*** Just Watched 8 - 最近観た映画 8 ***

評価の最高数は5つ星です。

"Pollock" - 「ポラック」 ***3/4
"The Price of Milk" - 「ミルクのお値段」***3/4
"Platform" - 「プラットフォーム」 ****1/4

"Pollock"
「ポラック」 - ***3/4

03/22/01

Directed by : Ed Harris, Written by : Steven Naifeh, Gregory White Smith
Starring : Ed Harris, Marcia Gay Harden
Official Site : Sony Pictures Classics

It's totally worth to see the award winning Marcia Gay Harden's heart rancing performance (especially in the middle of the story) and amazingly practiced Ed Harris's drawing scenes, although I thought the end was a bit slow.

映画って、期待しないで観るとホント評価が甘くなっちゃいますよね〜。いや〜〜〜、意外なことにけっこう好きでした、この映画。単に今週末のアカデミー賞予測に向けて、慌てて観たってだけなんですよね、実際。先月ノミネートが発表された時、主演男優賞にエド=ハリスと助演女優賞にマーシャ=ゲィ=ハーデンがノミネートされた時は、とっても驚きだったのですが、今となってはノミネートも当然のことと納得。もう個人的には二人共最優秀賞をあげてもいいんじゃないかと思うくらいです。(後日談:いや〜、マーシャ=ゲイ=ハーデン、オスカー取っちゃいましたね。コレには皆驚いた〜〜〜!)

お話は、20世紀のアメリカ現代美術を代表する画家、ジャクソン=ポラックの半生記。ジャクソン=ポラックと言えば、あの筆をキャンパスに付けずにペンキのしずくで描いた抽象画で有名ですが、そのスタイルって本当に後期の一部だけだったのですね。前半殆どの作品がピカソのような抽象画でした(実際、ポラックはピカソを相当意識していたのだそうで)。
まず、多作なポラックの作品を何十枚にも渡って再現した美術部のスタッフに敬意!おそらく作品だけが撮影されていた展示室のシーンは、本物を写していたのでしょうが(2〜3年前にMOMAなど全米各地で開催されていたジャクソン=ポラック展の時に写したモノだと私は見ましたよ)、後は見事な複製画。いや〜、頑張りましたね、ホント。

そして吹き替えを使わずに自身でポラックの絵を見事に再現してみせたエド=ハリス!!!素晴らしかったです!いや〜、めちゃくちゃ練習したに違いないです。お見事!おそらく元々絵心のある人なんでしょう。初期作品の再現なんてホント手馴れてるって感じでした〜。
ポラックが最初に巨大なキャンバスに筆を走らせるシーン。編集よし、音楽よし、そして筆の走りよし。とっても印象に残っています。
また、ポラックがアル中で自分の絵を二束三文で売り、ビールを買った帰り道の撮影はもう奇跡!!!!!片手で自転車を運転し、片手でビールの栓を抜いてトラックにひかれそうになり、転んでしまう…。コレ全てワンショット!!!転んだ時、アレまじで本当にケガしてますよ。う〜〜〜ん、あのショット素晴らしかった!撮影直後、スタッフが拍手してた姿が眼に浮かびます。根性の役者魂&監督魂!!!
また、役の上で痩せたり太ったりしているのですが、コレがまたハンパじゃないんですよ。痩せてる時はホント骨と皮みたいで、太っている時は太い〜〜〜、タンクトップ姿だたから、あれはどう見ても肉を付け足したのではないと思うし…。

そしてマーシャ=ゲイ=ハーデン!う〜ん、彼女「Spitfire Grill」とか(私、この映画も大好きなんです)、「Day Trippers」とか(これも割と好きな映画)、インディやTVでばっかり活躍している女優さんですが、これは印象強し!今後彼女の演技を見る度にこの役を思い出してしまうかも。出だしいまイチだったんですけどね。中盤はもう最高。特に新婚の頃の二人がいい。仲いい時も、喧嘩している時も…。なまじ実話がベースになっているので、後半彼女の役柄は随分と損をしてしまっているのですが。
ただし、ポラックと二人だけのシーンを見ていると、時折「巧い役者二人の掛け合い」という様に“演技”が見えてしまうことがあって、これはマイナス。あれは、舞台上で二人が役者志望の生徒へ模範演技を見せているってな雰囲気がちょっと一瞬漂ってしまっていましたね。
そうそう、この映画とってもいい映画なんですけれど、あくまでも「役者の監督した映画」なんですよね。でも、それはそれでもの凄くいい味だしてるんですよ。私が想像していたより、映像的にもず〜っとしっかり作ってあったし。

ただし、これは脚本の責任だと思いますけれど、最後はあそこまで実際にあった出来事を忠実に再現する必要はなかったと思います。例えば轢かれていた犬を獣医さんに連れて行くエピソードとかね。おそらく記録がちゃんと残っているのでしょう。そしてポラックがあくまでも純な心を持った優しい人間であったといいたいのは分かる。でも、やっぱりあのシーンは余計だったな〜〜〜。ラストのクレッシェンドへのリズムを完ペキに壊していたと私は思います。
それにしてもジェニファー=コネリーというヒトは、つくづく50年代のグラマラスがよく似合うお姉ちゃんですね〜。たった十数分の登場でM=G=ハーデンの印象をすっかり薄くしてしまっていたくらい(^_^;)。それに比べてバル=キルマーの特別出演(デ=クーニング役)は、完璧なミスキャスト!何だったんだアレは〜〜〜?

余談ですが、劇中にあるポラックが透明なアクリルにお得意のポタポタ画を描く様を撮ったフィルムは実際に存在します。この映画では、その撮影風景なんかも実に丁寧に撮ってあって、つくづくこの映画、ポラックのファンで彼の全てを何もかも知っている人達にとっては、たまらない映画なんだろ〜な〜等と思ってしまいました。
反面、あまりに事実をなぞる事だけに固執してしまって見えるのもやっぱりモンダイかな。もしかするとポラック・ファンにとっては、ちょうど私が映画「チャップリン」を見た時に感じたみたいながっかり感を与える様な映画なのかもしれません。そうなんです。事実なんて本を読めばいいんですから、ど〜だっていいんですよ(あまりに違っているのは、マズイけど^_^;)。それよりもっと、その巨匠達の内面に出来る限りつっこんで欲しかったファンはけっこう多かったのかも鴨。う〜ん何と言うか、こう“優等生的なドキュドラマ”ではなくてね…。
まぁ、日本ではポラックって、こちら程熱狂的ファンが多いわけではないので、受けはどんな感じになるのでしょう。果たして当たるんでしょうかね〜〜〜。

"The Price of Milk"
「ミルクのお値段」 - ***3/4

03/18/01 (Please see English part below)

Directed and Written by : Harry Sinclair II
Starring : Danielle Cormack, Karl Urban
Official Site :
Lot47Film

7年前は留学先にニュージーランドを考えていた私でさえ、かの国制作の映画と言えば、ジェーン=カンピオン作品(「ピアノ・レッスン」「エンジェルアット・マイテーブル」等)、かピーター=ジャクソン作品(「乙女の祈り」←ケイト=ウィンスレットのデビュー作)くらいしか頭に浮かんでこないのですが、この冬ようやっと何年ぶりかで待望の"純"ニュージーランド映画を観ることが出来ました。

お話は、ロブとの結婚を控え幸せ一杯だったルシンダが、ひょんなことでマオリ(ニュージーランドの先住民族)の老婆と出会ってからというもの、不思議なことが次々と起き、彼との関係に亀裂が生じ始めて…というストーリー。基本的にはロマンティック・コメディですが、ファンタジーもところどころに散りばめられています。
私は過去3回ニュージーランド(以下NZ)に行ったことがあるのですが、彼らが車を運転する時は裸足であるとか、ポンコツでへしゃげてズタボロの車を乗り回していることとか、食器を洗っても洗剤つけたままで乾かすとか(これはNZだけじゃないですけど)、私にとっては懐かしいNZの日常風景が次々と出てきて、それだけでもこの映画を観た甲斐は十分にありました。

NZ映画やオーストラリア映画(私がここ数年間で観たのといえば「ミュリエルの結婚」とか「ダンシング・ヒーロー」くらいのものですが)って、皆英語喋ってるし白人ばっか出てくるし、アメリカ映画やイギリス映画とどこが違うの?って感じもしますけど、なんかこう人間関係が微妙に違うんですよね。友達関係なんか素朴というか単純明快なんだけど、それでいて抜き差しならない部分もあったりなんかして。でも、基本的には皆何かどこか抜けててそこが何か好きです。あ〜、また行きたくなっちゃった。
英語に関しては私、NZに行った当時はとにかく英語力がゼロだったんですけれど、観光で行ったのではないので常に誰かが通訳してくれていたのです。しかし、ま、あんなに聞きやすい英語だったの?皆さんもご存じの通り、オーストラリア英語って凄く聞き取りにくいんですけどね(勿論それは、アメリカ英語を聞き慣れてる人にとっては…ですが)。う〜〜〜ん、お隣同士でこんなに違うとは。ちなみにオーストラリア&NZも、日本と韓国、スウエーデンとデンマークの様に昔から犬猿の仲なのだそーです。これはちょっと余談ですけれど…。

キャストについて。主役の二人は殆ど全く文句なし。ルシンダ役のダニエラ=コーマックは、ありがちな顔立ちとありがちな演技力で、圧倒的存在感とまではいかないまでも、なかなか好感の持てる女優さんでした。ロブ役のカール=アーバンは、全然ハンサムじゃないんだけど、観ているうちにもの凄く愛らしくなってくるから不思議。けっこうインパクトがあったので、彼の方が出世(?)は早いかも鴨。ちなみに何役かは分からないですが、今年公開になる「指輪物語」に出演しているそ〜です。
難を言えば、劇中に登場するマオリ族の人達がなんかファンタジーっぽく描かれていたのが不満だったかな。NZはアメリカやオーストラリアに比べると、先住民族との融和政策が先進的な国であることで有名で、私がNZに行った時もその民族間の混合ぶりに感動して帰って来たものだったのに、あれは一部のことだったということ???(私が行ったのは、北部ウエリントンとオークランドだけだったので、南部はまだまだ保守的ということなのでしょうか?)アレじゃ、ネイティブ・アメリカンをイタコかなんかのように描くハリウッド映画と同じじゃないのぉぉぉ。制作がNZフィルム・コミッションだというのに、よくこんな脚本通したなぁ、とその辺はちょっぴりがっかりもしました。

ま、何はともあれキュートでファンタスティックな映画です。相手を純粋に愛する気持ちを忘れかけてる倦怠期のカップルにぴったりという感じでしょうか(^_^;)。ハリー=シンクレア監督、これが長編第4作目だそうですが、これからの作品にもますます期待です。
最後に。劇中二人がミルクの中でふざけて泳ぐシーンがあります。私ミルクって飲み物としては好きじゃないのですが、アレ、一生に一度でいいからやってみた〜〜〜い。

What a cuty romantic comedy from New Zealand! It also includes some fantasy scenes, which I was not quite satisfied with how they lead the Maori people in this film, though.
This is about a cute couple (Rob and Lucinda), some (funny and strange- - -in fact, depicted in the same way as the Hollywood films do the Native Americans) Maori people, and 117 cows. It totally pulled me back the days when I was visiting there.

Danielle Cormack (Lucinda) was fine. She was not so extremely attracted but quite good. Karl Urban (Rob) is not good looking at all, but as you see the film, you’ll be attracted by him I bet. He’ll star in “Load of the Lings”, which open this summer. I’m so looking into seeing that film.
This is the 4th film of the director, Harry Sinclair II. Although this film was not a masterpiece or anything, I’m totally looking forward to seeing another “healing” New Zealand film in near future.

"Platform"
Zhantai
「プラットフォーム」- ****1/4
03/12/01 (Please see English part below)

Directed and Written by : Jia Zhang Ke
Starring : Hong Wei Wang, Tao Zhao, Jing Dong Liang, Tian Yi Yang, Bo Wang
A collaborate production by China, Hong Kong, France, and Japan
中国・香港・フランス・日本合作

デビュー作「一瞬の夢」(原題:小武=Xiao Wu)で、見事ベルリン映画祭の最優秀新人監督賞を受賞した、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督、待望の第2作目。「一瞬の夢」は、日本では昨年頭に一般公開されているので、ジャ監督の名前は日本ではもうおなじみかもしれません(アメリカでは未公開)。ちなみにこの「プラットフォーム」、昨年のベネチア国際映画祭では正式コンペ作品に選ばれています。
ジャ監督は、張藝謀や陳凱歌など中国第5世代の監督達の後を受け継ぐ、いわゆる第6世代の代表監督の一人(昨年日本で公開された「おかえり/過年回家」の張元監督も同じく第6世代の監督)。噂によると、ジャ監督の好きな監督は、候孝賢・小津安二郎・そしてジョン=ウーなんだとか。

お話は1970年後半文化代革命のさなか、政府から援助をもらってプロパガンダを展開していた音楽隊(?)が、文革後80年代の終わりまで中国各地を旅する"部分的"ロードムービー。ジャンルは、主要キャラ4人の10代後半から30代前半までの”青春モノ”とでもいいましょうか。
とにかく全編200分=3時間20分!長い!!!正直最初の1時間は、キャラクターがまだよく掴めないので、ちょっとツライですが、文革後はテンポが一気に盛り上がっていきました。特に中盤以降、彼等がコピーする洋楽や日本の歌の中国語版(北京語で歌う吉川晃司の「モニカ」とか)はなかなか笑えます。後、開放前の中国って皆インド映画見てたんですね(確かに社会主義国同士だもんね)。その辺のディテールもなかなか興味深かったです。

基本的にはほぼ全遍ワンシーン・ワンカットの長回し。確かに噂通り、この映画は初期の候孝賢作品を思わせるものがありました。一箇所だけ最後の方で手持ちカメラのシーンがあったんですけどね。あれはなぜだったのかなぁ。あまりはっきりとした意図が見えなかったのですけれど。
話が長いスパンで語られる辺りは「非情城市」を思わせるものがあるし、じれったい恋の擦れ違いを描くあたりは「恋々風塵」みたいな感じ。また中盤何もない荒野のシーンが出てくると、陳凱歌の「黄色い大地」?って思っちゃう様なところもあったりなんかして、確かにこの作品、80〜90年代に作られた中国・台湾のオイシイところを全て集めた様な感もあります。でも、やはりそこは第6世代の若い監督。彼なりの新しいユーモアもところどころにちりばめられていました。
例えば中国政府の「一人っ子政策」を揶揄するような"ビデオ上映会"のシーンとか(セックスと避妊について政府がこれまた何ともオカシイビデオを作って若者に見せているのです)、あんなの政府の検閲に引っかからないのでしょうか???

俳優さん達について。この「プラットフォーム」については、はっきりと知らないのですが、前作の「一瞬の夢」では殆ど全員素人を使っていたそうですから、多分この作品でも殆どの人が素人だったんじゃないかなと思います。
主人公のHong Wei Wangとにかく顔がデカイ(^_^;)。普通俳優さんっていうのは、顔の小さい人が多いですから、やっぱり素人さんだったのではないでしょうか?さすがに10代を演じていた時は無理があるなぁと思ったけど、中盤は良かったと思います。
女の子二人はね〜。やっぱり髪形とメイクで随分と化けますね〜(笑)
素人を使ってドキュメンタリー・タッチで撮るというのは、ロッセリーニ監督なんかのネオ・リアリズムとかの影響、やっぱり受けているんでしょうか?それともロシアのリアリズムとか???ロシア映画になっちゃうと、正直私はよく知らないんですけれど。

ちなみにタイトルである「プラットフォーム」は、この映画の中で何度かかかる当時流行った中国歌謡曲のタイトルから来ているのですが、彼らは鉄道というモノを見たことがないんですよね。お話の中盤、ストーリーとは何の繋がりもなく、彼等が旅の途中で列車が通る瞬間に出くわすシーンが出てきます。その時の彼等の感動、なんだかす〜〜ごく心に響いてきて、何の変哲もないシーンなんだけど何故だか泣けてしまいました。この監督、こういったど〜でもいいシーンの描き方がもの凄くいいんですよね。
最後に…。私、ラストシーン(ほんの2〜3秒なんです)の意味がよく分からなかったんですけど、この映画を観て分かる方いたら内緒で教えて下さ〜い。m(_)m

Jia Zhang Ke, who won for the best new director’s award with his first film, “Xiao Wu” at the Berlin International Film Festival 2 years ago, made his second a 200 min film (3 hours and 20 min!), “Platform”. This film was officially selected for a main competition film at the Venice International Film Festival last year and screened at the New York Film Festival last year. Now the director Ja is widely recognized as one of the best 6th generation directors in China.

The story starts from the end of 1970’s and goes through the end of 1980’s. The main characters are members of a governments propaganda band in the Cultural Revolution Era, then as China has witches to the open policy, they start traveling as a private band, which play some Western and Japanese music.
As everyone says, to see this film reminds me a lot of things from the films by Hsiao-hsien Hou or Kaige Chen, however, he is also showing a lot of humor in a very contemporary way. Meanwhile, using armature actors and shooting like documentary (although most of scenes are shot in one shot) reminds me the Italian Neo-Realism such as films by Robert Rossellini.

The title comes from a Chinese pop song, called “Platform”, which we hear a couple of times in this film. In fact, those characters had never seen a real train, and there is a scene when they see a train goes by for the first time in their life. For some reason, the scene made me cry, although I have no idea what was the reason. This director, I think, anyhow genius to make a meaningless scene be so memorable. You might have to be in patient in the first half of this film, but the second half… don’t worry about to fall asleep.
At last, to be honest, I didn’t quite understand what was the last shot (only 2~3 seconds) mean. If you can explain what it is, let me know that please(^_^;).

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