*** Just Watched 37 - 最近観た映画 37 ***

評価の満点は5つ星です。

"Fucking Åmål" 「ショー・ミー・ラヴ」***3/4
"World of Geisha" 「四畳半襖の裏張り」****3/4
"Kate & Leopold" 「ニューヨークの恋人」***3/4
「Cold Sleep」「Messanger」「80 Degrees East of Birdland」
"A New Love in Tokyo" 「愛の新世界」***3/4

"Fucking Åmål"
「ショー・ミー・ラヴ」***3/4
June 24, 2002

Written and Directed by : Lukas Moodysson
Starring : Rebecka Liljeberg, Alexandra Dahlström, etc
CSN1チャンネルにて録画鑑賞

『Together』のルーカス=マディソン監督が、この作品より一つ前に作った出世作。アメリカでのウリはスゥエーデン版『アメリカン・パイ』ということでしたが、ちょ〜っと違うんじゃないかなぁ(実際私は『アメリカン・パイ』を観たことがないのですが)。共通するのは単に初体験の絡んだティーンズの群像劇だと言うだけで…(^_^;)。

実を言うと『Together』にはあまり感心しなかった私ですが、この作品には随分と好感が持てました。それと言うのも、主演の二人に負っている所がかなり大きいのではないかと思います。クラスでは爪弾きと言うより嫌われモノのアグネスと、クラスの男子からも女子からも好かれている人気モノのエリン。この二人がなぜ“恋愛対象として”惹かれ合っていくのかがごくごく自然に描かれているんですね。
この映画にストーリー的にも非常に似た映画に『The Incredibly True Adventure of Two Girls in Love』というアメリカ映画があるのですが、この『Show me…』は、レズビアンということが基本のテーマになっていないところが大きな違い。特にエリンのアグネスに対する駈け引き(たとえソレが、自分が同性を好きになってしまったことを認めたくない…というもう一つの理由と一緒になっているとしても)なんか、異性との恋愛と何ら変わる所はありません。ココにまた、フツーのお姉さんジェッシーとそのBFであるマーカス、そしてこれまたフツーの男の子を演じるヨハンの存在によって、日常のリアルさが何倍にも増してくるんですよね。

そ、この映画の一番のウリは、その共感を呼ぶリアリティ。ストーリーの舞台になっているオーモルという街はスゥエーデンの田舎町なのです。私たちは普段、スゥエーデンと言えば首都ストックホルムの情報くらいしか得ることは出来ませんが、スゥエーデンにだって田舎町はあるし、ココでも日本やアメリカと全く同じ様な都会に憧れる若者達のドラマが展開されているのですよね。
最後に、この映画の原題『Fucking Åmål』は、“愛なんかクソ喰らえ!”の意。それがどこをどう訳すと『ショー・ミー・ラヴ』になっちゃうのかな〜(^_^;)(^_^;)(^_^;)。

"World of Geisha"
「四畳半襖の裏張り」****3/4
June 20, 2002

Directed by : Tatsumi Kumashiro
Starring : Junko Miyashita, Moeko Ezawa, etc
近代美術館フィルムセンターにて

もう10年以上も前になるでしょうか。ある映画通の人に「死ぬまでに観なきゃならない映画、しかもスクリーンで…といったら何?」と聞いたら、その人は、「洋画なら『アルジェの戦い』、邦画なら『四畳半襖の裏張り』だねぇ」と答えていました。実はいまだに『アルジェ…』は観ていないのですが、やっと観れましたよ〜、この作品!!!神代辰巳監督の作品については、NYのジャパン・ソサエティで神代特集が組まれた時に、『一条さゆり:濡れた欲情』『赫い髪の女』を観る機会があったのですが、この作品の上映日にはどうしても予定が合わなくって…。う〜〜〜ん、待ってて良かった。コレは名作だなぁぁぁっ。
今回この作品、国立近代美術館フィルムセンターで開かれている日本映画の発見:1970年代という特集上映で観たのですが、さすがこの作品の上映日は激混みでした。もう老若男女を問わずスゴイ人気ですね〜〜〜。平日だというのに大入り満員だったのでビックリしてしまいました。

まぁ、誰に聞いても「日活ロマンポルノの最高峰、ココに有り」とゆ〜ので、時代が大正時代に移っただけで、やっぱエロエロだけの映画なんだろ〜とタカを括っていたのですよ。そうしたら、全然違うのでちょっと拍子抜けしてしまいました(^_^;)。ぴあでこの映画について観ると、ジャンル別のところに“社会派”と書いてあるので、「???」と思っていたのですが、確かに米騒動や朝鮮人虐殺など、当時の世相が所々に挿入されているのですね。コレって、原作に負う所が大きいのかな??
他に私が想像していたのって、男女のキビとかドロドロとか、人生がど〜のこ〜のとかいう説教クサイ所があるのかな、と思っていたのですが、それも思っていたのとはやっぱり違った感じ。確かに“お客としての(?)男への接し方”とか言う、非常にマニュアルちっくな台詞は沢山出て来ているのですが、基本的にはソレもこの映画全体に流れる“悲しさの裏の笑い飛ばし”の一部なワケで、ただのブラック・ユーモアと言って片付けてしまうなかれ。それにしても、この映画の“泣き笑い”的な部分、私は好きだなぁ〜。最後に花丸とぴん助が川沿いにマラソンしちゃうシーン、アレは切ない…。

そうそう、私の場合、この映画でうう〜〜んと唸ったのは主演の宮下順子&江角英明のカップルではなく、むしろ脇役達に対してでした。宮下順子も悪くはないんだけど、他の脇役達のパワーの方が若干強かったんで、ちとお飾り役にすら見えてしまった様な…(^_^;)。ま、江角英明とかって、いかにも“らしい”〜って感じはしましたが、いま一つパンチが…。
その点、絵沢萌子はやりますね〜。私なんか彼女ってゆ〜と、ど〜しても『月はどっちに出ている』の肝っ玉かぁさんというイメージが強くって…(^_^;)。それと、夕子役の丘奈保美。いかにも『一条さゆり』の伊佐山ひろ子みたいな感じが良かった。絵沢萌子とのベッド絡みのシーンとかね。アレでただのポルノ女優に成り下がってしまったのは勿体無い…。

それにしてもこの映画、最初の10分くらいは重厚〜〜〜って感じなんですよ。もうそれこそ、どっか大手の映画会社の時代劇モノを観ているのかと思ってしまうくらい。蚊帳のシーンなんかも、かなり美しく撮られていましたしね。うん、日活ロマンポルノだからと言って、最初から引いてはイケマセン。意外とアートアートしてなくて、真正面から王道的に撮ってるシーンが殆どですよ。コレは内容を差し引いても、十分スクリーンで観る価値のある映画だと思います。

ただし、あの終わり方ね〜〜〜(^_^;)。まぁ、賛否両論とゆ〜か、あの方が“らしくてイイ”と言う人は多いのでしょうが、ちょっと拍子抜けさせられちゃいました(^_^;)。最後が絵沢萌子ってゆ〜のは好きなんだけど、若人達の恋の行方は(^_^;)???

"Kate & Leopold"
「ニューヨークの恋人」***3/4
June 19, 2002

Written and Directed by : James Mangold
Starring : Meg Ryan, Hugh Jackman, etc
Official Site :
English
渋東シネタワーにて

この作品って、アメリカではもう半年以上も前に公開され、すでにビデオ化もされているのですが、ど〜もあちらでは観る気がしなかたんですよね〜。もしまだあっちに住んでいれば、いまだに観ていなかったんじゃないかなぁ(^_^;)。こうして見ると、日本ではまだまだアメリカ映画の選択肢が少ないですね。他に観るモノなかったし、『スパイダーマン』を観た時と同じく、NYロケの映画だと何だかNYの景色見たさとゆ〜のも加味されちゃったりなんかして。実際、NYではハリウッド映画になんか見向きもしなかったアメリカ人の友達も、東京ではお気楽なアメリカ映画ばっかり観ちゃってるし…(^_^;)。コレとは逆に、日本で見たら全く感動しそうもない様な日本映画を外国で観ると、なぜかまるっきり違う眼で観られてしまう感覚とゆ〜のもあるのです。面白いですよね。

え〜、で、確かにNYで観たら「けっ」と思って終わってしまう映画だったかもしれませんが、やっぱり東京で観たので、妙にシミジミと観てしまいました(^_^;)。その分、かなり贔屓目入ってると思いますが、思ってたよりは良かったかな。意外や意外、脚本なんかは細部がしっかりと書かれていて感心しちゃったし(字幕とか、かなり飛ばしてる部分あったんですけどね(^_^;)。特に、現代のNYと100年前のNYの会話のひずみ部分なんか、けっこうチャーミングに書かれていたと思います。

そしてそしてっ!さんざん噂には聞いていたものの、そのヒュー=ジャックマンのせくしーさは想像以上!あの逆三角形体型は、そそるぞぉぉぉぉ。う〜ん、貴族としての気品とかはあんまりない様な気がしたんだけど、それはもう全体のかわゆさでカバーされちゃいましたね。けっこう意外なキャステインングだなぁ、と思っていたんだけど、彼の人気上昇効果には確実に一役買っていたと思います。メグ=ライアンは、もうあんなモンでしょう。適役だとは思うけど、だからスゴイなぁ〜とは思わなかったかも鴨。出番が少なくて悲しかったけど、スティーヴ役でリーヴ・シュレイバーも出演。あまりにマヌケな役で泣けました(・_;)。
それにしても、上司役でちょい役出演したブラッドリー=ウィットフォード、よくあんなチンケな役で出演したよなぁ。私、TVドラマ『ウエスト・ウィング』に出てる彼の大ファンなもんで…(^_^;)。あ、そうそう。本編の中で彼、ちゃ〜んと“Edamame?”って言って、メグ=ライアンに枝豆を勧めていましたね(詳しくはこちらのページで)。

ともあれ、私の卒業した映画学校の数少ない先輩でもあるジェームズ=マンゴールド監督(ナント、卒業は私と同じ99年となってます。入学は7〜8年違うんじゃ?(^_^;)、『Heavy』『コップランド』『17歳のカルテ』までは好きだったんですけど、この作品からいよいよメジャー・バジェットばりばりですからね〜。次回作の『I.D.』は、再びレイ=リオッタと組んで主演にジョン=キューザックを迎えたホラー&スリラーもの。ここらで新しい境地を開いてくれることを期待していますっっっ!

"Cold Sleep", "Messenger", "80 Degrees East of Birdland"
from Short Short Film Festival
June 19, 2002

今年で4回目になるこの短編映画祭。昨年までは“アメリカン”ショート・ショート・フィルム・フェスティバルという名前だったのですが、今年からはアメリかに限らず全世界からの短編映画を集めての上映となりました。
私はクロージング上映に当たる”jam films”の回に行って来たのですが、コレは、来年正月公開が予定されている日本映画7人の監督(飯田譲治、岩井俊二、北村龍平、篠原哲雄、堤幸彦、望月六郎、行定勲)による短編映画集”jam films”のプレミア上映にあたり、この回では飯田譲治監督の『Cold Sleep』と北村龍平監督の『Messenger』が上映されました。
その後、このシリーズ全てをプロデュースした河井信哉プロデューサー、北村監督、そして『Messenger』で主演を務めた魚谷佳恵を交えてのパネルディスカッションが行われたとゆ〜ワケ。
3本目に上映されたのが、今年の審査員グランプリを獲得した『80 Degrees East of Birdland』。その後、このフェスティバルのチェアマンを務める俳優:別所哲也も交えてのパネルディスカッション・パート2もありましたが、あまり内容がなかったので飛ばします(^_^;)。

『Cold Sleep』

元々飯田譲治監督とゆ〜人は私、“喰わず嫌い”なのですが、やっぱダメですね〜。河井プロデューサーも言っていた通り、この作品はナンセンス・SiFi・未来モノなのですが、私にはただ闇雲に予算をめちゃくちゃ浪費しただけにしか見えませんでした。主演が私の大嫌いな大沢たかおとゆ〜のも、めちゃめちゃマイナス点だったしな〜(^_^;)。とにかく何も新しくないんですよね。過去にあった作品のオイシイ所だけをただ継ぎ接ぎして映画を作るコトに、一体何の意味があるのでせうか???もう、これ以上は批判すら書けない程呆れ帰ってしまいました。

『Messenger』

↑の作品がただお金を浪費しまくった駄作であっただけに、この超低予算モード(実際はインフェルノなんか使用しているので、けっこうかかってるらしいのですが)の作品には、めちゃくちゃ好感が持てました。キャラ3人(…と一瞬のエキストラ達)にワンロケーション。さすが低予算の短編映画を何十本も(懲りずに?)作り続けて来た、北村龍平監督のインディーっぽさがプンプンと匂って来る様です。コレってちょっと頑張れば、学生映画でも十分制作出来るもんなぁ…(^_^;)。とにかく、個人的にこ〜ゆ〜チープなエンタメ作品って大好きなんでね〜。それはパネル・ディスカッションに来ていた北村監督からも、そのインディー魂は十二分に感じましたし…。
それにしても主演の二人は良かった!う〜ん、血みどろホラーチックの北村一輝ってゆ〜のもい〜ですね〜。やっぱり彼は何の役をやっても濃いわ〜〜〜。で、ヒロインの魚谷佳恵もモデル出身で映画初出演とは言え、カリスマ性があってGooooD。これを機会に、次の北村作品や堤作品にも出演が決まっているのだとか。
『Versus』はまだ未見の私なのですが、機会があったら是非観てみたいと思っています。何か『鉄男』の頃の塚本信也監督みたいな、カルトなファンが付きそ〜な感じですね。彼がハリウッドを初め、今アメリカの映画界から注目されてるのも何だか分かる様な気がします。

『80 Degrees East of Birdland』

ストーリーは、ノルウェーの田舎で道に迷ったアメリカのジャズバンドのメンバーが、英語の全く話せないお爺さんと次第に交流していくというごく単純なモノで長さは約6分。
パネルディスカッションで皆が言葉に窮してた様に、ど〜してこの作品がグランプリを受賞したのかひたすら疑問。まぁ、確かに“癒し系”とゆ〜か、誰からも好かれそうな作品ではあるのですが、だから何なんだ〜〜〜???とゆ〜か。そりゃぁ、好きか嫌いか聞かれれば好きの方に入るのですが、けど、グランプリかぁぁぁ???
今回の映画祭コンペに正式出品された作品で、他に私が観たのは『Tall Girl』。コレって私、
昨年のコロンビア大学学生映画祭で観たのですが、う〜ん、正直そんなに出来よくなかったしなぁ。つまり他に良い作品が全然なかったってコトなのでしょうか(^_^;)。せっかく国のワクを外して始まった国際映画祭なのですから、来年は是非ともレベルアップして欲し〜モノです。そ、予算は少なくてい〜のですから。近年、かなりのスタッフ・予算・機材を揃えて、短編映画作品の平均的な“見栄え”は飛躍的にアップして来ているのですが、内容がついてこないとね〜、やっぱし…(^_^;)。

"A New Love in Tokyo"
「愛の新世界」 ***3/4
June 17, 2002

Directed by : Banmei Takahashi, Written by : Sho Kenzan
Starring : Sawa Suzuki, Reiko Kataoka, etc
下北沢T-Comで借りてきたビデオ

この映画(ビデオ)に手を出してしまったのは、いまだに『ハッシュ!』に出ていた片岡礼子の存在が忘れられず、何か他の作品を観てみたかったからデス。彼女、これまで沢山の映画に出ているんですが、なんかポルノ系が多いですね〜(^_^;)。その中から、やっぱり片岡礼子の存在を知る前からいろんな評判を聞いていたこの映画を選びました。『光の雨』を観て以来、高橋伴明監督の他の作品も観てみたいと思っていたし…。

まず、全体の感想から。わ〜、高橋監督の映画ってスゴく赤と青が印象的に使われているんですね〜。『光の雨』を観た時も、その色合いにとても惹かれたのですが、この映画でも一番印象に残ったのはその色彩感覚。パターンとしては、照明に独特の青を使い、服や小道具などちょっとした所に真紅を入れる…みたいな感じが多いのでしょうか?まだ観てないけど、やくざモノの『修羅の帝王』なんかでも、やはり血の色が青の背景に映えたりしているのでは???

え〜、で、私、鈴木砂羽って知らなかったんですが、めちゃくちゃ演技下手じゃありません???確かに、劇中挿入される荒木経惟の写真ではフォトジェニックに映ってるけど、アレはど〜見たって劇団女優じゃないでしょ(^_^;)。見せ場であるはずのSM女王様ぶりも、私にはすごく堅く見えてしまったんですけれど???
それに比べてやっぱウマイなと思ってしまった片岡礼子。こんな二人のコンビじゃ、公開当時意外と片岡礼子の方にそそられてしまった人の方が多いのではないでしょうか?ま、私の場合は先に『ハッシュ!』の方を見てしまったんで、やっぱあっちの方が全然ウマイな〜と思ってしまうんですけれど…。あと、せっかく彼女はうまくやってるのに、彼女のキャラが脚本の中でうまく描かれてなかった(特に最後の方)のは、ちょっと残念でした。

それにしても、脇役陣の贅沢さと言ったらないですよ〜。武田真治が一瞬のBFだったり、 哀川翔もほんの一瞬の出演、他のカメオに田口トモロヲ 松尾貴史 大杉漣、そして劇団員に宮藤官九郎やら阿部サダヲがいたりなんかして(しかもけっこう重要な役なのに、jmdbでクレジットされてない(^_^;)。
こうして見ると、かなりこじつけですが高橋監督って、この映画の様に若い無名の役者を使って劇中劇を挿入するのが好きなのでしょうか?この辺、『光の雨』とモロ同じですもんね(^_^;)。

さらにこじつけて言うと、『光の雨』も『愛の新世界』も、題材としては一部オジサン達しか見たくない様な…もとい、タイトルや内容を聞いただけで引いてしまうようなドロドロした素材なのに、実際に見てみるともの凄く明るくて爽やかですらあるコトに驚かされます。そう、両者とも脚本や構成的にはかなり変化球なんですけれど、高橋監督が演出すると何気に直球になっちゃうのね。で、監督ってけっこう若人(死語)の集団演出に長けてるんじゃないのかな〜とか思ってしまったので、これからもどんどん(一癖ある?)若者の青春映画を撮っていって欲しいと思います。『修羅の帝王』も、近々絶対に観る予定!!!

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