評価の満点は5つ星です。
"Life as a House" 「海辺の家」**1/2
「影武者」「大菩薩峠」「鬼龍院花子の生涯」
"Chuck & Buck" 「チャック&バック」***3/4
"The Contact" 「接続」***3/4
「決闘高田馬場」「雄呂血」
「阪東妻三郎の生涯」
「海辺の家」 **1/2 |
Directed by : Irwin Winkler, Written by : Mark Andrus
Starring : Kevin Kline, Hayden Christensen, etc
Official Site : English
日本での公開は7月20日から
この映画って、アメリカでは『スター・ウォーズ:エピソード2』に出演するヘイデン=クリスチィアンセンの演技が良かったという話題を除いては、殆ど話題に上ることもなくあっという間に終わってしまったのですよね(^_^;)。けど、日本では彼の人気急上昇に伴って、けっこういい線行くのではないでしょうか。なんたって『I am Sam』が大当たりしちゃうんだからなぁ、日本とゆ〜国は…(^_^;)。
ま、おそらく誰もが予想出来る通り、オーソドックスなお涙頂戴映画です。まあ、それなりにウェルメイドでそつなく作ってあるんだけど、私には“そつがなさ過ぎて”、だから何だっつ〜の…という感じ。
そりゃ〜、ケヴィン=クラインとクリスティン=スコット=トーマスの二人を持ってくれば、いやでもある程度のレベルには行きますよ。脚本も、『恋愛小説家』や今アメリカで話題の『Divine Secrets of the Ya-Ya Sisterhood』を書いた人ですから、そりゃ〜もういいに決まってると思っていたのですが、それにしてはちょっと肩すかしだったかも。取り合えずはアレコレ風呂敷を広げてるんだけど、どれもたたんでないでない〜〜〜。特に隣人達とのオチがあまりにも尻切れトンボに終わっているのには呆れてしまいました(あの芝生男とか、コリーン&ジョシュの関係とか…)。
う〜ん、この映画の見所はやっぱヘイデン=クリスチィアンセンの魅力に尽きるでせう。もし私が彼をこの映画で観て初めて知ったのであれば、ココで「すごい新人を発見した!」なんて書いてしまうかもしれませんが、実は私、『バージン・スイサイド』に出てたという彼のこと、全然覚えてないんですよね(ジョシュ=ハートネットについても同じく全く覚えていませんでした^_^;)。ま、実力はあるんですから、この調子でティーンズ映画路線になんか反れずに堂々と王道を突っ走って欲しいなと思います。
ケヴィン=クラインとクリスティン=S=トーマスについては、いつもの二人でした(^_^;)。K=S=トーマスはきちんとバリバリのアメリカ英語を喋っていましたけれど…。役者の中で唯一の見っけモンは、『Stolen Summer』の子役、マイク=ウェインバーグが出演していたこと。コレには笑えました。相変わらず下手だったけど…(^_^;)。
ま、どちらかと言えば監督業よりプロデューサー業に忙しいウィンカー監督。最近では『シッピング・ニュース』なんかも製作したそうで、ますますこの映画、見たくなくなってしまいましたよ〜〜〜(^_^;)。
「大菩薩峠」 ***1/2 「鬼龍院花子の生涯」 ****1/2 |
仲代達矢を看板俳優とする俳優座が、彼の役者生活50周年を記念して特集を組んだ18作品の企画上映。その中で私は、以下の3作品を観ました。
実は恥ずかしながら、今までこの映画を観たことなかったんです(^_^;)。う〜ん、予想通りぜ〜んぜん私好みの映画じゃなかったな〜。やっぱり私ってば、『どですかでん』以降の黒沢作品は全く受け付けられないのですよ。勿論それ以前の作品は大好きなんですけれど。でも、もし下手にビデオでなんか観てしまって「もしかしてスクリーンで観てたら好きだったかもしれない。」なんて後悔したくなかったんでね〜。いや〜、けどやっぱダメでした(^_^;)。
この作品については、展示会やら写真集で公開されている絵コンテをイヤという程見てしまっていたので、いまさらそれを映像化したモノを見せられても「こんなモン?」って感じだったし、仲代達矢はうまくて当たり前だと思っていたから、まるっきりカンドーみたいなものがなくって…。いや〜、全くの個人的感想ですみません。私にはただ“世界の巨匠が有り余るカネと人材を使いまくった芸術作品”にしか見えませんでした。ソレのどこが悪いって???それはもう、単なる好みのモンダイです、ハイ…(^_^;)。
皆さんご存知の様に、一口に映画『大菩薩峠』と言っても、内田吐夢監督バージョンから市川雷蔵主演の三隅研次監督バージョンまで、他にもいろいろなバージョンがあるのですが、私の観たのは岡本喜八監督バージョンです。さすがにストーリー的には長編大河小説を無理矢理2時間に押し込んだ歪みが出ていますが、やはりラストの活劇シーンは圧巻(その後、ど〜なっちゃうの???とゆ〜歯がゆさは残りますが(^_^;)ですね。けどおそらく、原作の忠実なファンには一番不満の残るバージョンなのではないでしょうか。私もちゃんとしたラストの結末を知りた〜〜〜い。
とまぁ、機会があれば是非雷蔵バージョンともしっかりと見比べてみたいのですが、この仲代バージョンの机龍之介はホントやなヤツですね〜〜〜(^_^;)。特に新珠三千代との絡みとか。あの夫婦とゆ〜のも、妙に説得力があった気もしないではないのですが…。それと、三船敏郎&加山雄三とゆ〜『赤ひげ』師弟コンビも良かったけど、何とも出番が少なすぎ〜〜〜(>_<)。
ところでこの岡本バージョン、Sword of Doomというタイトルでアメリカ公開もされ、英語版のビデオも出ています。まぁ、ネームバリューのある三船敏郎も出演しているし、ラストの活劇シーンが見物であるとは言え、途中の人間関係とかアメリカ人に理解出来るのだろ〜か???(特に龍之介とお浜の関係とか(^_^;)。
う〜〜〜〜ん、コレは名作だっっっ!!!この映画の公開当時、TVのCMでは「なめたらあかんぜよ!」ってゆ〜シーンばかりが強調されていて、とにかく映画のえの字も知らないあの頃の私は、コワイやくざ映画なんだな〜と思っていたんですけれど。いやはやスゴイ映画でした。もうボロボロに泣かされたしな〜〜〜(T_T)。
まず最初に。原作を読んでいないので比較は出来ませんが、仲代達矢演じる政五郎のキャラクターがすっごいっっっ。なんとゆ〜か、日本男児の“男から見た”理想像ですよね(^_^;)。アホで極悪で、ど〜しよ〜もないヤツだけど、憎めないどころか愛さずにはいられない。う〜ん、この映画って夏目雅子とか岩下志麻ばかりが話題に上ってた様な気がしますけど、やっぱ“仲代達矢あっての女たち”なんですね〜。
五社英雄監督については、昔むか〜し、『肉体の門』五社バージョンを観た頃、かなりのファンだったことがあります。で、その後いくつか作品を観たら、「なんだ皆同じじゃん」とゆ〜か、あの東映やくざ映画独特の“赤”に辟易して来てしまったので、ちょっと遠ざかってしまっていました。う〜ん、けどこんな名作を残していたのですね。『肉体の門』の渡瀬恒彦といい、彼の描く男性像ってけっこう好きです。あと、彼独特のチープでチージーなロマンチズムもね(^_^;)。
役者陣は言うまでもなくスゴイですね(鬼龍院花子役の女優さんを除いて(^_^;)。仙道敦子の子役ぶりもよかったし、先日亡くなった室田日出男もちょい役ながら印象深かった。そしてそしての山本圭!!!う〜ん、彼ってど〜してあんな役ばっかなんだろうと思いつつ、やっぱ好きだなぁ(^_^;)(^_^;)(^_^;)。
この映画は是非とも、一生にまたもう1回は観なきゃな〜と思っています。そう、勿論絶対大スクリーンでねっっっ。
「チャック&バック」 ***3/4 |
Directed by : Miguel Arteta, Written by : Mike White
Starring : Mike White, Chris Weitz, etc
Official Site : English
Yちゃんから借りたDVDにて
米エンターメント・ウィークリー誌が2000年度のベスト映画第1位に選んだこの映画、その年のサンダンス映画祭でも話題になっていたので、かなり気にはしていたのですが、なかなか観るチャンスがありませんでした。う〜ん、でも観られて良かった。
観る前はもっと、“NY系インディー”の映画だと思っていたんですよ。つまりNY郊外のロングアイランド(ハル=ハートリー監督やトッド=ヘインズ監督)や、お隣のNJ州(トッド=ソロンズ監督)が舞台になっている一連のインディー映画の流れを組んでる映画なのかと思ってたら、珍しくも“LA系インディー”だったので、そのリズムに慣れるまでにちょっと時間がかかりました。
そうそう、この監督の第一作目『Star Maps』もLA系のインディー映画であったこと忘れてました。おまけに一作目と同じくラテン系のキャラクターが非常に重要な役割を占めているのは、監督がプエルトリカンであることと決して無縁ではないでしょう。
ただし、この映画がその一作目と違うのは、もともとのストーリーが主演のマイク=ホワイトによって持ち込まれたものであったということ。だから全体のトーンは随分違うし、いわゆる白人中流社会が物語の中心に来ています。
それにしても切ない映画ですね〜。確かに知恵遅れとかホモセクシュアルとか、ちょっと変り種のスパイスを散りばめている様で、お話が至ってフツーの所で展開していることに、まずはすごく好感を持ちました。そう、バックは知恵遅れでもなければ、ストーカーでもなく、男にしか興味の持てない極端なホモセクシャルでもない。この映画の中で展開される彼の成長過程は、至ってノーマルだと思うし、この映画全体の視線が一目見ると対照的ですらあるチャックとバックを、同じ高さの目線から見つめている様な気がします。とにかく二人共、めちゃめちゃリアリティのあるキャラクターなんだよな〜〜〜〜。
原作・脚本・そして主演のバック役を務めたマイク=ホワイトにはひたすら脱帽。いや、アレはもう演技の域を越えとります(^_^;)。演技も出来る脚本家ってスゴイよな〜。しかも普段は『ドーソンズ・クリーク』みたいな、ティーンズ向けのトレンディ・ドラマを書いてるってんだから、オドロいちゃうじゃありませんかっ。
チャック役を務めたクリス=ウェイツも、そのリアリティさから言ったらマイク=ホワイトに負けず劣らず!!!いるいる、いるんだよ〜〜〜、こ〜ゆ〜ヤツって!しかも、ホントにこ〜ゆ〜コト、こ〜ゆ〜言い方で喋るんだよねっっっ。う〜ん、リアルだいっっっ。ちなみにナント、彼も普段の職業は監督&脚本家で、あのティーンズ向け大ヒット映画『アメリカン・パイ』を作ったとゆ〜んだから、ぶったまげてしまうではないですかぁぁぁ!フィアンセ役のベス=コルトもあのルックスで女優ではなく、プロデューサー兼タレント・エージェンシーの社長さんだとゆ〜のですから、この映画一体ど〜なってるの???ま、その辺がこの映画の“LAさ”をよく醸し出しているのだと思います。監督も含めこの連中、普段はティーンズ向けのTVドラマ制作に忙しいのでしょうから…(^_^;)。
その中で、“唯一の”職業俳優であるルーペ=オンティヴェロスは、さすがの力量でしっかりと脇を引き締めていました。LAの演劇界ではすでに大御所の彼女ですが、最近はトッド=ソロンズ監督の最新作『Storytelling』を初め、スパイク=ジョーンズ監督の最新作『アダプテーション』、今年のサンダンス映画祭&ニューディレクターズ映画祭で話題を呼んだ『Real Women Have Curves』に出演するなど、最近では映画界でも目覚しく活躍しています。
難を言えば、、もっと面白く成り得るはずのプロダクション・デザインに眼を見張る部分がなかったことと、チャック&バックの子供時代についての部分が少し弱かったことでしょうか。ちなみにチャック&バックというのは、台詞の中にもある通り、○○を“舐める”とか“しゃぶる”という英単語と韻を踏んでいる所に意味があるのですが、その辺がなかなかうまく説明出来てなくて残念でしたね(^_^;)。
次回作は再び同監督&同脚本家で組んだ『The Good Girl』。すでに今年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、NYでは8月から公開になるらしいです。取りあえず評判は上々の様ですし、主演がジェニファー=アニストンなので日本の公開もそう遠くないですかね。けっこう楽しみにしている私です。
Cheob-sok 「接続〜ザ・コンタクト」 ***3/4 |
Written and Directed by : Yoon-Hyun Chang
Starring : Suk-kyu Han, Do-yeon Jeon, etc
NHK BS2にて録画鑑賞
『Tell Me Something〜カル』のチャン=ユニョン監督によるメジャー長編映画のデビュー作。確かに恋愛映画として韓国本国だけでなく、香港でも大ヒットを飛ばしたってのはよ〜く分かります。ラストシーンなんかモロにフジTV系トレンディ・ドラマって感じだもんね(^_^;)。けど、私はむしろその最後の20分くらいはも〜終わり方も読めてたし、長くて長くて…「早く終われよっ!」って感じでした(^_^;)。
『カル』のページにも書いた様に、実のところ彼はハンガリーで映画製作を学んで来たバリバリの活動系。この映画の前編では、その妙な暗さが特に浮き上がって来ています。私などは、この辺りの独特な雰囲気に引き込まれてしまったので、最初10分くらい観て後は後日にでも観ようと思っていたのに、一気に最後まで観て殆ど徹夜(^_^;)。
う〜ん、最初の1時間弱は確かに『カル』に通じるモノがありますね(ど〜でもいいけど、ロケ場所に同じCD屋さんが使われていたのには笑えました。もしかして、知り合いのお店かなんかなの???)。ただし、『カル』ではその内容もあって、MTV的でスタイリッシュな映像が展開されているのですが、この作品での撮影&照明は至ってシンプル。むしろ『カル』との共通点は、その“都会の無機質性”でありませう。この辺り、『カル』ではシム=ウナがその無機質性を象徴していましたが、こちらではハン=ソッキュの方がその役割を果たしていました。ラスト20分を除けば、この映画でのハン=ソッキュは私にとって最高の魅力を放っていましたね〜〜〜。
それが、二人のパソ通関係が深まるにつれ、いつの間にか1996年の日本映画『(ハル)』と1999年のTVドラマ『彼女たちの時代』の世界に移行してしまうのですね。1997年にこの映画を完成させたユニョン監督が『(ハル)』を真似した可能性は殆どないと思いますが、『彼女たち…』の岡田恵和氏がこの映画を部分的に(ヒロインの職業がテレフォン・ショッピングのオペレーター)パクった可能性は十分にあるんじゃないかと思います。
ま、この中盤部分もハン=ソッキュの魅力のお陰で、随分と助かっていた様な気がします。一人ポラロイドのシーンとか、彼がやるとやっぱりカワユイ(^_^;)。後は怒涛の様にトレンディ・ドラマへとなだれ込んでしまうのが、とても残念なのですが…。
それにつけてもこの映画には、90年代後半以降に作られた韓国映画によく見られる二つの要素がきっかりと含まれています。
一つはそこに、“徴兵(やその前後期)に引き裂かれた忘れられぬ恋人”の影があること。そしてもう一つは、主要人物の誰かが外国へ行くという設定。
“徴兵によって引き裂かれた恋”とゆ〜のは、韓国人にとっては想像以上の大きなモノらしいですね。『ペパーミント・キャンディ』や『バンジージャンプをする』など、このたった2年間を境に壊れてしまった初恋の影を追い続ける男達の何とナルシーなこと!!!しかも皆揃いも揃って妥協した結婚をしているなんてっっっ!ソレじゃ奥さんが可哀想でないの〜〜〜。いや、この手の男性ってほんっと韓国にはゴロゴロしているんだろ〜な〜。で、こ〜ゆ〜映画観て自分を投影させちゃったりなんかして…(^_^;)(^_^;)(^_^;)。
そしてもう一つの“海外へ逃げる”とゆ〜のも、韓国では日本以上に多い現象なのではないかと思います。『猫をお願い』や、またまた『バンジージャンプをする』でも…。それだけ韓国では生き方に詰まったら、他に行くトコがないとゆ〜ことなんでしょうか…。
ともあれ、ラストのトレンディドラマちっくな部分にはうんざりだった私も、何だかんだで次にソウルに行ったら舞台になったピカデリー劇場前には、是非足を運びたいと思っています(^_^;)。それと、テーマ曲のベルベット・アンダーグラウンドによる『ペール・ブルー・アイズ』なんかも、思わずCD屋さんで探してしまいそうな、結局基本的にはミーハーな私なのでありました(^_^;)。
「雄呂血」**** 「阪東妻三郎の生涯」**1/2 |
現在、新文芸座で開催されている“阪妻映画祭”に行って来ました。その中で私が観たのは以下の3本です。
実は、阪東妻三郎の映画で私がそれまでに観たのは『無法松の一生』だけだったのですよ。いや〜、失敗、失敗。それじゃ、まるでチャップリンの『黄金狂時代』や『モダンタイムス』を観る前に、『ライムライト』や『ニューヨークの王様』を観てしまった様なモンです。やっぱりモノには順番とゆ〜モノがありますね(^_^;)。
さて、前置きはコレくらいにして。さすが黄金時代の阪妻!初期の若々しさだけじゃなくて、油もしっかりと乗ってます。サイレントからトーキーへ移行した時、彼の声は非常に評判が悪かったそうですが、どうしてどうして、イイ声してるじゃないですか〜。
この映画は阪妻の魅力が爆発してるだけじゃなく、映画全体の出来としても名作の域に入りますね。阪妻が高田馬場までひたすら走りまくる有名な疾走シーンは、単に斬新というだけでなく観ててとにかく圧倒されます。まさに圧巻。あの数分間だけでも、この映画は誰の目にも焼き付いて離れないモノとなっているでしょうけれど、他のモブシーンもスゴイ。なんてったって1928年、今から75年も前の作品なんですよぉぉぉ。それであれだけのエキストラを裁いて、あれだけの移動で撮って、あれだけの迫力。う〜ん、おそるべしマキノ雅弘(この映画を監督した時は正博でした)…。
それにしても、安二郎の伯父さんには泣かされたなぁ。役者さんもいいし、ホンもイイ。結末は分かっているのに、思わず手に汗握ったり、ホロリとさせられてしまいました。
最後に、志村喬がほんのちょい役で出てるんですね〜。私も最初は、「アレ?」としか思わなかったけど、一緒に観た人も気が付いたのでやっぱりそうだったと思います。
な、な、なんとゆ〜暗い映画…。切ないくらいの悲しさですね〜(>_<)。阪妻プロダクション第1作目でありながら、検閲などで暫くお蔵入りになってしまったのも分かる気がします。コレは日本社会の不正義を強烈に批判していますよ。ドキュメンタリーのインタビューの中で息子の田村高広が言っていましたが、阪妻は意外にも(?)いわゆるアカ思想の本を沢山読んでいた人だったのだそうで、その辺の思想がこの作品には如実に表れて来ていた様な気がします。
いや、それにつけてもこの、「コレでもか、コレでもか」とゆ〜くらいの暗さ、彼の“滅びの美学”みたいなモノは、この作品辺りから来ているのでしょうか…。ちなみにこの作品、もし土曜日に観に行ってたら弁士付きで観ることが出来たのだそうで。惜しかったな〜〜〜。
タイトルと内容は随分と違っていまして、彼の少年時代の紹介などは殆どなく、本編の大部分が作品紹介やハイライト、そして家族、共演者、スタッフなどへのインタビューで構成されていました。
意外だなぁと思ったのは、彼がハリウッドと組んでプロダクションを設立し、機材をアメリカから調達していた時期があったこと、そしてコワそうに見えていた彼なのに、実はいつも家族のことを心配してオロオロする優しい父親であったことなどでした。いや、それにしても長男の田村高広氏は、お父さんソックリなんですね〜。だたし、『雄呂血』のリメイクなんか観てみると、ちょっとオーラ足りない様な…(^_^;)。
…とゆ〜ワケで、今回は見逃してしまいましたが、後は『恋山彦』とか『王将』とか是非観てみたいですね。それもビデオじゃなくって、是非とも銀幕で!!!
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