*** Just Watched 19 - 最近観た映画 19 ***

"Attack the Gas Station! - 「アタック・ザ・ガス・ステーション!」****1/4
"Barking Dogs Never Bite - 「吠える犬は噛まない」****
"Apocalypse Now : Redux" - 「地獄の黙示録:特別編」 *****

"Attack the Gas Station!"
Chuyuso supgyuk sa keun (ガソリンスタンド襲撃事件)
「アタック・ザ・ガス・ステーション!」 ****1/4
Aug 19, 01 (日本語は、下を見て下さい)

Directed by : Sang-Jin Kim
Starring : Sung Jae Lee, Oh Sung Yoo, Sung Jin Kang, Gee Tae Yu
Official Sites :
Korean, Japanese
2000年東京国際映画祭では「ガソリンスタンド襲撃事件」という、原題をそのまま訳したタイトルで上映されましたが、2001年公開時に「アタック・ザ・ガス・ステーション!」と改称。

I believe this is one of the first Korean films distributed by a major studio in Japan. It opened a month before “JSA”, which made a blockbuster hit there.
The story is about four out rows, who attack a gas station without any particular reason, and the hostages, who just got bad luck. This wild & funny movie has the stylishness of “Chungking Express” by Kar-Wai Wong, the wildness of “All the Youthful Days “ by Hsiao-hsien Hou, and the comic senses of Korean movies, which is hard to explain.
The best part of this film is the unique characters. It has 32 characters total, and among them, “No Mark” played by Sung Jae Lee and “Mudepo” played by Oh Sung Yo were the best.

Since 2 hours is not enough for the establishment of the excentric characters, I would wait for the sequels or even for 12 episodes of TV drama. Actually, this four anti-hero characters remind me the formula of the “Power Rangers” without girls. I think it could make a great series something like “Gas Station Fliers” (LOL)...

それまでどちらかと言えば、特定の配給会社によってミニ・シアターやレイトショーで上映されて来た韓国映画が、メジャー系の映画会社によって配給され、ハリウッド映画と並んで堂々と公開される様になった今日この頃の日本映画産業。興行成績的にもベスト10の上位を占め続けて来た「JSA」が公開された5月に先がけ、一足早い4月に松竹の配給で公開されたのが、この「アタック・ザ・ガス・ステーション!」。
今回私は、この映画をNYで行われた韓国映画祭で観たのですが、う〜ん、めちゃめちゃ面白かった!日本でもすでに上映済みの「JSA」、「カル」「反則王」と比べても、これが今一番のお薦め映画かもしれません、私的には。

お話はごく単純。“ただ何となく”という理由(?)で夜のガソリンスタンドを襲撃した4人組が、そこに釣り銭程度の金銭しか見つからず、ふとしたことからそのスタンドに立て篭もってしまうというもの。若くて変わり者の犯人達と人質のやり取りをマンガちっくに描いた映画と言えば、最近では「スペース・トラベラーズ」なんかがありますが、制作は「アタック…」の方がずっと先だし、出来も深みも面白さもこちらの方が何十倍も上手でせう。
映像の方も“アクション・コメディ”という、聞いたこともない様なジャンルにふさわしい、大胆さと可笑しさが同居した興味深い絵作りとゆ〜感じ。後半は、ウォン=カーウヮイの「恋する惑星」を真似した?みたいなスローモーションとストップモーションを掛け合わせた場面が少しばかり気にはなったものの、香港映画のスタイリッシュさと、台湾映画の荒々しさ(棍棒持った殴り合いは、香港じゃなくてやっぱり台湾映画のそれでしょう)、そこに韓国映画のマンガちっくなユーモアセンスがうまい具合にマッチして、今までにない独特の味を堪能することが出来ました。

でもまぁ、この映画の長所と言えばナント言ってもそのキャラクター達。
リーダー格である“ノー・マーク”を演じるのは、「吠える犬は噛まない」「美術館の隣りの動物園」でも主役を務めているイ=ソンジェ。若さの中にどっしりとした落ち着きを見せて、4人の中ではやっぱりピカイチ。途中、たった一人で警察官とやり取りする場面では、さすがの貫禄を見せていました。私には、この映画が初めて彼をスクリーンで観た作品となったのですが、観終わった後「誰?誰?あの俳優さん?」と気になってしまう魅力を持った人なのですね〜。
そして次に印象的だったのが“ムデポ(=無鉄砲)”を演じたユ=オソン。さすがに出演者全員の中で一番沢山の映画に出演しているだけあって、うまい、かわゆい、面白い!4人の中でも彼が一番マンガちっくなのですが、ある意味全体のトーンをリードしていていると言うか、この映画のよい“味付け役”とでも言いましょうか。考えてみれば無茶苦茶ヒドイことをしているこの4人組が、ちっとも憎めなくて、それどころか愛らしくさえ見えてきてしまうのは、彼に負っている部分が大きいんじゃないかなぁ。

あとの二人はかっこいいんだけど、いまイチ印象薄し(特に“ペイント”役の彼には、もうちょっと暴れて欲しかった。確かに“タンタラ”役の彼もかっこいいし、面白かったんですけどね〜)。
被害者の中で一番印象に残ったのが、いじめられっ子役のチョン=ジュン。いかにもソウルや香港やNYのあっちこっちに生息していそうな、典型的アジアの現代っ子という感じで、彼もそーとーマンガちっく〜していました。若いのに、デフォルメされた顔の演技が出来る人なんですよね。これからの活躍にも大いに期待です。

最後には一瞬、韓国映画独特のおセンチシーンも出てくるものの、基本的には最初から最後までドタバタ・コメディーがひたすら展開。チャイニーズ・デリバリーの逆襲という発想も、これまたけっこう面白かった。ただし、ヤクザ軍団が出てこようが、一切チャカを使わず棍棒だけで戦いが展開されていく所は、私的には二重丸でしたよ〜(^o^)。

それぞれに違う過去(=トラウマ)を持ったアウトロー達のプロファイルは、たった2時間弱の映画にしてしまうには惜しいくらいのキャラクター。この映画、十分シリーズもののTVドラマになりますよ(「ゲームセンター荒らし」みたく、「ガソリンスタンド荒らし」 とかね(笑)。
そう言った意味でこの映画のマンガちっくな部分は、ゴレンジャーとか(古すぎ?)、ああいう複数ヒーローものから来ているのかな?5人のヒーローものと言えば、一人くらいは女の子のキャラがいるものですが(日本のゴレンジャーものも、アメリカの吹き替え版になると女の子が二人に増えていたりするんですけど(^_^;)、そっか〜、彼等が4人だったのは、女の子のキャラを飛ばしてたからなんだなぁ。確かにこの映画には人質として3人の女の子が登場するのですが、全員ただのお飾りっぽかったしね(最後に人質にされたBitchyで高ビーな女の子が一番面白かったけど)。

ともあれ、私こ〜ゆ〜、痛快コメディは大大大大大〜好きですので、二作目と言わず、シリーズものとしてもっともっと続けていって欲しいな〜と思います。

"Barking Dogs Never Bite"
Puhran dah suh uigeh (フランダースの犬)
「吠える犬は噛まない」 ****
Aug 19, 01 (日本語は、下を見て下さい)

Written and Directed by : Joon-ho Bong
Starring : Sung Jae Lee, Doo-na Bae
Related Site :
English1, English2
2000年東京国際映画祭では「吠える犬は噛まない」という英題をそのまま訳したタイトルで上映されましたが、原題の直訳は「フランダースの犬」。

I heard this is the best bet for the NY Korean Film Festivals 2001. Yes, it was so funny and surprisingly very cute, although it got a reputation as a black comedy.
First, you need to know that Korean people have a culture to eat dogs traditionally, otherwise you think those old people are just crazy or something. You see serial dog murders (?) in this film, however, they’re not criminals for pleasure. Even though you see tons of blood, it’s not creepy at all like those in ”Audition”. People are still much lovable and laughable at.

The lead, Sung Jae Lee is very different from him in ”Attack the Gas Station!” and was almost unrecognizable for me in the beginning. He is definitely one of the biggest Korean actors besides Song Gi Ann, Sok ku Hang, and Gang Ho Soh nowadays.
I was very impressed by this writer / director being so good at depicting both the relationship of an ordinary marriage couple and some boring girls lives. Wonder how much these are real for non-Korean / non-Japanese people, who never lives in a tiny place under so much pressure from the society’s courtesy, though...

今回のNY韓国映画祭で、いわゆる韓国映画通の間では一番評判の高かったのがこの「吠える犬は噛まない」。噂通り、確かにブラックユーモアの映画ではあるのですが、観終わった後に毒々しさが残ることもなく、むしろかわいらしいとさえ言える様な後味が残りました。
お話は、ペット禁止の団地に住みながら、次から次へと犬達に悩まされ続けるしがない主人公と、それら行方不明の犬達に関わる、けだるい日常を過ごす女の子の物語。よくもまぁ、これだけ情けないというか、現実世界だったらちっとも魅力のないタイプのキャラクターばかりを集めて、面白い映画を作ってしまうモンですね〜。まずはそれだけで感心してしまった私。それと、この映画で私が何を一番感心したかって、脚本&演出の両方をこなしたこの監督が、見事とばかりに男と女の生理を読み分けているところ。

そう、犬に対する接し方一つ取ったって、(大人の)男と女ではまるっきり違うモノがあるんですよね。犬達がひどい目にあう度、劇場からは女の人達のうめき声が漏れて来るのですが、女性の小犬(チワワとか、プードルとか、シーズー等の典型的な座敷犬)に対する異常な執着心って、アレなんなんでしょ〜ね〜。やっぱりサンリオとかの縫いぐるみ感覚が残っているんだろ〜な〜。
一方、そんな犬達を料理して食べてしまうオジサン達は別として、主人公の犬に対するイライラ感も、その一方でかわいがってはいなくとも、ちゃんと面倒も見れちゃうし、どこかに愛憎が同居している様な彼の感覚もよく分かる。この映画って、犬を殺しちゃったり食べちゃったりという異常な出来事が平気で展開されていながら、それがちっとも“猟奇的”にはなっていないのです。つまり、そこには“血みどろの世界”が展開されてはいるけれど、その“血を見る血なまぐさ”は、「カル」「オーディション」で展開されている様な、無機質感覚の愉快犯によるものではないからなのです。

ソウル・オリンピックが開催された1988年まで、韓国では屋台や食堂などで犬を食べている姿がそれ程珍しくなかったという文化的背景も、この映画を観るには不可欠な予習要素かもしれません。一緒に観た友達は、韓国で犬を食べる習慣について全く聞いたことがなかったそうで、犬鍋のシーンにはかなりのショックを受けていた様です。
監督自身、小さい頃自分の住んでいた団地の屋上で犬の剥がされた皮を見てしまった原体験があるそうで、この映画に出て来る様な団地の屋上や地下室では、似た様なドラマが昔は(今も?)随分と展開されていた(る)のかも鴨。それにしてもこの監督、女性にとってはかわいくて、男性にとっては小憎たらしいタイプの犬を見せる演出が、ホンっとにうまいんですよね〜。こういう感覚って、広い土地で悠々とラブラドル犬なんかを飼っている、アメリカ人にはけっこう分かりにくい部分なんじゃないかと思います。

主人公とその奥さんとの会話も絶妙。特にドッグフードを買いに戻るかどうかで、店までの距離をトイレットペーパーを転がして計ろうとするくだりは、何だか妙に真にせまってます。ああやって、お互い夫婦として気遣い合ってはいるんだけど、些細な事で大きなケンカになっていってしまうのって、描けそうでけっこう描くのが難しいと部分だと思うんですけれど。
一方、どつぼ的な世界でダラダラ生きるさえない女の子二人の世界っていうのも、この監督は巧みに描いています。阪本順治監督の「顔」もそうだったけど、こういう作品こそ、本当は女性監督が描くはずべきモノじゃなかったの?(ジェーン=カンピオンも、初期の作品群ではけっこう描いていましたが)という世界を、最近ではなぜか男性監督が堂々と描いているのですね〜。

「アタック・ザ・ガス・ステーション」「美術館の隣りの動物園」で、国際的には「ホワイト・バッジ」「太白山脈」のアン=ソンギ、「シュリ」「八月のクリスマス」のハン=ソッキュ、「JSA」「反則王」のソ=ガンホに続いて露出度の高いイ=ソンジェ。賄賂で昇格することに疑問を持ちつつ、身重の妻の為に教授への道を画策する複雑な主人公を無理なく演じています。この役って、下手するとすっご〜くやなヤツに成りかねない役どころなのですが、それをイヤミなく見せることが出来たのは、やっぱり彼の役者としての魅力があったからなのだと思います。それにしても、このポン=ジュノ監督監督は、短編映画「支離滅裂」でも韓国大学教授会の不正を描いたことがあるそうで、過去にそういう場面を実際見てきているのかな?
もう一人の主人公を演じたぺ=ジュナは、これでもか〜っていうくらいダサい女の子を演じながら、勢いのついているシーンではボーイッシュだけどすんごくかわゆく見えるのね。まぁ、個性派女優としてこれからも頑張って欲しいと思います。それにしても“ボイラー金”のお化け話をする、地下室のおそうじオジサン、怖かったな〜(^_^;)。屋上の蕪干しバァサン(?)も、所構わずペッと唾を吐き捲くるところが、とってもチャーミングでした(???)

驚くべきことにこの映画、なんとポン=ジュノ監督のデビュー作なのだそうで、これからが楽しみというか、非常にコワイ監督サンです。後半の屋上シーンで、バックに黄色い雨ガッパを来た男性が紙吹雪を散らしている場面は、「リゲインのコマーシャル」をパクってる???なんて思ってしまいましたが(笑)。
それと、彼自身マンガも描いたりするそうで、この映画のユーモアも、非常にマンガちっくな感覚が多分にあります。日本で映画監督がマンガに影響されたと言うと、「ガロ」あたりのアーティで大人のマンガと相場が決まっている様ですが、韓国の若い世代の映画監督って、普通のコミック・ブックの感覚で映画を作ってしまうんですよね。コレって、いわゆる今の韓国ニューウェーブの世代が、一昔前の大ヒット作「外人球団」みたいな、人気漫画を映画化した作品を観て育って来たからなのでしょうか。

韓国って、日本のお隣りの国なのに、まるっきり全然違った感覚の映画をどしどし作ってくれるので、ホント面白くて仕方ないです。日本映画はその点、質が高い高いと言われながらも、最近はどうもお互い同質化して来ている様な気がする。もっと言ってしまえば、マスターベーション的な映画が多すぎる、と言ったらちょっと言い過ぎしょうか?ハングリー精神がなくなったからとか、日本経済が不況で資金も出ないから大した映画が作れないなんていうのはただの言い訳。だってこの映画なんて、全然お金かかってないですよ〜。何事も全ては発想次第。日本でこれだけ自国の文化をシニカルに批判しながら、お腹抱えて笑わせてくれる映画を作れる監督、どこかにいないモンですかね〜。

"Apocalypse Now : Redux"
「地獄の黙示録:特別編」 *****
Aug 12, 01 (日本語は、下を見て下さい)

Written and Directed by : Francis Ford Coppola
Starring : Martin Sheen, Marlon Brando, Robert Duvall, and Laurence Fishburne
Official Site :
English

This is already my 4th film, whose running time is more than 3 hours in this year (others are "Platform", "EUREKA", and "Pearl Harbor"). Phew...
However, to feel how fast the time past when you see the film just tells you how great the film is. Yes, I think this film must be count as one of the 10 greatest films made in the last century. I don't understand how other filmmakers got nerve to make other war films after this non-computerized-almost-perfect war movie had made.

Not only about the great battle scene, other parts such as with the Playboy girls tell so much about what a war is. Maybe the extra scenes (with the French colonial people), which were added to the original cut were just the extra, though.
Despite of not having any Vietnamese, as "a character", this films, at least, tries to show what happened to Vietnamese people there, which is amazingly different from other Hollywood Vietnam movies.

All casts are, of course, so young! More than seeing Harrison Ford with a pair of nerdy glasses, it was shocking to see young Laurence Fishbone, acting a 17 year old boy. Needless to say, Martin Sheene and Marlon Brand were great as I saw this film for the first time (who can be the cornel, if there is some one who is brave enough to remake this film???). I found Robert Duvall as the original character of the crazy Lieutenant in "Forrest Gump" played by Garry Sinese, who I really love!

Anyway, now I definitely have to see "The Heart of Darkness" to understand one of the greatest filmmaking of all time. To see Coppola's, of course, but also to see the great DP and the production designer's work.

今年のカンヌ映画祭で特別上映され、改めてその偉大さを業界人に知らしめた「地獄の黙示録」(私、この映画のタイトルを英語で言う時は、口が廻らなくて本当にいつも苦労してしまいます(^_^;)。英題に“Redux”というのが付いているので、「帰ってきた“地獄の黙示録”」とでも言うのでしょうか(笑)。
今回の公開版がオリジナルと違うのは、公開当時カットされた部分が新たに挿入されている所。この映画は、最初の公開時に153分(フランスでは197分)、再公開された時に173分となっていたのですが、今回の長さは256分(3時間46分)!ただし、これはMovie-fone.comに書かれていた数字でして、実際劇場で観た上映時間は3時間30分でした(やっぱりまた劇場用にカットされちゃったのかな???)。いや〜、「プラットフォーム」(3時間20分)「EUREKA」(3時間40分)「パール・ハーバー」(3時間10分)に続き、上映時間が3時間を越す映画は今年だけでこれで4本目になります(^_^;)。昔、銀座の並木座で「七人の侍」を観た時は、ちゃんとインターミッションがあったのですが、今回やっぱりなかったな〜(^_^;)。一緒に観に行った友達と一緒に、劇場内で食べる夕食を持っていったのですが(ホントはやっちゃいけないんですよ〜)、血みどろのシーンが多いので、どこで食べていいのかタイミングが超難しかったです(^_^;)。

さてさて、それでは一体どこのシーンが増やされていたのでしょうか???ず〜っと前にビデオで観てしまった私は、全然思い出せないシーンがあまりにも多くてよくわからなかったのですが、一緒に観た友達曰く、フランス入植者達のシーンなんだそ〜で。うわ〜、あのシーンだけで30分以上はありますよ。前作はそれをバッサリ切ってしまっていたのか〜。確かにそのシーンがなくてもお話のつじつまはちゃんと合うので問題はないのですが、コッポラ監督、切りたくなかっただろ〜な〜。でも切っちゃったのね。エライ。最初の公開時にアメリカ版とフランス版の長さが20分も違っているのは、多分そのシーンが入っているかないかの違いなのでせう。

いや〜、それにしてもスゴイ迫力。私、映画というモノを観始めたのが80年代末なので、20世紀の映画と言っても、まだまだ観ていない作品の方が殆どなのですが、やっぱりコレって、「20世紀の映画」ベスト10に入れてもおかしくない映画なのではないかと…。
言うまでもなくビデオで観るのと、大スクリーンで観るのとではスケールの大きさが全然違い過ぎます。今回観に行ったのは、NYで2番目にスクリーンの大きいAster Plaza。ここ最近でこの映画館が満杯になったのなんて見たことないですよ。一体何万人入るんだろ〜、あの映画館。まぁ土曜の7時の回だったかもしれませんが、開演10分前で、もう二人で並んで座れる席といったらすっごく前か後ろか端っこの方しかなかったのですから。お客サンも10代〜20代の若い人達の方が圧倒的に多かったです。う〜ん、ミラマックス嫌いだけど、今回やっぱりこうやってこの映画を大スクリーンで観られるチャンスを作ってくれたことには感謝しなくっちゃな〜。

内容は、もう皆さんご存知だと思うので飛ばします。それにしても3時間30分、全然飽きなかった〜〜〜!!!印象に残ってやっぱり覚えていたのは、前半部分の戦闘シーン。ワーグナーの交響曲に乗った爆撃シーンは、やはり歴史に残る名シーンですよね。あと、ロバート=デュボワーのクレイジーなルーテナン役は、「フォレスト・ガンプ」でゲーリー=シニーズが演っていたルーテナン役の原型だったのか〜。今こうやって思い起こしてみると、「フォレスト・ガンプ」に出てくるベトナムシーンの撮り方って、「地獄の黙示録」をパロっている部分が盛り沢山だったのですね。う〜ん、改めて両映画に感心。
それにしても、これだけの戦争映画というモノが過去に作られていながら、それでもその後に戦争映画を作ってしまう現在の監督サン達って度胸あるな〜と思ってしまいます。だって、いくらCGを駆使しても、実写でこれだけのモノを撮ってしまったコッポラ監督に、一体誰が対抗出来るというのでせうか〜。う〜む、後半の雷シーンも怖かったな〜〜〜(^_^;)。

戦争映画と言えば、何も戦闘シーンを巧みに描くというだけが戦争映画ではありません。これはオリジナルのシーンにあったのかどうか、ちょっと良く思い出せないのですが、プレイボーイ印を付けたヘリコプターが舞い降りてきて、ダンスショーを繰り広げてしまったりとか、その後、ヘリコプターの中でのエッチシーン(こっちはオリジナルにはなかった様な…)とか、戦争って何も悲惨な戦闘ばかりが日常ではないんですよね。特にアメリカ人とゆ〜のは、どこで戦争やっても自分の持ち物を、最大限に持ち歩いてますよね〜。
冒頭で豪華な食事をしている将校達の使っている食器やら家具の数々…。60〜70年代当時でさえ、軍隊では下っ端の兵隊達が携帯電話(もちろん、すっごく大きいヤツ)を使っていたのですから、軍隊というところは本当にスポイルされてるな〜と、ヘンな所に眼の行ってしまう私でもありました(^_^;)。

そうそう、ベトナム戦争映画と言えば、やはりこの映画に“ベトナム人としてのキャラクター”は一人も出て来ないのですが、少なくとも彼等がどんなにひどい目に会っていたかというシーンは沢山出てきます。多くのハリウッド映画が描いて来た様な、顔も見えない無気味なベトコン達=東洋鬼みたいな姿は、そこには描かれていなかったのですね。
特に後半、マーロン=ブランドがマーティン=シーンに向かって、自分のことが書かれた記事を読むシーン(ここもオリジナルにはなかった???)で背後にうろうろしている子供達のシーンも印象的。途中ですれ違う、ベトナム人の食料船のシーンもオリジナルにはなかった様な気がするのですが、ここも戦争におけるベトナム人との関係をよく表している様で印象的なシーンでした。

後はなんと言ってもキャストですよね。現在TVドラマ「ウエスト・ウィング」でアメリカ大統領役を務めるマーティン=シーンは、やっぱりこの役にぴったり。冒頭とエンディングで見せる狂気の部分と、もの言わぬキャプテンとしての重〜い存在感がGOOD。それにしても若い!マーロン=ブランドのグロテスクさも、他に出来る人はなかなかいないんじゃないかな〜。大体今この映画を作るとしたら、彼の役って誰がやるの???
ロバート=デユボワーとデニス=ホッパーは、もうすでにオジサンの域に入ってしまっていたので、今とあまり変わらないという感じでしたが、17歳の青年役を演じたローレンス=フィッシュボーンが若いっっっっ!うひゃ〜、彼本当にかわゆいです。う〜ん、私がビデオを観た当時って、まだ彼のこと全然知らなかったしな〜。ちょい役出演のハリソン=フォードは、確かに若くてかわいいんだけど、当時流行っていたでかブチ眼鏡をかけている所が超笑えます(^_^;)。

またしても劇場必見を強くお薦めせずにはいられないこの作品(日本でもそのうち公開になると思います)。ケタ違いの巨費が投じられた美術セットや爆撃シーンは勿論のこと、ヨーロッパの巨匠:ビットリオ=ストラーロの撮影した完璧な映像(構成的にも、照明的にも)には、ただただもう驚愕してしまいます。特に何度も繰り返し映し出されるマーティン=シーンの顔にしたたる汗のアップが印象的。やっぱり映画にCGなんていらないんですよね〜、なんて突然保守的になってしまう私だったりして…(^_^;)。
この映画のメイキング・ドキュメンタリーで、アカデミー賞の最優秀ドキュメンタリー賞も獲得した「The Heart of Darkness」って、前々から友達に見ろ見ろとせかされているのですが、やっぱりこの映画を観ると、そっちも観なくちゃね〜って気になってしまいます。確かにこの映画は、巨費を投じられ捲くって制作された一大映画ですが、これだけの出来なら、「パール・ハーバー」みたいに文句を言える人は誰もいないですよね(^_^;)。

---------------------------
Go to mook's Film Review Index

Back to Film Index

Back to Home