*** Just Watched 28 - 最近観た映画 28 ***

評価の満点は5つ星です。

"A Beautiful Mind" - ****1/4
"Gosford Park" - ****1/4
"Kandahar" - 「カンダハール」****
"Lord of the Rings" - 「ロード・オブ・ザ・リングス」****1/2

"A Beautiful Mind" ****1/4
Dec 30, 01

Directed by : Ron Howard Written by : Akiva Goldsman
Staring : Russell Crowe, Jennifer Connelly, etc.
Official Sites : English

精神障害を患いつつ自分の信念を貫き通した数学者、ジョン=ナッシュの実話からヒントを得たストーリー。私はけっこう好きだったんですよ、この作品。けど、それは多分私が個人的に『インサイダー』とか『エリン=ブロコビッチ』みたいな実話モノが好きだからなんだと思います。全体的には盛り上がりに欠けるし、かなり長くて間延びして、それでいて最後はかなりのおセンチ・ストーリーなので誰にでもお勧め出来る映画というワケではありません。

この映画で私が何と言っても好きだったのは、その脚本。中盤からだいぶ間伸びしてしまうのですが、始まってから1時間くらいまでの脚本は、良く書けているな〜と思いました。特に、プリンストン大学時代の学友とのやり取りや、アリシアと結婚するまでのぎこちない様でクレバーな愛の囁き(?)は良かったな〜。有りがちと言えば有りがちだけど、台詞の殆どが何でも正確な形になる数学の世界と、曖昧で不確かな現実の世界にかけてあるんです。まず第一に、私はそのテーマが好きでした。ちなみにこの脚本家であるAkiva Goldsmanは、2003年公開予定『Memories of Geisha』の脚本も担当している人。過去の作品を観ると、『バットマン2&3』とか、『プラテイカル・マジック』なんて〜のもあるんですけどね(^_^;)。

それにしても、映画を観た後で聞いたのですが、この映画って実はだいぶ実際とは離れて脚色してあるそうで。例えばこの作品の中心の一つであるジョンとアリシアのラブ・ストーリー、実は彼、アリシアと結婚する前に第一の妻と息子がいたのですが、この映画の中にその母子の話は全く出てきません。NYタイムス評によると、貧しさの為にこの母子を捨てたとか。いやはや、そ〜ゆ〜話を聞くと「話が違うじゃないか〜!」って言って怒る観客や関係者は後を絶たないのでしょうね。

けど、“作品自体さえ良く出来ていれば”、私は個人的に実話のディテールにはあまりこだわりません。例えば私の好きな映画『ラリー=フリント』『エド=ウッド』『エリン=ブロコビッチ』『マルコムX』『インサイダー』は、どれもかなり実在の主人公を美化して描いているのですが、純粋に映画作品としてとっても好きなのです。むしろ、こういった実話モノは、主人公が実際のエピソードから自由になったシーンほど生き生きしていたりするものですし。
だからこの映画でも同じ。おそらく、映画の後半になればなるほどつまらなくなったのは、彼の人生の後半になればる程資料が沢山残っていて、脚本家がより事実に縛られる様になってしまったからなのでしょう。
勿論、ノンフィクション映画で事実を婉曲して伝えることに私は反対です。けど、「Based on a True Story」とか「Inspired by…」という断り書きのある場合、せめてキャラクター・ディベロップの部分くらいは、脚本家が伸び伸び書くべきだと、私は個人的に思っているのです。

主人公を演じたラッセル=クロウは、いつも通り巧いんですけどね〜。何か『インサイダー』の時とまるで同じ演技なんですよ。私『インサイダー』ってもう5回くらい観ちゃってるので、ちょっと”あのパターンの演技”に飽きて来てしまっているのかも鴨。でも、普通の人なら、素直に巧いと思えるかもしれません(^_^;)。
アリシア役のジェニファー=コネリーは『ロケッティア』以来のファンなのですが、この映画では大満足。ま、お婆さんになってからの彼女は、”???”って感じでしたけど、アレはメイクさんの責任ですね(^_^;)。けど、結婚前の二人はホント良かったな〜〜〜。
そして、私にとっては一番の掘り出しモノだったのが、チャールズ役を演じたPaul Bettany。のっけからエモーショナル的にハマらせてくれました。ま、ネタバレ→ホントは存在しない架空の親友なのだから、理想のキャラでいて当たり前なんですけどね。

全体的には、私が個人的に監督のロン=ハワードを好きでないので、特に最後の方はいまイチでした。ハワード作品にはもう常連のエド=ハリスも、ハワード作品好きなら気に入るんでしょうけどね〜。あ、でもプリンストン時代の学友達は皆良かった。アダム=ゴールドバーグがキャスティングされたのには最初びっくりしたけど、実はあ〜ゆ〜タイプって意外といるんですよね、あのガッコには…。あと、『インサイダー』でもお馴染みのクリストファー=プラマーはやっぱりGOOD。

ま、この映画って何度も言う様ですが、監督ロン=ハワードだし、製作ドリーム=ワークスだから、オスカー・レースにはけっこう食い込んで来るかもしれません。私の場合、脚本に関しては手放しで応援したいけど、映画全体としては…ね(^_^;)。

"Gosford Park" - ****1/4
Dec 30, 02

Directed by : Robert Altman
Staring : Kristin Scott Thomas, Clive Owen, etc.
Official Sites :
English

言わずと知れたインディー映画の巨匠、ロバート=アルトマン監督の最新作。けど、舞台は1930年代のイギリス・コスプレものという、これまでのアルトマン作品からは考えられない設定の映画です(^_^;)。
それでも、演技派俳優達が競演する群像劇であるということ、とりあえず(?)誰かが殺されるという点では、今までのアルトマン作品に共通するモノがありますね。実際のところ、あんましミステリーではなかったんですけれど…。

まず、ラストが一応ちゃんと終わっている所、意外なコトにお涙頂戴シーンがちょっぴり出てきたコトにはびっくりしました。ソレもあってなんでしょうね。現在この映画、NYの高年齢層を中心にめちゃくちゃヒットを飛ばしています。私が観に行った12月30日なんて、NYでは普段より人口がずっと少ないハズなのに、夜の回は10時以降まで3つの映画館で全部売り切れでしたから。しかも上映2時間前には全部売り切れているというもの凄さ。まぁ、この映画が軒並み各批評家賞を受賞しているからなんでしょうけれど、2年前の『Topsy-Turvy』といい、NYのお年寄り達はこの手の映画が好きですからね〜。だから全米レベルで大ヒットというのは、あまりないんじゃないかと思いますが。

私の全体的な感想を言いますと、”演出さばきは凄かった”…という感じです。いつもながら、もの凄いキャラの数なんですよ。各俳優サン達もクセのある個性派ばっかりだし。それをここまでよくさばいていますよね。一応誰も主役にすることはせず、同じ様に演出するのって、なかなか出来ないワザだと思います。ま、それって裏を返せばちょっと平坦な映画というコトになってしまうんですけれど…。

私がこの映画で一番好きだったのは、クライブ=オーウェン。BMW Films.comくらいでしかまともに観たことなかったのですが、いや〜ん、BMWの時より何十倍も良かったです〜(^_^;)。それから、マリー役のケリー=マクドナルド。どっかで見た事あるな、と思っていたら、彼女、“あの”『トレインスポッティング』の〜〜〜?
後のキャストは、もう元々うまい俳優サン達だと思っているので、あまり有難たみが…。一応主役に一番近かったキリスティン=スコット=トーマスに関して言うと、彼女の着ているドレスのデザインが好きでした(それしか覚えてない(^_^;)。エミリー=ワトソンも悪くはないんだけど、やっぱエキセリントリックな役ばかり観ているので、いまイチだったかな〜。イギリス映画界の大女優ヘレン=ミレンは、コレで助演女優賞にノミネートされる線が濃いですが、ま、ラストの“あの”シーンが印象深かったというコトで…(^_^;)。
『インサイダー』で、極悪お代官…もとい極悪社長を演じたマイケル=ガンボンは、やっぱりこの映画でも…。けど、個人的に彼はすっごく好きな俳優サンの一人です。『ワイルド』でオスカー=ワイルド役を演じたステファン=フライも、シャーロック=ホームズもどきの警部役として登場するのですが、う〜ん、ちょっと物足りなかったかなぁ、彼に関しては。
他も皆イイんですけどね〜。レベルは高いんだけど、どんぐりの背比べって感じでした。あ、ライアン=フィリップだけちょっと浮いてた様な気がしたのは私だけ???

ところで、劇中には1930年代イギリスならではの気の効いた会話がポンポン登場するのですが、バックグラウンドをあまり知らないで観ると、分からない部分が沢山あって惜しいです。私が分かったのは、当時流行った”チャーリー・チャン・シリーズ”という映画(白人であるワーナー=オーランドが中国人探偵を演じた人気シリーズ)についてくらいなもんで。この映画、翻訳家の人にとってはすっごく大変な作品なんじゃないかと思います(^_^;)。

"Kandahar"
「カンダハール」 ****
Dec 28, 01

Written and Directed by : Mohsen Makhmalbaf
Staring : Niloufar Pazira, Hassan Tantai, etc.
Official Sites :
English
日本での公開は、2002年1月から

今年のカンヌ映画祭でエキュメニック賞を受賞し、映画祭の話題をさらったイラン映画界の巨匠モフセン=マフマルバフ監督最新作。コレは一緒にこの映画を観た友達からの受け売りなのですけれど、イラン映画と言えば国際的には日本でもお馴染みのキアロスタミ監督やジャファール=パナヒ監督、また、『BARAN』の監督であるマジッド=マジディ監督が有名ですが、イラン国内での巨匠と言えば、このマフマルバフ監督がナンバー1になるのだそうで(ちなみに彼は、99年のニューヨーク映画祭で上映された『Sib 〜The Apple』のサミラ=マフラルバフ監督の父親でもあります)。
この映画、当初は来年公開の予定でしたが、折りからの米軍による(カンダハールを含む)アフガン爆撃の開始によって公開が少し早まりました。日本でも11月に開催されたTokyo Filmexでは、一足先にプレミア上映されています。

先週号のタイム誌で、今年の映画ベスト1映画に選ばれたこともあってなのでしょうか、クリスマス休暇中だからスキスキに決まってるよ〜、とたかをくくっていたのですが甘かった。何と大入り満員の激混み状態だったので、ちょっとびっくり。観に行ったリンカーン・プラザとゆ〜劇場は、いわゆる外国映画好きの客層が中心なので、マフマルバフ監督作品を目当てに来た人もいたのでしょうが、やっぱりアフガン状勢に興味を持っている人が、それだけ多いってコトですよね。

え〜、お話は、カナダ移住したアフガン女性がカンダハールに残して来た妹へ会いにやって来るという、基本的にはごくごくシンプルなロード・ムービー。妹が日食の日に自殺すると言う手紙を送って来たので、彼女はめちゃくちゃ急いでいるのですが、何事も一筋縄ではいかないのが旅の途中で出会うアフガニスタンの人達。コレを先進諸国の人が映画化したら、すごいイヤ味になるんだろ〜な〜。もっとも、イランとアフガンの間には多少の上下関係が存在しているので、アフガンの人達がこの映画を観たら、やっぱり不満の残る部分はあるのだと思います。それと、いくら主人公がアフガニスタン人の女性とはいえ、彼女の感覚がもうすっかり西欧化してしまっている為、ある意味イヤ味ギリギリの所でやってたという気もしないではありません(ちなみにこの映画は、実際にカナダに在住しているアフガン女性の実話がモデルとなって描かれています)。

アフリカ系アメリカ人の医者が主要人物の一人になったり、赤十字のキャンプがロケーションの一つになる等、どうもイングリッシュ・スピーカーのシーンが多いのも私には気になる所。
けど、赤十字のシーンは、その大半が地雷のむごさを訴える説明調的部分が多いにせよ、落下傘を付けてヘリコプターから舞い降りてくる義足のシーンは、真に胸にせまります。映像として幻想的というだけでなく、その義足を追いかけて松葉杖で走る男達の表情…、このシーンを見るだけで、この映画を観に劇場へ足を運ぶ価値は十分にあると言っても過言ではありません。
その他、あちこちで評価されているブルガをかぶった女性達のカラフルなシーンも、もちろん見所の一つ。砂漠に生える艶やかなその色の数々には、本当にハッとするものがあります。

主人公のNafasを演じた女優さんは、英語とアフガン語の両方を自由に操るというこのキャラクターの最低条件を満たしているだけでなく、Nafasの持つ聡明さ、穏やかさ、そして強さを全て合わせ持っているというパーフェクトな人。そして何より彼女は、眼がキレイ。彼女のアップが映し出されるだけで、過酷で辛辣なアフガニスタンの現実がまるで一瞬浄化されてしまう様なのでした。
そして、そんな彼女とはまるで対照的な、アメリカ人医師ハッサン。彼って見ていて何だかコワイくらいの気迫があるのですが、タイム誌のこの記事によると、彼は1980年反ホメイニ派イラン人亡命者が米メリーランド州自宅で暗殺された事件の犯人=イスラム教徒のデービッド・ベルフィールド容疑者なのではないかという疑いが持たれている様で、もしそれがホントなら、ちょっと背筋の寒くなる様な話ですね…。

ラストは、はっきり言って“尻切れトンボ”だったんですけれど、それだけ“カンダハール”という場所は米軍の攻撃前でさえあまりに危険で、とても映画の撮影なんか出来る場所ではなかったのだと思います。奇しくも私にはそれが、この映画がアフガンの今について一番切実に訴えている部分の様な気がしてしまいました。

"Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring"
「ロード・オブ・ザ・リングス:旅の仲間」 ****1/2
Dec 28, 01

Directed by : Peter Jackson, Written by : Philippa Boyens and Frances Walsh
Starring : Elijah Wood, Viggo Mortensen, etc.
Official Sites :
English,Japanese

言わずと知れたJ・R・R=トルーキン原作の一大エピック『指輪物語』を、最新SFXを駆使して映画化したモノ。『指輪物語』は、1970年代に一度アニメーション作品として映画化されていますが、実物の人間を使っての映画化はコレが初めて。しかも、第一部から三部までを18ヶ月間かけて一度に撮影してしまったというのだからオドロキです。
今年のカンヌ映画祭では、製作のニューライン・シネマが会場の近くの古城を借り切り、シャトル・バスまで出してスニーク・プレビューを開いたというくらいのフィーバーぶり。先週水曜日の公開初日には、『スターウォーズ:エピソード1』と『ロスト・ワールド』の記録に続く歴代第三位の水曜公開興行記録を達成しています。

今年、アメリカのホリデー・シーズンには、この『ロード・オブ・ザ・リングス("Road of..."ではありません。"Lord of..."デス(^_^;))ともう一本、『ハリー・ポッターと賢者の石』が公開されまして、1)どちらも2年前から撮影が進められていたこと、2)どちらも児童文学のベストセラーが原作になっている、3)どちらも(当面のところは)3部作で、第一弾が今年、そのまま二弾2002年、三弾2003年のホリデー・シーズンと続く予定になっていることから、どうしてもこの二本を比較せずにはいられないんですよね。

まず最初に、この二作品を観るに当たって共通して言えること---絶対に原作(全部読む必要はないと思いますが)を先に読んでからじゃないと楽しめないと思います(勿論、私は商業的な宣伝をしているワケではありませんので、悪しからず(^_^;)。
基本的に両作品とも、すっごくカルトでオタッキーな作品なんですよね。だから、やっぱりまず各キャラクターに愛着を持っているコトが第一条件。その上で、○○はこんなんじゃないよね〜と文句を言ってみたり、○○かわいすぎ〜とか言い合うのが、この二作品最大のお楽しみなんだと思います。
例えば、うちのルーミーのC君は『ハリー・ポッター』の原作を読んでいなかったので、ハリポタの方はあまり楽しめなかった様ですが(でも、彼女の方は原作を読んでいたので、すっごく楽しんでいた様です)、『ロード…』の方はしっかり全部読んでいたので、存分に楽しんでいましたし。私も『ハリー・ポッター』の方は原作を読んでいたので、細かい所に文句を言いつつ、すんなりその世界に入っていくことが出来ましたが、『ロード…』の方は一部分しか読んでいないので、楽しめる部分と楽しめない部分にムラが出来てしまったという感じです(^_^;)。

そうそう、改めてこの『指輪物語』とゆ〜のは、長年に渡って人気のある本だったのですね〜。私の周りでしっかり公開初日に観に行った連中は、勿論子供の頃この本を読んでいた連中でして、それはそれはカルトというか何というか…(^_^;)。確かに5〜6年前、何か面白い児童文学はない?って友達に聞いた時、すかさずこの本を薦められていたんでしたっけ。 けど、イギリス英語で書かれてるし、ワケわかんない特別用語がいっぱい出てくるし(魔法の呪文とか、王家の言葉使いとか、この物語にしか出てこない造語とか)、第一もう、めちゃくちゃ長い………(^_^;)。『ハリー・ポッター』の一巻目を読んだ時も、全く同じ理由でかなり苦戦しました。だって普段聞いたコトのない単語ば〜っかり出てくるんですもの〜〜〜(この辺り、子供用だからと言って日本の昔話を日本語を学ぶ学生に読ませても、彼等にとっては、ちんぷんかんぷんっていうのと全く同じパターンです(^_^;)。

…というワケで、『指輪物語』の方は思いっきり途中で挫折したので、続きは日本語で読むコトにしようと思います。それにしてもこの映画版第一部、原作本の『The Fellowship of the Ring』1&2巻だけでなく、『指輪物語』の序章に当たる『ホビット』まで入れたストーリーを全て三時間に収めてしまったというのですから、あまりにも無理矢理すぎる…(^_^;)。もう最初の15分くらい、ただの説明だけだったりなんかして(^_^;)。物理的に言って、エピソードやキャラクターを切るのは仕方ないのですが、やっぱ難しいですよね〜。この物語は、むしろ複雑なキャラクターの絡み具合が面白いワケなんだし…。

各パートについての感想ですが、私が一番期待していたプロダクション・デザインについては、けっこうちゃちいかな〜と思ってしまいました。この辺、お金をかける割にはチープな出来の作品が多いニューライン・シネマの製作だったので、観る前からかなり危惧してはいたのですが、やっぱりそ〜かという感じでちょっとがっかり。細かく言うと、1)プロダクション・デザイナーのデザイン能力やセンスにがっかり、2)CGが安っぽく見えたこと(あの独特な墨色をどうしても好きになれない私)、3)コスチュームやメイクアップのセンスにがっかり(NZの先住民であるマオリのメイク法を意識している所まではよかったのですが、出来が安っぽい)、4)怪物が全然コワくない…(気持ち悪くはあれ、威圧感みたいのがあまり…^_^;)。この辺りがしっかりしていない為、原作をまるっきり読まずにビジュアルだけ三時間楽しもうという人には、けっこうキツイ映画になってしまうかもしれません。
それと、私の目から見ると、撮影もけっこうお粗末だった様に見えてしまいました。まぁ、かなり巨額の予算で製作しているのは分かりますが、こういった映画だからこそ、撮影には飛び切りお金をかけて欲しかったし、妥協しないで欲しかった。何だかセットのトーンと撮影のトーンが全然合っていないんですよね。
音楽に関しては、サントラ版を何枚も発売して力を入れている割には、印象に残る曲がなかった様な(^_^;)。

…と、エピックにはかかせないプロダクション・デザイン、撮影、音楽の気に入らなかった私が、それでもこの映画を気に入ってしまった大きな理由は、やっぱり俳優サン達の魅力ですよね。
主人公のフロドを演じたイライジャ=ウッドは、まさにフェアリー・テールのキャラクターを演じる為に生まれて来た様などんぐり眼がたまりません。私が初めて彼を見たのは1990年『我が心のボルチモア』。あの時の彼って5〜6歳くだったのかな?私にとっては、あの映画の中で一番印象に残る役を演じていました。その後、『アイス・ストーム』以外はティーン・エイジャー向けの映画に多く出演していますが、やっぱりこの役が最高ですね。何か浮世離れしてるから、彼って…(^_^;)。
そして、原作の中では一番好きなキャラクターで、やはり映画の中でも一番魅力的なキャラクターでいてくれたアラゴルン。いいな〜〜〜〜。彼のキャラが登場してから、この映画が100倍くらい面白くなったと言っても過言ではありません。う〜ん、第二部、三部の彼を見るのが待ち切れない〜〜〜〜〜〜〜〜。勿論、彼が最後にどうなるかっていうのは、もう知っているんですけどね。それがどう映像化されているのか、やっぱり見てみたいじゃないですか〜。コレが、この映画のトリッキーな所なんですよね(^_^;)。それに、アラゴルン役のヴィゴ=モーテンセンって、他であんまり見たことないけど、いいぞいいぞ〜〜〜。

原作ではあまりにも女性のキャラクターが弱いということで、逆にシーンの増やされたアルウェンとガラドリエル。勿論この二人のキャラクターは原作にも登場するのですが、例えばアルウェンがフロドを馬に乗せて黒騎士達に立ち向かうなんていうシーンは、原作にはないのです。あのシーンのリヴ=タイラー、かっこよかった〜。アラゴルンといる時のシーンもやっぱりよいし♪
今年出演作品が目白押しで、ちょっといい加減にしてくれ〜って感じのケイト=ブランシエットも、さすがにロイヤル系をやらせるとウマイです(^_^;)。私の知ってるキャラでは、彼女が一番原作キャラのイメージから遠いのですが。
その他重鎮のWイアン、イアン=ホルムとイアン=マッケランの二人もいつもながらに良かったです。イアン=ホルムに関していうと、正直原作と全然イメージが違ったのですが、イアン=マッケランの方はそのまんま(^_^;)。特に彼がネタバレ→崖の底へ消えていってしまうシーンは良かったです。ちょっちキちゃいました、私…。
ショーン=ビーンも、ありがちな役なんだけど、最後はやっぱり良かったし、レゴラス役のオーランド=ブルームはちょっとキレイすぎでは?ま、ファンは大喜びなんでしょうけどね(^_^;)。サム役のショーン=オースティンは、まさに『ハリー・ポッター』のロン役的存在。第一部ではあまり見せ場がありませんでしたが、第二部以降が楽しみですね。ピピンとメリー役の二人も、第一部ではアレじゃただのお荷物だけど(^_^;)。そう言えば、ギムリの役って、『ハリポタ』のもろハグリッド役でではないですか???こうやって見ると、『ロード』も『ハリポタ』もまだまだ共通点がある様で…。

うう、やっぱりキャラクターの魅力を語り出したらキリがないです。しかも一年ごとに年月の経つ『ハリポタ』と違って、『ロード』の方は時代がどんどん変わっていっちゃいますからね〜。うう、早く彼等の変身ぶりを見たいよ〜〜〜〜。
それにしても、最終上映時間合計で10時間近くの作品&18ヶ月という足掛け一年以上の撮影をこなしたピーター=ジャクソン監督は、並大抵の人ではありません。この映画を作ったというだけで、もう歴史に残ってしまいますね(^_^;)。私は彼の出世作である『乙女の祈り』は大好きだったのですが、その後ハリウッドで製作した『さまよう魂たち』はさんざんな出来だったという話を聞いていたので、正直ちょっと心配していたのです。でも、コレで彼も見事に復活ですね。冒頭のモブ(群集)シーンはそんなにウマイなとは思いませんでしたが、やっぱり一対一のおセンチシーンになると俄然ウマイな〜と思うし、所どころに見られるそのキャンプ的(ちょっとゲイ的)パートになると、もう彼の独壇場という感じ。
そういった意味で、NYの批評家達がファミリー向けの『ハリー・ポッター』を完全に無視し、このキャンピー&オタッキー映画である『ロード・オブ・ザ・リングス』を大絶賛しているっていうのは、妙に納得いってしまったりなんかして(^_^;)。

…とまぁ、第二部が公開されるまで、あと約一年。めちゃくちゃ遅読の私ですので、もう一度『ホビット』からじっくり読みなおして、思いっきり『ロード…』の世界にハマることにしますかね。でも、最後まで全部観るとなると、あと2年か〜。くぅ〜、コレがホントの生殺し状態ってヤツですね(^_^;)(^_^;)(^_^;)。

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