評価の満点は5つ星です。
"Funny Games" - 「ファニー・ゲーム」****1/2
"Total Eclipse" - 「金環蝕」*****
"Japanese Devils" - 「日本鬼子/リーベン・クイズ」***3/4
"Austin Powers 3" - 「オースティン・パワーズ3」***3/4
"Chelsea Walls" - 「チェルシー・ホテル」 ***
「ファニー・ゲーム」****1/2 |
Written and Directed by : Michael Haneke
Starring : Susanne Lothar, Ulrich Mühe, etc
Official Site : English
TSUTAYAで借りたDVDにて
例えば、ペドロ=アルモドバル監督にとっての『オール・アバウト・マイ・マザー』の様に、一般に受け入れられ易い作品でブレイクする際、それまでのカルトなファンから「あんなの、今までのアルモドバル監督の世界じゃない」と両極端の評価を受ける作品は多々ありますが、私が今年すでに劇場で3回も観てしまった『ピアニスト』は、コレと全く同じ意味で、長年のハネケ監督ファンからあまりいい顔をされることがなかったという話を聞いたことがあります。う〜ん、確かに。ハネケ・ワールドは、『ピアニスト』なんてモンじゃ〜ないんですね〜〜〜。さらにキョーレツ・モーレツ、もうインパクト強すぎ…。ヨーロッパで物議を醸し出しまくり、上映禁止やビデオの不買運動まで起こったとゆ〜のは、ちょっと行き過ぎかなぁとも思いますけれど…。
『ピアニスト』と『ファニーゲーム』という二作品を観て明らかに断言出来るのは、ミヒャエル=ハネケという人が、“リアリズムの領域”においての天才であるということ。とにかく、すうっとこのオソロシ〜〜〜世界に引きずりこまれてしまうんだけれど、それがあまりにも無駄なく隙なく息つくヒマもなく…という感じ。
第一、 この作品に“BGM”がないとか“暴力シーン”や“死体”が一切ないだなんて、映画を全部観終わるまでぜ〜んぜん気が付きませんでしたよ。それだけリアリティがあるというか、いわゆるシーン的な盛り上げ〜なんか一切気にならなくなっちゃうんですよね。
後はもう、私がいちいち書くまでもなく、コワイお話です。どちらかと言うとリーダー格の男より、デブと呼ばれ続ける彼の方がコワイっすね。前半の卵のくだりはいかにもありそ〜で、ホントにうまい。第一この脚本、オリジナルだなんて信じられないくらいよく書けてる〜〜〜〜〜。途中の“リモコン・シーン”は、それこそ映画史上に残る程の興味深い稀有なシーンなんじゃないでしょうか。
後はやっぱり奥さんのうまさですね〜。順番が逆になっちゃったけど、『ピアニスト』を観た時、ほんの2〜3シーンしか出て来ないこの女優サン、なんかやけにウマイなぁ…と印象に残っていたし。でも、タイプとしてはイザベル=ユペールみないな細身だけど、やっぱしエリカの役には無理かなぁ…(^_^;)。
…とゆ〜ワケで、アメリカでは公開されたのに日本ではまだ劇場未公開(去年のPFFを除いて)の『コード・アンノウン』、主演ジュリエット=ビノッシュだし、観たいよな〜〜〜。嗚呼、ますますハネケ・ワールドにハマってしまいそうな私なのでした(^_^;)。
「金環蝕」***** |
Directed by : Satsuo Yamamoto, Written by : Kei Tazaka
Starring : Jyukichi Uno, Tatsuya Nakadai, Rentaro Mikuni, etc
国立近代フィルムセンターにて
ここのところ、ちょっと忙しくて感想を10日間もサボっていました。え〜、詳しく覚えていないなぁ、もったいない〜、こんな名作!!!
この映画、おそらく10年以上前に一度、リニューアルされる前の文芸座で観ていたんです。けどその当時、何かの映画特集で観ちゃったので『華麗なる一族』とか『戦争と人間』とか『人間の条件』とか全部いっしょくたに観ちゃったモンだから、正直どれがどれだか分からなくなっちゃっていたんですよね(俳優さん達、かなりダブって出演しているので…^_^;)。やっぱりこ〜ゆ〜名作は、一つ一つ噛みしめて観なきゃもったいないデスぅぅぅ。
それにしても面白いっっっ!おそらく前回観た時は汚職とか政治の裏側とかって、社会の授業で習ったくらいでしか知らなかったと思うんだけど、実際社会に出てから暫く経ってこの映画を観ると、すっごいリアリティですね〜〜〜。特に国会の委員会でのTVパフォーマンスを意識した質疑応答、コレなんて今始まったことじゃないんだな〜、30年前にこんなコトを面白おかしく描いていた映画がすでに在ったとは!!!
う〜ん、けど、何につけてもこの映画の一番スゴイ所は、これだけ人数の多い群像劇でありながら一人一人のキャラクターが面白過ぎるっっっ!!!中でもピカイチなのが、宇野重吉。後で聞いたのですが、あの付け出っ歯は彼本人の提案だったそうで、やっぱり本人が楽しんでその役になり切ってるのがよ〜〜〜く分かりますね。あのキャラは年齢を重ねてから観ると、実に興味深い。
それにコレ以上はないというくらいおチャラけた三國連太郎。こちらも他の映画ではあまり見られないよ〜な、面白おかしいキャラを演じています。仲代達矢の殆どオカマのよ〜な仕草も必見!京マチ子なんかたったワンシーンしか出てこないのに凄いインパクトだし、キャストの中で唯一若い峰岸徹にはびっくりしちゃいました。
…と、これまた寝不足で観に行ったので2時間40分はけっこ〜キツイのではないかと思ってしまいましたが、なんのなんの時計を観るヒマもなく、もうあっという間でした。とにかくテンポにリズム感があって飽きさせないっ!党の総裁戦で始まって党葬で終わるというはなばなしさも二重丸。まさに社会派エンターティナー山本薩夫監督の代表作と言うにふさわしい映画でしょう。今こ〜ゆ〜の作れる監督さんって、やっぱ原田真人監督くらいしかいないのかなぁ。『金融腐食列島:呪縛』はかなりその線に近づいてたと思うけど、今回再度『金環蝕』を観て、改めて山本監督の偉大さに感嘆してしまった私なのでした。
Riben guizi 「日本鬼子/リーベン・クイズ」***3/4 |
Directed by : Minoru Matsui
Official Site : English
渋谷シアター・イメージフォーラムにて
『プロミス』に誘ってくれた友達が先週観てきて、「もぉ、ぶっ飛んだよ〜〜〜」と勧めてくれたので、けっこう無理矢理観に行って来ました。その日は睡眠時間3時間しか取ってなかったので、ひたすらインタビューばかりが続く160分(予告編も入れると3時間)はキツイかな〜と思いましたが、やっぱり観に行って正解でしたね。
昨年のベルリン映画祭やトロント映画祭でこの映画が話題になってた時は、正直『鬼が来た!』とごっちゃになってて、「え〜、どっちがどっちだっけ???」くらいにしか思ってなかったんですよ。だから、LA(だったかな?アメリカでの国際映画祭です)で観たアメリカ人の友達が、「『Japanese Devils』って映画凄いよ!」って言ってた時も、てっきり『鬼が来た!』のコトを言ってるんだろうとか思ってて…(^_^;)。いやはや、『鬼が来た!』も『日本鬼子』もどっちもスゴイ映画だったわ〜〜〜。
まず、アンコール再上映にも関わらず、お客の数の多さと年齢層の広さに驚きました。コレってやっぱり口コミの威力ってコトなんでしょうね(格言う私も口コミで観に行った一人なのですが(^_^;)。
内容は一言で言ってしまえば、中国15年戦争:戦争体験のインタビュー集です。ただ、すでにご存知の通り、ここで語られているのは、被害者としての日本人ではなく、加害者としての日本人の立場ということ。勿論、加害者的立場からの証言を扱ったドキュメンタリーは、過去にもすでに幾つか作られているのですが、この映画ではとにかくとことんそれだけを延々をやっているんですよ。3時間近くもね(^_^;)。
この映画のある意味スゴイ所は、ひたすらひたすらインタビュー・インタビューのオンパレードなんですが(途中・途中に固っ苦しいTVドキュメンタリーみたいな戦時解説も挿入されてはいるのですけれど)、話す人達皆がもの凄く淡々と喋っているというコト。内容はめちゃくちゃ恐ろしいこと喋っているのに…。
ここで多分、下手に感情的になられちゃうと(泣き出しちゃったり、黙りこくったりされてしまうと)、観ている側はどうしてもその喋ってる人が喋りながら何考えているんだろう?っていう方に集中しちゃうじゃないですか。けど、そういうのが一切なくて、ただ内容だけを喋ってる。下手な再現フィルムもイメージ映像も何もない。そうなんです。だから観ている私達の頭の中では純粋に(?)、耳に入って来る内容が全てイメージされていくのですよ。う〜ん、こんなにコワイことはありません。拷問・処刑・略奪・レイプから人体実験まで、私の頭の中に浮かんでくるのは、まさに“地獄絵図”以外の何物でもありませんでした。
彼等のこうした残虐行為に対する捉え方は、大きく分けて二種類あると思います。一つは、事がここまでエスカレートしてしまったのは“日本社会の体質”に関係があると言うこと。数々の証言の中で印象に残ったのは、やはり大抵の新米兵達は銃剣を突き刺したり、ましてや人を殺すなんて出来ないというくだり。殆どの人が突き刺す一歩手前で止まってしまうのだそうです。母一人子一人なので助けて欲しいとすがる若者や、病気の子供の食糧を守ろうとする老婆の前で、良心の呵責にさいなまれた証言者達。けれど結局は殺してしまった彼等の脳裏にあったものは、“上司からの折檻”と“他の仲間達からの眼”でした。自分一人でいたならば、彼等は決して残虐なことなどしなかったでしょう。けど、遠征先での狭い日本社会、そして極端な序列社会の中では、自分を守る為にそうするしかなかった…。これら残虐行為の全ての根源は、タイトで閉鎖的な日本社会にあるのだ、とする見方もありましょう。
けれど、私はもう一つの別の見方を取ろうと思います。それは、“どんな社会に生まれ育った人達でも、ほんのちょっとのキッカケで、誰もが悪魔の様に残虐になるかもしれない”という、いわゆる普遍説です。それは、ナチのホロコーストにしても、アメリカの原爆投下にしても、同時多発テロ事件にしても、根源の所は同じなのかもしれないということ。私は、だからこそ、この映画を日本だけじゃなくもっといろいろな国の人々に観て欲しいなと思います。
そう、この映画は監督が日本人の戦争責任について糾弾しているわけでもなければ、証言者達が犠牲者に対して懺悔しているわけでもないのです。次元はもっと普遍的で、もっとより多くの人達に淡々と人間の性について警告しているとでも言う様な。名前が似ているのは偶然だけど、同じく“戦時下における日本の集団(魔が刺す)心理”を大胆かつ的確に描いた『鬼が来た!』と合わせて見ると、理解度は一層深まるんじゃないかと思います。
それにしても太平洋戦争中、日本人はアメリカ人とイギリス人を“鬼畜米英”と呼んでいたのに、自分達が中国人から“鬼”と呼ばれている事には気が付かなかったのでしょうか…。
ともあれ、この映画を観る時は、しっかりと体調を整えてから観ることをお勧めします。私の様に睡眠不足で観に行くのはもっての他ですが(途中二度ほど寝てしまった…(^_^;)、食事も適度に取っておきましょう。ホント、マジな話、この映画を観た後はめちゃくちゃ胃が痛くなるし、食欲も激減しますので…。
「オースティン・パワーズ ゴールドメンバー」***3/4 |
Directed by : Jay Roach
Starring : Mike Myers, Michael Caine, Beyoncé Knowles, etc
Official Site : English
渋谷東急文化会館にて
正直、この夏一番心待ちにしていた映画がコレでした(^_^;)。けど、一足先に公開されたアメリカでは“小ネタと駄洒落ばかりで…”みたいな評判が出ていたので、あまり多大な期待は抱いていなかったんですよね。それが良かったのかなぁ。お〜〜〜もしろかった!ま、勿論文句は沢山あるし、よく出来てる映画とはお世辞にも言い難いのですが、やっぱ映画館で友達や他の観客と大声だしてゲラゲラ笑うのってストレス解消になるわ〜〜〜(^_^;)。
まずこの映画を観るに当たっての絶対条件2つっ!1)出来るだけ前知識を付けないで観に行って下さいっっっ!(あ、でもパート1とパート2は可能なら観た方がいいかもしれません。前の作品との説明が一切ないので、初めてこのシリーズを観る人には分からない部分もありますよ)誰が出るとか、どういう風に出演するとか、この辺はサプライズであって初めて思いっきり笑えるので、絶対下手にネタバレ掲示板などは覗かないよ〜に!!!
その2)、絶対に上映時間開始に遅れないことっ!この映画のハイライトは、はっきり言って最初の10分です。この10分を見逃したら、チケット代払う価値ないぞ〜(…ってそこまで言うか?)。けど、何が起こるのかは、とにかく書きません。自分の眼で確かめませう。敢えて一言書くとすれば、この部分は自作に対する自作のパロディ。う〜ん、そお来るかぁぁぁっ!!!
その他の“見所”と言えば、“おかしな日本”のオンパレード。勿論、この映画はコメディ映画なので、細かい重箱の隅をつついてみるのは野暮ってモンですが、それにしてもな〜〜〜(^_^;)。やっぱこの映画っていうのは、アメリカのみならず、全世界のティーン・エィジャーが観ているワケですから、ひたすら富士山と高層ビルで誤魔化した日本のセット、アレが日本の姿と思われてしまうとちょっとツライぞぉぉぉぉ(東京のはずなのに背景に道頓堀が出て来たり、中華街のセットにゴジラが出て来たり、実在しない漢字もどきが出て来たり…)。
日本と言えば、いつもスモウ・レスラーが出て来たり、“フクミ(Fuck me)&フクユ(Fuck you)”なんてゆ〜、ナゾの双子姉妹が出て来たり、ワケのわかんないハイテク悪徳会社が出て来たり(社長役はナント、あのNYの超高級寿司レストランNOBUのオーナーだった!)、やっぱ日本のイメージってあんなモンなんでしょうかねぇ、いまだに。半世紀前と全然変わってないじゃんっっっ!
一シーンだけ、日本語が分かっちゃうと頭の混乱してしまうとっても興味深いシーンがありました。日本人社長がオースティン達に向かって日本語を喋るシーン、白地の英語字幕が入るんですけれど、画面上の字幕が入る部分の一部にわざと白いモノを写したりして、その部分の字幕を読めなくしちゃってるんですよね。けど、日本語の分かる人が見ると、字幕に頼らないで理解しちゃうから、そこはギャグにならないんです。その辺のギャップがめちゃ面白かった。このシーン、かなりのハイテンポだったので、もう一度観たいなぁ。
いや〜、字幕入れるの、ホントに大変だったと思いますよ。この映画も、最近の洋画に多く見られる様に、プロのコメディアンが字幕監修に当たっていたのですが、かなり苦労の跡が見られました。だって今回は、とにかく駄洒落・駄洒落のオンパレード。その上、字幕には文字制限がありますから、やっぱり飛ばしている部分は何箇所かありました。今は思い出せないけど、例えば「Behave」という台詞が何度か出て来て、後半は言葉のあやでかけてたりするのですが、字幕では最初から最後まで「おイタはダメよ」で通してたし、プロジェクトH(だっけ?)の名前が痔の薬にかけられてたりしたのは、映画が終わって一緒に観た友達に聞いて初めて分かったし。例えばタイトルのゴールド・メンバーが、元ネタの007ゴールド・フィンガーを文字ってるコトはお分かりかと思いますが、字幕にもあった様に“金の男根”の意味を持つ他、アメックスのゴールド・メンバーなんかにも全部かけているんですよね。その辺、パロディってゆ〜のは、背景が分かって初めて笑えるモノが多いから難しいと思います。
そうそう、前半で出てきたクラブStudio 69も、大抵のアメリカ人ならよく知ってるStudio 54のパロディなのですが、プラス4年前にマイク=マイヤーズが主演した『54』という映画と合わせて観ると、楽しみがより倍増します(『54』自体、名作とは言い難いですけどね)。
キャストについて、(カメオ陣を除いて)一番びっくりしたのがマイケル=ケーン。こっ、こんなおバカな役で出ちゃってい〜のかな〜〜〜。それにラストのオチ、何なんですかアレ???え?コレでこのシリーズ、もう終わっちゃうの???けど、フォクシー役のビヨンセは良かったよ〜〜〜ん。あ〜〜〜っ、もうかっこい〜〜〜〜!
それと、脇役陣で唯一気になったのがモール役のフレッド=サベージ。アメリカ人ならば知らない人はいないという一昔前のTVシリーズ、『ワンダー・イヤーズ』の子役をやってた俳優さんなんですよね。彼の“ホクロネタ”は、ちょっとくどかったけど面白かった…(^_^;)。
…とゆ〜ワケで、前作・前々作同様おバカ映画には違いないのですが、今回は駄洒落・駄洒落のオンパレード、しかも英語の駄洒落を無理矢理日本語にこじつけたモノが多いので、頭が疲れている時は観に行かない方がいいと思います。けど、冒頭シーンを観るなら、ビデオじゃなくてやっぱ劇場でしょ〜〜〜(^o^)。…といいつつ、このDVDは買わなきゃっ、と今から楽しみにしてるミーハーな私なのでした(^_^;)。
「チェルシー・ホテル」 *** |
Directed by : Ethan Hawke
Starring : Uma Thurman, Natasha Richardson, Mark Webber
Official Site : English
新宿テアトルタイムズスクエアにて
この映画は一言で言って、“ポエム”です。まぁ、コレって、私からするとあまり褒め言葉とは言えないかも鴨。“映画には起床転結があって、ぞくぞくする様なエンターテイメントがあって…”というモノを期待してる人は決して観に行きませんように(^_^;)。私の場合、観に行った動機がまるっきりこの作品のクオリティに関するモノではないので、大した出来でなくとも「ま、こんなモンでしょ」って感じだったけど、それなりに期待して1000円〜1800円払って観に行く人にとってはけっこ〜「金返せ」的な映画かもしれませんよ(^_^;)。
私がこの映画を観に行った理由は2つ。この映画のスタッフ、そしてキャストに興味があったというただそれだけ。
この映画の製作を手がけたのは、『ボーイズ・ドント・クライ』や『ハピネス』等、NYのインディー映画製作ではグットマシーンと肩を並べる程のプロダクション会社であるキラー・フィルムス。特にクリスティーン=ヴァシャンのプロデュースする作品は殆ど見逃さない私なので、この作品は要チェックでした。
で、キラー・フィルムス絡みということで、キャストが皆私の大好きなNY系の役者さんばっかなんですよね。まず、筆頭に上げなければならないのが、『ストーリー・テリング』や、『ララミー・プロジェクト』のマーク=ウェーバー。もうこの映画を観に行った90%くらいの理由は、彼の新作をチェックしたかったってコト。う〜ん、これまでは殺人犯とかアホな高校生役とか、クセがあってふて腐れてばっかの役だったけど、今回初めて彼の極上な笑顔を見ることが出来ました。わぉ〜〜〜、かわい〜〜〜。やばいよ〜、コレじゃけっこう人気出ちゃうじゃんっっっ!とにかくオタクで人気が出ちゃうとすぐにファンをやめちゃう私にとって、今回のこのかわい系の役はちょっと悔しかった気も…。まぁ、それでもチンピラの役なんだから、まだまだメジャーでもないか???
ちなみに彼女役をやったロザリオ=ドーソンは、『メン・イン・ブラック2』でヒロイン役をやって今一気にメジャーなので、彼女に吊られて観に行く人もけっこういるのかもしれませんね。ちなみに彼女も、最初に有名になったのは、同じくキラー・フィルム製作の『KIDS』。はっきり言って、この二人のキャスティングはキラー・フィルムス&グッド・マシーン絡み(この二つはよく共同製作をやってます。ちなみに)であることは間違いありません。
そして、監督であるイーサン=ホーク絡みで出演のウマ=サーマンとロバート=ショーン=レナード。U=サーマンは奥さんだから今さら言うまでもないですが、私は『TAPE』で、この二人と共に密室の三人劇をこなしたR=S=レナードの大大ファンなんですよ〜。もっとも彼の場合、『氷人来る』とか、『Invention of Love』など、お芝居で観る彼の方が好きなのですが。
あとは、やはり芝居系で大好きなナターシャ=リチャードソン。出番が少なかったのがちょっと不満だったけど。だって確か去年のカンヌで、この『Chelsea Walls』の主演女優として参加したのは、彼女だったと思うのですけれど…。
私がNYに住んでいた時、街で見かける回数の一番多かったのが実はイーサン=ホークでして、詳しく何処に住んでいるのかは知りませんが、私がよく洋服を買いに行った14ストリートから23ストリート、つまりこの映画の舞台であるチェルシーを徘徊していたってコトは、きっとあの近所に住んでいる(た?)のでしょう。
ここ1〜2年、チェルシーにはどんどんと新しくて大きなビルが建設されていまして、おそらく後3〜4年したらまるっきり違う雰囲気の街になってしまうと思うのですが、確かに7〜8年前までのチェルシーには独特の退廃した雰囲気が漂っていましたね〜。チェルシーの中心、23ストリートをハドソン河岸の西端まで行くと、昔ながらのギャラリーやクラブが沢山あって(注:ここ数年でオシャレなギャラリーやクラブがどんどんオープンしているので、今は大分違います)、雪なんか降った日には地下鉄の駅が遠いので、ひどく寂れた所に来ちゃったな、みたいな独特の雰囲気がありました。5〜6年前だったか、アーティストの友達が奨学金でチェルシー・ホテルに入れるかもしれないという話をしてくれたこともありました。あのホテルがいかに伝説的なホテルであるかもね。そう、奨学金をもらってあそこに住んでいるアーティストは今も存在しているのですよ。一度だけ中に入ったことがありますが、映画に出てくるみたいに、ホント汚かったなぁ。その後、下にあるレストランで食事もしたのですが、何の変哲もないレストランだった。けど、連れて行ってくれた友達はすっごく興奮していましたよ。それくらいアメリカ人やアーティスト達には有名な場所らしいです、あのホテルは。
まぁ、冒頭に書いた様に、この映画は“ポエム”だと思って観て下さい。これと言ったストーリーもないし、散文的なオムニバス。結局イーサン=ホークは、この雰囲気に酔えるだけのイメージピースを作りたかっただけなんだろうなぁ。ま、好きなモノを好きな様に作るのはいいんじゃないっすか?その割にはあまり力強いモノを感じたワケでもないので、周りからけちょんけちょんにされたのも分からないではないですが(^_^;)。
…と言うワケで、この映画は、よっぽどチェルシー・ホテルに思い入れがあるか、キャストの誰かのファンでもない限りお勧めしません。私は個人的にどっちにも思い入れがあったので、満足でしたけどね(^_^;)
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