評価の満点は5つ星です。
July 01, 05 シネマライズにて
トッド・ソロンズは進化している・・・と言っては失礼ですが、なんだかいい意味で期待を裏切ってくれました。8人の年齢も違う男女が一人のアビバを演じわけるという発想は、それこそ『またの日の知華』みたいで別段新しいワケでもないのですが、私が感心したのはそのスタイルより”オタクとしての彼”が社会にどう向き合っているか、という部分。コレが確実に進化しているように見えたんです。
彼は1)その作品タイトル=”回文”で、2)彼を一躍有名にした『ウェルカム・ドールハウス』の主人公:ドーンが自殺をするというプロローグを描くことによって、3)またドーンの兄に「人間の本質なんて結局はいつまでたっても変わらない」と言わせることによって、自分は同じところをくるくる回っていると宣言しているのですが、その”開き直り”がちっとも”閉じて”いないんですよ。なぜだろう?わざと”閉じる”世界を描いているんだけれども、それは彼が無意識のうちに”閉じてもいいよ”っていうくらい開いてるからなんですよね。その”突き抜け感”が、この映画ではものスゴク心地よく感じられ、非常に肩の力の抜けたソロンズ監督の”笑い”を、とても素直に受け止めることが出来ました。スクリーンに映し出されてる映像はめっちゃセンセーショナルなんですけどね(^_^;)。
トッド・ソロンズ監督と言えば、アメリカのオタク男の代名詞の様に言われていて、それこそ『電車男』じゃないけれど「オタク監督ガンバレ」みたいに言う人もいますが、彼は”オタクだけど、でも頑張る”といった域をもうとっくに突き抜けていってしまっている気がします。勿論、表面上はオタクの世界まっただ中みたいなストーリーやキャラ、映像を並べてはいるのですが、彼がオタクキャラを描く時のその暖かさは、もぉ”オタクである自分への愛情表現”とはまるで違う、”元オタクだから描ける外から見たオタクへの愛情”(何言ってんだかわかります?)みたいな・・・。だから、ほんっと〜に暖かいんですよね。自己愛とはもう次元が違っちゃっているのです。って思い込んでいるの、私だけかな?とにもかくにも、アメリカNY(NJ)インディ世代でまだまだ”前に進む“新しい映画を作ってる数少ない監督としてこれからもますます頑張って欲しいものです〜。
June 29, 05 新宿テアトルタイムズスクエアにて
いやはや、日本・海外を問わず何人もの人達に薦められただけあって、よく出来た映画です。脚本もよく練られているし、社会的に特異な事件を多くの人達の共感出来る部分に引きつけようとした姿勢はエライ。それだけで十分応援したくてたまらない映画なのですが、いかんせん〜ショーン・ペンの映画になっちゃってたのよね〜。いや、別にショーン・ペンが嫌いだと言っているワケじゃなく、ショーン・ペンの演技があまりにもウマイので、もうそこしか見えなくなっちゃうんですよ。つまり、その映画本来のよさ=脚本とか演出とかテーマとか・・・が見えにくくなっちゃってる、そこが勿体無い!!!と思いました。第1作監督作品ってゆ〜のも考えものよね。そりゃ〜、素晴らしい俳優さんが出て素晴らしい演技をしてくれれば、それだけで注目を浴びることが出来て得とゆ〜モノですが、そうすると、ある意味自分のよさが見えにくくなっちゃったり・・・。う〜ん、この監督の次回作に大注目でっす。
June 24, 05 シドニー映画祭にて
70年代伝説のポルノ映画『ディープ・スロート』Behind the Sceneを語るドキュメンタリー。監督、P、主演俳優、そして今は亡き主演女優のインタビューを繋げるだけでなく、当時の世相、ひいてはAVの歴史やフェミニズム史を追っていくことにもなり、いろんな意味でお勉強になるえ〜がなのですが、”ドキュメンタリー作品そのもの“としてのワクワク感はなかった感じ。・・・にしても、『ディープ・スロート』本編のフッテージはすごいっ!実はこのえ〜が、すでに日本の配給が決まっているのですが、あの画面3分の2くらいにもなる修正は、いったいどうスクリーンに映るんでしょうね・・・(^_^;)。
June 24, 05 シドニー映画祭にて
ひゃひゃひゃひゃ〜面白い!!!!!シンガポール若手監督のトップを走るロイストン・タン監督の短編なのですが、とにかく面白いしよく出来てる!!!お話は、シンガポールの検閲マニア(検閲でフィルムをどうカットするかを知り尽くしたオタク青年)が、政府の検閲官であるオバちゃんに、"あの映画のこの部分"みたいに延々と話しかけるのです。会話は早いし、作品も次から次へとどんどん出て来るのでついて行くのが大変ですが、そのテンポがまた心地よい。後半は、うって変わってミュージカルタッチになってしまうのですが、すんごい才能です。まさにキャンプ(GIRLYなゲイワールド)の世界そのものを歌って踊って表現して、こんなに楽しいものはない〜とゆ〜くらい。ううん〜、おそるべしロイストン・タン。近々日本でも彼の長編が観られる予定なので、楽しみです〜〜〜。
June 24, 05 シドニー映画祭にて
いや〜、面白かったぁぁぁ。私にとっては、おそらく初めてのインドネシア映画です。話は単純。ジャカルタでは複数ある映画館で1セットの映画(通常映画の1セットは、4〜7巻くらいのリールからなっています)をリールごとに少しずつ時間をずらしてかけているのですが、主人公はそのリールのデリバリーボーイ。ひと目惚れした女の子から、遅刻せず無事にリールを届けることが出来たら付き合ってあげると言われ、必死でリールを運ぶも彼の前にはさまざまな障害が・・・。それこそアジア映画にありがちなベタ〜な笑いのオンパレードなのですが、これがけっこう面白い。ラストのオチ(・・・ってほどでもないですが)も、私には十分合格点でした。それにしても、会場にたくさん来ていた在シドニー・インドネシア人達のおかげで、オーストラリア vs.インドネシアの政治対立の構図が理解出来たりして面白かった。ま、私も基本的には単純に映画を楽しんでいたんですけどね。一言で言ってしまえば、"インドネシア版ニューシネマパラダイス"とゆ〜”映画への愛“に満ち満ちた映画なのでありました。
June 22, 05 アミューズCQNにて
結局観ちゃいました(^_^;)。このお話って、"OTRAKU gets real"ってトコロに共感してたのに、ラストは結局ファンシーで、中谷美紀はただのオタク的理想像=なんでも許してくれる女神のよ〜なお姉さまになってしまっていました。2ちゃんねるとゆ〜特殊な世界観も、もっと頑張ればイロイロ出来たと思うんだけどね。ま、突貫撮影だったとは言え、こんなモン?それにしても客入ってるよね。平日の昼間だって〜のに、1時間ごとの回が全部満席でした(^_^;)。
June 20, 05 渋谷シネアミューズにて
昨年、最初の30分だけ観てそれっきりだったのですが、なるほどの終わり方だな〜。いいっすね、あのラスト。監督の一人がグランプリの受賞記者会見で「自分たちの映画には、ストーリーの間に行間を持たせている」と言っていたのを思い出します。若い二人の監督が作ったシブイ映画、でもやっぱCOOLなんだよなぁ。
June 16, 05 丸の内プラゼールにて
"mookのお気に入りページ"にも書きました通り、これまでに観たブロードウェイ舞台の中で2番目に好きな作品『CLOSER』の舞台化。正直、あまりにも芝居が好きだったし、オリジナルキャストにもかなり愛着があったので、けっこう幻滅するんじゃないかと思っていたのですが、コレはコレでめちゃよかったな〜〜〜〜。DVDが出たら絶対に買お〜。
まず、その会話の絶妙さ。もぉ観てて何度「うう〜〜ん」と呻ってしまったコトか。このHPでは何度も書いている通り、私は映画に関しては断然に”映像派"でして、映画はむしろストーリーや台詞で語るのではなく、画(え)で見せるものだというのが私のポリシーなのですが、もぉここまですんごい台詞を並べられちゃうと、もうそんなコト言ってられないっす。とにかくウマすぎる!!!!!!!!!!!コレはおそらく、原作の芝居を書き今回の脚本も担当したパトリック・マーバーの才能だけでなく、やっぱりこのウマイ台詞を”見せる"ことの出来るマイク・ニコルズ監督の力量があってこその出来なのだと思います。
あと、この映画ですごいな〜と思ったのは、その大胆な時間構成の飛ばし方。フツーなら途中部分を見せてしまうような時間の移り変わりをとにかく大胆に切って、通常なら”タブー"とされる「台詞で説明する」コトを敢えてやっているのです。けど、これだけの大胆さとテンポのよさでやられちゃったら、誰も文句を言う人はいないでしょう。ヘンな例えですが、それこそピカソが知っててタブーをおかす、それくらいこの映画のやり方は巧かったと思います。こう言ったニクイ構成と演出は、最近ありそ〜でなかなかないっすよね。
(ここからはある意味ネタバレパートなのでご注意を)そして、かのGG賞を主人公の二人でなく、サブのクライブ・オーウェンとナタリー・ポートマンが受賞したことは、映画を最後まで観るとモロに納得。舞台版ではココまで誇張してたっけ(…私の英語理解力が足りなかった?)な〜と思ったのですが、結局、冒頭でクレバーと思われていた主人公二人が実はその逆で、冒頭で愚かだと思われていた二人が実は一番クレバーであったコト。このドンデンの見せ方がまた巧い。ちゃんと”映画的"に作っているのですよね。コレは、やはり舞台ライター出身のニール・ラビュートが映画の脚本・監督にあたっては、何が”映画的"なのかをちゃんと分かって作っていることとおんなじで、驚くべきコトだと思います。
ここで改めて書くまでもないと思いますが、男女の出会いや別れは其々千差万別でユニークなものであるにも関わらず、ヒトはなぜ他人のソレを見て自分の過去に納得したがるのでしょうか?少なくとも私には、こんなにも90年代を同時代的に描いてくれた作品を他に知りません。この作品を80年代以前または21世紀以降に青春を送った人達がどう見るかなんて私にとっては興味のないコトでして、とにもかくにも私には自分のある一部分を代弁してくれた非常にパーソナルな作品だったと思います。
June 15, 05 横浜フランス映画祭にて
『歓楽通り』や『橋の上の娘』の脚本家が初めて監督した秀作。非常にオーソドックスで、思いのほかいい作品でした。ヴァネッサ・パラディは勿論よかったけど、とにかく主人公の少年がめちゃくちゃいい〜〜〜〜〜〜〜〜。まるで『息子のまなざし』の少年役をやった彼のよ〜な雰囲気を持った、まさに天才役者というカンジ。ヴァンサン・ロティエ。とにかくこれからが大注目の若手です〜〜〜。
June 13, 05 下高井戸シネマにて
フツーにドキュメンタリーとしてよく出来ている作品で、コレで「アメリカのよいドキュメンタリーは、マイケル・ムーア印だけじゃない」とゆ〜のを証明してくれていると思います。ま、二人ともMTV世代でPVはかなり作ってるキャリアがあるので、ある程度は似通ってる感じがしましたけどね。それと、「伝えたいモノ」の目的意識がはっきりしていたコト。これも二人のディレクターに共通するよい点だったと思います。それにしても、このファーストフードだけでなく、タバコにせよ、銃にせよ、戦争産業にせよ、結局のところ諸悪の根源は”グローバル企業"なんですよね。こういったバラバラのテーマを一つに結びつけた作品、コレが私が次に見たいエーガです。
June 12, 05 TOHOシネマズ府中にて
周囲の噂通り、ホントによく出来た映画です。その出来の良さに隙がない〜。私の場合、大抵映画を観ている時っていうのは、演出・脚本・演技などが気になって仕方がないモノなのですが、“詰まってる映画”を観る時にはそういった細部を見ようと思っても見えなくなっちゃう。そういった作品を見せられる時、私はもう泣くしかないのです。だから前中盤は殆ど泣きながら観てました(^_^;)。
それがね〜。”たった一つの引っかかり"が、私をこの映画の全てから遠ざけてしまいました。それは、『ブルーベア』が”悪意のあるドイツ人”であったこと。ココで私は全てが覚めてしまったのです。アメリカ映画って、どうしてこういつまでたってもドイツ人を悪として描かずにはいられないのだろう???そりゃぁ、原作にそうあったのかもしれません。けど、もし私が作ってたなら絶対にココは変えますよ。…なんて、もし私だったら…とか作り手の意図を考えてしまう時点で、もう映画を映画として純粋に観られなくなっちゃってるのですよね。あ〜あ、もったいないなぁ、こんなによく映画出来てる映画なのに…ちゃんちゃん。
June 09, 05 下高井戸シネマにて
オリジナルのミュージカルをNYで観てから早10年。実はミュージカルバージョンでは寝てしまった私なので、正直ほとんど期待していなかったのですが、いやはやさすがの迫力。前半のオペラ座導入シーンから何度も何度も「コレでもか〜」とテーマ曲を繰り返す(まるでCXの月9のよ〜に、本家はこっち?)。ま、サントラも売れるわな〜。確かにキャストも悪くないし、出来もそんなに悪くない。けど、何かえ〜がの”核”になるモノがなかったよ〜な気がしてしまったのは私だけでしょうか(最近の私はも〜、だいたひかるかっ???)あと、パリの話なのに、全員が英語を喋っている違和感がど〜もダメなのよね。勿論アメリカの映画なんだけど、皆仏語喋れよぉぉぉぉ〜〜〜。ともあれ、このえ〜がを一生に一度でも観る気があるなら、自宅のちぃ〜ちゃいビデオ(or DVD)で観てはいけません。やはり巨大なる銀幕の上で堪能すべし〜!!!
June 08, 05 ユーロスペースにて
さんざん耳にした噂通り、ひっさびっさのカリスマ女優誕生〜〜〜ですねっ!この日は主演女優出演のトークショーがあったので、他の予定を無理ブッチして観に行きましたが、いや〜モノホンの彼女はさらにさらに妖艶で、こんな女優さんを世に授けてくれた神様に感謝したいくらいです!!!
映画そのものは、とにかく殆どストーリーがないっ(もともと、国映のピンク映画なんですけど^_^;)。にしても、あの『MOON CHILD』(観てないけど)を作った瀬々カントクがあんな撮影照度がバラバラなシーンを冒頭に持って来るのには面くらっちゃったかも鴨・・・。けど、いくら何度もセックスシーンがあるからと言って、この映画が日活ロマンポルノ決定的に違うのは、そのスタイルというより時代の空虚感のような気がします。この映画では物語のキャラクターにも作り手の側にも、あの時代にはあった”ギラギラ感"が全く存在しない。ソレはソレで全く否定はしないけど、不二子という女優さんの存在がなければ、正直かなりキツイ作品であったかもしれません。ストーリーを語る前・後半部分より、それらを全てそぎ落とした中盤部分が一番光っていたような気がしたのは私だけではないと思うのですが。
とにもかくにも、彼女の様な存在を知ることが出来た。それだけでホント大収穫のエーガでした。日本の、いや世界の監督さんやプロデューサーさん達、もっともっと彼女をスクリーンに〜〜〜
June 08, 05 渋谷シネフロントにて
このえ〜が、実はまるっきり観るつもりがなかったのですが、昨日『映画:日本国憲法』↓を観た後”映画と政治の可能性”について考え込んでしまった挙句、あまり関係ないとは思いつつやっぱり観てしまいました。私が書くまでもなく、この映画はモロ”国連宣伝"の映画でして、この厳戒態勢時に「そこまで撮るか〜?」ってゆ〜くらい”背景としての”国連を縦横無尽に描いていました(はっきり言って、自衛隊宣伝の為に自衛隊が1本の映画に全面協力するのとどこが違うの?…としか私の目には映りませんでしたが(^_^;)。表面だけで観ると、ホントにハリウッド映画ばりの”正義感"と”ラブサスペンス”で塗り固められていたし、二コール・キッドマンにいたっては、ずっと昔に見た『ザ・ピースメーカー』(内容全く覚えていないけど)と、ど〜してもイメージがダブってしまうのです。
ただ、やはりシドニー・ポラック監督らしいいつもの気骨さと、おそらく原作には確実に存在していたであろうアフリカの平和への願いについては十分に感じ取ることが出来ました。だからある意味すっごく惜しいです。ハリウッドというベースがなければ一人でも多くの人には観てもらえないのだろうけれど、この作品は必要以上にハリウッドというオブラートで包まれすぎてしまった。ショーン・ペン&ニコール・キッドマンという二大スターではない、インディー版の『ザ・インタープリター』を見てみたい…あ、そうか、それだと”国連の全面協力”はないっすね(^_^;)。ジレンマだなぁ…
June 07, 05 中野ZEROホールにて(マスコミ試写)
言わずと知れた『チョムスキー911』のジャン・ユンカーマン監督最新作。憲法論議も高まるこの時期に、日本国憲法の歴史や意味合いを分かり易く見せる映画を製作し・上映するというコトがいかに大切なコトであるかはよく分かります。分かるし、やるべきだと思う…けど、私個人的には正直ちょっとモノ足りない映画だったな〜。少数派だとは思うのですが、私としては登場人物がほぼ全員馴染みのある人たちだったし、だからもう見る前に何を喋るのか大体分かってしまってて…。う〜ん、けどやっぱこ〜ゆ〜映画は一人でも多くの人たちに観て欲しいので応援しています!(別に配給してるのが20年近くの知人とゆ〜理由だけじゃなくってね(^_^;)。
それにしてもこの映画を観ながら考えてしまったのですが、日本人とかアメリカ人のフツーの若い世代が戦争や政治についてどういう意識を持ってるのかを突き詰めたモノって、それこそTVの一瞬インタビューじゃなくて、ちゃんとした1本の映画としてはまだ存在していないですよね(私が知らないだけ?)。実際NYに住んでた時「他のアメリカ人は違っても、彼等だけはリベラルなはず」と思ってた人たちが、911の直後こぞって「アフガンへの爆撃は仕方ない」と言っていたのを聞いて、ホントにほんとにショックだった…あのギャップ感をきちんとした作品にしたモノを見てみたい…っつ〜と、誰かが作ってくれるのを待ってるより、自分で作っちゃった方が早いのかな???
June 01, 05 新宿文化にて
オリジナルの『Shall We ダンス?』ミラマックスバージョンをアメリカの映画館で観て以来はや8年。この作品は、周防監督の『Shall Weダンス?アメリカを行く』『アメリカ人が作ったShall Weダンス?』という2冊の本を通し、私にとっては(特に映画作りにおける)日米文化比較の貴重なサンプルとしての位置付けをなして来ました。だから、純粋に作品自体の評価ってゆ〜のはまったく分かりませんです(^_^;)。
「やっぱアメリカだな〜」と思わされたのは、キャラクターの人種や出自のバリエーションがくっきり分かれていたということ。日本版だって確かに主人公とヒロインの住んでいる世界はだいぶ違のですが、実はアメリカ版では主人公とヒロインの出自がまるで逆転しているという所が、かなり興味深かったです(コレは周防監督の本では一言も触れられていないので、一体どれだけの日本人がコレに気がついているかどうか分かりませんが…)。つまり日本版では主人公=普通のサラリーマン=社会的地位:どっちかというと低い vs.ヒロイン=社交ダンスでトップにまで上り詰めた人=社会的地位:比較的高いのに対し、アメリカ版では、主人公=弁護士のWASP家族=けっこう高い vs.ヒロイン=ヒスパニック系でランドリー屋の娘=かなり低い、という全く反対の位置関係なんですよね。アメリカでランドリー屋といえば、移民でもまだまだ一世の職業でして、ランドリー屋の娘というだけで彼女がいかに底辺の世界にいた人なのかを物語っているといワケなのです。だから最初にヒロインの女優がJ LOだと聞いた時にはかなり抵抗のあった私ですが、ヒロインがランドリー屋の娘であるという設定を聞いてしまうと、もう彼女以外のキャストは考えられないです。彼女ほど、今のアメリカ社会においてヒスパニック系のアメリカンドリームを体現している人はいないのですから(ま、個人の好みは別として…)。他にも、サブキャラにゲイとか太目の黒人とかアル中の中年女性を入れるトコなんか、いかにもアメリカのダイバーシティーを出してる!とゆ〜、ある意味ミラマックスの十八番が存分に発揮されている作品でもあるワケです。
もう一つ、この二つの作品の違いでとても興味深かったのは、両者の脚本家が一方は男性であり、一方は女性であるということ。だから、家族の描き方、特に妻の描き方がまるで違っていたのでした。コレは周防監督の本の中でも指摘されていたことですが、ラストの〆だけでなく、家族の設定そのものを大胆に変えた脚本家の勇気に敬意〜。何と言ってもコレぞ本来リメイクの極意なのですからね〜〜〜。
最後に。言うまでもなく、あの二人のタンゴシーンは素晴らしかったです。ココでも文化比較論をぶっちゃえば、延々書けそ〜な気がするけれど、このシーンに関してそれは野暮ってモンかもしれません(^_^;)。
May 07, 05 恵比寿ガーデンシネマにて
『Rushmore(邦題:天才マックスの世界)』『ザ・ロイヤルテネンバウムス』以来、大のW・アンダーソンファンの私は、喜び勇んで初日に観に行ったのですが、う〜〜〜ん、なんかフツーの映画だった(ラストの欧州映画祭批判はよかったけどね)。もしかして、これが最初のW・A体験ならモノ珍しいと思う人もいるかもしれませんが、今回は、彼独特の映画全体に流れる”トッポさ”も、ビル・マーレーのいかがわしい悲哀も何っか中途半端にパワーダウンだった感じ。とにかく費用だけはかけてる〜っていうのがよく分かったので、少したるんだか???W・A氏は、やっぱ大作じゃなくてあくまでも怪しいインディー映画を作っていってほし〜です。
May 01, 05 ヴァージンシネマTOHO六本木ヒルズにて
スコセッシ監督に、ディカプリオ主演ということで、『ギャング・オブ・ニューヨーク』の再来か?と懸念感いっぱいだったのですが、観てみたらぜんっぜん違う〜!!!特にラストの方の裁判シーンなんて全然スコセッシじゃないんですよ。あの辺り観ててホントぞくぞくした。「アレ、このぞくぞく感ってどこかで…?」と思ってたらなるほど〜。最後のクレジットにマイケル・マンの名前が。いっちばん最初の企画段階から関わっていたそうで、なんだ〜”そういう映画”って知ってたらもっと早く見に行ったのに。主人公の魅力はまるでなかったけど、こうした反骨アメリカ映画がアカデミーの土俵に乗るってことは、まだまだアメリカも捨てたもんじゃないな〜って思いました。ハイ。
May 01, 05 下高井戸シネマにて
いや〜、久々に素直なハリウッド映画を見たという感じです。冒頭の劇シーンからワクワク感100%。普段は苦手なジョニー・デップにも好感が持てたし、ケイト・ウィンスレットも相変わらずイイ。子役もウマイんだけどね〜。彼はすでにあちこち出すぎな気が…(^_^;)。ま、ホント久しぶりに出来のいい王道映画を見せてもらいましたです。ハイ。
Apr 30, 05 下高井戸シネマにて
いわゆる良質の教育映画という感じでした。ドキュメンタリー作品としては、そんなにスゴイ!というワケでもないのですが、とにかく”学ぶことの原点”を考えさせてくれる映画です。”学ぶことの喜び”、”助け合うことの素晴らしさ”、”スタートは何歳になっても”みたいなポジティブ思考が、身体の中からどんどん湧きあがってくるような作品でありました。
Apr 23, 05 下高井戸シネマ:ドキュメンタリー映画祭にて
一昨年の山形ドキュメンタリー映画祭、オランダのドキュメンタリー映画祭、そして昨年のサンダンス映画祭での噂を聞いて以来、ず〜っと観たかったこの作品。想像していたよりも10倍も素晴らしくてひたすら感嘆してしまいました。内容は、スパイ容疑などで30年以上も長期収監されていた北朝鮮出身のハラボジ(おじいさん)達を、彼らが出獄してから北朝鮮へ送還されるまで、10年以上に渡り、寄り添いとらえ続けたドキュメンタリー。
2時間半という長い上映時間中、考えさせられたことが二つありました。まず一つ目に、ドキュメンタリー映画というのは、作り手が右であれ左であれ、南であれ、北であれ、自身のステータスを作品の中に出さなければ成り立たないものですが、この監督は最初から最後まで、政府=南よりでもなければ、かと言って北よりにもなりきれない自分に戸惑いを感じています。けれども実は、そのつつみ隠さず露になった彼の心の中の“揺れ”こそが、この映画の最大の魅力になっているのです。対象である”非”転向の長期収監者達を英雄視するわけでもなく、韓国政府だけが全て悪いという一元的な描き方をしているわけでもない。捉えるべきは南北問題だけなのではなく、日韓・日朝問題、そして米朝問題があり、米韓問題があり、多面的に捉えていかなければ本質は見えてこないということなのです。
それでも、この映画は従来の告発映画にありがちな”批判””批判”の部分(北も悪いし南も悪い。日本も悪いし、アメリカも悪い)には殆ど時間を費やさず、むしろ、”人間を信じる”という肯定的な部分に光を当てています。これが私の唸った二つ目の部分。長期収監者達は、北から来たというだけでなく、30年以上もの間その意志を変えなかったというだけで、普通の人から見れば頭がおかしいのじゃないかと思われるはずですが、地域の人達(文字通り老若男女のフツーの人達)は、その数年間のうちに、本当に彼らのことが好きになってしまっていたのです。いまどき老若男女を集めてピクニックや食事会を催す自治会なんていうのは、日本ではもう珍しくなってしまったので、そのあたり日本人にはリアリティがないかもしれませんが、結局人間が人間を信じるという部分に終始するくだりは、十分にユニバーサルなものとして世界中の人に通じるはずだと思います。ハラボジの一人が、監督を「正直者で息子のように思っていた」といい、それによって監督がこの映画の編集開始を決意したというあたり、この作品のテーマが、決して長期収監者達の労苦告発や政治声明でないことは明らかでしょう。
内容の良さもさることながら、ドキュメンタリー映画としての力量も非常に高度なものでした。2時間半があっという間で全くたるみがないし、隙なく無駄なく編集されていた秀作だと思います。
実はこの作品、この映画の中に登場する実在した長期収監者達を主人公にしたドキュドラマ『The Road Home』とペアにして、私がプログラミングを担当している“コリア映画祭 in EXPO 2005”で上映しようと真剣に思っていた時期もあったのですが、先月までに観るチャンスがなかったので諦めてました。ホントやりたかったな〜(>_<) 韓国では、それまでドキュメンタリー映画の興行記録第一位であった『ナノムの家』の記録を抜いたとも聞きましたが、日本ではいまだ劇場が決まらないそうで。嗚呼ホントはがゆいです。世界中の一人でも多くの人に観て欲しい、本当に素晴らしい作品でした。
Apr 23, 05 下高井戸シネマ:ドキュメンタリー映画祭にて
同じ日に観た『送還日記』の衝撃が強すぎて…(^_^;)。ん〜、癒し系の環境映画、または文部科学省推薦の学校映画として観れば、よく出来てるんじゃないでしょうか。確かに彼女の歌声は個性があるし、夫や家族の話も面白い。けど…それだけだったなぁ。もう少し歳をとったら、その良さが分かるかもしれませんけれど…(^_^;)。
Apr 20, 05 銀座シネパトスにて
私としては、オタク的に大好きなソン・イルゴン監督待望の新作(とは言っても、去年のフィルメックス映画祭でもうやってましたけど)。う〜む、彼はこれだけ乱立する新世代の監督達のなかでも、すでに独特なカルト的ステータスを確立しましたね。ストーリー自体は正直よくわかんなかったんですが、明らかに彼の世界観の完成が見てとれる。謎めいた二人の男女もいい〜。『魚と寝る女』で強烈な印象を残した彼女も、また違った魅力を見せていたし、主役の彼もいいなぁ〜。決して華があるというわけじゃない所が魅力なのね。心なしか、『A Smile/微笑』で俳優として出演しているソン・イルゴン監督に雰囲気がそっくりなんです〜。もしかして、この映画って監督自身の体験とか(願望とか?)が、強く反映されているんですかね〜〜〜???
Apr 16, 05 新宿武蔵野館にて
本年度アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞作品。偶然なのか、やっぱりアカデミー会員はこの手のネタが好きなのか、去年の『みなさん、こんにちは』と全くおなじ”安楽死”がテーマ。ただ、こちらの方は、より強く”死ぬ権利”が主張されています。もしも彼が、弱くて強靭な意志も持たず、ただ”逃げる為だけ“に死を選ぶのだとしたら、彼の死は誰にも受け入れられないでしょう。けれど、彼がたくさんの愛に包まれ、また彼自身も一人の女性を愛していたというストーリー構成は(どこまでがホントでどこまでが付け足しなのか、私には全くわかりませんが)、とにかくウマイ。脚本も担当したアメナーバル監督の力量はやっぱりハンパじゃないです。主人公が寝たきりで何も出来ないという、映画の元ネタとしては致命的な設定をモノともせず、あれだけのリズム&テンポとスケール感を出すという彼の才能には、全く感服の一言につきますデス。まぁ、ハリウッドが引き抜く気持ちは分かるけど、やっぱ自国でもっともっと頑張って欲しいなぁ。ハビア・バーデムだけじゃなく、スペインにはあんなに沢山素晴らしい役者陣がいるのだということ、もっと世界に発信していって欲しいと思います。
Apr 10, 05 TOHOシネマズ六本木ヒルズにて
いや〜。好みで言うと一番というワケではないですが、質の高さに感嘆!という意味では、今年一番の映画ですね〜。去年、NYに住む映画オタク達がこの映画をこぞって2004年度No.1と言っていたのがめちゃ頷ける〜〜〜。またまたやってくれました、アレクサンダー・ペイン監督!!やばいなぁ、このままで行くと、久々に“好きな監督”のリストに入れなきゃかもです、コノヒト。
とにかく、『Election(邦題:ハイスクール白書)』『アバウト・シュミット』と、主人公の年齢・タイプ・ストーリー展開が全部まったく違うのに、彼の映画とゆ〜のは、一環して社会から少し落ちこぼれた人達を、あくまでもリアルに、それでいて突き放さずに暖かく描いているのですね。コレって出来そうでフツーはどっちかに偏ってしまうモノなのですよ。リアルばかりで描けば観ている方は身に詰まされてしまうし、暖かく描こうとすると現実味のない御伽噺になってしまう(それはそれでけっこう好きでもありますが)。両方をバランスよく巧みに描いている人って、いそうだけどほんっと少ないんですってば〜。
『アメリカン・スプレンダー』でハービー・ピーカーのイメージが焼きついたかの様だったポール・ジアマッティですが(私はそれより『ストーリー・テリング』のダメなドキュメンタリストの彼の方が好きだったりします)、いやいやどうして、この映画の彼の演技のじんわ〜りした深い味。彼のナイーブさとインテリジェンスとを内に秘めた荒々しさが、まるで熟成したワインの様にしみじみとフィルムに焼きついているのですね〜。そして、意外や意外!相棒役のトーマス・ヘイデン・チャーチはもっと良かった。それこそ“アホなアメリカ”を身体全体で体現しながら、どうしても最後の所では憎めない。このおかしな組み合わせの男同士の友情が、妙に説得力を持っていたのは、一重に彼の魅力に負うところが大きいです、ホント。
もちろん、発表する作品全作品が脚本賞にノミネートされているペイン監督の映画ですから、一番の見所はやっぱりその台詞の応酬。翻訳者の方(古田由起子さんでしたっけ?は、相当苦労されたことと思います。嫌味で正反対のことを言ってる台詞が多いので、それをマトモに直訳したのでは話の流れがめちゃくちゃになってしまうんですよね。ある意味、アメリカ人が観ても100%通じない所があったんじゃ…(^_^;)
前作の『アバウト・シュミット』に続いて、結婚前のゴタゴタをリアルに描いたペイン監督。自身も今回出演している女優のサンドラ・オーと結婚した時にいろいろとあったんでしょうか???次の作品のテーマは…?今からもぉ待ちきれないですぅ〜〜〜。
Apr 09, 05 下高井戸シネマにて
う〜ん、期待大きすぎたなぁ。とにかくアメリカ人の友達から「このアニメ、絶対いいから絶対に観な!」とずっと言われていたのですが、私的にはダメでした。ま、彼は宮崎アニメとか日本のアニメが全然ダメな人なんで、もともと趣味がまるで違うとは思うのですが。まず、ストーリーなさすぎ、キャラクターのキャラもなさすぎ。結局は欧米のアニメってビジュアル優先なのね。う〜ん、ま、いいけど…。
Apr 02, 05 品川プリンスシネマにて
ほんっとに久々の非韓国映画(^_^;)。いやはや去年の今頃からず〜〜〜〜っと観たかったチャーリー・カウフマン&ミッシェル・ゴンドリーの新作。さすがに彼等のこれまでの映画世界を踏襲してはいるのですが、やっぱり随分と赴きの違う作品になっていました。第一にまずそのキャスティングね。観るまではC・カウフマンにジム・キャリー???と思ったけれど、5歳の回想シーンを演じられるのはそりゃ〜彼しかいないでしょ(^_^;)。おそらく彼のキャスティングはそこが一番の決め手になったと思うんだけど、いやはやその他のシーンも含め、彼はそれこそピッタリのキャスティングだったな。…っていうか、私ってどちらかと言えばジム・キャリーってキライな方だったのですが、うう、この映画ではもぉメロメロだったなぁ。彼ってあんなにせくしーだったの?ケイト・ウィンスレットのオレンジ&ブルーヘアもかなり決まっておりました。
うう、それにしても切ない。やっぱり惹かれあう男女には説明の出来ない何かがあるのですね。別れても、お互い記憶を消してもまた一緒になってしまうという件は、いつもの独特なファンタジーにも見えますが、今回はラストがすっごく現実的。やっぱり完璧なカップルなんてこの世に存在しない。お互いがお互いを疑い、イライラし、投げ出してしまいそうになるけれど、結局は理屈のない所で相手を受け入れ、笑い飛ばしてしまう所が本当の愛情なんだなぁと改めてつくづく思わされてしまいました。ある意味、ここまでリアルに男女の愛を描いた映画ってのもこれまでなかったのではないでしょうか?そういった意味でも、ホント貴重ですよ。この作品は。
NYのFOCUSピクチャーズという私には馴染みのあるプロダクションが制作したので、エグゼクティブ・プロデューサーがガッコの先生とか、10年前にとあるNYのインディー映画で一緒に仕事した撮影監督がこの映画のカメラマンだったので、別の意味でも感慨無量の作品でした。C・ノアー出世したね〜〜。
最後に。私ってこの映画の日本版予告編を観ていないのですが、今回一緒に観に行った友達は予告編を観て、この映画がベタベタのラブストーリーだと思っていたそうです(^_^;)。そうやって宣伝にダマされて観に行ったカップルはゴマンといるんだろうなぁ。けど、この作品はダマされても決して「金返せ!」的な作品でないことは確か。むしろ「思ってたのと全然違ってたけど、よかったね」とゆ〜感想が圧倒的なのではないでせうか。そういう意味では、ダマしの宣伝もある意味必要悪なんじゃないかな、と思ってしまった私でありました。
Apr 02, 05 韓国文化院にて
伝説の名画『アリラン』の完全リメイクバージョン。これが10作目のリメイクだそうですが、弁士のナレーションやチャップリンばりのコマ送りなど、サイレント映画好きにはけっこうたまらない作品のつくり。『桑の葉』をはじめ、数々の芸術作品を演出して来た監督の作品であるだけに、ある意味オーソドックスとも言える手法が、ここの所韓国のニューウェーブ作品ばかりをたて続けに観て来た私にとっては新鮮だったかも。韓流ブームまっただ中の今だからこそ、こうした日帝時代を描いた作品を改めてじっくりと観る機会も必要なのじゃないかなと思います。
Mar 29, 05 109シネマズ名古屋にて
いやぁぁぁぁ〜、面白かった。単なる若いイケメン二人の学園モノだと思っていたけど、映画として面白いっっっ!その冒頭とかクライマックスのアクションシーンは相当香港映画を意識しているし、けっこう(というかかなり)少女マンガちっくなストーリー展開もよいし、細かい所の映像センスも若いよなぁ〜。
イケメン二人はさておき、その二人を虜にする眉毛極太の彼女がいいわぁ。演技もウマイし、雰囲気もいいね。今後の作品を選べば第二のぺ・ドゥナも夢ではありません。男のコ二人で言えば私は断然カン・ドンウォン派です。なんかマンガみたいにか〜い〜のね。うん、今後の彼にも注目です。
それにしても、こんなにいい作品なのに(最後は泣かされたぞぉ〜)、興行的にはヒットしてないんですよね。同じ時期にやってる他のイケメン主導の韓国映画よりずっといい出来なのになぁぁ…。
Mar 20, 05 上野スタームービーにて
たまたま上野に用事があってふらりと入った改装館。同じ日に新宿では1500人の観客が列をなしていたというのに、夕方の回でガ〜ラガラ。いやそれにしてもヒドイというかつまんないというか、なんでこんな映画にお客が飛びつくのか私には分かりませんです。私的にはクォン・サンウより、ソン・スンホンより第三の男の子(けど、ストーリー的には彼が主人公だったんじゃ???)が一番アピールしてましたよ。こんなオタクな私だから、イケメン映画ヒットの法則が理解出来ないんだろうなぁ(^_^;)。
Mar 19, 05 下高井戸シネマにて
う〜ん久々の日本映画、しかも時代劇。実はその殆どの部分を飛行機の機内で見てしまっていたのですが、大スクリーンで観ると改めてその映像の重さと美しさが見えて来るモンですね。松たか子は、先月『コーカサスの白墨の輪』で、生の演技を観ていましたが、やっぱさりげなくウマイんですよ。まぁ、ある意味それ以上のモノもない気がするけれど。他のキャストも皆そつなくうまかったです。そうそう、山田監督の作品って皆そつなくうまいんだよなぁ。そこが私には物足りない部分かも…。
Mar 13, 05 ユナイテッドシネマとしまえんにて
いやぁ〜〜〜。泣いた泣いた。でも、その映画そのものに対してではないのです。実際、映画全体は私にとっての二流監督が演出していたのでもったいないなぁと思いながら観ていたのですが、私的にはその脚本が素晴らしかった!波乱万丈の彼の生涯を歌を絡めつつ一つにまとめ上げたその手腕にも脱帽でしたが、それより何より細かい台詞のウマさ。夫婦の会話、ビジネスの会話、親子の会話、友人との会話etc...そう、起こる事には何の変哲もない。誰もが知ってて、誰もが体験する事の繰り返し…けど、「そう言うか!」みたいな台詞がてんこ盛りだったんですよね〜。例えば、妻の夫に対する不満。麻薬と仕事に溺れた夫に怒りをぶつける妻の台詞なんてゆ〜のは、これまで何万何億の映画で描かれて来たことなのに、妻のあの冷静な台詞に脱帽!コレはそんじゃそこらの脚本家に書けるモノではないですよ〜。
レイ・チャールズのファンにとっては、おそらくツッコミ所満載の映画なんでしょうけれど、彼のことを殆ど知らない私にとっては、入門編としてとてもよい作品でありました。個人的には、後期の作品より前期の「メス・アラウンド」とかが好きですね〜。
Mar 05&06, 05 シアターイメージフォーラムにて
『スパイカメラ』 今回の映画祭で一番話題だった一作。実際、最初の1時間はちょっとグロくて(真夏に汗だくの男二人が部屋に閉じこもっている)うわ、ずっとこの調子だったらどうしよう?と思っていたのですが、後半ぐぐ〜っと盛り上がって来ました。後のトークショーでコレが実話に基づいたストーリーだったと聞いた時は愕然。それにしても、ファン・チョルミン監督よく喋ってましたね〜(^_^;)。
『シン・ソンイルの神隠し』 おそらく長編の中では一番完成度の高い作品だったのではないかと思いましたが、私の好みではないなぁ。ただ、さすが心理学部出身とあって、独特の心理劇と宗教観には興味が持てました。
『資本主義党宣言〜万国の労働者、蓄積せよ!』 う〜ん、そのアングラ演劇風な構成がとぉ〜っても私好み。ちゃんとしたストーリーにはなってないのに、各シーンにいろんな意味がこめられていて、何度も観たくなってしまう感じ。「パリの恋人」ブームを彷彿とさせるブタの貯金箱パロディにもうぷぷ。インディ映画界ではすでにカリスマ的存在のキム兄弟。う〜ん、これからの作品に大注目でっす!
『20のアイデンティティー』 昨年の東京国際映画祭で順番の違うバージョンを観ましたが、やっぱ並べる順番って観た感想の違いが大きいですね〜。今回はテンポのよい『秘密と嘘』で始まったので、リズム感がありました。それにしても、改めてポン・ジュノ監督は天才だなぁ。彼の作品へ来ると一気に劇場の空気がふっと変わるんですよ。20作品のうちで彼のモノがダントツにいい出来であるとゆ〜のは、ほぼ満場一致の意見って感じでした。
最後に。6日、5人の監督を招待してのシンポジウムがあったのですが、なかなか面白かったです。モデレーターは、去年のフィルメックスに続いてのトニー・レインズ氏。テーマは「80年代まで政府批判がその役割の大半だったインディー映画にとって、今後“闘うべき対象”とは?」…けど、80年代をよく知るファン監督を除き、90年代以降に出てきた若い監督の興味はあくまでもメジャー映画界なんですよね(^_^;)。ま、ソン・クァンジュ監督の言っていた「忠武路(前世紀まで韓国のメジャー映画界を象徴していた場所)は、脚本を重視しすぎるが、映画とは本来映像で語られるべきものである」という意見には考えさせられましたね〜〜〜。
『サマリア』 キム・ギドク監督の作品としては、一作後の『空き家』をすでに観てしまっていたので、物足りない感もありましたが、それでも彼の優しさがよく出ていた後半部分は好きでした。それにしても、女の子二人かわい過ぎ…。
『So Cute』 チャン・ソヌ監督の助監を続けて来た若手監督のデビュー作。主人公である父親をチャン・ソヌ氏が演じたことも合い間ってまさにもぉ、チャン・ソヌワールド炸裂でありました。そのしみったれ感といい、後半のクストリッツァ・タッチといい、私は大好きですね〜。まさにゆうばりファンタの為に作られた作品と言ってもよいくらい。今後の新作に期待です!!!
『人魚姫(邦題:初恋のアルバム)』 邦題からも分かる通り、まさに「初恋のきた道」韓国版。けど、さすが演技派パク・ヘイルとチョン・ドヨンの共演ウマイです。母親に対する愛情もたっぷり感じられて、心温まる一作となりました。
『マリ物語(邦題:マリといた夏)』 韓国アニメ界のナンバー1が制作したアヌシー国際映画祭グランプリ受賞作。けど、なんか「となりのトトロ」プラス「ネバーエンディング・ストーリー」÷2って感じで、ストーリーのオリジナリティは感じなかったです。
『阿修羅城の瞳』 いやはや、あまりのヒドさに口あんぐり〜でした(^_^;)。最近ノリにノッてるはずの宮沢りえもめちゃくちゃだったし、なんかもぉ、『CHASAAN』の時代モノ的なちゃっちさが満載でした。原作の芝居はさぞ面白かっただろうと思いますが…。
『北の零年』 これもヒドいことこの上なし。大体、北海道には何千年も前からアイヌとかいろんな人達が住んでいたのだから、まずタイトルのそのコロンブス的発送からしてポリティカリー・インコレクト。内容的にもアイヌの人達が観たら激怒するコトばかりで、とても北海道御当地映画にはほど遠く…。ラストでロケーションが変わりまくる辺りも、観客をバカにして作っているとしか思えません。う〜ん、こんなコト書いてることさえアホらしくなってくる程近年になくヒドイ映画でありました。
Feb 19, 05 下高井戸シネマにて
ファーストバージョンの完成から1年と2ヶ月、実を言うと「つまんないよ〜」という噂しか聞いてなかったのでかなり期待度が低かったのですが、それが良かったのでしょうか。よく出来た映画じゃないですかぁ〜〜〜。ま、天下の侯孝賢カントクにそんなモノ言いは失礼極まりないですが、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』以来、彼にかなり幻滅していた私だったので、殆ど期待はしてなかったんですよね。
ま、皆さん言う通り、な〜んにも起こらない映画です。けどね、シーンにまるで隙がない。殆ど職人技と思っちゃいましたね。そ〜いうスゴさをまるで気がつかせないところが巨匠のなせる技なのかも鴨。う〜ん、もぉこの人も巨匠の域に入ってしまったのかぁ。一青窈も浅野忠信も別にすごくい〜とは思わなかったけど、とにかく景色がよかったね。昔から大好きな神保町だけでなく、大学時代に住んでた鬼子母神周辺とか、実家のある高円寺とか、最近よく行く御茶ノ水とか。それと、蓮實重彦氏とか宮嶋プロデューサーとかのカメオ出演も粋でして…。
最後に。ど〜でもいいけど、この作品といい、時を同じくして発表されたやはり小津生誕100周年に捧げるキアロスタミ監督の『5〜Five』といい、ど〜して雷のシーンがあんなにリアルなんだろ???小津映画と雷のシーンなんておよそ縁のないモノだと思っていたのに、双方とも雷のシーンがほんっとに長くてリアリティばりばりでした(^_^;)。
Feb 16, 05 丸の内プラゼールにて
ちょっと期待度高すぎた〜〜〜。まぁ、よく出来た佳作ではあるかもしれないけれど、ひねりなさすぎ!!!新しさがぜ〜んぜんないのよぉぉぉ。まぁ、主役二人は期待通りにうまいし、ベテラン二人の演技もそつなくて。ジョアン・アレンはもぉ、うまくて当たり前の人だからなぁ。今の純愛モノってこの程度で受けるのかぁ〜???レベル低いよ〜〜〜。
Feb 13, 05 テアトル新宿にて
まぁ、メイキングってゆ〜のはこんなモンでしょうね。先に本編を観ていたので良かった。こっちを先に観てたら、あの幻想的なオフィス兼自宅の映像がみょ〜に生ナマしくみえちゃってたと思うし。それにしても、『父と暮らせば』ではあまり魅力的でなかった宮沢りえ、ここへ来てやっと天才〜っていうのが分かりましたです。
Feb 11, 05 ユーロスペースにて
いや〜、久々に切なくてお気に入りの映画に出会いましたです。正直“市川準キライ”“村上春樹キライ”“宮沢りえ…キライじゃないけど好きでもない”のマイナス点が三拍子揃った映画なので、絶対観に行かないと思ってたんだけど、あまりにもまわりの評判がいいし、海外の映画祭でもよい評を得ているのでダマされたと思ってみてみました。
ひえ〜、まずあの独特な映画のトーンが最初から最後までわっかり易く貫かれていたのがGOOD。イッセー尾形の“透明感”なんて一体誰が夢想しようかって感じですけど、これがまたドンピシャ(死語)。宮沢りえはもぉ、この二役をやる為に女優になったのかと思うくらい、他の女優サンでは考えられない役でしたねぇ。とにかく、透明…そして切ない。市川カントクって、こんな世界が描けるんですねぇ。いや感服。時間を置いて、もう一度観たいくらいの映画です。
Feb 10, 05 韓国文化院にて
15年くらい前からとにかく観たかった、実録ヤクザものの名作中の名作。とにかくその抑制の効いた情感溢れる演出がスバラシイ。今回観た35mmは、名ショットが無残にもたくさん切られていたのがホント〜に残念でしたが、今度完璧版のビデオでも観よっと。眉毛のない梅宮辰夫もスゴかったし、小林旭の演技もスクリーンで観るとやっぱ迫力あるね〜。
Feb 09, 05 岩波ホールにて
う〜ん、さすがの林権澤カントク、さすがのチェ・ミンシク&アン・ソンギという感じでよく出来た秀作で、そつなく出来てはいるのですが、それだけなんですよね〜。何もかもがウマ過ぎて残るものがない、という感じでした。私的には。
Feb 08, 05 新宿武蔵野館にて
グっ、グロい…。こんなに血みどろの映画とは思いませんでした。けどね〜、さすがのその才能に感服。これはもぅ、誰が見ても一目瞭然。そしてそして、とにかくもぉ、その衝撃の映像のオンパレード。目に焼き付いているシーンというのがいくつもある。かつて黒沢清カントクが言っていた「観終わった映画を語る時、そのストーリーを語ってしまう様な作品ではなく、目に焼きついた映像を語ることの出来る作品こそが真の映画作品である」…、この映画こそ、まさにその作品なんだと私は思います。
ソン・ガンホ、シン・ハギュン、ぺ・ドゥナ。この三人の素晴らしさは言うまでもなく、この悲しきカルテットの非情なこと非情なこと!!!この映画を観て、他の血みどろハードボイルド映画と完全に違うなっ!と思うのは、作者の残酷なまでのこの世界に対する“憐れみ”なのです。ここには善玉も悪玉もない。ロジックもなければ、救いもない。まさに諸行無常で非情の世界がここにはある。う〜ん、パク・チャヌクやっぱ天才だぁぁぁぁ〜〜〜。ある意味『オールドボーイ』は誰にでも観易いエンターティメントに仕上がってしまっているので、オタクな私にはこっちの作品の方がお好みです、ハイ。
Feb 05, 05 シネクイントにて
う〜ん、一言で言うと、“I didn't get it”の映画でした。つまりオチが分からなかったというのではなく、この映画全体の世界観がまるでピンとこなかった。一体この映画はな〜にを描きたかったのか???どんでん返しのミステリー?オシャレな男女の騙しあい?それともおセンチなヒューマンドラマ?これらが全部中途半端にミックスされていて、実にむずがゆかったという感じ。俳優陣の演技も、本来なら本音なのか嘘なのかのスレスレ演技がウリになっていたのでしょうに、なんがかどれも宙に浮いてて中途半端でしたね〜。残念〜〜〜!(古い?)
林権澤監督が、『酔画仙』↑の一コ後に作った近代史モノ。自伝的要素が強いということで、歴史的な背景も多分にパーソナルなモノになっていました。↓『マラソン』でいっぺんに虜になったチョ・イソンが主役だったのですが、う〜ん演技はうまいけど、あの童顔はどう見てもヤクザの親分ぢゃないでしょぉぉぉ〜(^_^;)。
う〜ん、キム・ギドクは進化している…なんて言ったら監督に失礼なのですが、テーマが同じでありながらどんどん進化していくのね〜。無駄はどんどん殺ぎ落とされていくし、“スタイリッシュ”の中の荒削りさ、幼稚さがどんどんなくなって行くのね〜。むしろソフィスティケイトされた純粋なるラブストーリーにどんどん昇華して行っているのです。今の純愛ブームなんか甘い甘い!コレが真の純愛ラブストーリーであると、私は全てのカップルに見せたいモノです。
それと、この映画を観て改めて思うのですが、キム・ギドクという人ってゆ〜のは、ホントにほんとに心の清らかな人なんですね。全ての女性の味方というだけでなく、全ての人類の味方なのではないでしょうか?う〜ん、なかなかいないぞ、あんな人、この世には…。って、すっごくパーソナルな感想になってしまいました…(^_^;)。
な〜んのことはない、ほのぼの兄弟モノです。ま、よく出来ているのであっと言う間に見てしまいましたが、それにしても韓国って〜のはよくもま〜こ〜同じよ〜なテーマを飽きずに繰り返すモンですな。素直になれない母と息子、そして兄と弟…。『ブラザーフッド』と同じくまたまた弟役のウォンビンは、今度はうって変わってガテン系の役所。でも兄弟のどっちかっていうのは必ず頭よくっていい大学に行くわけね。この作品では、シン・ハギュンがそっちの役でした。彼って顔は決してよくないのに、やっぱ魅力ありますね。『復讐者に憐れみを』とは真逆なのがコレまた面白い。これからが楽しみな役者さんです。
う〜ん、『殺人の追憶』のキム・サンギョン&『パリの恋人』のキム・ウンギョンが出ているという以外、何のウリもないラブストーリー。言ってしまえば3〜4回で済ませるテレビのトレンディドラマを駆け足で2時間映画にしたって感じでしょうか。ストーリーには何の新しさもないけど、やはり旬の二人が演じることによってキュートな作品にし上がりました。う〜ん、キム・サンギョンって、適度にお腹が中年太りしててやっぱ好みだなぁぁぁ〜。
Jan 28, 05 韓国:スカラ劇場にて(日本公開は秋以降)
ソル・ギョングの喋る日本語が何を言っているのか分からない…とさんざん聞いていたので、まぁ、思ってたよりは日本語がんばったじゃん〜と思ったのですが、けど最後の台詞何を言っているのか分からなかった…(^_^;)。う〜ん、ほぼ全編の日本語と吹き替えなしのスタントに臨んだソル・ギョングはえらいっっっ!けど、映画全体がちょ〜っと軽かったかなぁ。そんな悪い出来とは思わなかったけど、なんか期待していたような作品の重さはなかったです。めっけモンは中谷美紀。他のキャストだったら、最後のシーンは成り立たなかったと思う。藤竜也や萩原聖人もまぁまぁ、けどラストの山本太郎、あのオチはないんじゃないの???
それにしても、韓国でこの映画を観るってゆ〜のはある意味面白かった。やっぱ韓国の人にしてみれば、天下のソル・ギョングが延々と日本語を喋ってて字幕を読まなきゃいけないとゆ〜のは、あんまり面白くないですよね。公開後大ゴケしていたのも何だか分かる気がしました。果たして日本でのウケはどうなるのでしょ〜ね(^_^;)。
Jan 27, 05 韓国:ソウル劇場にて(日本公開は今夏以降)
いやはや、韓国の映画界にまたまた彗星の様な新人監督が誕生しました。とにかくウマいっ!なんてったって笑いのツボを押さえているのですよ。映像のリズムに“キビ”があるというか、タイミングをとにかく心得ている。私は勿論、言葉遊びで笑える程ハングルが分かるわけではないのですが、とにかく観客が5分に1回くらい笑っているの。で、そのうち3回に1回くらいはビジュアルで笑わせているから私も一緒に笑えるんですよね。とにかくそのツボがニクイ。お弁当の果物のシーンとか、雨宿りのシーンとか、etc, etc...
で、最後の1時間は、ある意味スタンダードなんだけど家族のお涙ちょうだい。劇場の半分近くの観客が泣いていましたね〜。とにかくキャストがいい。実はお笑いタレントだという母親役や、見事に知恵遅れの青年を演じきったチョ・スンウ。ん〜、なんてったって実在の母子をモデルにしているのですから、そのプレッシャーたるもの相当だったと思うのですが、あくまでナチュラルに、そして愛らしく演じていましたね。この手の役柄ってゆ〜のは、得てしてリアル感を優先させてしまう役者さんが殆どなのですが、彼は敢えてそれをせず、あくまでも主人公を愛すべきキャラに仕上げた。いやはや、若いのに感服でっす。観終わった後はあまりにも爽やかな気分になって、思わず真冬のソウルを地下鉄二駅分マラソンしてしまいました(^_^;)。
Jan 27, 05 韓国:ソウル劇場にて(日本公開時期未定)
面白かった〜。まず、パート1とまるっきり違う話になっているのにオドロキ。好みで言えば、アウトローで1匹オオカミだったパート1のキャラの方が好きだけど、映画全体で言えばパート2の方がよく出来ていると思う。
ソル・ギョングのキャラは相変わらず愛らしいけど、今回は前にも増してサブキャラが立ってたなぁ。特に部長さんっっっ!いっちばんいいなぁと思っていたら、ナント劇場の入り口に立っていて思わずサインもらってしまいました(^_^;)。この調子だとパート3出来そうですね。楽しみっっっ!
Jan 22, 05 ユナイテッドシネマとしまえんにて
いや〜〜〜、私にとっては生涯で観た日本映画のベスト5に入る1本になりましたね〜。まさに“こんな日本映画を待っていた!!!”という感じ。とにかく去年の秋から大絶賛の声をあちこちで聞きまくっていたので、期待はずれだったらど〜しよう?という心配もあったのですが、もぉ泣いた泣いた泣いた泣いた…。ラスト30分はとにかく涙でぐちゃぐちゃでよく分かんなかったです。
確かに一部の人達がいう通り、主役達の演技はヒドイし、ストーリーはシンプルでベタベタこの上ない、またバイオレンス映画が苦手な人にとっては目を覆うシーンの連続、そしてユニバーサルな映画の質という面では手放しでオススメ出来ない部分もある。けど、この映画にはそれを持ってあまりあるパワーがあるし、志があるし、監督だけじゃなく造り手みんなの願いが溢れているのデス。何てったって、私の好みなのよぉぉぉ、この映画。いや、いいわぁ。あと2回くらいはスクリーンで観たいかな。とにかくね〜、コレは大スクリーンを前に皆で笑って泣いて…というシチュエーションにぴったりの映画。今日初日の観客は殆どが年配の人達でしたが、60年代を本当に知っている彼等、もぉ泣いて泣いて泣きまくってましたねぇ。いやはや、何とか口コミで広がって欲しいモノです。
とにかくね、細かい所もよく作られているんですけど、そんな細かい所はど〜でもいいって感じなんだな。音楽の使い方とかすんごいベタベタなんだけど、それでい〜のよ、好きな人にはね。冒頭に書いた通り主役4人の演技はヒドかったけど、脇役陣は皆よかったなぁ。特に『血と骨』でもいい味出してたオダギリジョーは、今回もおいしい役どころ。そう言えば、先日フジテレビでやってたやはり在日が主役の2時間ドラマでも、オダギリジョーはおいしい脇役(=主人公の憧れる先輩役)をやってたね。3作の在日映画に同じ様な役所、コレってなんか偶然???しかも劇中で『悲しくてやりきれない』歌ってるんだよね〜。サントラ買わなくっちゃぁぁぁ。
ところでこの映画、89年に作られた『潤の街』というやはり日本人の男性と在日の女の子の恋愛映画に非常によく似たシーンがいくつも出て来るのですが、それから15年以上経ってこれだけスケールの大きな映画が作られるとは、つくづく隔世の感がありますね。『ゲロッパ!』では、ど〜しよ〜もなくダメダメだった井筒監督。いや、今回ばかりはホントにおそれ入りました。m(_)m
Jan 15, 05 新宿武蔵野館にて
ご存知の通り、コレは韓国政府が人権問題をテーマに出資して製作した短編映画集。う〜ん、短編・そして文化映画としてあなどるべからず。レベル高いわ〜〜〜。泣かされちゃったなぁ、もぉ。私的な順位は1)『その男、事情あり』2)『N.E.P.A.L. 愛と平和は終わらない』3)『顔の価値』4)『大陸横断』5)『神秘的な英語の国』6)『彼女の重さ』、けど、どれもインパクトから言ったら超一流の出来でしたよ。去年の東京国際で観た『20のアイデンティティ』といい、短編作品でこれだけの実力を見せられる…コレぞ今の韓国映画本当の底力を見せ付けてる作品って気がします。
Jan 12, 05 下高井戸シネマにて
先日行ったばかりの上海が舞台とは知らずに観に行ったので、いや〜もぉ馴染みある上海の景色にばかり見とれてしまいました。M=ウィンターボトムはあまり好きな監督ではないのですが、大好きなティム=ロビンスはせくし〜だったし、映画全体を覆う中途半端さにはけっこう好感が持てました。
Jan 09, 05 日比谷スカラ座にて
第一に日本語の分からない人と一緒に見た為、通訳してた分集中して観る事は出来ませんでした。けど、何だかいつもの宮崎映画じゃなかったな〜。ただのそつないラブストーリーじゃない???観た人達から「がっかりした」とか「よく分かんなかった」とか「キムタク最悪」という噂は聞いてましたが、その辺は覚悟していたせいかあまり気にならなかったです。それより、何だかまるでパンチがないのよね〜。その分逆にいろんな人に“見易い”映画だとは思うのだけれど…。宮崎氏、やっぱりもぉ引退した方がよいのではないでしょうか???いろんな意味で。
Jan 08, 05 下高井戸シネマにて
私は、『ウォーターボーイズ』とか観てないので比べ様がないのですが(でも『裸足のピクニック』は観たよ)、そつなく出来てる青春映画だな〜という感じでした。上野樹里はウマいんだけど、いまイチ華がないのね〜。それより、脇の女の子達の方が光ってたかも鴨。
Jan 05, 05 上海:大光明劇場にて---モーニングショー 5元
中国では人気の三人デュオがおりなすトークコメディ。さすがに何の字幕もなく会話劇を見るのはチンプンカンプンでしたね。それにつけても、中国で一番古い歴史を持つこの劇場。5元(=60円くらい)という破格の安さゆえ、観客の80%以上が高齢者でした。DVD全盛で映画産業の危うい中国ですが、朝っぱらから劇場で大声張り上げて笑ってるおじいちゃん、おばあちゃんの姿を観るのはなかなかいいモノでしたよ。
Jan 05, 05 上海:和平劇場にて---マチネ 50元
うわぁ、『煎作三宝』を観た劇場から歩いて5分のシネコン。こちらは中国語字幕つきで何と10倍の50元。けど、このカンフーハッスルを新天地の英語字幕つきでソワレの回に観ると90元なんですよね(^_^;)。
…で。『少林サッカー』を劇場で3回も観てしまった私としては、ちょっと期待はずれ。確かに思いっきり作りたいことを伸び伸びとやってるな〜っていうのはよく分かって、ある意味「よかったね」と言ってあげたい気持ちはあるのですが、やはり『少林サッカー』の脚本における緻密さや『喜劇王』における胸キュン感がないのぉぉぉっっっ!ま、それでもあの世界観はやっぱり好きなので、次回作が今から楽しみ。
実際、上海のスタジオで撮影した上海が舞台の映画だから、上海で観ることが出来たったゆ〜のは、個人的にはとても嬉しかったデス。チャウ=シンチーにとっても、これが初めて大陸で公開された映画ですから感慨深い作品になったのだろ〜と思います。
Jan 04, 05 上海:新天地劇場にて---レイトショー 70元
アンディ・ラウの最新作。英語字幕つきで観たので助かったぁ。話はね〜。すごく面白いんですよ。けど、出来はやばいっ!コレはまず日本で公開されることはないでしょうね。まず出だしがワケわかんないし、アクションシーンの見せ所なんかもかなりヤバイ。アンディ・ラウは良かったし、相手役の女優さんもまぁまぁ。最後はきっちり泣かされてしまいましたよ。コレはハリウッドでリメイクとかしたら、かなり面白い映画になると思います。ハイ。
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