*** Just Watched 22 - 最近観た映画 22 ***

評価の満点は5つ星です。

"Il Mare" - 「イルマーレ」***3/4
"L.I.E." - ***1/2
"Bichunmoo" - 「飛天舞」***1/2
"Fathers" ***1/2

"Il Mare"
時空愛 Si Wall Ae
「イルマーレ」 ***3/4
Sep 29, 01

Written and Directed by : Hyun-Seung Lee
Starring : Jeong-Jae Lee, Ji-Hyeon Jeon
Related Site : Japanese
現在、日本でも公開中

9月11日に起きた同時テロ事件後、16日ぶりに初めて観た映画です。会社が終わってからではどうしても映画の最初に間に合わないことは知っていたのですが、限定試写会だったので何とか無理して観に行きました。まぁ、最初の15分くらいは見逃してしても、何とか話の流れは掴むことが出来たのですけれど…。

お話は、簡単に言うと、海の家(=イタリア語で、イルマーレ)にあるポストを通じて文通をし合う、“1998年”に生きるソンヒョンと、“2000年”に生きるウンジュの時空を超えたラブ・ストーリー。私的に言えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」meets「オーロラの彼方に」meets「Love Letter」meets「めぐり逢えたら」meets「リメンバー・ミー(来月、日本公開)」って感じでしょうか???これらの映画のオイシイ所、全部足して割った様な映画ですね〜。悪く言えば、ちょっと捻りを入れたトレンディ・ドラマ的な部分もなきにしもあらずでしたが、まぁ、その美しい映像で全て許してしまいましょう。2週間以上、全く映画を観る気になれなかった私には、なかなか癒し系のよいリハビリ映画になりました。

最後まで作品を観て後で振り返ってみると、けっこうどれもありがちな展開なんですけれど、観ている間は「で、どうなっちゃうんだろ〜?」と最後まで観客を引き寄せる内容ではあります。同じ様な時期に「オーロラの彼方に」や「リメンバー・ミー」という映画がなければ、もっとインパクトのある映画になったでしょうにね。惜しいです〜。
でも、この映画が先の二作品や従来のタイム・トラベル・ストーリーと違うのは、彼等二人の時間差がわずか2年間しかないこと。コレってけっこう遊べるんですね〜。私としては、ここまで発想してるなら、もっと遊べるんじゃない???と思ってしまったくらいですけれど。ハリウッド辺り、このアイデアのリメイク権買いそうだな〜。

この映画の良いところは、そのユニークな発想は勿論のこと、そのロマンチックな映像、そして主演二人の魅力ですね〜。TVドラマから巨匠ぺ=チャンホの映画まで、幅広い役をこなすイ=ジョンジェは、日韓合作映画「純愛譜」でも主演を張っている注目株。透明感というか、爽やか系の男優さんですね。
モデル出身で、やはりドラマでも活躍するチョン=ジヒョンは、最初「LIES/嘘」のヒロインのコにも似てるな〜と思ったのですが、う〜んやっぱりちょっと違う?彼女の最新作は、前売り記録で「チング〜友人」の記録を塗り替えたという「猟奇的な彼女」。これからが、やはり注目の女優サンですね。

この、「デート映画」には持ってこいの“Light Love Story”、最近韓国映画を買い捲っている松竹によって大々的に公開されている様ですが、日本のお客さんの反応はどうなんでしょう???アメリカでは、一般公開しないのかな〜〜〜。

"L.I.E." ***1/2
Sep 28, 01

Directed by : Michael Cuesta, Written by : Stephen M. Ryder
Starring : Brian Cox, Paul Franklin Dano, Billy Kay (II)
Related Site :
New York Times

9月11日に起きた同時テロ事件の直前に観た映画です。もう3週間近く経ってしまったので、大分記憶も薄れているのですが…(^_^;)。

今年のサンダンス映画祭で、コントラバーシャルな話題をさらったとして、今年のニューディレクターズ・ニューフィルム映画祭でも上映されていたのですが、う〜〜〜ん、やっぱり期待が大きすぎたかなぁ。今年は観客賞を取った「Hedwig and the Angry Inch」も含め、私的にはサンダンスの受賞作品、ちょっと期待ハズレの作品が多い様です。
NC−17(17歳未満入場禁止)のレーティングが付いていたので、映画館ではIDを提示させられました(私も一緒に観た友達も、規定年齢を10歳以上超えているとゆ〜のに(^_^;)。だから、ど〜んなスゴイ映画かってドギマギしちゃってたんですよね。そうしたら、キョーレツなシーンなんか全〜然なくってがっかり。同じ題材なら、やはり激しいシーンはないものの、「ハピネス」の方が全然キョーレツな映画だったと私は思う。

まぁでも、悪い映画では全然ないです。むしろかなり良く出来ていると思う。多分、全然期待しないで観たら、“好きな映画”にすらなってたかもしれません(だから映画っていうのは、観る状況によって評価が変わって来ちゃうんですよね〜(^_^;)。
お話は、NY州ロングアイランドに住む少年達と彼等を取り巻く大人のお話(…と言ってしまうと、身も蓋もないけど)でして、L.I.E.とはLong Island Expresswayの略(LIEsじゃないですよ〜(^_^;)。ロングアイランドと一口に言っても、勿論いろいろな地域があるのですが、L.I.E.の近くとゆ〜のは、本当に“絵に描いた様な典型的アメリカ人中流家庭”の家が多く、どこを見てもみ〜んな同じ。実際、私の前彼はロングアイランド出身だったので、その中のGarden Cityという所にはよく行き来していたのですが、いつまで経っても道が覚えられない。景色がどこも同じなんですよ。同じよ〜な可愛い家があって、同じよ〜なショッピング・モールがあって、同じよ〜な教会がある。だから、この映画を観ていた時も、「アレって、あそこの教会かな?」とか、「アレって、あのお店じゃない?」っていうシーンが沢山出てくるのですが、全部それらしっぽくって、でも違うっぽい。で、結局何が言いたいかとゆ〜とですね。この映画は、そうした迷路の様なロングアイランドの“閉塞感”が、とても良く出ている。勿論、L.I.E.の向こうにはマンハッタンがある。一人で電車に乗ってちょっと冒険したり、いつか自分で車を運転出来る様になれば、すぐに出られる迷路なのに、今はまだ出られない。「その、ちょっと一歩の手前感」っていうのがいいんですよね。この映画は。

主人公のハウィを演じたポール=フランクリン=ダノは、典型的な「うまい子役」。全然かわゆくもかっこよくもないんだけど、思春期のあてどない少年をうまく演じています。将来スターになるかは別として、名脇役の可能性は秘めているかも鴨。彼と対照的なのが、華のあるゲイリーの役を演じたビリー=ケイ。こちらもある意味では典型的な子役タイプ(でも顔のいい方)。ちょっとブラッド=レンフロに似ているな〜と思ったのですが…(写真左の男の子)。
で、父親的な側面と悪魔的な側面の両方を持った複雑なビッグ・ジョン役を演じたブライアン=コックス(写真右)は、どこかで観たことあるなぁと思ってimdbで調べたら「The Boxer」のおじちゃんでした。う〜ん、アレは強烈な役でしたね。その他では「ラッシュモア」にも出ていたのだけれど、こちらの方は覚えていないです(^_^;)。低予算のインディー映画に、彼のベテラン演技がスパイスを効かせていたって感じです。ちなみにこの映画の脚本を書いたステファン=M=ライダーって、このビッグ・ジョンと同じくらいの年齢なんですよね。まさか、自分がモデルとか…???

ラストはね〜。私が「絶対こうなるだろう!」と思っていた通りの展開になってしまったので(タイミングもまさに予期していた通りだった)、ちょっと残念。もうちょっと新鮮さが欲しかったという感じです。
果たしてこの作品、日本では上映されるでしょうか?う〜ん、目立ったスターもいないし、題材が題材だし、ちょっと難しいかも鴨。けど、この期待の新人監督マイケル=クエスタが、この先次回作や次々回作によって日本でポピュラーな監督になれば(NYのインディー好きな日本映画界では、それもあり得ると思います)、レトロスペクティブかなんかで上映される可能性は十分あり得るでしょう。力はある監督サンだと思うので、期待しませう!

"Bichunmoo / Bee Chun Moo" 
「飛天舞」 ***1/2
Sep 06, 01(English version will come soon)

Written and Directed by : Young-Jun Kim
Starring : Hae-sun Kim, Shin Jun-Ha, Tae-hwa Seo
Official Site :
Chinese

昨年の夏に韓国で劇場公開され、大ヒットした作品なのだとか。今年の福岡アジア映画祭にも正式招待されているし、それなりに期待していたんですけどね〜。私的な印象はちゃちかったよ〜ん(T_T)。まず最初にこの映画、モントリオール映画祭のパノラマ部門で上映されていたのですが、何の前知識もない人がふらっと劇場に入って観たら、完璧に香港カンフー映画だと信じ込んで帰っていっちゃうんだろうな〜。う〜ん、もう完璧に香港武侠映画してたもんね〜(^_^;)。
私より先にこの映画を観てしまっていたアメリカ人の友達は、「グリーン・ディステニー」韓国版だよ、と言っていましたが、ほっ、ほんとだ...。全編に繰り広げられるワイヤー・アクション、CGやSFXだけでなく、身分違いの報われぬ恋(しかも女の子の方が有力者の娘で、男の方は長髪の野生派なのね(^_^;)ってところが、全く同じだ〜。勿論、「飛天舞」にも「グリーン...」にもそれぞれ原作があるので、どちらかの映画が真似をしたという事はないのですが。

「飛天舞」の原作はなんと全11巻にもなるという少女マンガ。 これだけの大河メロドラマをたった二時間の映画にした気概は買います。とは言え、最初の15分を見逃してしまった私にもお話は十分理解可能であったので、ある意味オーソドックスな内容とも言えるかもしれません。ヒロインの息子が誕生する場面をすっとばしていたので、歳の離れた弟がいるのかと思ったらいきなり息子持ちになってたという展開の速さにはぶったまげましたけどね(^_^;)。
私は原作マンガを全く目にしていないので、原作とのイメージを比較することは出来ないのですが、ヒロインのキム=ヒソンはほんっとに少女マンガから抜け出して来た様な美貌のヒト。ひょえ〜。演技がまったくって感じだったけど、容姿優先で彼女を選んだのは正解でせう。ヒーローのシン=ヒョンジュンって、私にはすごく変な顔に見えるんですけど、人気あるみたいですね〜。ソ=ガンホだってハンサムじゃないけど、魅力的なコトは確かですが。あ、でもそれって、シン=ヒョンジュンの演技に魅力がないってコトなのかな???「チング〜友人」では主演の一人だったソ=テファが悪役で出演していたのには超笑えましたぞぃぞぃ(^_^;)。

...というワケで、史上最高の制作費「シュリ」をさらに抜く巨費を投じて作られたこの「飛天舞」。中国ではそれなりにヒットしたらしいですが、日本では「アタック・ザ・ガス・ステーション」を買った松竹が、配給権を獲得したままお蔵入りにしている様ですね。果たして日本公開はいつのことやら...。

後日談:ゲストブックの方に、こんな書き込みを頂きました。
原作マンガの名誉の為、アンチ映画「飛天舞」サイトと、原作者であるキム=へリンさんのサイトも覗いてみて下さいね。

"Fathers" 
Fu Qin Ba Ba ***1/2
Sep 06, 01 (English version will come soon)

Written and Directed by :Lou Jian
Starring : Lu qi, Jin Zhao, Zhu Lei, Li Mangnan

Google等のネットサーチで探しても、データがまるで出てこない全く無名のLou Jian監督、おそらくコレが長篇第一作目なのではないかと思います。大雑把な感想から言うと、う〜ん、いわゆる”どこにでもありそうな中国映画”って感じでした。この作品は、今年のモントリオール映画祭でメインコンペに選出されていたので、それなりに素晴らしい作品なのかと期待していたのですが、それって今年は他に中国からコレより出来のよい作品が応募されなかったってこと?う〜ん、それはけっこう深刻だ(^_^;)。まぁ、どちらかと言えば好きなタイプの映画だし、技術的に言って下手に作られているとも全然思わない(むしろしっかり作ってあると思う)。でも何かが...何かが物足りない様な気がしてしまった映画でした。

お話の中心は、目まぐるしい程の速さで見せる最先端ハイテクの中国と、その対象をなす一昔前の古き良き中国の姿。主人公は、お互いに口喧嘩の耐えない頑固モノの父親を持つ、30代も後半にさしかかって来たQianwei。妻に反対されつつ買ったバイクで過って老人に怪我をさせてしまうも、彼の世話をするうち、彼をもう一人の父親として慕う様になるというもの。Qianweiを含め感情移入しにくいキャラクターが多い中、唯一いい味を出していたのが”もう一人の父親”Zhai。彼は立ったり座ったりしているだけでも存在感がありますね〜。妻役の女優サンはキレイだったけど、いまイチだったな〜。

私が好きだったシーンは、実家の前の並木道で(実の)父親がそっとジュースを買って来るシーン、妻がネタバレ→クーポンをためてせっかく手に入れた卵を投げ付けて台無しにしてしまうシーン等。ラストのお涙ちょうだいパートは、私的にはいまイチでしたけど...。
私が観に行ったのは第二回目の上映だったのですが、二階席までがびっしり満席(それにしても、Cinema Imperialは、ミュージカル・シアターみたいに豪華だぁぁ)。しかもアジア系の観客は30%もいなかったんじゃないでしょうか?ラストでは泣いている人もけっこういましたしね〜。それって私のこの映画を観る目が冷めてたというか、擦れていたってことなのかなぁ(^_^;)???

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