*** Just Watched 25 - 最近観た映画 25 ***

評価の満点は5つ星です。

"TAPE" - ***3/4
"Intimacy" - 「インティマシー/親密」***3/4
"Galaxy Express 999" - 「銀河鉄道999」****3/4
"All About Lily Chou Chou" - 「リリィ・シュシュのすべて」 ***1/2

"TAPE" - ***3/4
Nov 16, 01, 01

Directed by : Richard Linklater, Written by : Stephen Belber
Staring : Ethan Hawke, Robert Sean Leonard, and Uma Thurman
Official Site :
English

デジカメで撮影したモノをわざわざアニメに起こしたという斬新な作品『Waking Life』で話題沸騰中、リチャード=リンクラスター監督の最新作。まずはこの作品、私からのアドバイス(?)としてはビデオ/DVDの鑑賞で十分だと思います。
ただしそれは、“良くない作品だった”という意味では決してありません。私的にはけっこうお気に入りの作品です。けど、1)撮影が全編デジカメで行われている、2)キャラクターは3人だけ、3)ロケーションは1箇所だけ、4)もともと芝居が原作になっている…というコトで、決してその映像を楽しむ作品ではないというのがその理由。

いや〜、でも脚本は面白かった!!!これは勿論、原作の戯曲がいいのでしょう。ありがちな高校時代からの同級生の三角関係。もしかすると、私の身近にこんなタイプの男性二人がいるから、なおさら面白かったのかもしれないですけれど。イーサン=ホーク演じるいい加減でヤクザな男、ロバート=ショーン=レナード演じるヤッピー&クール気取りのお堅い男、そしてその二人が高校時代、お互いに好きだったスマート&プリティな女性(ウマ=サーマン)をめぐってひたすら泥沼の会話が繰り返されるのです。少なくとも私には、とってもリアルな会話に聞こえて来ました。

そのベイビー・フェイスに全くそぐわぬ水っ腹でドラッグ・ディラーを演じたイーサン=ホークは、今まであまり見たことのない様な役だったのでかなり面白かったです。ロバート=ショーン=レナードに関しては、私がこれまで観た役柄の中では一番好きな役。ヤッピーでいてクールなインディ映画監督を演じていました。彼を観たのは、『Iceman Commes』といい『Invention of Love』といい、最近イギリス英語喋ってるお芝居ばかりだったので、分かり易い英語喋る彼って新鮮だったし。ウマ=サーマンは、役柄にはすっごく合っていたんですけどね。イーサン=ホークと並んでいるのを見ても、「彼等ホントに夫婦なの?」っていうくらい、見た目的には全然似合っていない二人でした(大きなお世話?)。

う〜ん、映像的にはね〜。正直言ってこの映画の映像は、あまり私の趣味ではなかったです。特に冒頭の所とか、めちゃくちゃカット割を細かくしたり、ヘンな角度から撮ってみたりして、なんかすっごく狙っているのですよ。最近、趣向変えたのかな、この人?『恋人までのディスタンス』とか、ヨーロッパで撮影してるってことを除けば、すっごくフツーの映画だった気がするんですけれど。
ま、冒頭にも書いた話題の『Walking Life』。今年のヴェネツィア映画祭をはじめ、数々の映画祭で話題を呼んでいますが、実際観た人の話だと、あまり期待しすぎない方がいい様です。私も予告編観た時、ちょっと幻滅したし…。けど、『TAPE』はアイデア&キャスト次第では、めちゃくちゃ低予算でも劇場公開される面白い映画を撮れるという意味で、インディ映画界にはよい刺激になったと思います。何でも頭と金は使いようですね…(^_^;)。

"Intimacy"
「インティマシー/親密」 ***3/4
Nov 15, 01, 01

Written and Directed by : Patrice Chéreau
Staring : Mark Rylance, Kerry Fox
Official Site :
French
日本での公開は2001年12月下旬予定

今年のベルリン映画祭で、下馬賞ではNo.1と言われていた『Traffic』を抑え、最高賞である金熊賞、主演女優賞、そして最優秀ヨーロッパ映画賞の三冠を受賞。これまで『愛する者よ、列車に乗れ』や『王妃マルゴ』のパトリス=シェロー監督作品にはどうも縁がなかったので、一度は観てみたいと思っていました。特に『王妃マルゴ』の評判は高かったのですが、“絶対劇場で観ろ”と言われているので、なかなかビデオに手が出なかったのです(^_^;)。

原作は、ハニフ=クレイシ(『マイ・ビューティフル・ランドレット』でアカデミー最優秀脚本賞を獲得した人気作家)の小説『ぼくは静かに揺れ動く』。私的な感想で言うと、“いかにも文学作品を原作にした映画”だなぁ〜という感じ。ただ、私は原作を読んでいないので何とも言えませんが、かなり原作とは違った内容・雰囲気になっているのではないかと思います。原作者のクレイシは勿論イギリス人なのですが、パトリス=シェロー監督はフランス人。ロケもキャストも全部イギリスの英語作品とはいえ、やはり最終的な映画のテイストは、バリバリにフランス映画してますね。

ただし、映画の宣伝で謳われている様な“美しいセックス映画”みたいのを想像していくと、ちょっと期待ハズレかも。私も、『王妃マルゴ』などで映像的に評価の高いシェロー監督の作品なんだから…と期待していたのですが、“すんごく普通のセックスシーン”だったと思います。まぁ、私的に言ってソレは全くネガティブというワケではなく、むしろ好感が持てる程でしたが、宣伝文句とは全然違うじゃない〜という感じ。
内容的には全然普通で、全く新しくなく、こっちの方はちょ〜っとがっかりモードでした。私がこの映画を“文学作品的”と言ったのはそのせい。おそらくこの話は、もっと細かい心の揺れ動きがポイントだと思うのですよ。コンセプト(身体だけの関係から純愛が生まれていく)だっていくらでも面白くなるテーマなんだし。けど、私にはその辺あまり見えてこなかったな。映像的にも、そして脚本的にも。私に見る眼がないと言われてしまえば、それまでなんですけどね(^_^;)。けど、一緒に観た友達も全然感動してなかったしな〜。

俳優サン2人は良かったですよ。まぁ、シェロー監督、さすが舞台の演出家ってだけのことはあります。主演のマーク=ライランスは、イギリス演劇界ではグローブ座の座長を務める程ビックなシェークスピア俳優なのだそうで。一緒に観た友達はその昔ロンドンで彼の『ハムレット』(だったかな?)を観てファンになったそうですが、この映画ではちょっとハゲも目立って来て、あまりのオジサンぶりにショックを受けていました(^_^;)。でも、映画が進むうちに段々魅力的に見えて来ますよ。
ジェーン=カンピオン監督の『エンジェル・アット・マイ・テーブル』で、衝撃的な演技を見せたケリー=フォックス。この作品での彼女も確かに素晴らしかったけど、主演女優賞???今年ベルリンで彼女以上の演技を見せた人がいなかったのなら、これはモンダイだ…(それとも、やっぱり原田眞人監督の言う様に、裏に政治の力が働いていた???)。

いつもの様に、この感想文では殆ど映画の内容に触れませんでしたが、この映画にストーリーとか起床転結みたいなモノを求めるとコケてしまうので、要注意。ある意味原作を先に読んでから観る方がいいのかな?でも、それはそれで先にイメージが膨らんでしまってがっかりする可能性も大ですよね。う〜ん、私の周りには原作を読んだ人がいないので、何とも言えませんが…(^_^;)。

"Galaxy Express 999"
「銀河鉄道999」 ****3/4
Oct 16, 01

Written and Directed by : Reiji Matsumoto
Shown at
New York – Tokyo Anime Festival

スイス&オランダ行きの前日、この忙しい時にやっぱり観に行ってしまいました〜(^_^;)。実際、最後の1時間も観られなかったので(劇場に着いた時は、鉄郎がもう時間城へたどり着く直前の場面でした)、感想はゲストブックの方へちょこちょこっと書こうかなと思っていたのですが、いや〜、やっぱり感動してしまいました(^_^;)。なので、急ぎ足で書きますね。

この映画は、先週から一週間に渡って開催されているNew York – Tokyo Anime Festivalの一本として上映されたもの。今回は第1回目ということもあって、最近のアニメだけでなく、それこそ“古典の名作”とでも呼べる様なアニメがたくさん上映されていました。
”AKIRA”や、”Ghost in the Shell 〜攻殻機動隊”、”Wings of Honneamise 〜オネアミスの翼”等、こちらでも堂々と一般の劇場で公開されたお馴染みの作品を初め、“宇宙戦艦ヤマト”シリーズ等、やはり松本零士作品が目立ちますね。最新作(?)の”One Mode Time”も上映されていましたが、ちょっと邦題分かりません。え〜、“千と千尋の神隠し”は、”Spirited Away”という英語タイトルで、予告編だけ上映されていた様ですが…。ちなみにこのフェスティバル、来週から始まる”Big Apple Anime Festival”とは何の繋がりもありません。てっきり相乗りイベントだと思っていたのですが、”Big Apple…”の人達は、自分達の方が真似されたと言っている様で…(^_^;)。こちらの方は、やはりこの夏日本で劇場公開された“メトロポリス”を全米映画監督協会で上映します。

それはともかくっっっ!“銀河鉄道999”!!!も〜、ほぼ20年ぶりに感動させて頂きましたよ〜〜〜。リアルタイムで観た時はまだ小学生だったから、テーマとかよく分からない部分もあったし、“映画的に観て”どう作られているか、なんて全く分からなかったじゃないですか〜。そりゃぁ今観ると、めっちゃくっちゃ“ちゃっちい”です(^_^;)。 999のフロントにある“999”って書いてある文字盤なんて、へしゃげた形に描かれていて、「コンパスくらい使わないのかな〜、あの丸?」とかヘンな所に目が行ってしまうし(何せ今やコンピューター・グラフィックの時代ですからね〜)、ラストのモノローグとかナレーションとか、思わず「うぷぷ」となってしまうくらいクサイのですが。やっぱり名作は名作だ〜。思いっきり〜、感動させて頂きましたよ。観客には意外と普通の人(?)、しかも大人の人が多かったのですが(オタクばっかり来るのかなと思ってたもんで)、最後は皆すすり泣きしてましたね。う〜ん、名作に国境なし〜〜〜。
特に、「人の命は限りあるからこそ、皆生きているうちに一所懸命頑張ろうと思うし、他の人にも優しくなることが出来るんだ」(…って、正確な台詞ではありませんが、こんな感じのコトを言っていたと思います)という台詞、同時多発テロ事件以来、はかない人間の命&人生について考え込むことの多くなった今の私には、胸にずし〜んと来るモノがありました。今さら書くまでもないかもしれませんが、このお話は、機械の身体になることによって永遠の命を手にいれた(?)人達と、それに立ち向かう生身の人間・鉄郎のお話なのです。

今思えば、コレを作った人達って、キューブリックの“2001年宇宙の旅”をリアルタイムで観てぶったまげまくった世代だと思うのですが、ちゃ〜んと真似だけでなく、彼等独自の世界も築いているんだな〜と感心する部分もありました。また、そのハリウッド的な脚本も、起承転結、きちんと作ってあるのです(コレが意外と難しいのですけれど)。いや、それ以上の出来と思ったのは、私の贔屓目かな???(勿論、ご都合主義の部分も沢山あったけど)う〜ん、音楽も良かったし〜。いきなりサントラ欲しくなっちゃいましたよ(^_^;)。

残念なコトに、私はこの1本しか観ることが出来ませんでしたが、このフェスティバル、これからも毎年続けて“小津&黒沢だけじゃない”、もう一面の日本の名作を、もっとアメリカそして世界に広めていって欲しいです〜。

"All About Lily Chou Chou"
「リリィ・シュシュのすべて」 ***1/2
Oct 15, 01

Written and Directed by : Shunji Iwai
Starring : Hayato Ichihara, Shugo Shinonari, Ayumu Ito, Yu Aoi, etc.
Official Site :
English and Japanese

今年のNY映画祭にて上映(岩井監督も会場へ来ていました。詳しくはこちらから)。10月13日付けのNYタイムスでは、「ここまで誉めるか〜?」っていうくらい大絶賛されておりました。トロント映画祭でも上映されていたし、かなり期待していたのですけどね〜〜〜。う〜ん、私的には期待はずれだった〜〜〜(>_<)。
最初の30分〜1時間くらいは良かったのですよ。テンポもいいし、話もシンプルっぽくって…。それが沖縄のシーンくらいから、ワケわかんなくなってくるんですよね。話が分散しすぎてるし、上映時間長すぎ。最初に腕時計が気になりだしたのは1時間20分くらいからかな?後はもう、15分おきくらいに時計見てたし(隣の友達も時間ばかり気にしていた)、「で、コレで終わり?」っていう瞬間が5〜6回あった様な気がします(^_^;)。もっと一本筋の通ったシンプルな話にすれば、すっごくいい映画になったと思うのですが…。主人公は分散しちゃうし(途中、主役が蓮見君なんだか星野君なんだか混乱します)、中途半端にラヴ・ストーリー入ってるし、「あ、コレが後で何かに繋がるのかな?」…っていうのが後になっても全然出てこなかったりとかね。リリィ・シュシュの登場も遅すぎるし、何よりテーマが散漫で…(^_^;)。

岩井俊二監督の映画で私がこれまでに観たのは、『スワロウテイル』『Love Letter』『四月物語』の3作品。『スワロウテイル』では、それなりにチャレンジ精神が感じられるのはいいのですが、気負いの方が大きくなってしまったのか、やはり話を詰め込み過ぎという感じ。さして感動もしなかったしな〜。その点、至ってシンプルな『Love Letter』の方が、私にはずっと良かったです(単に私が、シンプルな映画を好きって話もあるけれど(^_^;)。コレはちゃんとNYでも一般公開されたし、アジアでは相当人気の高かった映画の様ですね(アジアの場合、中山美穂の人気のせいもあると思うけど)。あっ、今気がついたけど、TVドラマ『ラブ・ストーリー』って、この映画と同じコンビだったのですね!忘れてた。タイトルまでがそっくりなのね〜(^_^;)。で、お次の『四月物語』は、日本に帰国した時、ご丁寧に劇場まで観に行ってしまいましたが、う〜〜〜〜ん(^_^;)。ま、噂通りのマスター○ーション映画でした(殆どTVドラマの乗りだったモンね)。ははは…。

で、構想3年のこの作品。最初、脚本の構想に詰まって、インターネットでの公開制作に踏み切ったそうですが、それがかえってストーリーをごちゃごちゃさせてしまったのではないでしょうか?インターネットと現実の世界ですれ違う人間模様、っていう発想自体は好きなんですけどね〜。特に私もある一人のタレントを通して、インターネットの世界にハマっていったので(誰のコトかは書かなくても分かりますね(^_^;)、リリィ・シュシュという歌手を通して人々が繋がっていく様子を見るのは、かなり興味深かったです。
ただ、ああやって文字を画面一杯に出していく手法は、完全に庵野秀明監督のパクリだし、サブリミナルみたいに絵を繋げていくのは、完璧に堤幸彦監督の二番煎じ。そう言った意味で、この映画は庵野監督や堤監督を知らない海外の批評家には受ける映画かもしれないけれど、二人を知ってる私なんかからから見ると、ただの焼きなおし映画にしか見えないのです。本当はもっとオリジナルなことの出来る岩井監督なのに、もったいないですね〜。

カルチュアルな視点から言うと、海外の観客には理解難い部分もけっこうあります。援助交際を全く知らないアメリカ人の観客からは、「あんな少女売春が本当に行われているのか?」という質問もあったし、この映画で起きる犯罪のスタイルが極めて都会的な為、舞台が地方都市というギャップが興味深かったとか(これは私も知らなかったのですが、今地方の方が都市型の少年犯罪が多く起きているのですね)。あと、アイドルスターに対する陶酔の仕方(?)、これも”アジア的”と言った方がいいのかな???チャットに宗教とか古典哲学用語が頻繁に登場するのもアジア的?だけど、この辺りは、前述した庵野監督の世界を随分とパクってるな〜って感じで…。庵野監督と岩井監督って、まるで正反対の世界の人だと思っていたのに、こんな所で接点が出るとはね。それとも、現代における(?)ティーンズ達の世界が、こんな所でリアル感を持っているというコトなのでしょうか???う〜む、自分が突然オバサンに感じてしまったりなんかして…(^_^;)。

役者さんは皆良かったです。主人公の男の子を演じた市原隼人クンは素人サンだそうですが、みずみずしい感じがしてこの役にぴったり。ちょっと『アンティーク』『ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ』の滝沢秀明クンっぽいですね(きょーび、ああいう中性的な男の子の方が女の子には人気がある様で)。星野役の忍成修吾は個性的で◎。将来の活躍が楽しみです。久野さん役の女の子も好きだったな。アレって本当にネタバレ→丸刈りにしちゃったんでしょうか?だとしたら凄い!!!もう一人のヒロイン役もいいんだけど、出番少なかったなぁ…。それにしても、私でさえなかなか各キャラの見分けが付かなかったんだから、海外の観客さん達、キャラクターの把握にはさぞかし苦労することでしょうね(^_^;)。
子役以外では、『HERO』の田中要次さん出てましたね(出番少なかったけど)。あと、こちらもちょい役で出演していた稲森いずみサンは、やっぱ中学生のお母さん役にはちょっと無理が…(^_^;)。『昔の男』の大沢たかお氏も出ていましたが、やっぱ私ダメですわあの人…。

監督に「この作品を遺作にしてもいい」とまで言わしめたこの作品。う〜ん、まだまだいいモノ作れると思いますよ〜、岩井監督。ビジュアル的には、やっぱやってくれますしね。2つの大きな国際映画祭で上映されたということで、名前だけは売ったのですから、これからは、もっと貪欲に、オリジナリティのある映画をガンガン作っていって欲しいと思います。
そう言えば、リリィ=シュシュってまだ活動しているんでしょうか?去年か今年の頭くらいに、NYでライブやってましたけど???

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