*** Just Watched 35 - 最近観た映画 35 ***

評価の満点は5つ星です。

"ALI" - 「アリ」**1/2
「仁義なき闘い:広島死闘編」「緋牡丹博徒:花札勝負」
「新幹線大爆破」
"A2" - **
"The Color of Life" - 「カラー・オブ・ライフ」**1/2
"E.T. the Extra-Terrestrial" ****1/2

"ALI"
「アリ」 - **1/2
June 7th, 2002

Directed by : Michael Mann, Written by : Eric Roth, etc.
Starring : Will Smith, John Voight, etc.
Official Site : Japanese
渋東急谷にて

私にとっては、90年代ベスト3に入るお気に入り映画『インサイダー』のマイケル=マン監督&エリック=ロス脚本ということで、昨年末の全米公開時から気にはなっていた映画です。けど、主演のウィル=スミス&助演のジョン=ボイド、それから迫真の試合シーンを除けば駄作であるとの評判を受け、私の周りで劇場にまでわざわざ足を運ぶ人は誰もいなかったのですね(^_^;)。

う〜ん、確かにペケでしたね〜。めちゃくちゃひどい駄作とゆ〜ワケではないけれど、出来としては完璧にマイナス点(私にとっては*印3以下)の映画でせう。
個人的には、「なんだ〜、コレってまるっきり『突入せよ!「あさま山荘事件」』のパターンじゃん!」とゆ〜感じ。そうそう、あの映画も出来はヒドイという噂を事前に聞いていながら、同監督の前作『金融腐食列島:呪縛』が大〜〜〜〜〜好きな私であったので、淡い期待を抱いて観に行ってしまったんですよね。こじつけて言うと、そのマイナス・ポインツなんかも、『突入せよ!…』とけっこう似てるなと思ってしまいました。

その1。まず耐えられないくらい(?)マイナスだよな〜と思ったのが、音楽。今回は言わずもがな、キャラクターの殆どが黒人と言うことで、当然アフリカン・ミュージックが多く使われていたのですが(時々『インサイダー』で使われたのと同じミュージシャンと思われる、まるっきり違う音楽も挿入されていて、そこだけやたらに浮きまくっていましたけど)、どれも場違いなんだな〜コレが。監督の意図がやたらに見え見えで、ワザとらしくしか聞こえないんですよね。う〜ん、この辺り、「なんで黒人メインの映画を白人監督が作ってんだよ」とか思っている人達には、特に耳障りな部分なのではないでしょうか。ちなみに私は「黒人メインの映画を白人が作るべきでない」と言っているのでは決してないので、悪しからず。勿論、映画作品としてちゃんと作ってくれればいいじゃないですか、誰が作ったって。

その2。せっかくいい役者を揃えているのに、各キャラにキャラクターがまるでない。コレも『突入せよ!』と全く同じパターンですね。この映画に関して言えば、それこそ多くのメジャー映画で脇を固める俳優陣が顔を揃えているのですが、どのキャラにも個性が全くないし、ストーリー上いなくてもいいんじゃないの?って人ばかり。勿体無い〜〜〜。
ウィル=スミスについては、確かによくやってたと思います。特に台詞のないシーンなんかとても良かったし。最初彼がモハメド=アリをやるって聞いた時、誰もがジョーダンでしょ???と言ったモンですが…(^_^;)。けど、肝心のモハメド=アリのキャラクターが、もともと脚本の中に用意されてはいなかった。コレについては、下にもっと詳しく書きます。
ジョン=ボイドはね〜、確かに印象的なキャラではあったけど、ソレって単にメイクによって顔がガラっと変わったからだけじゃない?やはりコーセルという人が一体どういった人物であったかなんて、コレっぽっちも分からなかったもん。
そしてそして、その勿体無い脇役陣達!!!久々に眼にしたジアンカルロ=エスポジートや、ブロードウェイ・ミュージカル『トップドッグ/アンダードッグ』で今ノリに乗ってるジェフリー=ライト(その昔、『バスキア』をやってた頃と比べると、ただの太ったオジサンだけど〜(>_<)、TVに映画に大活躍中のジェイミー=フォックス、監督業にも忙しいマリオ=ヴァン=ピーブルス等、見事に全員いてもいなくてもいいような役を演じていましたね。コレも『突入せよ!』と同じパターン。確かに歴史上、彼らは有名なキャラ達かもしれません。けどストーリー上はまるっきりおざなりのキャラばかり。コレならすっきり数を減らして、一人当たりのキャラにもっと焦点を集中させた方が全然良かったんじゃないかなぁ。

その3。コレも皆がよく知ってる現代史を“再現ドラマ化”した『突入せよ!』との共通点なのですが、史実をなぞってるだけで観客は満足しないとゆ〜コトですね。それはその歴史を知ってる人にとっても、まるっきり知らない人にとっても…。私の場合、「あさま山荘事件」についてのドキュメンタリーを幾つか観たり、関係資料を事前に読んだりしてしまっていたので、『突入せよ!』で、単なるその“再現ドラマ”を見せられたトコロでまるで興奮出来なかったのと同じ様に、この場合は『When We Were Kings 〜モハメド=アリ:かけがえないの日々』という名作ドキュメンタリーをすでに観てしまっていたのでね〜。『ALI』の後半部分には、このドキュメンタリーからそのままパクった様なシーンが2〜3個所出て来るのですが(ザイールの村で子供達をランニングをしている場面など)、モトを先に観ちゃった私にとっては、めちゃくちゃ興醒めのシーンでした。逆に観てない人にとっては「ホントにこんなコトあったの?」ってゆ〜くらい嘘っぽいシーンに見えるかもしれませんが…(^_^;)。作り手としてはドラマチックなシーンにしたかったんでしょうけど、ちょっと中途半端に終わってしまっていた様な…(^_^;)。

そして最後にその4。長〜〜〜〜〜〜いっ。『突入せよ!』の2時間半も長いと思ったけど、こっちはほぼ3時間ですよ、もぉぉぉ。い〜かげんにしてくれぇぇぇっ!!!
いえ、たとえ3時間でもそれなりにテンションが保たれていればいいんですよ。けど、ただもう間延び〜的に長いのね。試合のシーンにしても、私にとっては何処も新しいモノを感じなかったし…。とにかく「監督、どうしちゃったの???」としか言えなかった。惜しいな〜、才能のない監督さんじゃないのにね〜〜〜。

この映画とゆ〜のは大雑把に言って、1)マルコムXとの交流からイスラムの世界に入っていくまで、2)徴兵拒否によるタイトル&ライセンス剥奪とどん底の時代、3)ザイールでのジョージ=フォアマンとの歴史的試合…といった3つの部分に分かれるんじゃないかと思うのですが、私はどれか一つにフォーカスを絞った方が良かったんじゃないかと思います。個人的には、上に書いた様に3)に関してのドキュメンタリーがすでに存在しているので(それに皆この試合の結果知ってるし(^_^;)、2)辺りに絞った方が良かったんじゃないでしょうか。やはりこの時代にこそ、“モハメド=アリという人物”という人格がよく表れていた様な気がするし…。
そう、彼はただ“ボクシングが強い人”だけではなかったのですよ。私事ですが、自分の学校の卒業式に来たゲストの一人がモハメド=アリでした(しかも歴史学者のノム=チョウムスキーと並んで)。彼の肩書きは”The Greatest”。この時私は初めて彼がただ強かっただけの人ではなく、その人格も含めて人々から敬われていることを知ったのです。ちなみに世紀末から新世紀へのタイムズスクエアのミラーボールのボタンを押した歴史的人物も、モハメド=アリその人でした。
(少なくとも白人のリベラル層にとって)彼に対する敬意は、その不器用なまでに貫き通した彼の意思の強さでしょう。では、その背景にあった彼の情熱や苦悩とは?????アリのことをよく知る人も知らない人も、本当にこの映画で観たかったのはそこじゃないかなぁ?繰り返しますが、歴史的事実なんていちいち全部紹介しなくてもいいんです。だって、この映画で興味が湧いた人は後で本を読んだっていいんだし、ドキュメンタリーを漁ったっていいんだし、インターネットでだって情報はいくらでも得られるのですから。アリという人物を中心に長編映画を作る意義と、それを単なるドキュドラマで終わらせてしまうことが、決して同義ではないハズだと、私は個人的に思ってしまうのですが…。

この手の伝記映画にはいつも不満タラタラな私なので、調子に乗ってもう少し書いてしまいますね。例えば、チャールズ=チャップリンの半生記を映画化した『チャーリー』。この映画に対する私の不満は、まさに『ALI』に対するソレと同じです。そう、この映画もやはりチャップリンがどうしたああした、誰と結婚した何の作品を作った…を丹念に追ってばっかり。 だからそんなコト、後で本を読めばいいんですから、一々全部やることないじゃないですか。『ALI』でもそうだったけど、全部の奥さん&愛人を一々全員登場させたりね。アレじゃタダの“たらし”ですよ(^_^;)。
チャップリンファンもそうでない人も、本当に観たかったのはチャップリンという人物がどんな人であったのか。それこそモハメド=アリと全く同じ、“天才の情熱、孤独、苦悩, etc”なわけでしょう???そこを大胆に解釈するコトにこそ、長編映画というアート作品を作りあげる意義があるのではないでしょうか???
歴史的事実を曲げることと、クリエイターが史実を自由に解釈することは全く別の二つのコトです。原作付であったり、史実がベースになっている映画が作られる時、「ココが違う」「アソコが違う」という人は、どうやったって必ず出て来ます。だったら最初から腹をくくって「コレが私の解釈だ〜〜〜」と、大胆にやればいいではないですか。注釈は”Based on…”ではなく、 “Inspired by…”にすればよいのですし。
例えば『ビューティフル・マインド』を観ても分かる様に、史実にがんじがらめにされてしまった後半部分より、残された記録や証言が少なく、脚本家や監督達のクリエイティビティーがより発揮された前半部分の方が、私は映画としてはずっと面白かったと思います。だからこそ、莫大なお金をかけて一本の映画を作る価値がそこにあるのだと私は思うのですが、いかがでしょう???(ですから、『ビューティフル…』に主人公の一人目の妻が登場しなかったり、二人目の妻との離婚&復縁が描かれていなかったのも、私は一つの選択であると思っています。まぁ確かに、どこかで注釈みたいのは出した方がいいかもしれませんが、ドラマ部分でわざわざ時間を割くことはないでしょう)

え〜、伝記映画にはちとウルサイ私なので、思いっきり長くなってしまいましたが、やっぱり惜しかったですよね。これだけの題材、人材、予算を使って…。余談ですが、映画を観た方はお分かりの通り、アリは非常に“言葉のシャレ”が得意な人でした。当然それは英語の単語において韻を踏んでいるワケで、翻訳者の人は字幕付ける時、めちゃくちゃ苦労されたと思います(^_^;)。オツカレサマ。

P.S. 昨日の『虎ノ門』で、井筒監督がこの映画を大絶賛しておりました。私の感想はあくまで偏ったモノなので、あまり当てにしないで下さいね(^_^;)。

「仁義なき闘い:広島死闘編」
「緋牡丹博徒:花札勝負」
「新幹線大爆破」
mid - late May, 2002

新宿昭和館の閉館を受け、先月から中野武蔵野ホールで始まった任侠映画入門の第1弾。全12本の中から私が観たのは以下の3本です。

『仁義なき闘い:広島死闘編』

シリーズ第2作目ですが、監督も同じなのに1作目とは全然違った感じでした。う〜ん、1作目の衝撃が大きすぎたのか、印象は半減以下。前作と同じ様に登場人物も多くて豪華キャストなのですが、それでもちょっとパワーダウンを感じたのは私だけ?
北大路欣也&梶芽衣子は良かったけど、あとは菅原文太もあまり出番なかったしね〜〜〜。ラストは第1作目とは対象をなすくらい、違ったトーンになっていました。他のシリーズも観なくっちゃなぁぁぁっ。

『緋牡丹博徒:花札勝負』

シリーズ第3作目。こちらは先日観た第1作目よりずっと良かったです。1作目もけっこう好きだったけど、藤純子がカワイイってゆ〜印象の方が強かったですからね〜。いや〜、3作目では美しい姉御さんに成長なさっておりました。
まず脚本がよく書けてるなぁ〜と超感心(冒頭部分はちょっと唐突過ぎるけど(^_^;)。オーソドックスなメロドラマと言ってしまえばそれまでなのですが、やっぱ泣かせます。捕り物シーンがたった一場面しかなく、他の1時間半をまるまる人間ドラマで見せたのも私的には二重丸。
そうそう、第1作目の監督は山下耕作なのですが、この作品の監督は加藤泰。映像的にはやっぱりキレイですね〜。雪のシーンはどれもこれも印象的。二人のキャラをローアングルの対で見せるのも、加藤監督ならでは(…かどうかはよく知りませんが)。ただし高倉健との胸キュンシーンは、第1作目の方が真にせまって見えたのは私の気のせいでしょうか?やっぱり藤純子が幼かったからかな?1作目は…(^_^;)。

『新幹線大爆破』

どうしてこの作品が任侠映画シリーズに…(^_^;)。ただ高倉健が出てるっていう繋がりだけですよね。いや正に噂通りのエンターテイメント・ムービーでした。当時イギリスやフランスでも大ヒットしたのってよく分かります。ただし、英・仏バージョンでは、犯人達の過去についての大幅カットがあったとか。確かに長い映画だけど、あれカットしちゃダメですよ〜。個人的には高倉健より山本圭の方がずっと好みだな〜私には(^_^;)。
そうそう、この映画で忘れちゃならないのがちょい役チェック。新幹線の副操縦士が小林念待だったり飛行場のチェックイン・カウンターのお姉さんが多岐川裕美だったり、電話交換士のお姉さんが志保美悦子だったり、族の兄ちゃんが岩城晃一だったりと枚挙にいとまがありません。
最後に…、やっぱアメリカ映画『スピード』は、絶対この映画のパクリですよね。あの映画も好きだけど、オリジナルのアイデアが日本映画にあったとは…(^_^;)。

"A2" - **
May 28th, 2002

Directed by : Tatsuya Mori
Official Site :
Japanese
BOX東中野にて

全体的な感想としては、“私好みの映画では全くない”とゆ〜モノでした。では、この映画の何処か私の好みではなかったか?ソレは“何となく客観的立場を装っているトコロ”とでも言いましょうか。けど、私は何も監督に対して「オウムを敵視するのか味方であるのかハッキリしろ」と言っているのではありません。(どちらかならどちらがで、ソレはソレでいいんですけれど)。作り手の立場とゆ〜のは、必ずしも敵か味方のどちらかでなくてもいい、“分からない”で全然い〜んですよ。ソコにフィルムメーカーとしての“こだわり”なり、“苦悩”なり、何かしらの姿が見えさえすれば…。けど、この映画はその部分をキレーに隠そうとしてた。ソレが私には気に入らなかったのですね。

観た人ならお分かりの通り、この映画はオウム(現アレフ)についての映画ではありません。この映画から見えてくるのは日本という社会の中でのマスコミの姿勢であり、右翼団体の姿であり、地域住民のコミュニティーであったりするワケです。ソレらをどう捕らえ、解釈するかはむしろこの映画を観る人達に委ねられている。おそらくこの映画をわざわざ観に来る様な人達は(オウムおたくの人達を除けば)、多少なりとも日本社会の在り方とゆ〜モノを普段から考えてる人達なんでしょうから、色々と考えるトコロはあると思います。けど、それじゃまるで安っぽいTVのニュース番組みたい。「我々はニュース・ソースをアリノママに見せますので、後はあなた達でご自由に解釈して下さい」みたいな…。だってアリノママのニュース・ソースなんて有り得ない。それはある意味この映画の裏テーマでもあるワケで、映画自体が本編のテーマを自己矛盾させている様な気さえしてしまったのです、私には。
え〜と、言い方を変えますね。この映画には、マスコミでは表に出てこなかった興味深い映像が沢山出て来ます。けど、そこにフィルムメーカー自身の姿(別に映像として出て来いと言っているのではありませんので、悪しからず)が欠如しているコトによって、彼がこの映画の中で暗に批判しようとしているマスコミの流す映像と本質的には同じになってしまったのではないでしょうか?言ってる意味、分かります???

まぁ、最終的にはど〜ゆ〜映画が好きかという好みのモンダイになってしまうんですけどね。私の場合、題材は何だっていいんです。まるでセンセーショナルでなくたっていい。ソコにフィルムメーカーのパッションさえ確認することが出来れば。勿論、監督にこの映画を完成させるだけのパッションはあったでしょう。彼なりに、オウムというモノについて、そして彼らを取り巻く社会現象についてのこだわりや疑問や苦悩は十分あったと思います。私はただ、ソレを素直に観たかった…。もう一言、ソレだけです(^_^;)。

P.S.  え〜と、一旦感想を書き終わってからの追加感想があります。

この映画の中で最も印象に残る場面の一つは、信者達と地元住民達が時を経るうちに親しい関係となり、信者達が街を去る頃には皆で一緒に共同作業をするまでに仲良くなるという部分ではないでしょうか。ただこの場面の解釈、上にも書きました様に、フィルムメーカーの意図が見えない為にある意味ちょっと危険をはらんでいる様な気がするんです。私は、おそらく監督が言いたかったのは、マスコミのオウムに関する報道がネガティブなものばかりを選択している=マスコミの報道は自分達の意図にあったモノや都合のいいモノしか流さない=その背後にはいつも隠された色々なドラマがある…という様なことじゃないかと思うのです。けど、下手するとこの場面「ああ、オウムの信者達と言えど、やっぱり人の子じゃない」という意図で取られかねないんじゃないかな、と思ってしまうワケですね。
誤解のない様に書きますが、私はオウムの信者がみな人の子ではないと言っているのではありません。勿論、みんな人の子なんですよ。“オウムの信者はみな人の子ではない”という潜入観念こそ、マスコミのやっている意識操作なのですから。“信者も人の子”、それはそうなのです。ではどうやったらそうした“フツーの人の子”が集まるこの集団が、そうした大量殺人に手を染めてしまったのでしょうか?

私はその答えが、映画『鬼が来た!』にあるんじゃないかと思っています。あの映画における、中国の農民と香川照之演じる日本軍人の心の触れ合いって、なんだか『A2』の中の信者と地元住民の交流に凄くよく似てるなぁと思うのですね。初めは対立し合っていた敵と味方の人達同士なのに、時が経つにつれて“情が移ってくる”。コレは本当にどこの世界でもあることだと思うんですよ。ソレが一旦“組織”というモノの中に帰った途端、分かり合っていたはずの“個”と“個”が何処かへ吹き飛んでしまう…。この狂気にこそ、オウムと私達を結ぶ(あるいは隔てる)本当の答えがあるんじゃないでしょうか?つまり、あの信者達と地元住民の触れ合いは本当に本当に“ホンモノ”だったと思うし、決して信者達が地元住民に媚びたり嘘ついて得られたモノではないと思います。そこにちゃんと“信頼関係”というモノが存在していたのは事実でしょう。けど、ある日突然、組織の上部から命令が下されたら信者達はどうするのか…。その末路が『鬼が来た!』の様になってしまわないと、誰が断言することが出来ましょうか?
この映画から見えてくるオウム(アレフ)という組織は、決して特殊な組織や団体ではありません。日本には何処にでもゴロゴロしているような人間の集合体ですし、コミュニティーでしかありません。けど、そういったありふれた人達によるありふれた組織が大量殺人をおかしてしまう…。コレってありふれた日本の若者達がアジアの人達を大量殺人してしまった、南京大虐殺を初めとする当時の日本軍の行為にちょっと似ている所があるとは思いませんか?何だかいきなり飛躍した見方かもしれませんが、この映画に関するひととおりの感想を書いた後、ちょっとベッドに入ったらそんなコトを考えてしまいました。ま、それだけいろんな解釈が出来る映画とゆ〜コトですね(^_^;)(^_^;)(^_^;)。

"The Color of Life"
「カラー・オブ・ライフ」 - **1/2
May 23th, 2002

Written and Directed by : Yoshimasa Ishibashi
Official Site :
Japanese
新宿武蔵野館にて

昨年のニューディレクターズ・ニューフィルム映画祭では、短編作品として異例のプログラム表紙を飾った『The Fuccon Family』。この作品はロカルノ映画祭に正式招待されたこともあり、“ビジュアリスト石橋義正”の名前は何かに付けて聞いたことはあったのですが、作品は一度も観たことなかったんですよね。日本へ帰って来てからも、何だかんだでTV番組を観るチャンスもなくて…。なのでこの際、全部まとめて観てしまいました。

う〜ん、こ〜ゆ〜作品を1500円払ってわざわざ夜9時に観に来ちゃう人達がいるんですから、東京って面白い所ですね〜。まぁ、私に限っては興味もあったし、友人にこの手の作品が好きな輩が多い為、まだそれだけのお金を払って観に行く理由は十分にあるんですけど、あまり一般的にはオススメしないかな。ど〜せビデオ・プロジェクターで上映してるんだから、おウチのビデオで観てもおんなじですよ(^_^;)。

全体的な感想から言うと、まぁ基本的にはどの作品もパロディなんですね。だからオリジナルはアレかな?コレかな?な〜んてゆ〜推測をしてみたり…という通的な楽しみ方はあるんですが、私は個人的にそういった“小手先だけのギャグ”ってすぐに飽きてしまうんですよ。そりゃ〜彼はすっごく才能あると思うし、どれも面白いことは確か。けど、ココがサブカルチャーのツライ所なんでしょうかね。内輪ウケは出来るんだけど、けっこう狭い空間だけで自己完結してしまってるというか…。

ともあれ、やはり一番好きな作品と言うと日本では『オー・マイキー』として放送中のフーコン・ファミリーでしょうかね。表情からポーズまで全く変わらないマネキンであれだけのドラマを作ってしまうとゆ〜のは、最初はかなりのインパクトありますよね、やっぱり。ただ私の場合ちょっと飽きっぽい所があって、後半は「引っ越していった」以外は殆ど笑えなかったかなぁ。何かオチが皆一緒じゃんみたいな。

『ゾンビ・ファミリー』はさすがに観てて苦痛なんですけど、3人の女優さん達がウマイですね〜。ビジュアルや脚本がどうあれ、あの3人の語りでかなりポイント高いです。
その他のスキットは正直、私的にはあまり印象なかったです。アソビゴゴロは大いにいいんだけど、それだけだと…ね(^_^;)。

この監督さん、他にも『狂わせたいの』とかゆ〜60分のミュージカル映画を作っているそ〜で、こちらは私的にかなり興味をそそられちゃいますね〜。

"E.T. the Extra-Terrestrial 〜20th Anniversary version"
「E.T. 20周年バージョン」 - ****1/2
May 22th, 2002

Directed by : Steven Spielberg
Starring : Henry Thomas, Drew Barrymore, etc.
Official Site :
English
新宿武蔵野館にて

いや〜、この映画、私の嫌いなハリウッド映画なんですごく悔しいんですけど、やっぱボロボロに泣かされちゃいましたね〜〜〜。う〜ん、良く出来てるわ〜〜〜。
恥ずかしながら(?)私、この映画はリアルタイムで劇場公開された時にはまるっきり興味がなくて、ずっと後になってからビデオで観たんですよ。ち〜いさいモニターでね。で、感想と言えば、「幼児向けの映画かと思ってたら、意外とコワイ映画なんだなぁ」とゆ〜くらい。まだあの時はアメリカに行くとか考えたこともなかったし、何も知らなかったからそのくらいの感想しか浮かんできませんでした。
で、今観るとこの映画ってホントアメリカの80年代を良く描いていますよね。う〜ん、実に細かい。それに大人のキャラクターは誰も大したことないんだけど、子役達のうまいことうまいコト!!!ドリュー=バリモアのかわゆさは今更ココに書くまでもないですが、兄弟二人もめちゃうまっ!エリオット役のヘンリー=トーマスはその後さっぱりまともな役に巡り合っていない様ですが、もったいないですね〜。そうそう、脚本もすごく良く書けてるな〜と思うんですけれど、この脚本家も殆ど一発屋さんだった様で…(^_^;)。

それにしても、CG技術がまだ殆どなかったと言っていいくらい未熟で、どう見てもハリボテの縫ぐるみでしかないあのE.T.があれほどまでリアルに見えるってゆ〜のはスゴイですね。最初の3分くらいは確かに「ぷぷぷ」なんだけど、慣れて来るとどんどん生き生きしてくるのね。いや〜、やっぱり先端技術にだけ頼らない映画はどれも良く出来てますよ。
とは言え、せっかくの20周年とゆ〜ことでスピルバーグは最先端の技術を駆使して主に2つの部分を削除&加えたそうです。削除したのは、CGを使って警察官達の持つ全ての銃を取り去ったこと。そして付け加えたのは、あの有名な自転車飛行のシーン。20年前人形を使って撮影したあのシーンを、今回は時間をかけてCG処理したのだとか。うん、このシーンを大スクリーンで観るだけでも、1000円払う価値は十二分にあると思いますよ。昔フロリダのユニバーサル・スタジオに行った時、バックトゥ・ザ・フューチャーとE.T.だけは何度でも乗りたかったもんなぁ。自転車で空を飛びたいとゆ〜のは、いつの時代も人々にとっての大きな夢ですよね〜〜〜。

と、まぁ、全米の興行成績としてはいまだ歴代第3位を保っているはずのこの作品。確かにそれだけ多くの人達が観たというだけの出来ではありますね。あと30年経ったら、今度は50周年記念とかやるんでしょうか。その頃、スピルバーグがまだ生きているなら86歳。お次は3D映画かなんかになってしまいそうで、何だかコワイ様な気も…(^_^;)。

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