*** Just Watched 55 - 最近観た映画 55 ***

評価の満点は5つ星です。 .

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『グエムル』など
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<<グエムル ****1/2>>

Sep 02, 06 有楽町スカラ座、Sep 18, 06 TOHOシネマズ府中にて

東京国際映画祭:アジアの風部門クロージング作品として『殺人の追憶』を観てから早3年。待って待って待ちに待った待望の新作!!!思わず初日の舞台挨拶に駆けつけてしまいました〜。で、この感想を書いている時は、すでに2回目を観た後です(^^;)

う〜ん、2回目を観た後の率直な感想としては、「期待大きすぎ?」。『殺人の追憶』を観た時は、劇場で3回目を観ても「観れば観るほど・・・」と改めてその出来のよさに唸ってしまったモノですが、この作品はな〜。なんか"オチ"が全て分かってしまうと、迫力的にはもの足りなささえ感じてしまいました、正直なところ。I カントクも言ってたけど、"怪獣映画"のカタルシスを求めて行ったら、ちょっと拍子抜けしてしまうかも。普段観ている映画と比べたら500%くらい好きだしよく出来てると思うんですけど、ポン監督の待望の最新作とゆ〜だけで、期待度1000%なのでね(^^;)

まぁ、この作品については日本でもあらゆるメディアで語られまくっているので、例えばあの負け犬一家の奮闘ぶりの素晴らしさや、駐韓米軍批判などについては、ここであらためて書くまでもないでしょう。それよりも、今回私がこの映画を観て「嗚呼、ポン・ジュノっぽいなぁ〜」と思った部分のキーワードは"ウィルス(=感染する都会の狂気)とそれを寄せ付けぬ愛すべきアウトサイダー達"です。ポン監督は、『殺人・・・』の後に、『インフルエンザ(@三人三色)』と『シンク&ライズ(@20のアイデンティティー)』という二つのオムニバス短編を監督しました。前者では、漢江に設置された監視カメラに始まり、ソウル中の監視カメラを通して現代人の狂気を映し出し、後者では『グエムル』と全く同じ漢江脇の売店とそこを訪れる浮浪者親子が有り得ないラストに至ってゆくまでを実に愛着を持って展開させてゆきます。この2作品から『グエムル』を観ると、ポン監督が漢江を通して普段からいかにこれらのことを日常的に考えているのかがよく分かるのですが、例えば、怪物がホスト(=ウィルスの宿主)で、その感染の症状が風邪に似ているというニュースが流れた途端、風邪っぽい症状のヒトが出した痰を人々が滑稽な様でよけるというくだりは、まさにポン監督の描くブラックユーモアの世界そのものです。

話は飛びますが、政府が"ウィルス""ウィルス"と行って、漢江近辺を危険立入禁止区域へ指定したにも関わらず、ヒョンソの家族、浮浪者、運動家達がいとも容易く入り込んでゆくことについて、「有り得ない」という意見も周りにはちょこっとありました。しかしそれこそが"ウィルス"という社会的縛りからはみ出たアウトサイダー達の逞しさをあらわしていると思うし、また実際リアルなことでもあるんですよね。
電気もない下水溝に忍びこんでさまよう家族の姿を見ているうち、911直後の細菌兵器騒動が起きていた頃、ワールドトレードセンターのはす向かいのビルに住んでいた友人の弟が部屋に取り残された飼い猫(彼らの出勤中に事件が起きたので、猫を連れ出すことが出来なかった)を助け出す為、その立入禁止区域に侵入し、電気が通らず真っ暗でエレベーターも動いていない(しかも崩壊する危険性すらある)ビルの階段をたった1人で38階まで昇り、猫を助けた話を思い出しました。"一大事"が起きると、恐怖心から集団狂気は肥大化し、それを利用して一部の人々が社会の締め付けに入る・・・けれど、その枠からはみ出た(無視した?)人達こそが真の勇気あるヒーロー足りえる・・・"ウィルス"という縛りをキーワードにして、ポン監督はそんなことをさりげなく訴えているのかなと思いました。

火炎瓶が活躍するのも、私的にはツボでしたね。そうそう、銃じゃなくて火炎瓶なんだよアーチェリーなんだよ棍棒なんだよ・・・(^^;)そのあたり、まだ10数年前まで火炎瓶が大活躍してた韓国で、この映画がウケるのはアリなんでしょ〜ね。火炎瓶の存在が30年以上前の過去の遺物になってしまった日本では、なかなかあのラストにピンと来る世代がね〜。2回目はシネコンで観たのに、20代以下のお客さんが一人もいなかったです〜(^^;)

<<ピーターパンの公式 ***1/2>>

Sep 02, 06 アジア海洋映画祭にて

キム・ギドクの助監やってた監督ですっご〜く暗い話だって聞いていたので、観た後にもの凄く落ち込むよ〜な映画を想像していたのですが、なんだか広がりのある監督なんだな〜と。まるで"閉じたモノ"を感じませんでした。そう、ちょうど李相日監督の長編デビュー作『BORDERLINE』を観た時と同じような印象。アレもめちゃめちゃ暗〜〜〜い話なんだけど、なんか"閉じてない"気がしたし、"ひとりよがり"ではない監督の人間性が十二分に伝わってた。監督の未来に期待します。あと、オン・ジュワンもさいこ〜だね〜〜〜(^o^)

<<時をかける少女 ****>>

Sep 01, 06 テアトル新宿にて

いや〜、この夏まるでノーマークだったこの映画、突然数人の(しかも全くアニメとか興味のない意外な)人達から立て続けに口コミをされ、観に行ってみたらこれが立ち見の大盛況!(私はお座布団に座ってみました〜)
いやはや口コミってのはバカに出来ないモンです。・・・にしても面白かった!脚本がよく書けているので、観ていてコレがアニメだという意識をまったく感じさせないんですよね。ラストとか久々にアニメで泣かされたしな〜。不思議なモンで、子供の時は2次元の世界の主人公達に一喜一憂出来てたのに、オトナになってからというもの(マンガに泣かされることはあっても)アニメに泣かされるってことがなくなっちゃってたんですよね。うん、けど劇場でも相当数のお客さんが泣いてたな〜(夜の回なんで勿論オトナばっかし)。
・・・で、帰ったその日に20年前の大林版をそれこそ20年ぶりに観ました。アニメ版は、あれから20年がたった現代版なので"タイムリープ"と"三角関係"という2つのキーワード以外は全くの別物なのですが、う〜ん、やっぱ大林版もそれなりによいっすね。あのクサさを今やったら眼も当てられないと思うけど(恋愛の部分なんか殆どもぉオママゴトに見える)、過去のモノとして見ればノスタルジックな味があるし。ま、どちらも同じ短編小説をもとにしてここまで想像力を広げることが出来るとゆ〜幸福な例でありました。

『ハッスル&フロウ』『ユナイテッド93』など
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  <<ハッスル&フロウ ****>>

Aug 30, 06 テアトルタイムズスクエアにて

いや〜、久々に血沸き肉踊って泣いて即効サントラを購入しました。3日くらいもぉ、頭の中主題歌だらけ。軽く100回以上は聴きましたね〜。
映画作りそのものとしては、けっこうちゃちくて(わざと70年代ブラック・エクスプロイテーション・ムービーみたいにしてる気もあるけど)、ヒトにおススメできる出来ではないです。脚本もいたってオーソドックスだし。
・・・にしても、テレンス・ハワードのおやじぶりが最高!あのランニングシャツにどっぷり出たお腹でラップっちゃうのがたまらんのです〜。身篭った彼女がまるで美人でないのもわざとなのか、彼女が歌手なのか・・・でもって、卵パックを貼り付けたスタジオで一つの音楽が生まれていく様は、ゾクゾクさえしてしまいました。

私ってば基本、あまり音楽映画は観ないしあまりピンとこない性質なのですが、自分にとってはこの映画こそが「コレぞ音楽映画!」の1本になりました。

  <<ゲド戦記 **>>

Aug 26, 06 TOHOシネマズ錦糸町にて

ん〜、まぁ、期待値めちゃめちゃ低くして観に行ったのでダメージも少なかったものの、噂通り"ジブリ切り貼りえ〜が"でしたね。とにかくコレまでのジブリペーソスを切って貼っててきと〜に繋げて・・・みたいな。絵コンテを観た時ぎょっとしましたが、息子氏の絵、ほんとお父〜さんそっくりなんっすよ。おそらく世界で一番のジブリファンなのでしょ〜ね、彼こそが。"ファン"であるうちはあくまでも模倣でしかないわけで、彼の彼自身のオリジナリティーが生まれない限り本当の後継者にはなれないのだと思います。続編・・・作るの???

  <<THE有頂天ホテル ***>>

Aug 24, 06 飯田橋ギンレイホールにて

確かによく出来ていて2時間半の長丁場をほとんど飽きさせないんだけど、個人的に三谷作品って入り込めないんですよね〜。佐藤浩市と篠原涼子は旬の俳優感が出ていたのに、オダジョーはいまイチだったなぁ・・・

  <<プラハ!***>>

Aug 23, 06 下高井戸シネマにて

ライズあたりでめちゃめちゃ宣伝費をかけ、レトロ&オシャレな映画として売り出すにはちょっと力不足感のある映画。私的にはチェコやプラハの春に多分に思い入れがあるので個人的不満はないですが、"プラハの春"を全く知らない世代には最後の展開がよく分からなかったのでは???お茶目感も、あと一息はっちゃけていれば、クリエイターの個性に繋がったと思うのですが・・・

  <<愛してる、マルスンさん ***>>

Aug 19, 06 シネマコリア@イイノホールにて

よい映画でよく出来ているとは思うのですが、全く好みではなかったです、残念ながら。私ってば、つくづくこ〜ゆ〜"お涙ちょうだい系"の映画苦手なんだなぁ、とむしろ実感。今回のシネマコリアでは、『拍手する前に去れ』とか『ケンカの法則』とかあ〜ゆ〜男気系の方を観たかったのですが、どうもタイミングが合わず・・・(^^;)
『大統領の理髪師』に続いてまたも親子を演じたムン・ソリとイ・ジェウン(『グエムル』にも出てた〜♪)の息はぴったり。『初恋のアルバム』別バージョンとも言える、監督の母親賛歌も筋金入りでござります。ところで、なんでこのタイトル『愛してる、マルスンさん(母親の名前)』なんでしょ?原作を読めばその意味が分かるのかな???

  <<寝ずの番 ***>>

Aug 13, 06 下高井戸シネマにて

マキノ雅彦監督、渾身のデビュー作。気合の入り過ぎた突拍子もないショットは気になったものの、さすがの人脈でキャスティングは豪華。シニア層の喜びそうなツボを全て抑えたシルバーエンターティメント(?)に仕上がっておりました。シニアでない中島らもの原作と比べてみたい。

  <<ユナイテッド93 ***1/2>>

Aug 12, 06 ユナイテッドシネマとしまえんにて

はい、よく出来てます。映画として。実際にあった出来事の断片をドキュメンタリー風に繋げる、その力量は相当なものだと思います。特に、二つのビルに飛行機が撃墜してからもまだペンタゴンへの撃墜を人々が容易に信じられなかったこと。今でこそ、この時これが起きてああして、こうなって、という全貌が見えていますが、当時はもぉ何が起こっているのか分からず、"いい方"にも"悪い方"にも極端に考えてしまってたんですよね。「行方不明中の飛行機はまだ14機ある」とか「明日にでも戦争に突入する」・・・とか。

あたり前のことかもしれませんが、実は渦中にいるヒトが一番何も見えていないというコトが多々あります。WTCから歩いてすぐの所にいた私より、ユナイテッド93に乗っていた乗客達より、実際ものごとがよく見えていたのは当時海を隔てていた外の国の人たちだったのではないでしょうか?

それにしてもな〜、やっぱりハリウッドは誰かを英雄扱いしなけりゃ気がすまんのね〜。あと、ラストで「空軍がハイジャックの事実を知ったのは墜落の後だった」なんて言い訳くっつけてたのは、かえって空々しかった。もし仮にその事実を確認出来てなかったとしても、軍だったら撃墜命令くらい出すでしょう。"米軍撃墜疑惑"は、まるで払拭されてはいませんよぉぉぉ。

『水の花』『デスノート前編』など
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<<水の花 ***1/2>>

Aug 05, 06 ユーロスペースにて

去年のぴあフェスでの評判を聞いてから、そりゃ〜もぉず〜っと観たかった映画でした。う〜ん、二者択一で言うと1”好き”な映画。けど、だからこそ”残念な”映画でもありました。ストーリーの発想とか少女達のテンションとか、私の好みの要素は山ほどあるのに、な〜んか自主映画制作の”甘え臭”がプンプン漂ってる。残念だ〜。

大好きな田中哲司、黒沢あすか、津田寛治の3人の演技がまるで生きていなかったのもね〜。長編第1作目とは言え、プロの俳優さんを使いこなせないのは先が思いやられます(同じ土俵に立っていた『BORDERLINE』『バーバー吉野』『運命じゃない人』みんなプロの役者さん達をきっちり使いこなしていましたからね〜)。そこんとこ、2作目頑張って下さいね〜。

<<ラブコン ***>>

Aug 02, 06 Q-AXシネマにて

マンガ原作映画の三連ちゃん、これは後にも先にも原作を読んでません(^^;)。いや〜、にしても主人公のあの二人はまるでマンガ世界の中のフィギュアだね〜、もぉ。まるで人間味がないので、演技も何もなく、ただ”アニメ”のよ〜に観ることをオススメします。鈴木おさむ氏の脚本にもさほど斬新さはなかったものの、まぁ脇キャラには楽しめたし、最初からアニメゲーム感覚で観れば面白い映画でござります。

<<ハチミツとクローバー ***>>

Jul 29, 06 平和島シネマサンシャインにて

↓の例があったので、先に映画観て後で原作読みました。う〜ん、原作ファンはそ〜と〜はぐちゃんのキャラに違和感持ってるんじゃない?あれはもぉ、別モンだよね。森田とセンセのキャラはけっこういい味出してると思いますが・・・にしても堺雅人はいつでも何の役でも皆同じだ〜(好きだけど)。関めぐみはすごいね〜。あの瞳といい、体型といい、もろに少女マンガのキャラクターだぁ。加勢亮も意外なキャスティングだけど、合ってたぞぉ。

<<デスノート 前編 ***>>

Jul 22, 06 シネパレスにて

う〜ん、先に原作に嵌まってしまったので、かなりキビシかったです。キャスティングについては、観る前に全員知っていたので違和感はありませんでしたが、あの世界観とゆ〜か、原作の持つ閉塞感がね〜。金子監督はやっぱ職業監督なので、ストーリーはきっちり追っているし、映画版だけのラストエピソードもうまく作ってはあるんだけど、あれじゃ〜各キャラ(特にライトとエル)の、他にはない独特な味がまるで出ていなかったっす。後編は観るのやめよ〜っと。

『私たち』『ゆれる』など
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<<私たち ****1/2>>

Jul 22, 06 港区区民センターにて

いや〜、待った待った・・・ほとんど1年待っちゃいましたよぉ〜。昨年の東京国際映画祭で締め切りも過ぎてから滑り込みセーフでコンペティションにエントリーされたこの作品。アジア映画好きの中では一番の話題作でしたが、とにかくプリントの到着が直前だったのでテープ素材もなく、映画祭期間中劇場で観ることの出来なかったスタッフ一同は、いまの今まで待つしかなかったんですよね(^_^;)。

内容は、小生意気な大学生と彼女に部屋を貸す老婆の触れ合いを描いた四季の移り変わり。コレだけ書くと、どんなにオーソドックスでゆったりとした(コレまでのアジア映画に多かった)王道映画と思いきや、噂通り"新しい"!その感覚、撮り方、そしてそのテンポ。独特ですね〜。現在2作目を撮影中だとゆ〜馬カントク。次回作が待ちきれません〜〜〜

<<ゆれる ****1/2>>

Jul 19, 06 新宿武蔵野館にて

日本映画に関するライターさんで私が一番信頼を置いているヒトに「腰を抜かした」とまで言わしめたこの映画、私の感想は「なんて挑戦的な映画!」。もぉ、女性カントクの感性がどうとか、役者がどうとか、そんな瑣末なことをグダグダ言うのも恥ずかしくなって来るよ〜な作品でした。ホント、喧嘩売ってるよなぁ〜(^_^;)。ただし、決して嫌味な感じではないんですよね。う〜ん、不思議なえ〜がだ。

ストーリーの大体は知っていたし、一応"想定内"の枠の中に納まった。キャストも、セットもロケーションも、全てが"上出来"で、ともすれば、「よく出来た映画だね〜」で、1年もすれば邦画ベスト10の中に納まって次の年には忘れ去られてしまうような可能性を十二分に持っているその映画。・・・でも、そこに何かプラスαがあった。衝撃の大傑作でもないし、新しくもなければ、好みの映画でも全くない。カンドーも全くしなかったし、ショックすら受けなかった。それが何なのかは分からないけれど、何かが残った。嗚呼そ〜だ、2年前にもこんな気持ちを味わったコトがある。『誰も知らない』を観た時に。タイプは似ても似つかない二つの作品、二つの監督だけど、そこにやっぱり「何か」はあるよ〜な気がします。『誰も知らない』を観た1ヵ月後、あらためてしみじみとあの作品を噛み締めることが出来たよ〜に、この映画も時が経つほどに、しみじみと受け止めることが出来るのだろ〜か???

<<プロデューサーズ ***>>

Jul 17, 06 下高井戸シネマにて

私にとっては、セプテンバー11の思い出と共にあるこの作品=アメリカ社会の皮肉さと1セットであるこの作品、う〜〜〜ん、まるで冷静に見ることは出来なかったです。良くも悪くもアメリカ社会の全てが詰まっとりますな〜〜〜。ただ、"映画として"ど〜なんでしょ?この作品???

私の場合、ミュージカル版を見てしまったが為に、「嗚呼、そうそうこの台詞!!!」とか「嗚呼、そうそうこの場面!」とか、純粋に映画の1シーンとして観る事が出来ないのですが、”多分”映画としては失敗作のよ〜な気がします。もったいないですね〜〜〜。ミュージカルとしては、これ程よく出来た作品は今後暫くあらわれないでしょうに・・・

<<チーズとうじ虫 ****>>

Jul 16, 06 ポレポレ東中野にて

まぁ、ドキュメンタリーってモンはフィクション映画にも増して"神がかり"なモノなんですなぁ〜と改めて実感。そりゃぁ、脚本=設計図がなく、相手が"ナマモノ"なわけだからどう転ぶのかは分からない。この映画の場合、母親が癌であることを知ったのがキッカケで撮影を始めているので、作品の終わりに彼女の"死"があるのは自明のこと。けれど、結果的にこのドキュメンタリーは、母親と(映画の完成後に亡くなった)祖母の"生"を描くこととなったのですね。強い"演出意図"の表れた・・・タイトルの『チーズとうじ虫』に繋がる・・・そのラストシーンが言わんとしていることは"死"ではなくまさに"生"なわけで。たまったま母親の最後のショットとなったシーンにたまったまTVでやってた『威風堂々』がかかっているのも、何か私には神がかり的なモノを感じてしまいました。ま〜こ〜ゆ〜のは皆、観る側の"思い込み"でもあるわけで、何を持ってドキュメンタリーを解釈するかって〜のはそ〜と〜主観的なんですけどね(^_^;)。

<<ダ・ヴィンチ コード ***>>

Jul 15, 06 TOHOシネマズ錦糸町にて

な〜んか、あまりにも悪い前評判ばっか聞いていたので「思ったより悪くないじゃん(^^;)」とゆ〜のが素直な感想でした。最後の方、一瞬だけど泣かされたしな〜。ま、原作本も上巻の半分で挫折して、キャラ達のイメージもこびりついてなかったし、何たってこの映画を観るだけの為にこの前ルーブルにもう一度行って来たので愛着もあったし・・・長い割には退屈しませんでしたが、オチはけっこ〜想定内でしたね。自分はつくづく無神論者なのだと改めて実感してしまいました(^^;)

<<M:I:III ***>>

Jul 01, 06 渋東シネタワーにて

う〜ん、期待度300%でが〜っかりしたPart2に比べれば、まるっきり期待してなかった分だけがっかり度も低かったけど、な〜んか「こんなモン?」って感じですよね〜?大好きなフィリップ・シーモア・ホフマンは、まるでフツーの悪役だったし(彼ならもっともっとコワい悪役が出来たのに〜)、一番期待してた上海での撮影も別に上海でなくてよかったみたいな中途半端なモノだったしなぁ・・・けど、ま、あの感じだとPart4作るんでしょ〜ね。で、また観ちゃうんだろ〜なぁ〜〜〜

『間宮兄弟』『初恋』など
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<<間宮兄弟 ****>>

June 17, 06 恵比寿ガーデンシネマにて

ココんとこ1ヶ月毎週邦画を観て来ましたが、さすがベテラン。やっぱよく出来てますね〜。森田カントクって一体何歳になったのでしょうか?なんでこ〜、イマドキの若者の“ゆるさ”がここまで分かるんだろ〜か???コレは完璧に口コミ映画ですね〜。ホント、よく出来てる。

特に、ここんとこ割と若い監督の作品ばかりを観続けていたので「さすがベテラン」とゆ〜か、邦画70〜80年代のどっしりした画作りがなんか懐かしかったです。90年代以降に出てきた監督さんのえ〜がって、例えばすんごい引きのロングかめっちゃアップのどっちかばっかりで、ミドルショットってのが意外とないんですよね。
この『間宮』は、内容からしてわざとだったのかもしれないけど、腰からの上の安定感のあるミドルショットがやたらと多かった。この話、下手に若手の監督が作ってたらアップショットばっかしで絶対“2時間TVドラマ”的映画になっちゃってたと思うんですよね〜。いやはや、まずは企画勝ちのえ〜がだったとゆ〜コトで。監督&脚本の起用もそうだけど、キャスティングの妙もかなりあったんじゃないでせうか。
内容はけっこ〜あり得ないモノなのに、何処にでも隣にもひょこんといそ〜なあの二人がやってるのがい〜んだよね。
・・・にしても、劇場で間宮カレーやコーヒー牛乳が売れるって〜のもスゴイ。コレはもぉ、デートイベントのノリなんでしょぉ〜ね(^_^;)。

<<初恋 ***>>

June 10, 06 ワーナーマイカルシネマズ板橋にて

う〜ん、好きか嫌いかの二者択一で言えば好きな映画です。けど、ヒトには薦めないな〜。この作品の観客って多分、”60年代を懐かしむシニア(?)世代”か”タイトルに魅かれてやってくる若いカップル”のどっちかだと思うんだけど、どっちの期待も裏切ってるもんな〜。

まず、前者に関して言えば、60年代的背景を描いた部分が少なすぎる。多少セットを凝ってみたり、安保闘争の部分もちょっぴり出て来るんだけど、ほんの申し訳程度だったし、やっぱ『三丁目の夕日』を観た後じゃ、中途半端はキツイよね(^_^;)
まぁ、監督がその頃を実体験していない世代なのでそこは仕方ないにせよ、やっぱ“核”となる恋愛がまるで恋愛にまで至ってなってないのにはオドロいた〜。「いつ?」「まだ?」と思っているうちに映画終わっちゃいましたよ(^_^;)だって、あれじゃまるで世紀の事件の決定的な動機付けになってないぢゃないのぉ〜〜〜
っていうか、やっぱ一番観たかったのは“あの頃のピュアな恋愛”だったのになぁ〜。とぉ〜っても興味ある題材なだけに、全く残念でありました。あれだけの要素(主演の二人も好きだし、ネタも他にはないレアものばかりなんだから)を持ってたら、もっと面白い映画なり得てたと思うよ〜。でも、ま、作品全体としては実はけっこう好きでした。監督の次回作に期待だね〜

<<花よりもなほ ***1/2>>

June 03, 06 品川プリンスシネマにて

体裁は時代劇ですが、良くも悪くも”是枝映画”なんですね〜。前・中盤は、監督の持つ人情観がよく滲み出ていて、けっこう素直に泣けちゃったりするのですが、ラストの方では、テーマが先に立っちゃって残念ながら興冷めの私でした。
なんつーか、テーマには賛同するんだけど、右脳じゃなく左脳で訴えてるのがもったいなかった。心情的な優しさも、知的で文学的な部分も、両方是枝調だと思うんですけどね〜。

『嫌われ松子の一生』『RENT』など
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<<嫌われ松子の一生****1/2>>

May 28, 06 TOHOシネマズ錦糸町にて

いや〜、噂通りおなか一杯の映画です。濃すぎる・・・少なくともあと2回は劇場で観ないと消化出来ないかもしれません。『下妻』ファンの間では、賛否両論もあったよ〜ですが、私は概ね肯定的な意見です。まぁ、もっと笑い一杯の映画かと思っていたらかなりの号泣モノなので面喰らっちゃったんですけどね。

女の一代記モノとしては、『にっぽん昆虫記』21世紀版とでもいいましょうか。ハデな映像のわりには、その根底に流れているモノは”にっぽん演歌の世界”、表層的には”ワイドショー”だったり”サスペンス劇場”の世界だったりするのです。事象だけみればそれこそ朝のニュースで報じられそうな人生を生きた松子が、ことあるごとにTVのニュースを他人事のように見ているのが面白かったです。
・・・にしても↓『愛より強く』といい、この歳になって人生の紆余曲折を描くえ〜がを見せられると、響くなぁ。その映画がリアルかどうか感じるのって、そのまま受け手の人生を鏡に映しているよ〜なモンですからねぇ。それにしても濃い・・・原作読んでからまた観てみよ〜かと思います。

<<愛より強く****1/2>>

May 27, 06 シアターN渋谷にて

う〜ん、久々にハードボイルドな恋愛映画と観ましたよ。ココんとこ『(観てないけど)間宮』とか『かもめ』とか『ブロークン・フラワーズ』とか、「ゆる〜い、たる〜い映画」のヒットにムカつき、純愛映画だらけの邦画&韓流映画に辟易としていた私にとって、こ〜したハードなささくれだった映画の存在にはホッっとさせられます。
観る前に思い描いていた通りの映画で、思い描いていた通りの終わり方をしたので、何も新しさは感じなかったけど、ファティ・アキンって意外と王道映画を作る人なんだなぁ・・・と。それにしてもヒロインはサラ・ジェシカ・パーカーにそっくりでしたぁ(^_^;)。

<<かもめ食堂***1/2>>

May 26, 06 新宿武蔵野館にて

個人的には、北欧が舞台ということでずっと楽しみにしてた映画だったのですが、この意外なる大ヒットロングランにより、そ〜と〜熱が醒めてしまいました。
うん、よく出来てるし、うまくツボが押さえてある。ヒットの条件が全て揃っているのですね。お洒落なインテリアとか日本かぶれのカワイイ白人ボーイとか、脱力系でいまだにガーリィな三人熟女(?)とか・・・。その割にはアル中オバサンのエピソードもちんけだったし、はっきり言って実のない雰囲気だけの映画なんだよなぁ。まぁ、そ〜ゆ〜のがこの世に存在するのは別にいいんですけどね。そんなのばかりがヒットするとハードコアな映画おたくとしては、なんかムカついちゃったりなんかして・・・(^_^;)。

<<ブロークン・フラワーズ***1/2>>

May 20, 06 新宿武蔵野館にて

観る前に思ってたと〜りの映画でした。ゆる〜くって、音楽がよくって、たるさが心地よくって、すべてが謎のまま終わる・・・。映画作りとしては成熟した感のあるジャームッシュですが、それがちょっと年寄りっぽくって・・・。
けど、ラストでマーク・ウェーバーが出て来たのはほんっとに嬉しかった。彼とビル・マーレイのくだりは、今の若者とジャームッシュの対話だったのでせうか???

<<ナルニア国物語 〜ライオンと魔女**1/2>>

May 04, 06 グランパーク東宝8にて

な・・・長い。おそらく原作に相当忠実に作ったのでしょうけれど、それがかえって表面的な出来と映ってしまいました。お話やキャラに深みがない・・・というかね。でも、まぁ相変わらずティルダ・スウィントンはいいし、子役も皆よかったし、VFXの迫力も大画面ならでは。やっぱり劇場で観てよかったです。

<<RENT****1/2>>

May 03, 06 Bunkamuraル・シネマにて

いやもぉ号泣ですぅ。私にとっては、90年代NYノスタルジァの最たる作品。この作品を生み出したジョナサン・ラーソンがプレビュー初演の前夜に亡くなってしまったというニュースを聞いたことは今でもくっきりと覚えています。
それからもう10年あまりの日々が過ぎてしまったのですね〜。NYではエイズの恐怖からテロの恐怖へ。劇中に登場するポケベルは携帯電話へと変貌し、いまやネットやメールなしでは考えられないほど若者の生活は変貌を遂げてしまったわけで、この映画の背景はよく言えばノスタルジー、悪く言えば時代遅れとなるのです。ナツメロカラオケじゃないけれど、この時代にどうリンクしてたかで、作品の評価はかなり分かれると思います。私の場合、時代だけじゃなく、この時期・舞台であるNYに住んでいたので、その思い入れはハンパじゃなく、贔屓目500%くらいで観ているのでその辺りはご容赦を。

冒頭のテーマソングがかかっただけで泣けてきてしまう私ですが、続くイーストビレッジにおけるRENTの合唱は圧巻。さすがに舞台ではあんなに大胆に火気を使う事は出来ません(^_^;)そしてのべつまくなしに続く名曲の数々。舞台版の2枚組CDを何十回と聞きまくったわたしにはもぉたまりません・・・
にしても、こうして観ると、『シカゴ』なんかに比べRENTって改めて台詞なしで(=歌だけで)延々と繋がってたんだな〜と実感。後半まで殆ど台詞なかったですもん(^_^;)で、どれも名曲。台詞も今回はじめて日本語訳を観て「こんなに気のきいた、ひねった台詞いっぱいだったんだ〜」って気付いたし(^_^;)Jラーソンが生きていれば、それこそ”NYミュージカル”というニュージャンルを築いていたでしょうにね(90年代当時、ブロードウェイはロンドンを拠点とするアンドリュー・ロイド・ウェーバー作のミュージカルとLAから流れてくるディズニー・ミュージカルに席巻されており、NY発のミュージカルというのは殆どなかったのでした)。嗚呼、デビュー作の『チック・チック・ブーン』も早く観たい〜〜〜

<<心の杖として鏡として**>>

Apr 29, 06 下高井戸シネマにて

今年の下高映画祭最後を飾るドキュメンタリー。登場人物ひとり一人はよかったし、あの病院のお見舞いシーンはやっぱり泣けてしまったけれど、ドキュメンタリー映画としてはいま一つ突っ込みが足りないとゆ〜か焦点がぼやけてた気がしました。

<<クライング・フィスト****1/2>>

Apr 23, 06 新宿武蔵野館にて

ひっさびさに涙でぐちゃぐちゃになりました。嗚呼〜男の王道映画だぁぁぁ。『パイラン』とい〜、“ダメ男”を演じさせたら、チェ・ミンシクの右に出る人はいませんね〜。二人の主人公を平行に描いているのは画期的だったけれど、結局はオーソドックスにまとまっていて・・・去年の『シンデレラマン』もそうだったけど、私って実際の格闘技(?)にはまるで興味がないのに、この手の映画に弱いんですよね。バックグラウンドがしみったれてて演歌的だからなのかな???

<<僕らのバレエ教室***>>

Apr 15, 06 CINEMART六本木にて

あまりにも疲れていたので、半分以上寝てました(^_^;)。なんか韓国版"Shall We Dance?"って感じで微笑ましかったです。ピに似てる主演の男の子がい〜っすね。

『春が来れば』『ちゃんこ』など
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 <<春が来れば ****>> 

Apr 09, 06 シネマスクエアとうきゅうにて

一昨年の東京国際映画祭 アジアの風部門グランプリ作品。けど、縁がなくてどうしても観られないままでいました。

観る前に予想した通りの音楽映画でしたね〜。古臭いし、ダサいし、新しい所は何もなかった。けれど、そういう映画こそが、「いま一番観たい映画」だったので、大大満足。
この監督は、ほぼ間違いなく10年前に作られたイギリス映画『ブラス!』を観ているのだと思います。希望を失った元エリートが錆びれた炭鉱街の吹奏楽部にやってきてコンクールを目指す、という設定自体がまるで同じなのですが、彼らが炭鉱労働者に”威風堂々”を演奏する所ではいきなり「やられた〜〜〜」と思わずにはいられなかった。言うまでもなく『ブラス!』のラストで主人公達が演奏するのは、この”威風堂々”。つくづく労働者とこの曲はよく似合うと痛感してしまいます。高校の吹奏楽部でこの曲を演奏していた頃は、ただの貴族楽曲くらいにしか思っていなかったのに、今の私にとってこの歌は、”人間の尊厳”テーマ曲になってしまった感がありますね。

↓に書いた通り、やはりこの映画も“ズルい”音楽映画ではあるのですが、『ちゃんこ』同様、ジャンル映画のカタルシスをうまい具合に避けています。そのカタルシスを期待して観に行く人達にとっては、甚だもの足りない映画だろうとは思いますが・・・
恋愛モノ・学園モノ・家族モノのエッセンスまで詰め込み過ぎて作品の尺が長くなってしまった事に文句を付ける輩も多いでしょう。けどまぁ、私としては、どれもかなりうまく描かれていたと思うので、逆に「この新人監督、この先どんなジャンルの映画でも作っていけるんだろうなぁ」と感心したくらい。それにしても、ますます出っ腹おやじに磨きのかかったチェ・ミンシクは、韓国のJ・ドパルデューとなっていくのでしょうか???

 <<ちゃんこ ***>>  

Apr 02, 06 新宿トーアにて

しつこいくらいに何度も言ったり書いたりしていますが、私は以下5種類のジャンル映画(1.音楽映画 2.動物映画 3.子供映画 4.社会派.政治.福祉映画 そして5.スポーツ映画)を観る時は、いつも“ズルイよ”という先入観で観てしまいます。それらには、各ジャンルのカタルシスがあって、映画作りそのもの(演出だとか脚本だとか)が作品から見え憎くなってしまうから。だからと言って私はこれらのジャンル映画を邪道だと言っているわけではありません。ただ普段私が好んで観る映画とは違うというだけのことでして・・・

前置きが長くなってしまいましたが、 言うまでもなくこの映画はスポーツ映画であり、私が普段敬遠するジャンルではあるのですが、とにかくこの映画についての噂を去年の夏くらいから聞いていて、ずっと気になっていたことと(それこそT映画祭の邦画候補にしたかった)、先週立て続けに会った面々が皆この映画を観ていたので、何だかも〜観たくて観たくてしようがなくなっってしまったのです(^^;)

・・・で、映画的にどうだったのかと言えば、演出・脚本その他はお世辞にも素晴らしいとは言えません。特に脚本に関して言えば、何だかアマチュア脚本コンクールの佳作あたりの作品を読んでいるみたいでつらくさえなったくらい・・・かと言って、スポーツ映画お約束の“勝ち負け”のカタルシスもない・・・いや、そこはわざとすっとばしているような感さえあるのです。けれど、けれど、けれど・・・好きだったなぁこの映画。もぉ理屈じゃないんですよね。何度も涙が出て来ちゃったんだけど、別に感動する場面でもなかったりして。なんだろ〜、一言で言えば“ひたむきさ”の映画なんだよね。そういった意味では、同じ大学相撲部を舞台にした”シコふんじゃった”とは対局をなしている作品だと思う。相撲って、一見派手で特殊に見えるけど、実は地味でこつこつ自分と向き合っていかなくちゃならないスポーツなわけで。そのあたりが丹念に描かれている所がよかったです。

あと、個人的には去年旅行した広島と尾道が舞台だったとゆ〜のもキモ。もひとつおまけに、渡部篤郎にめっちゃめちゃ筋肉がついててびっくりした〜(>_<)

 <<好きだ、***>>  

Mar 26, 06 アミューズCQNにて

去年の新モントリオール映画祭でグランプリを取ってからず〜っと観たかったこの作品。主演の4人は皆大好きな役者だけど、それがかえって最近の日本映画に”ありがちな”作風になっていやしないかと一抹の不安も。

その不安は半分的中し、半分はよい意味で裏切られた感じ。まぁ、とっぴょ〜しもない新しい日本映画という程ではないのですが、細かい、ささやかなところに小さな監督の個性がぽちぽつと見える。空のモンタージュとか、女性の横顔とか。あと、17歳バージョンも34歳バージョンも、描かれていることはこれまでのドラマや劇映画からして何の目新しさもないのに、妙にリアリティがあった感じ。台詞の少なさとか、2人をわざとツーショットから逸らせているあたりとか。

『tokyo sora.』は未見の私ですが、まぁ・・・3作目に期待します。

『ブロークバック・マウンテン』など
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<<ランド・オブ・プレンティ ****>>
 

Mar 14, 06 下高井戸シネマにて

『クラッシュ』と同じく、911後のアメリカをテーマにした映画は数あれど、これは意外に”当たり”の作品でした。叔父役のベトナム戦争に絡むくだりや彼女の生い立ち、ストーリー展開やオチ、ラストシーン等は正直言って”ダサイ”の一言に尽きるし、主人公2人がアメリカ人という設定であるにもかかわらず、観ていて「あ〜やっぱりヴェンダースって全然アメリカ人じゃない(=アメリカ人を描けない)のね〜」とか思ってしまうのですが、やはり”アメリカ人”じゃない私には、アメリカ人じゃないがゆえの、アメリカに対する歯痒さを伴う切実な祈りみたいなモンが痛いほどよく分かるんですよね〜。

その辺り、やはりアメリカ生まれではないポール・ハギスの祈りとヴェンダースの想いは基本的には同じだと思うのですが、アメリカ人生活とゆ〜日常のリアリティレベル”だけ”が、アメリカにおける『クラッシュ』とこの作品との評価を分けたのではないかと私は思っています。次の作品では、さらにさらにアメリカというモノ(ヒト単位でのアメリカ社会)の奥にまで切り込んでいるのかな〜。でもどこかでやっぱり一線を画しているのじゃないかと密かに思っている私です(^_^;

<<GITOMO ****>>

Mar 09. 06 ストックホルムZita劇場にて

スウェーデンで観たスウェーデン監督によるドキュメンタリー。途中に入るスウェーデン語のナレーションはまるっきり分からなかったけど、インタビューの殆どが英語で行われていたので、おそらく90%以上は理解出来たのではないかと…。

ことの発端は911の直後、中東系のスウェーデン人がアメリカに留学した際突然逮捕され、グアンタナモ基地に拘留されたこと。これを機に監督はジャーナリストとして直接グアンタナモ基地を訪れます。グアンタナモ基地は最も公に開かれた基地として誰でも1泊12ドル出せば泊まることが出来るのです。ところが、アブグレイブ刑務所の事実が報じられるようになった頃から、グアンタナモでも同じようなスキャンダルが発覚。監督はクビになったりやめさせられたりした元軍人を追っていきます。前半のインタビューは、アグブレイブ後では決して撮れなかったもので(後に彼らは調査委員会の公聴会に出席しています)、これぞ時間をかけたドキュメンタリーの醍醐味という感じ。日本での一般公開は難しいと思うけど、一人でも多くの人達に観てほしい作品です。

<<TSOTSI ****1/2>>

Mar 08, 06 ストックホルムsaga劇場にて

3日前にアカデミー外国語映画賞を受賞したということで観てみました。いや〜パワフルな映画です。最初の10分からして凄い。スピーディな展開に、力強い映像&サウンド。これはインパクトあるわ〜。

で、途中から(若い母親との やり取り)辺りからソフトになっていくのね。さまざまなキャラが描かれた群像劇も見事。そして何よりラストの終わり方が好きでした。想像してるのと違ってたしね。赤ん坊の父親役も主人公以上にGOOD。単に”南アフリカ版『シティ.オブ.ゴッド』”というだけでは片付けられないモノがありました。

 

<<Efter Brylluppet (after wedding) ***1/2>>

Mar 07, 06 コペンハーゲンdogma劇場にて

コペンハーゲンの中心部にある5つ程の劇場全てで上映されていたこと、そしてポスターにやたらと批評家の五つ星マークが付いていたので観てみました。

いきなりインドのスラム街から始まるこの映画、始まって30分くらいして「あれ?こういう映画観たことある」とゆ〜ことに気が付きました。そう、去年のSKIPシティ映画祭でグランプリを取った『BROTHER』。どちらも長い海外生活を終えた主人公が本国に帰ることから、帰った先の家族が崩壊し始めるというもの。後で調べたら、やはり同じ監督でした。最近出版された「デンマークの映画監督」という本の表紙を飾っている人なので、こっちではかなり有名な監督なんだと思います。
役者は皆よかった。言葉は分からなくとも、その演技だけで何が起こっているのか分かったし…好みではないけれど、よく出来てる映画だと思います。あまりにもマイナーな話題なので、日本で興業に乗ることはないと思いますが…

<<ブロークバック・マウンテン ****3/4>>

Mar 05, 06 ブリュッセルUGCシネマにて

いや〜神様が降りてます、この映画。何だろう、何処がいいとか、細かいことはど〜でもよくなるくらい全てのショットに何かが宿っていました。映画ってこ〜ゆ〜時ホント不思議。何もかもがうまく撮れている時は撮影監督がうまかったとか、演出がよかったとか、役者が絶好調だったとか、部分部分の良さよりも、とにかくその全体のハーモニーが問題なのです。

とにかく切なかった。女性によって描かれたゲイストーリーだろうが、60年代カウボーイの話だろうが、監督が台湾人だろうがおかまいなし。時代・地域・性別を越えた普遍的な恋愛の切なさが丁寧に描かれていた。もぉ、それだけでい〜のです。よい映画でした。
普段は大の苦手なヒース・レジャー最高。もともと気になるギレンは言うまでもなし。妻たち、親たちもホントよかったね〜。台湾出身のアン・リーにどうしてあんなにも”アメリカ”が描けたのか。それは勿論プロデュサーであるJシェイマスとMハウスマンの力が大きいのでしょうけれど、結局オスカーを獲得した『クラッシュ』も、カナダ人監督による”アメリカ”だし、今裏の(=本当の)アメリカを描けるのは、アメリカに移り住んで来た非アメリカ人なのでありますね。

<<Celibataires **>>

Mar 04, 06 パリUGCにて

とにかく私はフランス語がまるで分からないので、ベタで分かりやす〜い大衆映画を観ようと思っていました。どっちかと言うと、作品そのものを観たいというより、大衆映画を通して今の若い人達のトレンドを見たかったし、そ〜ゆ〜映画を観にくる若者や彼らの反応の方に興味があったから。『オーケストラシート』が満席で観られなかったのは残念だったけど、そ〜ゆ〜意味ではこの映画もパーフェクトなものでした。

主役兼監督は、フランスですでに人気を確立している役者さんらしく、彼がプロポーズをしようと思っていた彼女に振られる所から物語は始まります。彼には歯医者やカメラマンの男友達といつも同じカフェに集まる女友達が一人います。元カノを取り戻す為に彼女に相談したりするのは、ラストがバレバレのお約束パターン。それでも途中の会話が面白いのでしょう。劇場中が笑いの渦に(最後のクレジットに"script doctore"とゆ〜のがあったので複数の人間によって相当推敲されているはず)
・・・にしてもベタな展開。パリを舞台にした昔ながらの青春グラフティといった感じです。結局分かった台詞は、皆のよく行くカフェで「ココもすしバーにすればもっと流行るんじゃない」「すいません。サケ!」という所だけ。それにしても、途中のインド式結婚式をぶち壊すシーンは少しやり過ぎだったのでは???
途中は相当古臭かったけど、最後パリで恋人達が歩くシーンはやっぱりサマになってました。デート映画にはぴったりだね〜(^^)

<<Le Soleil 太陽 ****>>

Mar 02,06 パリmk2にて

コレって日本で公開出来るのかしらん(後日、日本での公開が決定したと聞きました)。ホント、天皇をおちょくってるえ〜がなのです。おそらく“愛らしきもの”として作った人達はそんなに否定的に見ているわけじゃないのでしょうけれど、天皇にそれなりの思い入れがある人達が観たら切ないor怒りが込み上げるのどちらかだと思う・・・にしてもこの映画、海外の映画館で観るとまた違った見方が出来ますよ。日本じゃ笑えないような部分、海外だと皆かまわず大爆笑しているのですから(^^;)

それにつけてもソクーロフと尾形イッセーという異色のコンビ。いや〜素晴らしいです。天皇の顔やクセを真似られる俳優さんは他にもいるでしょうが、彼だからこその人間らしい味が出ていましたね。ソクーロフの演出もスゴイ。その映像美については言うまでもなく、海外の監督が日本を描く時の“なんちゃってさ”がないんですよ。勿論それは日本人監督の描くそれとは全く違うのだけれども、うさん臭くもないし、彼独特の世界観も貫かれていました。
彼がまたロシア人という第三者であったことも大きいと思います。アメリカ人が描いたらこうは描けないだろうし、コレを観る一般アメリカ人の反応もめちゃめちゃ興味がある所。(第一、殆どのアメリカ人がヒロヒトをヒトラーと同等の鬼畜だと思ってるんですから、あんな映画見せられたらけっこうビックリすると思う)。マッカーサーとのやり取りもオカシイ。
う〜ん、コレを日本人が日本で観ると、なかなか冷静には観られないのでしょうけれど、どんな観点で観るにせよ、コレはやっぱり日本人必見の映画でありまする。

『ホテル・ルワンダ』 『白バラの祈り』など
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<<歓びを歌にのせて ***>>

Feb 25, 06

典型的な(?)スウェーデン映画でしたぁ。もぉ、最近のスウェーデン映画って、暗〜い家族モンダイから始まって、でも歌って踊れば皆解消されちゃうの???勿論、よく出来てる映画だな〜って〜のは分かるんだけど、Cheesey過ぎるぅ(特にラスト!)。言わずもがな、女達を中心とした群像劇になってるんだけど、流れもいまイチだった気はします。ま、音楽映画のお約束通り、最後はその美しい歌声に泣かされちゃうんですけどね(^_^;)。
それにしても、スウェーデンくらい北の国だったら雷なんて鳴らないんだろ〜な〜と思っていたのに、一度だけしっかりと鳴ってました。北極に行っても鳴るのかしらん・・・

<<ホテル・ルワンダ ****>>

Feb 22, 06

先々週の“虎ノ門効果”がまだ覚めやらず、朝10時から立ち見の大盛況〜。う〜ん老若男女これだけ口コミがまわっているのだから、さぞかし素晴らしい映画なんだろうなぁ〜〜〜・・・と期待が大きすぎました。中盤までは、すんごく良かったんですよ。主人公があれよあれよという間に“アフリカのシンドラー”にならざるを得ないくだりはよかったのに、後半がモロ“アメリカ映画”の展開なんですよ。コレって、イギリス・イタリアなどの合作なのでアメリカ資本は入っていないはずなのに、おっかし〜なぁ。監督もイギリス人なのにね〜。

(以下、ネタバレなのでご注意を)映画の中盤、これまで自分はまわりの白人や政府要人達と同じなんだと思い込んでいた主人公が、完全に“持たざる者”としてのボーダーラインを自分の前に引かれ、奈落の底に落ちるごとくそれを痛感したはずなのに、映画のラストでは「自分の家族さえ助かればイイ」みたいになってしまっているんですよ。おそらく、あの家族だけでも助かれば、ストーリーの展開として“めでたし めでたし”にはなるのでしょうが、そこでルワンダの悲劇が終わったわけでは決してないわけで・・・そこが何だか“アメリカ映画的”なんだなぁ。つまり、あれほど一度は“持たざる者”としての自分を自覚したにも関らず、喉元過ぎれば他の“持たざる者”を置いて来てしまってる。その無神経さがいかにも“アメリカ的”とゆ〜か、う〜んヨーロッパ人も“持つ者”としての自覚がないのは、アメリカ人とさして変わりはないのでしょうか???
な〜んてなことを悶々と考えてしまったので、後半はまるっきり素直に映画に感動出来ませんでした。う〜ん、よい映画には変わりないのかもしれないけれど、意外と欧米人の自己満足な映画・・・という域は超えていない作品だと思います。“知る”ことは勿論大切だと思うけど、「ああ、家族が無事でよかったね。めでたし、めでたし」じゃ、それこそ冒頭の台詞のように、私達はすぐに忘れてしまうのですから。

<<優しい女 ***>>

Feb 21, 06 ユニフランスにて

3日連続フランス映画の3本目(^_^;)。これもまた、“美人でもない女”のダラダラとした日常。それがフランス映画のリアリティと言ってしまえばそれまでなのですが、な〜んかダメですね、私は。ど〜してこんな起伏もない話に金と労力をかけるのでしょうか???不思議だな〜フランス人っっっ!!!

<<恋は足手まとい ***>>

Feb 20, 06 ユニフランスにて

フランス映画が年間何本創られているのかは知りませんが、おそらくこういったベタなギャグ映画が大半を占めているのでしょうね。けど、フランス的ギャグセンス(?)を理解しない限り、日本で興行を打つのは難しいからこないだけなんじゃないでしょうか?この映画だって、エマニュアル・ベアールが主演でなければ、まず公開されないと思いますよ。それにしても彼女、大女優なのにあんなシーン、いいのかなぁ・・・(^_^;)

<<真夜中のピアニスト ***>>

Feb 19, 06 下高井戸シネマにて

コレもまた典型的なフランス映画だったな〜。ロマン・デュリスは魅力的だったけど、キャラにいま一つ入っていけない・・・音楽的要素も、私的にはど〜も中途半端だったしなぁ。5年後のオチ、最初の部分はかなり好きでしたけどね(^_^;)。

<<白バラの祈り ***>>

Feb 15, 06 日比谷シャンテにて

う〜ん、悪い映画ではない(むしろその逆)のですが、な〜んか”映画”としてどうなんでしょう???場面も少ないし、むしろ舞台向きなのでは?私にとって一番の見せ場は前半の尋問シーンだったのでね。後半はもちろん泣かされるのですが、あまりにもティピカルなシーンばかりで・・・事実に基づき過ぎなんですかね。私の場合、事実に基づいた作品こそ、その行間や余白に独創性をみたいと思ってしまうので、その点ちょっと残念でした。

<<戦場のアリア ***>>

Feb 14, 06 ユニフランスにて

フランス製作によるフランス語映画なのですが、まるっきりハリウッド映画のノリでした。まぁ、王道映画だし、テーマは買うし、それなりに日本ではヒット確実の映画だと思うのですが、な〜んか物足りなかったかも鴨。あと、ダイアン・クルーガーが歌うシーンは口パクがバレバレでしたね(^_^;)。

『クラッシュ』 『プライドと偏見』など
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<<クラッシュ ****1/2>>

Feb 11, 06 新宿武蔵野館にて

いやはや、ここ数年来の傑作ですね〜。ただし、映画そのものの出来が質的に素晴らしいというわけではないので、諸手を挙げて万人におススメ出来る作品ではないのですが、かと言ってただ一部の人に観てもらいたいという様な了見の狭い映画でもありません。

なぜこの作品にこんなにも惹かれるのかと聞かれれば、答えは”911後的な人間に対する絶望と希望の両方が新しい形で描かれているから”。パンフを読むと、ハギス監督はこの作品の元になるアイデアを10年以上も前にロスであったカージャックにあると述べています。確かにロスで起きている人種間の諍いは今日に始まったことではないし、この映画の語り口(=手法)そのものは、監督がずっと描いて来たTVドラマの群像劇スタイルであって、何も目新しいところはありません。けど、物語が中盤へ差し掛かるにつれ、このたくさんのキャラクター達の性格が誰も”一筋縄”ではなく、またストーリーの方向性も”複線とは別のディレクションに進んでいる”ことが分かって来る。しかしながら、その”裏切り”は、サスペンスや推理小説などの様に観る側への挑戦などでは決してなく、むしろ観る側に対し絶望と希望を同時に語りかけている・・・脚本と言えば、矛盾のないキャラクター設定と複線を張り巡らせてストーリーを一方向へ持って行けと叩き込まれた私にとって、コレは大きな大きな衝撃的な作品なのでした。もしコレが、単にアンチ・ハリウッド方式(驚きのどんでん返し)という所だけで終わっていたのなら、別に新しいというワケでもないのですが、そこに絶望というリアリティに裏付けされた希望を持って来ている所がもの凄く新しいんですよね。この新しさは、やはり911以後でなければ生み出せなかったのではないかと・・・。

”人種間の衝突(=クラッシュ)”と言えば、私の場合どうしても911の飛行機の激突場面が思い出されて仕方ないのですが、あのクラッシュと、この作品のクラッシュは本質的には同じなんだと思います。NYの場合、土地が狭いこともあって人種間のクラッシュは日常茶飯事的に繰り返されているのですが、ロスの場合は別々の人種同士がもの凄く棲み分けされてるのですね。だからクラッシュは数が少なくて慣れていない分、その深刻さも大きい。コレはもっと広い視野で見ると国家間のクラッシュであったり民族間・宗教間のクラッシュにもあてはまる(911はその最たるものでしょう)。ただ、この映画を最後まで観れば分かる通り、監督はクラッシュをそうした現実の最後ではなく、むしろ真ん中に置いているんですよね。その先に、希望はまだある。けれどクラッシュを避けては通れない。
コレって、人種モンダイに疎い日本人には理解しがたいとは決して思いません。人間同士のクラッシュなんて、何も人種間の専売特許でも何でもなく、出身地や世代間かもしれないし、個々の人間同士ならきっとあるはず。けど反対に考えれば、クラッシュがあるからこそ、いつか分かりあえるという希望もあるのですよね。月並みなコトだけど、そんなことをしみじみと考えさせてくれる映画でした。

<<僕のNYライフ ***>>

Feb 09, 06 恵比寿ガーデンシネマにて

まぁ、フツーに面白かったです。911直後のクラーいNYを、彼なりに皮肉っている映画。その希望と絶望の入り混じりが、若手をメインに持って来た複雑さに出ているような気がしました。ラストが象徴している通り、この映画を境に彼はどんどんと海外にエスケープしていってしまいます。言わば”過渡期”の作品なのでしょうか・・・ それにつけても、クリスティナ・リッチの色香はハンパでないっ!アレって彼女にアテ書きしてるのかな〜〜〜?

<<プルーフ・オブ・マイライフ ****>>

Feb 08, 06 渋谷ジョイシネマにて

友達から”あまりよくない”という評判を聞き、まるで期待しないで観に行ったので、逆にすごく良かったです〜。もう6年も前に舞台版のPROOFを観に行っていたので、なおさら期待はずれになりかねないかな〜と思っていたにも関らず、全くの別モノとして楽しめました。
舞台版を観た時にもやはり一番印象に残っていた姉と妹の確執・・・映画版ではまるで違うキャストと違うタイプの二人なのに、やはり台詞がよいのかそこが一番良かった。あと、舞台版(私が観たのはG=パルトロウのロンドン版ではなく、M=L=パーカーのNYオリジナル版)と映画版で一番違うのは、何と言ってもハルの魅力。やっぱ今が旬のJ・ギレンホールだからなのかなぁ。舞台版ではどちらかと言うと機が熟して彼女が心を開いたという印象があるのですが、映画版では何と言ってもハルが彼女の心を開いた要素が大きくなっていると思う。・・・とはいえ、舞台版の方も改めてもう一度観てみたい。つくづく脚本はよく書けていると思います。

<<天使 ***>>

Feb 01, 06 シネ・リーブル池袋にて

正直、軽〜いTVドラマか予算の高いウェブドラマって感じではありましたが、『下妻物語』以来、深キョンのハマリ役でしたね〜。この役、確かに他に出来る人いないんじゃないかな。ただ、逆に他のキャラはまるで個性がないし、コレってとても桜沢エリカが原作の作品には思えなかったのですが・・・

<<プライドと偏見 ***1/2>>

Feb 01, 06 新宿文化シネマにて

フツーに何も考えずに楽しめるJ=オースティン映画でした。キーラ・ナイトレイはもともと嫌いなタイプの女優だけど、この作品ではさすがに好感度満点。他のキャラクターもオースティン映画っぽい憎めなさでGOODでしたぁ〜

<<クレールの刺繍 ***>>

Jan 28, 06 下高井戸シネマにて

う〜ん、典型的なフランス映画ですね〜。その雰囲気といい、展開といい、キャラといい・・・ってコトはイコール私的には受け付けられない映画なのですが、出来はよいのだと思います。ただ好みのモンダイとして・・・やっぱダメでした(^_^;)。コレって全く感想になってないなぁ・・・

『タブロイド』 『スティヴィー』など
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<<タブロイド Cronicas****>>

Jan 25, 06 ヴァージンTOHOシネマズ六本木にて

いや〜、今年最初のヒット作です。よく出来てたぁ。その終わり方に関しては、不満の残るヒトの方が多いようですが(この作品、一昨年のスパニッシュ映画祭ですでに上映されていたんですよね。さんざん噂を聞いたあと、やっと観れたの〜)、私にはこの終わり方で完璧〜〜〜。

いやはや、メディア戦争のパラドックスを描く作品が多い中、コレはかなり高度に出来ている方だと思いますよ。役者も皆よかったしね〜〜〜。エクアドル生まれ、フランス育ち、アメリカで映画作りを学んだという若き監督のトリプル・アイデンティティーもとてもよい形であらわれていたと思います。次回作が楽しみ〜〜〜(^o^)

<<No Direction Home***>>

Jan 23, 06 シアターN渋谷にて

正直、ボブ・ディランのこと何も知らないんです(^_^;)。ま、『Blow in the Wind』と『Like a Rolling Stone』くらいは聞いたことあったけど、どんな時代のどんな背景によってこれらの歌が生まれたのか、彼はどんなヒトだったのか、どんな音楽史の中に位置づけられてきたのか…。
ハイ、よくオベンキョーさせて頂きました。それにしても、この映画、スコセッシ監督の作品で、当のボブ・ディランがまだまだ元気で現役ってゆ〜のもスゴイよね。

<<サヨナラCOLOR***>>

Jan 21, 06 下高井戸シネマにて

ん〜、うまく出来ているんですけどね。なんかあまりにも“好みのテイスト”の目白押しでかえって引いちゃった感じ。ロケ場所、美術、小道具、そして勿論わきを固める役者に至るまで、な〜んか好みまみれ過ぎて食傷気味というか…(^_^;)。
ストーリーはシンプルでよかったっす。この作品の原田知世と『東京日和』の中山美穂がど〜してもかぶっちゃうんですけどね(^_^;)。

<<8月のクリスマス***1/2>>

Jan 19, 06 飯田橋ギンレイホールにて

オリジナルとはま〜るで別物。ただ、山崎まさよしの人となりが好きなので、彼そのまんまで作られたこのバージョンには個人的に好意が持てました。…にしても、どうしてもオリジナルと比べちゃうんですけどね。
キモのシーンでは、けっこうオリジナルのシーンがそのまま使われていました〜(^_^;)。純粋に“独立した映画作品”として観ることが出来なかったのですが、クオリティとしてはどうなんだろ???

<<スティーヴィー***1/2>>

Jan 18, 06 映画美学校試写室にて

同じく山形ドキュメンタリー映画祭で上映された『送還日記』と同様、作り手が時を追うごとに、被写体に対する自分自身の立ち位置について疑問を持ち続ける姿勢がよかったです。彼自身、そして家族の今後が気になりますね〜。

<<ベアテの贈りもの***>>

Jan 12, 06 下高井戸シネマにて

先に『映画:日本国憲法』を観てしまっていたので、彼女自身の数奇な運命に特に驚くことはなかったのですが、むしろ彼女の父親についての部分が興味深かったです。まぁ…けっこう知ってることばかりだったのですが、改めて映像で見せられるとつくづくおベンキョーになりますです。

『愛より強い旅』 『ブレイキング・ニュース』など
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<<愛より強い旅 EXLIES****>>

Jan 11, 06 シネ・アミューズにて

 ホントは今年1本目の映画としてすっごく観たかった作品。期待通り、力強い作品でした〜。この邦題付けた人センスあると思う〜〜〜。
ただ、恥ずかしながら私トニー・ガトリフ初体験なんですよ〜。だから、けっこ〜カンドーしちゃったんだけど、ずっと彼の作品を観続けている人達にとっては、いまいちパンチの足りない作品らし〜です。それにしても、音楽だけじゃなく、サウンドの使い方がスゴイっすね〜。冒頭いきなりすんごい雷のシーンが2回も続けてあったので、思わず席後ろに移っちゃいました(^_^;)。

フランス人俳優としては、いま日本で一番公開作の多いロマン・デュリスは私的ツボにまったくハマらなかったけど、彼女役のルブナ・アザバルはよかった。蚊とたわむれるダンスのシーンはサイコーだね。・・・にしても、まぁ、ストーリーがわりと単純でした。最後とか、もうちょっとひねりを期待してたんですけどね(^_^;)。いやはや、久々にサントラを買いたくなる映画でありました。

<<風のファイター Fighter in thr Wind***>>

Jan 10, 06 CINEMART試写室にて

 本国のスポーツ紙で連載されていた漫画が原作というだけあって、荒唐無稽な韓国版『空手バカ一代』。
最初からそのつもりで観れば、アクションシーンなど十分楽しんで観られる作品なのですが、『SAYURI』や『力道山』の後に、それらの日本トンデモ描写と比べられてしまうと、正直かなりキツイ作品ですね(実際、試写の後の話題は『力道山』との比較で持ちきりでした〜)。

ただ、この3作品に共通して言えるのは、どれもその一代記の中心に主人公の純なラブストーリーが描かれているにもかかわらず、どうして相手が主人公を好きになったのかが全く描かれていないコト。もちろん事細かに説明しろと言っているのではありません。なんか添えモノみたいとゆ〜か、”当たり前の様に”GETしてるんだよな〜。平山あや、すんごくかわいかったけど、その点ど〜なのよ???もぉ、この際時代考証やら美術セットの細かいコトはいいません(^_^;)。

<<天井桟敷の人々 Les enfants du paradis****>>

Jan 09, 06 早稲田松竹にて

 10代、20代と過去2回観て爆睡し、ほとんど内容を覚えていないこの作品(^_^;)。30代にして初めて全編を観ました。この作品って、おそらくそうやって数年(数十年)おきに観る人が多いんだろうと思う。休日のせいもあってか、休憩を入れて3時間半もの大作に劇場はほぼ満席。

う〜ん、歳の功もあってか(?)ココに描かれた人間模様や心のひだ、その芸術性はやっと見えて来たのだけれど、どうしてもソレに酔えない自分がいるのですね〜。まぁ、おそらくコレは個人的な”おフランス嫌い(=コンプレックス)”から来ているのだと思う。ソレが天井桟敷の人々であろうと、蔑まれた大衆役者達であろうと、どうやっても私に“おフランス”は鼻につく。どんなにビンボーでもどん底でも「人生はバラ色だ」なんて言ってる人達には、ど〜もピンと来ないんですよね(^_^;)。それと、私としては同世代のチャップリンと、どうしても比べてしまうのがイケナイのかも鴨。両者ではビンボーの中のプライドとゆ〜か気高さの質が全然違うし・・・。
に、しても、恋愛関係だけではないその人間模様のフカさに関して言うと、チャップリンはやっぱりこの作品に完敗していると思う(ある意味ソレが彼の一番の弱点でもあったワケで)。さてさてこの作品、40代にまた劇場で観る機会はあるのでしょ〜か?チャップリンの『独裁者』、ディズニーの『ファンタジア』と共に、10年一度まるで人生の踏み絵のよ〜に観る記念碑的作品なのでありました。

<<ブレイキング・ニュース Breaking News****>>

Jan 08, 06 シアターN渋谷にて

   実は去年の映画おさめに観ようと思っていた作品。すでに一昨年になってしまったTIFFアジアの風部門で上映されていましたが、や〜っと観れたぁぁぁ〜〜〜。期待に違わぬ傑作ですぅ。
”お約束”の冒頭銃撃シーンから、多キャラの群像劇へ。う〜ん、それより何より私が気に入ってしまったのは、中盤から描かれる2人の殺し屋同士の友情。コレを最後まで引っ張ったことによって、思いがけずもぉ泣かされてしまいましたよ。

ほとんど全ての展開が”お約束”なんだけど、いやはやコレが心地よいのよね〜。ケリー・チャン、リッチー・レン、ニック・チョンみ〜んなよかったぉぉぉ〜(^o^)

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