや〜、彼のどこからあんなコメディ・アクション・ホラーのセンスが飛び出して来るのでしょうか???
正直言って私、若い監督さんの作るホラーとかって、ちゃっちいイメージがあって(若さだけで作っているというか)、全然期待してなかったんですよ。それがなんか凄く「中身詰まって」作ってあってちょっと驚きました。演出よし、脚本よし、映像よし。逆を言えばどれもある意味、あまり新しくはないんですけどね。つまり安心して観られるってことです。演出に関しては、彼、もともと演劇畑出身なんだそうで(つかこうへいの「熱海殺人事件」や「蒲田行進曲」の韓国版を演出しています)、なる程、俳優さん達の演出にまったく隙がないわけだ。ベテランの俳優さん達も、堂々と使いこなしていましたよ。
ま、この映画、一言で言えば「Shall We ダンス?」プロレス版といったお話。日常生活に疲れた駄目サラリーマンが、ふとしたきっかけでレスリングの虜になり、とうとう夢のリングに立って…。という言ってみれば、オーソドックスなスポ根モノ。話はみんなお約束通りでもいいんです。結局は中身さえちゃんと見せてくれれば。とにかくディテールが面白い。それにドラマに比べると、コメディってホントに難しいんですよね。タイミングとか色々あるし…。
監督さんに聞こうかどうしようか迷ってさすがに最後まで聞けなかったけれど(小心者)、やはりこの映画、相当「Shall We ダンス?」を意識していますね。会社の日常生活の中でも、思わずトレーニングしてしまう所や、コーチの娘に特訓してもらうシーンとか。
あと、監督さん本人が言っていましたが、彼、小さい頃から日本のプロレスを観るのが大好きだったそうで、タイガー・マスクとか何か懐かしい名前が幾つか出てきましたね。う〜ん、そうそう私は普通のプロレスは全く観なかったけど、女子プロ全盛期は知ってますからね〜。試合のシーン観ててちょっち懐かしかったです。
主演のソ=ガンホは、今やアン=ソンギ、ハン=ソッキュに次ぐ韓国映画の国際スター。今年のベルリン映画祭では、「シュリ」の歴代興行記録を抜いた「JSA – 共同警備区域」(日本公開は5月公開予定)の主役として、主演男優賞の最有力候補にもなっていました。日本では、おそらく「シュリ」でハン=ソッキュの相棒役を務めた俳優さんと言えばお分かり頂けるでしょうか?正直私、「シュリ」での彼の印象は強かったものの、個人的にはあまり好きな俳優さんではないかなと思っていたのです。それがこの映画では、いいなぁぁぁ。コメディ系の彼かわいい〜〜〜〜。で、またそのタイミングが巧いんですっ!!!ゴキブリのような足取りでちょこちょこ歩く様とか、父親の前でドジ踏むところとかね。あと、彼の何気ない表情が凄くいいですね。会社のカラオケ大会(?)で、酔っ払いながら憧れの女子社員を見つめている眼なんかが印象に残っています。
それにつけても特筆すべきは、彼がスタントを一切使わずプロレスのシーンを全て本人自身でやったということ。これは驚き!!!この役の為に、彼はナント3ヶ月もトレーニングを積んだのだそうです。いや、まぁ飛ぶわ投げるわ、蹴るは殴るわ。勿論お互い手加減してやっていたにしても、あれじゃ身体ボロボロになってしまったに違いないです。根性…。ジャンプのシーンなんか素晴らしくキレイですよ。私はてっきりスタントのヒトがやっていると思って観てたので(マスクかぶっているんで、絶対本人じゃないと思ってた)、後で本人だって聞いてめちゃくちゃびっくりしました。
他の俳優さん達は、もう皆個性派ばっかりでバラエティ。その中で唯一普通の人(?)っぽかったチャン=ジニョンは、綺麗系でもなく可愛い系でもないけど、すごく美人な女優さん。何か全然演技してるって感じがしなかったけど、さらりとしたタイプで私は好きでした。上司役のパク=サンミョンは、私が今の所韓国映画の中では一番好きな「情け容赦なし」で、ほんの1〜2ショットしか出てこなかった(しかもセリフなし)俳優さんなのですが、凄く存在感のある人です。コーチ役の人は何て名前だったのでしょう。どっかで観たことある人なのですが、思い出せません。凄くいい味出してたんですけどね。同僚役のチョン=ウンインは、その甘いマスクで女性ファンがどっさりいるのは、間違いなしでしょう〜。
プロデユーサーの話によると、今この映画には配給したい!という配給会社が殺到して、日本の配給会社はまだ決めていないのだそうです(アメリカでもまだらしいですが)。なにしろ現在、ベルリン・トロント・ロンドン・香港だけでなく世界中の映画祭を凱旋中なんだそ〜で。いやいや頑張って欲しいです。
キム=ジウン監督も、今企画がたくさんありすぎてどれから手を付けていいのか分からないといった感じですが(「反則王」の後、「カミング・アウト」というショート・オムニバスを監督したそうですが、長編の方はまだだそうで)、私とにかく「反則王」大好きだったので、近い将来「反則王2」なんかも是非ぜひ作って欲しいですね〜〜〜。
I’ve heard this film is very funny for so many times, but it was much funnier than I thought. I couldn’t help laughing every 3 minutes.
This is the second feature of the director, Jee Woon Kim, who debut with “The Quiet Family” (opened in Japan, Spring 2000). Although he is such a young director, you don’t have to worry about seeing this film as a contemporary-roughly-planed film by an immature director. This film is well planed, well written, and well shot (although you could say, it is not so drastically new). Since he has an extended career in the theater industry, his directions to the actors are remarkable, which doesn’t matter with new actors or veteran actors.
I would say, this is a wrestling version of “Shall We Dance?”. One day, a bored/boring business man bumps into a wrestling gym and starts practicing to get a spotlight. Those training scenes in the company & subway, practicing with a beautiful coach (a daughter of the owner of the gym), and exocentric sub characters totally reminded me “Shall We…”, although the end was really a Korean ending, which I loved.
The lead actor, Kang-Ho Song is just amazing. He is internationally well known as a serious role actor such as in “Shuri” (Not the lead but the supporting role). He was also nominated for the leading role in “Joint Security Area” at Berlin Film Festival this year. However, in this film, he is so perfect for the comedic role!!! He was soooooo cute and lovely!!! Cannot believe, he is the same actor.
Moreover, they didn’t use any body doubles for the wrestling scenes, which is unbelievable, incredible, and amazing!!! I heard that Kang-Ho Song was trained wrestling for 3 months!!!
All other actors were really good as well.
I am really looking forward to seeing his upcoming project and, if possible, I’d loved to see “The Foul King 2” in near future.
---------------------------
Go to mook's Film Review Index