評価の満点は5つ星です。
"Border Line" ****
"Crazy English" 「クレイジー・イングリッシュ」***1/2
"Star Wars: Episode 2" 「スターウォーズ:エピソード2」***3/4
「あらかじめ失われた恋人たちよ」***3/4
"The Last Tango in Paris" 「ラスト・タンゴ・イン・パリ」***
Written and Directed by : Sung Il Lee
Starring : Tetsu Sawaki, Jun Murakami, Ken Mitsuishi, etc
Related Site : PFF
ぴあフィルムフェスティバル2002にて
*マークを4つも付けてしまいましたが(満点は5つ)、実際、フィルムメーキング的点数や脚本の構成などは*マーク3つくらいかなって感じです。総合点が4つなのは、単に私がこの映画を好きってだけの話ですね(^_^;)。
ちょうど2年前のぴあフィルムフェスティバルで、グランプリをはじめ四冠を獲得した『青〜Chong』の李相日監督待望の長編映画デビュー作。まず始めに全体の印象から言ってしまうと、「前作とは全然違う!!!」というモノでした。『青…』の感想にも書きましたが、私が前作でこの監督のフィルム・メーキングにまいってしまったのは、その“すがすがしさ”と、それに相反するかの様な“しっかりした構図”であったのです。ソレがこの作品には殆どと言っていい程見受けられなかったので、その部分はある意味“期待ハズレ”だったと言えるかもしれません。
とにかくこの映画、全体の90%近くのシーンで“天気がめちゃ悪い”んです。『青…』を観た時、文字通りその空の青さが非常に強く印象に残っていた為に、このギャップにはオドロキました。あまりにも驚いたので、監督に「わざと天気の悪い日ばかりを選んで撮影したんですか?」と聞いたら、「いや、それはたまたま天気が悪かったんだけど、僕のバイブルはデビッド=フィンチャーの“セブン”だからねぇ。ああいう感じを出したかったと言えば、出したかったかもしれない」と答えていました。デ、デビッド=フィンチャー???そ、それは意外でした。あと、クローネング監督なんかも好きなんだそうで。う〜ん、『青』からは想像も出来ない傾向ですね〜〜〜(^_^;)。
それと、他の人が聞いていたのですが、その人が言う様に、この映画って内容とか雰囲気が確かに『害虫』とか『リリィ・シュシュのすべて』に似ているんですよね。ソレは監督本人も、プロットを作ってからこれらの作品を観て「かぶさってるなぁ」、と思ったらしいのですが…。
あっ、またまた作品のストーリー紹介が遅れてしまいました(^_^;)。基本的なストーリーは、逃亡する少年、彼を偶然乗せてしまったタクシー運転手、ずっと会っていない娘を想う優しいヤクザ、天涯孤独で突っ張ってるその娘、夫のリストラでローン地獄に落ちてしまった逆ギレ(?)主婦などの群像劇。これらの人々が少しずつ絡み合い(または絡み合わずに)ストーリーが進んで行きます。
この作品のタイトルである“ボーダーライン=境界線”とは、監督曰く、この映画のテーマに当たる“親殺し”を実際にする人も、しない人も、そこにボーダーラインというモノはない…という意味なのだそうで。確かにこの映画の中には、殺人とか強盗とか誘拐とか援助交際とか幼児虐待とか、警察沙汰の犯罪がテンコ盛りに盛り込まれているのですが、監督自らが言っていた様に「その殺人の影にはこんな背景があって…」みたいなことは一切語られていないんです。でも、それでいいんだよね。一人一人のキャラクターがちゃんと描かれていて、そしてキャラ同士の関係が、ちゃんとそこに描かれてさえいれば。そう言った意味で、この作品は確かにシチュエーション的には『害虫』や『リリィ・シュシュ』とそっくりだし、フィルムメーキング的にはこの二作品の方が上なんだろうけれど、私は個人的に『Border...』の方がずっと好きです。まぁ、大したシーンではないんだけど、途中2箇所程泣かされたしなぁ。
この映画の最大のセールスポイントは、何といっても村上淳の魅力でしょう(主役じゃないんですけどね(^_^;)。さすがに脚本を書きながらアテ書きしたとあって、雰囲気よく出てますね。私個人的には村上淳って演技うまいとか全然思わないし、好みのタイプでも全然ないんですけれど、近頃の日本映画で、コレだけキャラが先に立ってるキャラクターっていうのも珍しいんじゃないかな?台詞もよく書けていますよね。全体的にクラ〜〜いこの作品の中で、彼が出て来るシーンだけはなぜか生き生きしていた様な気がします(ど〜でもいいけど、上映中、私の後ろに座っていた村上淳氏は、一人で大声上げてゲラゲラ笑ってました。もしかして、根っからあ〜ゆ〜性格なの???(^_^;)。
もう一人、アテ書きしながら書かれたという光石研のキャラクター。こちらは、どちらかと言えばタイプキャスト的なのではないかと思ってしまいましたが(いい加減、ヤクザ絡みはもうやめてくれ〜)、最後のシーンは良かった。アレは本当に、光石研の持っている優しさがしみじみと表れているシーンだったと思います。泣けたわ〜〜〜(>_<)。
…で、主演の沢木哲クンですが、監督の言う通り、そのぶっきらぼうさがいいですね。コレまで『リリィ・シュシュのすべて』とか『害虫』とか『ハッシュ!』にも出てたんだ、全然覚えてないんですけれど…(^_^;)。経歴を見ると、インディ系の映画出演が多いんですね〜。
ヒロインの前田綾花チャンも、インディー系映画の出演が多いです。『GO』では、沢木哲クンとも共演していた様で。どこにでもありがちな顔なんだけど、けっこう良かったと思います。
他には麻生裕未とか、うまいんだけど、この映画に関して言うと彼女のパートはなくても良かった様な気がするかも鴨。田中要次(今回の上映では、会場の方に観に来ていましたね)とか深浦加奈子、はたまた都はるみというぶったまげカメオ出演なんかもありました(^_^;)。
そ〜なんですよ。まぁ、一応群像劇だとは思うんですけれど、キャラクターが多いんですよね〜〜〜。個人的にはキャラを減らして、もっと全体の尺を切った方が良かったんじゃないかと思います。後半テンポがかなり間延びしてしまうので。あっ、でも映画の出だしは凄く好きでしたよ。特に台詞がね〜〜〜。それが、なぜか映画が終わりへ近付くにつれて、何だか“無理”が多くなって来る感じなんです。シチュエーション的にも“無理矢理”とか“偶然”とかが目立って来る様な…。そう、フロシキの広げ方はうまかったんだけど、しまい方がイカツイ形のまま無理矢理押し込んだぞ、みたいな…(^_^;)。
ただし、
光石研が手下(?)のチンピラをネタバレ→やっぱり殺してしまったり、援交相手のオッサンが、ネタバレ→殴るだけ殴った後に謝りながら帰るシーンなど、観客の予想を裏切る様なシーンが幾つかあったことには、とても好感が持てました。
あとはね〜。そのフィルムメーキングさえ気に入ればなぁ。あのザラザラした映像、冒頭に書いた様にデビッド=フィンチャーを意識したのはいいのですけれど、個人的にはダメだなぁ。撮影の早坂伸氏は、『青』でも撮影を担当した人なので、コレは完璧に監督の意図によって今回はカラーを変えているのだと思います。あとね〜、何だか奇をてらったみたいな構図が多かったんですよ、今回は。前作がモロに王道を走った構図で強烈な印象を残してくれたので、今回は逆に「ナニこれ〜〜〜???」みたいに思ってしまいました。もっと自信を持って撮って下さいよ〜、李監督(^_^;)。
…と、ゆ〜ワケで、今日の上映会は残念なことに殆どの観客が映画関係者や(阪本順治監督や松江哲明監督も来ていました。あと、プレミア上映ということで、映画評論家やライターも多数)キャストのファンばかりだったのですが、一日も早くこの映画が一般公開されて、一般の映画ファンがこの作品をどう観るのかを、早く知りたいです。これから海外の映画祭にも出品するそうなので、その反応も楽しみ、楽しみ。次回作も是非ぜひ頑張ってほし〜です。
Fengkuang yingyu - 瘋狂英語 「クレイジー・イングリッシュ」***1/2 |
Directed by : Yuan Zhang
Starring : Li Yang, etc
TSUTAYAで借りたビデオで鑑賞
2〜3年前、トロントやロカルノ、釜山や山形の映画祭で話題になっていた作品だったので、日本に帰ってくる前からとっても観たい作品だったのですが、向こうでは観るチャンスがなかったので、やっと観れました〜。本当は今週末から始まる“中国映画の全貌2002”でも上映される予定なのですけれど、ちょっと友達から勧められていち早く観たくなったので、思わずビデオに走ってしまいました(^_^;)。
タイトルの“クレイジー・イングリッシュ=瘋狂英語”とは、リー=ヤンという青年が独自に開発した英会話の上達法。彼は一度に数百〜数万人の人達を前にレクチャーをしながら中国全土を行脚しているユニークな人物なのです。“大きな声で、なるべく速く、そして明確に喋る”が、このクレイジー・イングリッシュの三原則。そのジェスチャーを交えた彼のレクチャーは確かに面白いし、迫力があります。まず英語の勉強を、まる暗記と発音から入るのって、遠回りな様で意外と確実であったりするんですよね。私のよ〜に、受験英語しか覚えないでアメリカに渡ってしまったヤツは、いまだにMajor とMeasureの発音の違いがまるで分かりません(コレって、けっこう深刻だったりなんかして^_^;)。
それと、いくら同じ“まる暗記法”でも、香取慎吾クンのやってる番組(1回しか見たことないけど)みたいな英会話は、もう“ファッション”ですからね〜。アレって、ど〜見ても「ちょっとカッコイイ外人相手に、かっこよく英語を喋ってみたい」の域を越えてないからな〜。“クレイジー・イングリッシュ”は、何てったって気合が違いますよ、気合が。
リー氏本人が映画の中でも言ってる様に、やりたいことを本当にやっている人とゆ〜のは皆クレイジーなんだそうで。“クレイジー”を“狂気”みたいに訳してしまうと、ちょっと意味が違って来てしまうのですが、“夢中”という意味で取れば、合点も行くというモノ。とにかくこのパッションはハンパなモノではありません。
周りの目ばかり気にして、ちょっとええかっこしいの日本人が観ると度肝を抜かれてしまうのが、その“英語をマスターする目的”。何てったって“金儲け”ですよ、“金儲け”。(思ってもいないのに)国際理解がどうとか、かっこいいから英語を勉強している日本人とは、ココに大きな違いが出てくるワケですね(^_^;)。いや〜、6千年の歴史を誇るチャイニーズ・パワーの凄まじさを、改めてとっくりと見せ付けられてしまいました(^_^;)。
そうなんです。この『クレイジー…』を観て面白いな、と思うのは“英語の勉強”というモノを通して観た、それぞれの国の外国に対する見方なのです。この映画を観る限り、中国人に日本人の持っている様な“英語=欧米コンプレックス&卑屈さ”は微塵も見ることが出来ないし、英語はあくまでも何かをする為(お金を儲ける為, etc)の手段足り得ている。少なくともリー氏は、中国人であること、中国語を喋ること誇りを持てと生徒達に説いているのですヨ。
またこのドキュメンタリーは、貴方が日本人である場合(または日本について詳しい場合)、さらにもっと楽しむことが出来てしまいます。レクチャーの中でリー氏は、日本の大手ビジネスマン達がいかに大枚をはたいて英語教師を雇い、それでも全く英語が喋れないことを痛烈に揶揄しているんですよね。加えて、日本は欧米と並ぶかっこうの金儲けが出来るマーケットだから、カモに出来るだけカモにしてやれ、みたいな。
さらに後日、外国人の記者が、インタビューで彼が小学生に中国人を虐殺している日本人の写真を見せているコトについて聞いた時、リー氏は「私は日本人を恨めという意味で、あれらの写真を見せているのではない、自分自身を恨め、日本人に隙を与えた中国人として、二度とそんなことをされない様、自分自身を鍛えろと言いたい」と答えています。彼がこのインタビューに答えている時、いつの日かこのインタビューを日本人が聞くことになろうとは(あまり)考えないで喋っていると思うので、この部分は貴重な本音の部分なんじゃないかと思います。
映画作品としては不満一杯の作品なんですけどね〜、実は。特にレクチャーの部分など、くり返しの部分があまりにも多いので、後半は少し飽きてきてしまうことが一つと、リー氏本人の人柄にせまり切った部分が殆どないことがもう一つ。この張元監督は、『過年回家(ただいま)』でフィクションを、『広場』でモノクロのドキュメンタリーを撮った中国第6世代の監督さん。彼にして、リー氏の私生活にせまらないはずはなかったでしょう。コレは私の推測ですが、リー氏が私生活をあまり撮らせなかったのではないでしょうか?自ら出演するプロモ(教材)ビデオでも、いろいろアレコレ演出に気を使うリー氏のことですからね。果たしてこの瘋狂英語。誕生からすでに4年が経過した今、そのポピュラーぶりはコレ如何に???
「スター・ウォーズ:エピソード2 クローンの攻撃」***3/4 |
Written and Directed by : George Lucas
Starring : Ewan McGregor, Natalie Portman, Hayden Christensen..., etc
Official Site : English
渋東シネタワーにて
え〜、まず始めに。私はいわゆる“スター・ウォーズファン”では全くありません(^_^;)。スターウォーズのエピソード4・5・6が公開された当時、どれも映画館には観に行っていないし、友人・知人からその内容を聞いて知っているだけだったんで。ただ、エピソード1の公開前、4・5・6が公開された時に4と5は観に行っていたんです。エキサイトするという感じではありませんでしたが、さすがに良く出来た映画だなぁと思った覚えはあります。こ〜ゆ〜のは、やっぱ旬の映画とゆ〜か、その時一緒になってフィーバーしないとダメですね(^_^;)。
エピソード1については、自分自身が元々ナタリー=ポートマン&ユアン=マグレガーのファンであったので、それなりに盛り上がりたいな〜とは思っていたのですよ。けど、な〜んだか間延びした出来であったので、かなりがっかりしてしまった覚えがあります。
で、噂では「エピソード2はさらに出来が悪い」と聞いていたし、アメリカでの興行成績もパっとせず、すぐにベスト10の上位から落ちてしまったので、「コレはよっぽど出来が悪いんだなぁ」と思い込んでいたんですよね。
けど、たまたま先行ロードショーの日、ワールドカップの三位決定戦で応援していた韓国が負けてしまってむしゃくしゃしていたので、思わず観に行ってしまいました(^_^;)。オープニングのテーマ曲が出てきたら、途端に機嫌が直ってしまったお子様なヤツ。やっぱり007のオープニングと並んで、この手のワンパターンも慣れると病みつきになりますデス(^_^;)。
全体的には、やっぱり期待していなかったからかなぁ。まぁ、けっこう良かったんじゃないですか???正直ずいぶんと楽しんでしまいましたよ〜〜〜。一緒に観たアメリカ人の友達も、やはり事前にさんざんな噂を聞いていたので、思いの他この作品を楽しんでいた様です。それと、やっぱり一緒に観た他の友達もラブラブ映画が大好きなので、すっごくエキサイトして観ていたし…。
そう、私の第一印象としては、エピソード1よりもず〜っとファンサービスしてるなぁ、なんて思いました。なんてゆ〜か、“はじめにキャストありき”って感じでしたね。だから、裏を返せばストーリーがよく書けているわけではないし(最後の方の、ネタバレ→『グラディエイター』もどきは一体何?バカにしとんのか???)、キャスト・サービスの方が先に立ってしまって各キャラのキャラとしての魅力がない…。まぁ、そ〜ゆ〜風にも取れるワケです。この映画が批評家達からウケないのは、その辺りにも理由があると思うのですが…。
まず、『海辺の家』のヘイデン=クリステンセンとナタリー=ポートマンの魅力が大爆発ですね〜。若き自信過剰家(若い時は皆そうか?)でありながら、アミダラのこととなると突然一途なただの一人の男となってしまうアナキン。コレって、下手するとすんごくコワ〜いストーカータイプなんですけれど、彼の魅力でちゃんとカバーしていましたね(^_^;)。ただのハンサム・ボーイじゃなくて少しエキゾチックな所が、将来の悪の翳りを予感させるとゆ〜か。
で、ナタリー=ポートマンはほんとにキレイになりましたよ〜。聡明で意思が強くて、でも内に秘めたる恋もしている。一昔前なら、こ〜ゆ〜ヒロインのタイプってもっと凛としたタイプ…とゆ〜か、怖くて近寄れないくらいの女性だったりしたのでしょうけど、ナタリー=ポートマンはあくまでも現代的なヒロインであるところがとってもGoo。前作でもそうでしたけど、まぁ、のべつまくなしに衣装換えをしていて大変でしたね。それにしても、あの白い戦闘服ひっちゃぶけシーンは、SWオタク向けのあまりにも露骨なファンサービスでは…(^_^;)???
ユアン=マクレガーも、今回は随分とオッサンっぽくなってたものの(コレがあの『ムーラン・ルージュ』と同じ時期に撮影されていたとは!!!)、見所十分とゆ〜か、随分一人で頑張っていましたね(^_^;)。サミュエル=L=ジャクソンも、今回は随分と出番が多かったし、今回からNYPDブルーのジミー=スミスがメンバーに加わっていたのは嬉し〜〜〜。どうやら、次回は出番が多くなりそうですね。う〜ん、それにしてもS=L=ジャクソン−黒人、ジミー=スミス−ラティーノの俳優と来ていて、ど〜して“第三勢力”であるアジア系の俳優はメインのキャラクターにいないのかなぁ。それともエピソード3では一人くらい現れる???
話が脱線しますが、いまさらココに書くまでもなく、スターウォーズのコスチュームは明らかに着物風で、ライトセーバーもやっぱり刀風なワケじゃないですか。G=ルーカスったら、そこまで日本映画の影響を受けておきながら、アジア人キャラが一人もいないってゆ〜のは、ど〜ゆ〜こと??????
あと、私にとっては悪役のクリストファー=リーにあまりカリスマ性のなかったことが、ちと不満だったのですが、アメリカ人の友達曰く、アレはC=リーがこれまでの映画出演作で長年に渡って怪演を繰り返して来たという背景を加味すると、あのくらいの抑えた演技の方が好感が持ててプラスなのだそ〜です。昔の怪演を全く観たことのない私は、「そんな出し惜しみしなくたって…」と思ってしまうのですが…(^_^;)。
そして、何と言ってもこの作品最大のヒーローはヨーダですねぇっっっっ!!!!え〜いっ、もう、彼のシーンは思いっきり楽しんで下さいっ!!マジで、この作品のハイライトです(^_^;)。
…と、ゆ〜ワケで。『ロード・オブ・ザ・リングス』や『ハリー・ポッター』じゃないけど、すでに結末を知っていて、さらにソレがどう描かれるんだろう???ってゆ〜のは、何も知らないで続きを待っているよりも、さらにツライ様な気もします。う〜ん、皆さんご存知の通り、次回ではアナキンとアミダラが大変なコトになっちゃうんですよね〜。う〜〜〜ん、エピソード3までもう待ち切れない〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
Written and Directed by : Soichiro Tawara, Kunio Shimizu
Starring : Renji Ishibashi, Kaori Momoi, Tenmei Kano, etc
国立近代美術館フィルムセンターにて
言わずと知れた、現評論家:田原総一郎&劇作家:清水邦夫の共同監督作品。ビデオ化はされていると思うのですが、TSUTAYAでは見つからなかったので、フィルムセンターの特集上映会で見てしまいました。まぁ、映画として名作だとか、素晴らしい出来であるとはいいませんが、「へぇ〜、昔こんな突拍子もない映画が存在していたんだ。」という意味では、一見の価値アリという作品だと思います。
まずとにかく、最初から最後までストーリーが脈絡なく、のべつまくなしに展開するのが小気味良かったです。一言で言ってしまうと、聾唖のカップル(桃井かおり&加納典明)と一人の風来坊(石橋蓮司)の、日本海を背景にしたロード・ムービー。もちろん、典型的なATGらしく(?)前衛的・実験的・哲学的な部分は多々あるのですが、それを持ってあまりある程、いろいろなストーリーが次々と展開されていて、構えていたよりはずっとずっと面白かったです。
石橋蓮司扮する青年(?)は、おそらく当時の若者の典型だったのでしょう。かなり破天荒なコトばかりやっているんだけど、理屈はこねまわすし、やっぱりどちらかと言えばヤサ男。対するカップルは、(喋れないので)理屈はいっさい言わない分、文字通りの肉体派(もう四六時中、食べるかセックスしてるかのどっちかだもんね)。彼らの前にもろくも崩れ去る、石橋蓮司の言葉っつらの理想や理屈が面白かった。コレって、当時の、いかにもATG映画なんか観に行きそうな、こういった理屈コネコネの若人達は一体どんな想いで観ていたのでしょうか???それにしても、この当時の若者って、私から見るとまるで異星人だなぁ。石橋蓮司の喋ってる台詞、わかんない言葉いっぱいあったし…(^_^;)。
私の知ってる石橋蓮司とゆ〜のは、『赫い髪の女』を見るまで、『中国の鳥人』に出て来るあやしげなハゲオヤジだったり、『金融腐食列島:呪縛』のよさげなオジサンであったり、なんだかしょぼいイメージしかなかったんですよね。う〜ん、そぉかぁ。彼って実は昔、カリスマ的存在のヒトだったのですね〜。いやいやとにかく“憎めないロクデナシ”とゆ〜のがぴったりの面白いキャラでした。それでいて、二人に対してはあくまでも紳士的に振舞おうと(努力)している所も、何だかとってもおちゃめだったし(^_^)。
で、初主演でむちむちの桃井かおり。当時何歳だったのでしょうか。うう、かわゆい〜。顔は、そのあどけなさを除けば今も昔も殆ど変わらないですけれど、その後随分とやせちゃいましたからね〜。
で、一番誰だか分かんなかったのが、加納典明!!!!えっ、あの写真家の???うぉ〜〜〜、顔ぜんぜん違うじゃんっっっ!!!確かにルックスはいいんだけど、ただのいい男じゃなくて少しエキゾチックだし、役柄上一言も喋らないしな〜。コレは思わぬめっけモノでした。あ、もしかしから、凄く有名な話だったのかもしれないですけれど(^_^;)。
ただし、ラストで、3人がいきなりネタバレ→ケミカル爆弾の射撃練習に出くわして、加納典明と桃井かおりが失明してしまうのはあまりにも唐突で(^_^;)、さらにネタバレ→石橋蓮司がニセ三十苦になってしまうのも、ちょっと抽象的過ぎるかも鴨。最後あと10〜15分削って終わっていてくれたら、それなりにパワーだけで押していた作品として、もっともっと好感が持てていたと思います。やっぱその辺は、少し頭でっかちで終わってしまっていたかもしれませんね。
冒頭にも書いた様に、決して“名作映画”ではありません。けれど、70年代の現代史(若者史)&普遍的な哲学を語っているちょっと風変わりな映画を観たくなったら、この作品はオススメです。
Ultimo tango a Parigi 「ラスト・タンゴ・イン・パリ :無修正完全版」 *** |
Written and Directed by : Bernardo Bertolucci
Starring : Marlon Brando, Maria Schneider, etc
銀座シネ・ラ・セットにて
この作品、もしも20歳になるかならないかで観ていたら、けっこう衝撃を受けていたのかもしれません。そう、ちょうど私がやはりそのくらいの年頃で『存在の耐えられない軽さ』を観てショックを受けてしまったのと同じ様に…。『存軽…』を観た直後、友人・知人からこの映画の存在については勿論聞いていたのですよ。こっちも観ておいた方がいいんじゃない?って。でも、観るならやっぱ大スクリーンでなきゃ〜ね〜〜…って、今までど〜しても劇場で観るチャンスに巡り会わなくって。こ〜ゆ〜のってのは、ホント“縁”ですね。今回は、ただいま有楽町のシネ・ラ・セットで上映されている“無修正完全バージョン”を観てまいりました。う〜〜〜ん、でも待つのが長過ぎたかも鴨…。
やっぱし事前にあまりにもその評判を聞きすぎていたので、妄想(?)が膨らみ過ぎちゃってしまってもぉぉぉ〜〜〜。だから悲しいコトに「えっ?こんなモンだったの???」みたいな。このリアクション、1972年代に20歳そこそこで観た人からしたら、コケまくりなんでしょうね〜〜〜(^_^;)。
そりゃ〜ね。コレはまごうことなく1970年代マスターピースの一作、しかもベルトリッチはこの映画を監督した当時、若干30歳そこそこだったってゆ〜んだからオドロイちゃうじゃありませんか〜。でも、2002年に30歳過ぎた映画オタクが観ると、「もうドレも見飽きたモノ」でしかないんですよね、残念ながら…。
私の場合、1970年代初頭風メイク&ファッションばりばりのマリア=シュナイダーに馴染めなかったことが一つと、やっぱりあのマーロン=ブロンドに全くのセックス・アピールを感じなかった(それどころか、グロいオッサンにしか見えなかった)のが最大の難点。そりゃ〜ね。オッサンで、お腹が出てて、しかも禿げているという三拍子揃った人にだって、十分魅力的な人はいるモノです。モンダイはそこじゃなくて、やっぱり彼自身にあるのかなぁ。まぁ、演出上必要だったのかもしれないですけれど、彼にはもうセックスの匂いというより、ネタバレ→死臭の方が冒頭からプンプン臭っていたので、思った通りにストーリーが運んでしまってつまんなかったなぁ…。確かにあの役が出来る人って、ホントに少ないと思うんですけどね。この10年近く、コレ系の役柄を演じてきた人の筆頭と言えばジェレミー=アイアンズですが、彼だってただの枯れたオッサンではないですか(^_^;)。
その点、ジャン=ピエール=レオなんかは“らし過ぎて”笑えました。この辺りは何となくベルトリッチっぽくって、良いのではないでしょ〜か???
マーロン=ブランドの話に戻ると、セックス・アピールがまるでないのに加えて、全体的にタダの“イヤなオッサン”にしか見えなかったこと、そして何より演技下手じゃなかったですか?すっごく???特に死なれてしまった妻の遺体の前で喋る長い長いシーン、そして自分の過去について喋るこれまた長いモノローグのシーン。特に後者はちっとも悪いホンではないと思うのに、ブランドのせいで随分と台無しになっていた様な気がします。そうそう、“互いに名前も名乗らずに、お互い嘘かホントか分からない過去を語り合う”という発想は好きだったんですけどね〜〜〜。あ、でも、途中から英語の台詞が多くなっちゃったのは、興醒めだったかも鴨。パリジェンヌは、ど〜して皆あんなに英語がウマイのだ?ちゃんと仏語喋れ、仏語〜〜〜。
それにしても、私をもっともっとがっかりさせたのが、その映像。まず、『地獄の黙示録』や、殆どのベルトリッチ作品で相棒を務めて来た撮影監督のビットリオ=ストラーロ。そりゃ〜1970年代初頭だし、わざとアート系にするってことでザラっぽく撮っているのは分かります。けどね〜、やっぱあまりにも単純過ぎやしませんでしたか???赤けりゃい〜ってもんでもないでしょ〜みたいな…(^_^;)。美術セットにしてもね〜、観る前の妄想が自分なりに異様に膨らんでしまっていたので、か〜なりがっかりしてしまった感じです。う〜〜〜ん、もうちょっと凝っていても良かったのでは…???
あと、タイトルにもなっている“タンゴ”。まぁ、主演のカップルとその他大勢の人達の違いを際立たせたかったのは分かるけど、あ〜んな明るいタンゴもないんでない?とゆ〜か、アレじゃマーロン=ブランドもただの酔っ払いオジサンだしな〜〜〜(^_^;)。近年、せくしーでエロティックなダンス映画が沢山作られて来ているだけに、タイトルだけで膨れ上がっていた私の誇大妄想は、このシーンで脆くもボロボロにされてしまったのでした(^_^;)。
…とまぁ、やっぱり観た時期が遅すぎたのでしょうかねぇ。今思い出したのですが、20歳前後に観た映画で言えば『愛の嵐』とか、けっこう路線としては似ている映画だと思うんですけれど、アレは衝撃でしたもんね〜。二人でジャムを舐めあってるシーンとか、私一生忘れられないと思うくらい印象的だったんですけれど、もしかして今観ると大したことなかったりなんかして…(^_^;)???
ま、それにしてもコレはビデオで観る作品ではないですね。最終的に気に入った作品ではなかったとは言え、スクリーンで観ることが出来て良かったと思います。好き嫌いはさておき、とにかく1970年代初頭に、30歳そこそこの監督が気合を入れて作ったと。まぁ、それだけで十分歴史に残る映画だと思います。ちゃん、ちゃん。
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