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"Wu Yen" - ***1/2
"CURE" - 「CURE/キュア」***3/4
"Joint Security Area" - 「JSA」****

"Wu Yen"
鐘無艶 - ***1/2

July 25, 01

Directed by : Jonnie To and Ka-Fai Wai
Starring : Anita Mui, Cecilia Cheung, Sammi Cheng, and Raymond Wong
Official Site :
Chinese
Seen at New York Asian American International Film Festival

Directed by Jonnie (Johnny) To, who directed "Running Out of Time" starring Andy Lau. I was so surprised that how different those two films are.
This is a "Chinese Ghost Story" meets "Takaraduka (the Japanese traditional theater company, whose plays are only performed with women)" partially a Comic "Crouching Tiger, Hidden Dragon". It was hysterically funny.

The Hong Kong big comedienne Anita Mui (The Heroic Torio), who played the emperor was so charming and funny. Cecilia Cheung, who is known as the leads of "Fly me to Polaris" and "Tokyo Raiders" was played the animal witch. She was soooooo cute even with the husky voice. Sammi Chang, who plays leads in many Jonnie To's films was not so attractive for me.
More than two hours seems too long for this kind of Comic-Action movie. However, you can fully enjoy watching the luxurious Chinese classic wardrobes in the entire film.

昨年のアジアン・アメリカン映画祭オープニング作品、アンディ=ラウ主演の「暗戦〜デンド・エンド」を監督したジョニー=トウ監督の新作。 いやはや、「暗戦」は、タイトル通り暗くてハード・アクション、そして男の友情モノであったので(私この作品、かなりのお気に入りです)、この作品が同じ監督による映画だなんてとても信じられません。もう一人の監督、ウエイ=カーファイの方は脚本も書いているので、やはり彼の作品色の方がより濃いのだと思いますが。

う〜ん、この映画を一言で言うと”「チャイニーズ・ゴーストストーリー」(実は見ていませんが)meets 宝塚 in 中国絵巻Plus 部分的だけ「グリーン・ディステニー:コメディ版」”とでも言いましょうか(何ですか〜〜〜???)。 とにかく抱腹絶倒の面白さ!よくまぁ毎分ごとに笑わせてくれました。楽し過ぎる〜。
お話は、中世(かな?)の中国を舞台にしているのですが、7か国オリンピックが開催されたり、中国版トランプや勿論初歩マージャンまで出てきて、話がめ〜ちゃくちゃ。勿論思いっきりのギャグですから、それも全て笑って許されるというもの。
で、私がなぜ”宝塚”と言ったかというと、主要3キャラのうち2人は実際男の役なのですが、女に化けるシーンがあるので、最初から女優さんを使っているというわけなのです。でも、男役をやっている時、完璧に男装しているわけではないので、最初はちょっと混乱してしまいました。状況が分かるにつれ、それも次第に気にならなくなってくるのですが。

恥ずかしながら私、今回始めて香港のコメディエンヌ、アニタ=ムイの映画を観ました。 いや〜、面白い。”愛敬”という言葉は彼女の為にあるのではないかと思うくらい、かわいらしい人ですね。ジョニー=トゥ監督&アニタ=ムイと言えば、アメリカでも公開された「ワンダーガールズ:東方三侠」で、なんとマギー=チャン&ミッシエル=ヨウと共演しているのだとか。この映画を観た友達の話によると、内容は全くの「チャーリーズ・エンジェルス」:香港版なのだそうですが、豪華キャストですね〜。う〜ん、マギー=チャンのクンフー姿観てみた〜いっ!
おっと話がそれてしまいました。「星願〜Fly me to Polaris 」や「東京攻略〜Tokyo Raiders」で、日本でもすっかりお馴染みのセシリア=チャンは、今や香港若手女優のホープの一人。とにかく“おきゃん”(死語?)という言葉がぴったりのきゃぴきゃぴチャームをふりまいておりました。ハスキーな声がまたきゃわゆい。ジャンヌ=ダルク的役柄で、一応主演のサミ=チャンは、ジョニー=トウの監督作品はじめ、けっこう沢山の映画に出ているのですが、う〜ん、私的にはいまイチだったかな。
唯一“ホントの”男役レイモンド=ウォンは、かなり沢山の映画に役者として出演しているのですが、自身で脚本、監督、プロデュース、そして作曲もするというマルチ・タレントの人。香港の映画人って、ホント一人で何役もこなしてしまう人が多いですよね〜。

とにかく面白くっておかしくって、のべつまくなしに笑わせてくれたこの映画(それでいて、“人間顔じゃない”みたいな教育的部分もなにげに含んでいたりする)、それでもさすがに90分が限度って感じかな。やっぱり、このテンポで2時間以上は長いですね。
戦闘シーンは影絵を使って予算削減に苦心していましたが、衣装などはなかなか凝っていて、香港アクション&コメディ映画としては、けっこうな予算の映画なんじゃないかなと思います。まさに今は亡き、NYチャイナ・タウンのローズ・シアター辺りで観るのにぴったりの映画って感じですが、日本での一般公開は難しいかもしれません(セシリア=チャンの人気上昇に伴って、ビデオ化される可能性はかなり大ですが)。う〜ん、この映画を観て俄然、アメリカでもビデオ化された「東京攻略」を観たくなってしまいました〜。

"CURE"
「CURE/キュア」 - ***3/4

July 21. 01 (Please read the English version
Here)

Written and Directed by : Kiyoshi Kurosawa
Starring : Koji Yakusho, Masato Hagiwara, Tsuyoshi Ujiki, etc
Seen at New York Asian American International Film Festival, New York Times Review, Village Voice interview

つい2〜3年前まで、国際映画祭の英文紹介を読むと「No relation to Akira Kurosawa」と必ず注釈の付けられていた黒沢清監督も、今ではすっかり「もう一人のクロサワ」として国際映画祭の常連となりました。私としては、一昨年にNY国際映画祭で見た「ニンゲン合格」以来、2年ぶりにスクリーンで観るK黒沢映画。私、基本的にホラー系は観ないタチなんですけれど、やっぱりこの独特の怖さはスクリーンで観るべきですね。噂通りの背筋も凍るサイコ・ホラーでした。
3ヶ月前に、「カリスマ」をビデオで観ていたので、何となくK黒沢映画のリズムらしきものは覚えていたのです。だから、「あ〜、この人絶対死ぬよな」とか「あ〜、それで、このタイミングで死ぬに違いない」というタイミングは思った通り。最後のオチも多分そういうことになるだろうと予想してしまっていたので(つまんない客ですよね〜、私って)、後半はもう、ただただそのタルコフスキーみたいな映像世界を楽しんでいました。ストーリー的には「カリスマ」よりこっちの方がずっと分かり易いし、収まる所に収まる話運びって感じなのですが、私は個人的には「カリスマ」の方が好きでした。でも、アメリカでは「CURE」の方が絶対受けると思う…(^_^;)。

蔡明亮監督が、それが彼の作家性と言われるくらい、自身の作品に似た様な痕跡をくり返し残しているのと同様に、黒沢清監督の作品にも同じ様なテーマがくり返し描かれています(初期の作品にはだいぶ異なる部分もあるかもしれませんが)。
例えば「○○は何だ?」(貴方は誰だ?とか、ここは何処だ?とか)という問いかけ。この映画の中で繰り返される問いは、最初はただの状況説明の様にしか聞こえていなかったのに、ストーリーの全貌が明かされていくにつれ、いろいろな意味を持ってくる。これは、「カリスマ」でも「ニンゲン合格」でも、この作品程ではないにせよ、K黒沢映画の基本部分であるかの様な気がします。
普通の人(?)の心の奥底に潜む暗闇を、“淡々とした形”(劇的でないところがポイント)で引きずり出してくるのも彼のお得意。こういった深層心理と不条理性が、現実と紙一重のところで交錯するというのは、蔡監督の作品群にも通じるところがあるのですが、蔡監督がどちらかと言えば性善説っぽい視点から捕らえているのに対し、黒沢監督の映画は性悪説っぽい所があり、そう言った意味でノーテンキな私は黒沢監督よりも蔡監督寄りになってしまうのですよね。でも、問い続ける黒沢監督は、決して全ての人間が単純悪と言っているのではないと思います。それは、全ての人間が善ではないと言っているのと、全く同じ次元から。「CURE」の様に、さまざまなこと(ネタバレになるのでここでは書きませんが)を一人の人間がしょい込んでいない分、「カリスマ」の方が私的には救いがある様な気がします。
また、同じ俳優さんを繰り返し使うというのもありますよね。役所広司サンは、蔡作品のシャオカンみたいなモノなのでしょうか?正直言って、もう混乱さえしてしまいます。ある意味「CURE」と「カリスマ」は繋がっていて、もし彼がこっちの捜査に関わっていたら「CURE」みたいな運命を辿り、あっちの捜査に関わっていたら「カリスマ」みたいな運命を辿るということ?そこまで徹底してくれると、こっちとしてもさほど気にはならないのですが…。あと、奥さんのキャラクターがいつも同じっていうのもありませんか?それは女優サンが変わってもね。黒沢監督の奥さんってああいう人なのかな???洞口依子サンは、ファンなので何回出てきても許しますけれど(^_^;)。

その他、「足を引きずる行為」であるとか、チェックポイントは書き出したらキリがない程あるそうなのですが、それはまた、来月頭に限定上映される「回路」を観た後、改めてもう少し書いてみたいと思います。フランスでは大人気の黒沢清監督、さてさてアメリカでの反応は…。

ラストシーンやタイトルについては、ネタバレの部屋で、少し書いています。

"Joint Security Area"
Gongdong gyeongbi guyeok JSA
「JSA」 - ****

July 21, 01 (日本語は下を見て下さい)

Written and Directed by : Chan-wook Park
Starring : Kang-ho Song, Byung-hun Lee, and Yeong-ae Lee
Official Sites :
Korean, Japanese

In a sentence, this is a "Rashomon" meets "Usual Suspects" in Panmunjom. This Berlin selected blockbuster film in Korea has everything; "The tragedy of separated Korea", "Friendship", "Nostalgia", and "Mystery". Meanwhile, almost all scenes seem that I've already seen somewhere else.
Maybe because the director Chan-wook Park used to be a film critic, he knows every single film, which made influence in the history of filmmaking. I heard that his two previous films were pretty experimental (although “JSA” is really a popular movie kind), however, what's the difference between Gotard and dir Park is that dir Park did not seem to try breaking the rules of previous films but rather homaging them. In that sense, I prefer "Peppermint Candy" than "JSA", though I like it much better than "Shuri".

Nevertherless, I have to admit that, I respect his visual sense of filmmaking. Especially, the ending made me cry just with a single shot. I'd seen the picture as one of the types of the posters, but it makes totally different sense after you see the film. And I quite loved those sharp images, which were shot by super 35 mm. I wish the director were talented for directing actors as much talented as for making the visual images.
Kang-ho Song, who was nominated for the best actor at Berlin this year, is great as usual. I cannot believe he is the same actor from "The Foul King"!!! In a meantime, the young good-looking Byung-hun Lee and Yeong-ae Lee were not so great as Mr. Song. For me, all other actors were also not very attractive, so it seemed the director's fault.

Anyway, this "it-has-all" film is definitely taking maximum advantage of the disadvantage of the (inter) national / political situation, which I think is great. After "Shuri" will open in the US this fall, I’m so curious to see how American people will accept those new world of Korean Cinemas.

韓国では「タイタニック」の興行成績を塗りかえ、日本における昨年の大ヒット作「シュリ」の記録も更新した(動員数の数え方によっては超えていないという説もあり。また、この記録は現在韓国で公開中の「友達〜チング」によってすでに塗り替えられています)この「JSA〜共同警備区域」。今年のベルリン映画祭では正式コンペ作品にもセレクトされ、ソ=ガンホは、最優秀主演男優賞の最有力候補との噂もありました。
日本では今年の5月末にオープンし、初登場で第2位(その次の週も2位でした)という韓国映画としては、何とも記録破りづくしの作品。アメリカでは「シュリ」の今秋全米公開を受け、「JSA」も一般公開の準備が水面化で進められている為、さまざまな紆余曲折を経て、今回、20日から開催の、「NYアジアン・アメリカン国際映画祭」のオープニング上映として、何とかやっと北米東部プレミアにまでこぎつけました。

なにせ1年以上もさまざまな噂を聞き捲くっていたので、失望の方が大きくなってしまうのではという不安は確かにありました。私の周りに限っていうと、だいたいの比率としては、A) 泣かされた=30%、B) よく出来ていると思う=50%、C)期待しすぎていまイチだった=20%という感じでしょうか。私の全体的な感想は、C)に近いB)といった感じ。話の展開としては(ストーリー的には全部予想した通りだったけれど)Bで、演出に関しては完全にCでした。うん、何かやっぱり固いんですよね〜。「シュリ」を観た時も、演出の面で肩に力が入りすぎているのが、もの凄く引っかかってしまったのです。そう言った点で、私的には「情け容赦なし」や「ペパーミント・キャンデイ」の方がず〜っとずっと何倍も好きだなぁ。

映画全体を一言で言うと“「羅生門」meets「ユージュアル・サスペクト」in 板門店”といった所でしょうか。後、途中「レザボア・ドックス」みたいな場面も出てくるし、ある意味、どの場面もどっかで見たことのあるモノばかりをアレンジしたみたいな感は否めません。
それでも「板門店」を拠点にした「同じ顔、同じ言葉を話す、同じ民族の南北分断」というディープな背景は、やはり韓国映画ならではのもの。ココはやはり「シュリ」と同じく、かなりポイント高いです。他の国の人達には絶対描けない(それはたとえ東西ドイツを背景にした映画でも。「レジェンド・オブ・リタ」みたいな映画もありますが、これもまるで違ったタイプの映画です)、ある意味彼らのアドバンテージ的な部分を、国際的な観客へ向けて最大限に生かしているということですね。それを悪く言えば、「南北の悲劇」をエンターティメントに活用しているだけ、という韓国内部の批判もあるのですけれど、取り合えず、JSAや板門店というモノ自体何のことだかよく分からない非東アジアの観客には、かなりアピールしている映画だと思います。
それまで韓国では、国家保安法により、こうした南北の交流を描くことが厳しく制限されていたそうです。それでも北朝鮮側を好意的に描いている部分があるとして、この映画には18歳未満禁止のレィティングが付けられたそうで。イ=ビョンホンの主要ファン層である高校生の動員なしでここまで興行記録を塗り替えたっていうのはスゴイですね。そうそう、最近の韓国のトレンドの何がスゴイって、今や10代や20代の若者にとっては、TVドラマよりも韓国映画(ハリウッド・メジャー系映画ではない所がミソ)の方が話題の中心であるというコトなのですよ。日本だって、韓国の様に政府が資金援助やその他事務的なサポートをすれば、必ず映画産業復活の日が来ると思うんですけどね〜(>_<)。

さて、この「南北分断の悲劇」「友情」「郷愁」「笑い」そして「ミステリー」を盛り沢山に詰め込んだこの映画が、韓国や日本で受け入れられ大ヒットを飛ばした事はある意味予測可能ではありましたが、アメリカでは一体どの様に受け入れられるのでしょうか?上にも書きました様に、「シュリ」の今秋公開を受け、現在この映画もアメリカでの一般公開を狙っています。
私は今回この映画を、数人のアメリカ人&コリアン・アメリカンと一緒にと観たのですが、彼らの感想は、1)韓国独特のコメディ・タッチについていけない、2)前半のテンポがスロー、3)「帰らざる橋」を監視する兵士達の動向にリアリティがない、4)音楽がバラバラ、5)南北分断の背景がいま一ピンとこない、という感じが主でした。
1)については、日本ではどんな風に受け止められたのでしょうか?韓国映画をたくさん観ている人達にとって、ああいったギャグは、大衆映画に付き物のいわばお約束みたいなモノで、ないと逆に淋しくさえあるのですが、慣れない人にはしっくりこない部分もある様ですね。2)について。これも韓国映画、そしてアジア映画全般のリズムに慣れている人とそうでない人の差が歴然としてあると思います。私にとって韓国映画といえば、「郭公は夜中に鳴く」が最初に観た作品で(多分半分以上眠っていたと思う(^_^;)、その後は林権澤監督の「風の丘を越えて〜西便制」の様な作品ばかり観て来たから、「JSA」なんか、前半観始めた時「お、テンポ速いじゃん」なんて思ってましたもん(^_^;)。3)については、多分誰でもが思うコトでしょう。韓国では実際に南北境界線の警備に当たった兵士達の「JSA戦友会」が、これは現実と違うということで制作会社に殴りこみをかけたそうですが…。4)の音楽は確かに一貫性なかったですよね(^_^;)。効果的に使われていた曲が少なかったのであまりよく覚えていないのですが、ジャズとかシャンソンとかも混じっていた様な…。ただし、中盤にかかる韓国の懐メロは、若い世代にはピンとこないものの、ある年齢以上の人達にとってはかなり意味のある歌らしいです。タイトルとか歌手名とか全然分からないのですけれど。5)については、しょうがないですね〜。昨年の南北首脳会談が実現した時も、まるで遠い星の出来事の様にさっぱり関心のなかったアメリカですから…。特に、真珠湾攻撃も知らない若い世代は朝鮮戦争なんて、何のことだかさっぱり分からないと思いますし。あ、それは日本でも一緒かな(^_^;)?まぁ、まずは「シュリ」が、アメリカでどこまでやってくれるかが見モノですね。

私にとっては「シュリ」が初お目見えのソ=ガンホは、さすが演劇畑出身の役者さんだけあって、4人の兵士達の中では一番落ち着いた演技を見せていました。あれが「反則王」と同じ役者さんだなんて、信じられないっっっ!英語の字幕で観てしまったので残念ですが、北朝鮮の兵士ということで、漢字言葉バリバリの台詞喋っていたんだろうなぁ(確かに「シュリ」に出て来る北朝鮮の人達とは全然違った感じではありましたが)。ただ、ベルリンの主演男優賞候補と言われていた割にはけっこう出番が少なくてとても残念。まぁ、初めて見る人達にとっては、あれだけ出番が少なくても、それだけ印象に残る俳優さんだったということなのでしょう。
甘いマスクで韓国のティーンズに大人気のイ=ビョンホンは、TVドラマ畑の出身とあって、線が細すぎるというか、やっぱりパンチが弱かった。一応は彼が主役って感じだったので、彼の印象がもっと深ければ、この映画全体の印象もより深まったのでは?若くてカッコイイのはいいんだけど、もう一つカリスマ性が…。
コレは、唯一のヒロインを演じたイ=ソンエにも言える事。さすが子役モデル出身だけあって、凄くキレイなんだけど深味がない。彼女の英語にはアメリカ人観客から苦笑の声が漏れていたし、ネィティブ・コリアンに言わせると、彼女の台詞は棒読みらしい(これって、ネイティブの人にしか分からないんですよね。私もNYで「トパーズ」を観た時、ヒロインの棒読みぶりには辟易したけど、こっちで彼女はかなり絶賛されていたので)。まぁ、原作では男の役だったキャラクターを女性に変えたというアイデアについては、私は十分賞賛しますけど。それにしても、スイス人将校達の演技はヒドかったなぁ。もしかして素人???っていうくらい間抜けてました。多分現地に住んでるお安い白人のにわか役者サン達を揃えたんでしょうね。う〜ん、でもかなりヒドかったぞいぞい。

これが長編3作目にあたるパク=チャヌク監督は、映画の評論家としても知られており(つまりはゴダール系?)、前2作はかなり実験的なスタイルで撮影していたとか。その割に、この「JSA」は、映画全体としてはかなり大衆映画風に撮られています(あまりにもハリウッド映画を意識し過ぎた「シュリ」に比べたら、ずっとず〜っと好感が持てますけどね、私には)。確かに俯瞰のシーン等、ヒッチコックの映画を思わせる様な部分もあり、そう言った意味で、この映画は映像的にはかなり楽しめると言うことが出来ます。でも、演出的にはやっぱり弱い。まぁ、役者さんの力量もあるのかもしれませんが、私的にはどのキャラクターにも感情移入出来なかったなぁ。脇役二人(北朝鮮軍&韓国軍の兵士)の俳優さんも、料理の仕方によってはかなり深いキャラに成り得ると思ったのですが。
ストーリーも読めちゃって、キャラ的にもいまイチ入り込めず、全体的には割と冷めた眼でこの映画を観ていた私が、それでも結局4つ星を付けてしまった最大の理由は、一番最後の1ショット(実はこのショット、横長ポスターの絵柄としても使われていて、すでに何度か観たことがあったのですが、この映画を観る前と後では見方がまるっきり変わってしまうのです)。この1ショットだけでめちゃくちゃ泣かされました。特にもう一人の北朝鮮兵士のポーズ&表情が最高。う〜ん、さすがパク=チャヌク監督。やはり“映像派”と言わなければならないのでしょうか。そうそう、書き忘れちゃったけど、韓国初のスーパー35で撮影されたという映像も、全体的にシャープでなかなか美しかったですよ。
1963年生まれで、いきなり「386世代」(現在30代で、60年代生まれ、激動の80年代に大学へ行った世代)のホープに踊り出たパク=チャヌク監督、次回作はどんな作品を手掛けているのでしょう?その前に取り合えず、「JSA」がアメリカではどう受け止められるのか、興味津津の私です。

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