*** Just Watched 14 - 最近観た映画 14 ***

"The River" - 「河」 ****1/2
"The Road Home" - 「初恋のきた道」 **
"Amores Perros" - 「アモーレス・ぺロス」 ***3/4

"The River"
He Liu 河流
「河」 - ****1/2

06/30/01 (See the English version
Here)

Directed Written by: Ming-liang Tsai
Starring : Chao-jung Chen, Shiang-chyi Chen, Tien Miao, etc
Open in Japan 1998, in US July 2001.
Seen at Walter Read Theater, The cinema of Tsai Ming-LiangNew York Times Review

先週観た、昨年度ベルリン映画祭銀獅子賞受賞作「初恋のきた道」(↓に感想あります)で、ベルリン映画祭受賞作に対する幻滅度が急上昇(急降下?)していたので、97年度同映画祭銀獅子賞を受賞したこの作品には、正直なところ、あんまり期待していませんでした。で、もともとの期待が低かったからというワケではないと思いますが、う〜ん、この作品大好きだなぁぁぁっ!!!!
(下の「初恋のきた道」感想文と比べると、私のHPがいかに偏ったモノであるかがよく分かりますデス(^_^;)

蔡明亮(ツアィ=ミンリャン)の作品は、6年くらい前に映画学校の授業(そ、このHPに何度も登場するリチャード=ペニャ先生のクラス)で、彼の長編映画デビュー作「青春神話」を見せられていたのですが、以後の作品はアメリカで一般公開されることがなかった(「愛情萬歳」のみ、96年に限定公開されました。この「河」は、今月末よりNYにて一般公開の予定)ので、これまで他に何も観たことがなかったのです。この「河」の前作に当たる「愛情萬歳」と、一作後に当たる「洞〜Hole」は、こちらでビデオも出ているのですが、「蔡明亮の映画だけは絶対ビデオで見るな」という、映画オタクの鉄則(?)を守り、辛抱強くスクリーンで観られる日を待っていた私だったのでした(^_^;)。
う〜〜〜っ、ホント待った甲斐がありましたよ(大涙)。確かに彼の作品は絶対ビデオで観てはイケマセン。一緒に観た台湾人の女の子は、待ちきれなくってこの作品をビデオで観てしまったらしいのですが、今回“初めて見えたシーン”が幾つかあったとか(殊この作品に関しては、暗いライティングのシーン程大切なシーンだったりする ^_^;)。

この映画は、「青春神話〜Revel of the Neon God」「愛情萬歳〜Vive L'amour」に続く蔡明亮初期三部作の最後、または次回作「洞〜Hole」に続く序章的な作品と言われる、ある意味では彼の転換期的作品。
蔡明亮作品と言えば、「台湾に住む都会人の孤独を鋭く描いている」とか「奇奇怪怪な都会の寓話」とか「アジアのトラディショナルな父親の存在」だとか「独特なライティングと計算し尽くされた構図」だとか「少ない会話と音楽無し、そして台湾映画オハコ(?)の長回しで2時間を引っ張る天才」だとか、引いてはこの映画を「現代社会に対する警笛」とまで解釈する人がいるくらい。それだけコレは、あらゆる見所盛り沢山の映画(テーマ的にはもっといろいろ深いモノがあって、彼の作品を語るだけで軽々本が一冊書けてしまいます。マジで。)なのですが、色々読んでみた批評の中に、「彼の映画のユーモア部分」に触れた部分が全くなかったのはとても意外でした。

私が圧倒的に蔡明亮の大大大大大ファンになってしまったのは、やっぱり彼の映画がユーモアを持って笑えるからなんですよ。ソコの貴方、「え、蔡明亮?暗い映画なんでしょ?」と思っているのは大〜〜〜〜間違い!!!確かに彼の映画全体のトーンは暗いです。映画の終わり方も暗い。全体的なテンポも監督本人が言っている様に(笑)超スロー。
けどっっっ!!!昨日観たこの「河」と、今日観た「愛情萬歳」で、私は一体何度お腹を抱えて笑わされたことか。観た場所がアメリカだったっていうのは、当然影響しているかもしれません。日本で上映した時、劇場があんなに爆笑の渦になったとは限らないです。でも、やっぱり彼のユーモアのセンスは日本の人達にも十分伝わっていると思う。特に彼のユーモアセンスは、セリフにではなく、ちょっとした仕草やリズムやタイミングの中に絶妙に出ているわけで、この辺りのセンス、やっぱり彼は天才だと思う。彼は自分を笑うことを知っている人だと思うし、どうやって笑うのかを天性の感覚で知っているんですよね。それは監督の分身であるシャオカンに対する笑いの部分だけではない。台湾社会&文化そのものを笑い飛ばす力と才を彼は持っている。う〜ん、コレはコワイですよ、ある意味…。日本の監督でこれだけ自分自身、そして日本の文化そのモノを笑い飛ばせる監督がいるでしょうか???う〜、嫉妬する程羨ましいなぁぁぁ〜〜〜〜。

監督がゲームセンターでナンパして俳優に抜擢したという李康生は、「青春神話」から最新作まで5作連続で主演している、蔡作品にはなくてはならない監督の分身的存在(役名も全てシャオカンで統一されてます)。この映画では、冒頭で映画の撮影に居合わせたシャオカンが監督からナンパされて映画の撮影に臨み、以後首回りが痛くなるという実際に李康生が体験した話を下敷きにして作られています。
この「河」の上映会には、蔡監督と李康生が来ていたのですが、背の高さも一緒だし、何だか雰囲気の似ている二人(李康生の方が全然体育会系だけど)でしたね。でも、監督は喋り出したら止まらないけど、李康生の方は二言くらいしか喋ってなかった…(^_^;)。

この「河」という作品で、一番重要な役割を担っているのは、やはりシャオカンの父親でしょう。監督自身の父親がそうだったと言っていますが、この父親は殆ど喋らない(シャオカンはそれ以上に喋らないのですが)。でもやっぱり息子のこととなると何だってやってしまうんですよね。首のおかしくなった息子を何とかしようとエスカレートしていく彼の姿は、可笑しくもあり、哀しくもある(特にシャオカンの首を持ってあげながら、バイクで走るシーンは傑作)。
毎日毎日、黙々と一人でご飯を食べ、ゲイ・サウナに通い、まるで非現実的なまでの雨漏りと戦う父親。この父親の姿は凄い。そして、お互いに無関心でありつつ、互い違いに息子と同じ息を吸って暮らしているシャオカンの両親=この夫婦の描き方は、もう並じゃないです。気を張って若い愛人と付き合ってはいるけれど、うまくいかない母親の描き方も凄い。(凄い、凄いって、ボキャブラリーないな〜私って。でも、この映画を観た人なら分かってくれると思います。)ポルノビデオのダビング中シーンと、意味もなくエレベーターで登り降りしている彼女の姿も印象的。ああ、そう言えば彼女も、あの雨漏りと一人で戦っていましたね。タイトルの「河」は、冒頭に出てくる河だけでなく、この雨漏りでほとばしる様に流れる水も、また河を意味しているのだと思います(この部分にはいろいろな解釈が出来そうですが、キリがないのでまた今度)。

それにしても蔡明亮のセックスの描き方はリアルです。独特のライティングが独特のナマナマしさを醸し出しているのは勿論のこと、あれは演出の妙なんだろ〜か?どのシーンも演技がやけに細かい。私は彼の映画ほどリアルでナマナマしいセックスシーンを撮れる監督サンを、他に知らない様な気がしてしまうくらいです。
いわゆる“映画的な”セックスではないんですよ。何だか、映画に出ている人達が、自分のすぐ隣りにいるみたいな感覚。それは私がアジア人だから?それは自分が同じ様に都会の孤独の中で生活しているから?この映画を、アイルランドの田舎(どういう例えだ?)の人が観たら、その辺りは一体どう感じるのでしょうか???

ネタバレになるので書きませんが、この映画のラストでは、かなりセンセーショナルで衝撃的な出来事が起こります(私はある程度予想していましたが、まさかあそこまでやるとは)。でも、映画は淡々と終わっていくんですよね。私なんか「アレ〜?」って感じだったんですけれど、監督曰く「人生に終わりがない様に、映画のストーリーも終わりなく続いていく」のだそうです。今週、この作品に続く「Hole」を観る予定ですが、どことなくこの作品と繋がっていくのでしょうね。
順番は逆になってしまったのですが、今日この作品の前に作られた「愛情萬歳」を観ました。う〜〜〜ん、こっちはさらにもっと好きだったので、「mookのお気に入り映画」の一本になってしまいました。詳しくは、すぐに書きます〜。

"The Road Home"
Wo de fu qin mu qin 我的父親母親
「初恋のきた道」 - **

06/30/01 (日本語は、下を見て下さい)

Directed by: Yimou Zhang, Written by: Shi Bao
Starring : ZiYi Zhang, Honglei Sun, Hao Zheng, Yuelin Zhao, etc
Official Site :
Sony Picture Classics

This film was selected as the top 1 film, which makes you satisfied with after watching in Japan last year, and it had been shown at theaters there for 8 months in a row. Now, after I saw this film, I cannot believe that it got such a huge hit there. However, in the US, it totally failed at the box office.

There are tons of reasons why I hated this film. A) About Zhang Yimou’s filmmaking, which is not as it used to be, and B) About other crew's complaining.
A-1) Where has his powerful, deep, serious Chinese portrayal gone??? I'm not saying that a Chinese film always has to be muddy and seriously negative, however, those light, cheesy, and just melodramatic film is not his anymore.
A-2) Where has his brilliant sense of color gone??? As you see his early films, he uses red and yellow magically with his all talent as an ex-cinematographer. However, although you see red and yellow significantly in this film, those are almost digital-like bright red & yellow. I was so sad to see them...

A-3) The new (post Gon Li) star, Zhang ZiYi. I'm not saying she is bad but saying that it is so painful to see her spoiled acting by Zhang Yimou. As everyone says, this film is nothing but her "promotional idle film". In "Crouching Tiger...", you could see some of her tension of acting, because she is not the one to be spoiled, though.
Clearly, her nature of character is too urban-like, which is totally opposite of the muddy, unsophisticated, naive, and simple character of this story. If Zhang Yimou will pick another film just for her, I'm sure it'd be much better.

B-1) The worst thing of all was the music. Its tear-wrenching cheesy music was just annoying but nothing else. Also what bothered me was the music sounds so much alike to the one by Jyo Hisaishi, who is the composer for those films by Takeshi Kitano and Hayao Miyazaki. Wonder if the composer did it on purpose.
B-2) Since I missed "Not One Less", which Zhang Yimou shot with the same cinematographer, this was the first time for me to see their collaboration. I just could not stand his bright, plain, and digital-like images and was disgusted by those meaningless CU shots and the machinery camera moving.

Anyway, of course, it is not as bad as I say. It won the Silver Baer at the Berlin Film Festival last year. I’m just a kind of fan, who stuck with a certain type of a director’s work, is a pain in the… Hope his next one will be another serious and spiritual film like his ten years ago.

これは典型的に「日本で流行って」「アメリカでコケる」映画だなぁ、と思いました。勿論、「何時の時代でも、何処の国でも愛される映画」というのは、この世にちゃぁんと存在します(「誰からも」っていうのは、おそらくないと思うけど)。昨年度ベルリン映画祭銀獅子賞受賞ということで、期待もかなり大きかったのでですが、う〜ん、噂通りのチャン=ツィイー“アイドル映画”だった…(^_^;)。
日本ではこの映画、「観終わった後の満足度No.1」として8ヶ月にも渡るロングランを続けたそうですが、私には分からない〜〜〜。最近まれにみる「期待ハズレ度No.1」の映画でした(まぁ、それだけ期待度が大き過ぎたっていうのもあると思いますが)。

アメリカでこの映画が大ゴケした理由は(一般館---それもミニ・シアター---では、2〜3週間程で終わってしまったし、私が慌てて観に行った二流館でもお客は4人くらいしか入っていなかった)、NYタイムズやビレッジ・ボイスなど新聞各紙の評(雑誌では批評さえ載らなかった)が言う様に、素朴でシンプルなラブ・ストーリーがアメリカ人には物足りなかった…というのではないと思います。私の思い当たる理由は二つ。
一つは、アメリカ人にとって“チャン=イーモウの映画”というのは、すでにもう出来上がってしまっていて(田舎町のブロックバスター・ビデオに行ったって、チャン=イーモウの映画は大抵2つ以上は置いてある)、この映画は、その“チャン=イーモウらしさ”が完璧に裏切られた作品であるということ。
そしてもう一つは、やっぱりこの映画、凄く“チープに作ってある”なぁ、と思いました(バジェットという意味ではないですよ)。こんな映画(そこまでヒドくはないですが)を、チャン=イーモウの映画というだけで絶賛してしまう、日本の批評家達がすら恐ろしくすらなってしまったくらい。

では、私にとってどういう映画が“チャン=イーモウの映画”なのかと言えば、それはやっぱり1)大地を這うような泥臭さ、2)鮮やかな赤&黄色と粗い背景のコントラスト、3)そして土の匂いのするコン=リーの存在…みたいなイメージがあります。
1)に関して、泥臭い=中国映画というのは勿論偏見以上の何モノでもなく、中国映画だから泥臭くなければいけないといっているのではありません。ただし、この映画はある意味、泥臭いまでの純愛を謳おうとしているのであって、あのデジカメばりの鮮明な明るい映像はまるっきり頂けなかった。
それにチャン=ツィイーだけでなく、どのキャラクターも大地を這うどころか地に足が全く付いていない様に、私には見えてしまったのです。なんか皆キャラクターが凄く浅くてフワフワしていたみたいな…。話がシンプルなのは、全然悪いことではないんです。それだけ深さがにじみ出る映画だって山程ある。でもこの映画は、いかにも中国映画の典型的メロドラマチックな部分を上だけすくって並べただけというか(それはおそらくこの映画一番のハイライトシーンであろう葬列のシーンも含めて)、チャン=イーモウ自身がこれまで自分の作って来た映画に対する冒涜にまでなっているんじゃないかって、私にはそんな気がしてならなかったのです。(ちょっとキビしすぎますかね?)

2)に関して、1)につながる部分もあるのですが、今回ど〜してこんなに「明るい映画」になってしまったのでせうか???陰影とゆ〜モノがまったくないよ〜。確かにこの映画でも、“赤”という色はもの凄く重要で、印象に残る役割を果たしていました。学校の校舎にくくり付けられたLucky Banner(と英語字幕には書いてあったのですが、日本語訳は何だったのでしょうか?)や、チャオのマフラー。特にチャオのマフラーが金色の野原に生えるコンビネーションは、黄色の中に鮮やかな赤を入れるチャン=イーモウ映画の典型的な色合い。なのに、なのにぃ〜〜〜。違う、違う〜〜〜っ。アレは、チャン=イーモウの赤と黄色じゃない〜〜〜っ。う〜ん、一体どうしてしまったの???彼が元カメラマン出身であることは、今更言うまでもないことですが、それでどうしてああいう“のっぺりした”絵を許せるのかなぁっっっ???(感嘆詞ばっかりでスミマセン-_-;)

そして3)。昔からのチャン=イーモウ・ファンにとって一番違和感のあったのは、何と言ってもニュースター、チャン=ツィーの“垢抜けた”存在感でしょう。監督と女優の関係が映画全体の出来に響くというのは、何もチャン=イーモウの映画に限ったことではありませんが(例えばチャップリンの作品群もその一つ)、コン=リーとの関係がこれ以下はないというくらい最悪の状態に達していた「上海ルージュ」の出来が目も当てられないくらいヒドかった様に、この作品ではチャン=イーモウのチャン=ツィイーに対する“スポイル”ぶりが如実に表れてしまっている様な気がしてしまいます(-_-;)。
チャン=イーモウの映画でアイドル映画?なんて私にはとても信じ難ったけど、これは確かに彼女を甘やかして甘やかし捲くったアイドル映画以上の何モノでもないです。別に私は“アイドル映画”そのモノ自体を否定しているわけではないですよ。例えば、最初からその俳優/女優サンの魅力を最大限に引き出す為に作られた映画なら別に文句は言いません。けど、このお話は元々、最初にチャン=ツィーありきというお話ではなく、映画の方を後からチャン=ツィーに無理矢理合わせたという最悪のパターン。監督がどうしても彼女を使いたかったのは分かりますが、ぐっとこらえてあと一作待って欲しかったなぁ…。
こんな風に書くと、私ってチャン=ツィーを嫌っているみたいに思われてしまうかもしれませんが、私は彼女のファンの一人ですし、彼女がアジア系の女優サンとして第一線の所で国際的にどんどん飛躍して欲しいという期待も人一倍持っているつもりです。だからこそ、あんな中途半端にスポイルされたデビューは非常に惜しいなと思ってしまうワケなのですが…。
そういった意味では、図らずも「グリーン・ディステニー」の方が一般的には早く世に出た彼女は、ある意味ラッキーだったと思います。あっちの方では、尊敬する先輩俳優達に囲まれているからなのか、よっぽど彼女の緊張感が感じられますからね。それでも演技がうまいとは思わないし、アン=リーとの方が相性が合うなんてまるっきり思わないけれど、やっぱり本人の気合いというか気概というのはスクリーンに表れてくるモンです。

まぁ、この映画に関して、誰を一番非難するのかと言えば、それはクリェイティブ的な最終責任を持つチャン=イーモウに他ならないわけですが、チャン=ツィイーだけでなく、他のスタッフもこの映画をすんごく盛り下げているとは思いませんか?こんな“チープな映画”をチャン=イーモウを作らせて黙っているプロデューサーもプロデューサーだけど、他のスタッフもヒドい…。
まず第一に、何ですか〜〜〜〜〜?あの音楽〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜??????ヒドすぎる!!!!!!!!!久石譲くずれとは聞いていましたが、あまりにCheesy(チーズの様なメロドラマさ)過ぎる!!!あの音楽を全部カットするだけでも、この映画、だいぶマシになる様な気がするのですが????頼むからそんなチープなことしないでよう〜〜〜〜〜(チャン=イーモウのファンとして思いっきり泣)。
それにあの撮影(Cinematograph)は何なんでしょう????カメラ回り過ぎ、動き過ぎ。それも手持ちの動きとかじゃなくて、機械カイカイの動き(ステディカム使ったのかな???)。一体何の意味があって、田舎の素朴な純粋なラブ・ストーリー撮るのにカメラがくるくる動く必要があるの???それに無意味なチャン=ツィーのクローズアップの連続(これはまぁ、チャン=イーモウがやらせたんでしょうけど)。頼むよぉぉぉぉっ。真面目に映画撮る気あるのかなぁ、もう????
それにやっぱり撮影監督としての生命である照明が、あれじゃもうTVドラマだよ〜〜〜っ(T_T)。この映画の撮影監督であるヤン=ホーは、チャン=イーモウの前作「あの子を探して」(この映画もアメリカでは大ゴケしたので、私は見逃しました)からコンビを組んでいる様ですが、個人的にはこれでもうコンビ解消して欲しいな〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
まぁ、ここまで来ると、もう大きなお世話以外の何モノでもないのですけれど…(自分のHPだからって、書きたいだけ書き捲くるヤツ(^_^;)。

ちなみにこの映画全編を通して、私が唯一感動したのは(以下ネタバレパートです。ドラッグして見て下さい)、
最後に息子が一日だけ、父親の手作りの教科書で村の子供達にかな手本(死語?)を教えていた場面。コレは多分こうなるだろ〜な〜という、全くその通りの展開だったのですが、やっぱり泣かされてしまいましたね。
↑この部分に関しては多分、アメリカ人には分からない感覚の部分じゃないかな〜と、ちょこっと思ってしまいました(話始めると永遠に続くのでここでカット〜(^_^;)。
またまた冒頭に戻って、日米リアクションの違いうんぬんという話をしているのではありませんよ。日本では、そのレビューの殆どが、誰にでもある初恋の胸キュン(死語?)さをうまく切なく描いているとありますが、そういった想いはアメリカ人だって勿論ちゃぁんと持ってます。
けれど、この映画のどこにその気合が見えるって?どこにその真剣さが見えるって???私には、作り手側の気合や真剣さが見えなかったから、どれも作られたヤラセにしか見えなかったんですけれど??????

…と、書いているうちにどんどん怒りが込み上げて来てしまった(^_^;)。まぁコレは、昔からチャン=イーモウのファンであっただけに、そうした昔の映画に固執してしまうというイヤ〜なファンのパターンですね。私って、チャップリンにしてもスパイク=リーにしても黒沢明にしても候孝賢にしても、後期に入ってしまうともうその作品群が嫌いになってしまうという(チャップリンの場合は「殺人狂時代」まで、S=リーの場合は「マルコムX」まで、黒沢明の場合は「どですかでん」まで、候孝賢の場合は「戯夢人生」まで)、ある意味ではファンにあるまじきタイプの人間でして、「上海ルージュ」以降のチャン=イーモウというのは、やっぱりどこか受け付けられないところがあるのですよね(^_^;)。
でもっ、まだまだ分からないですよね。もしかして、今度チャン=イーモウがチャン=ツィイーと組む時は、ちゃ〜んとハナっから最初に彼女ありきという真剣な映画を作ってくれるかもしれないし、仮にチャン=ツィーが彼にはもう振り向かなくなって、また全く別の新しい映画を作ってくれるかもしれない。チャン=イーモウ、今年で50歳、まだまだこれからでっす。若いコにデロデロばっかりしてないで、次はちゃんと気合入れて映画作って下さい〜〜〜〜(^_^;)。

"Amores Perros"
Love's Bitch
「アモーレス・ぺロス」 - ***3/4

06/18/01 (日本語は、下を見て下さい)

Directed by : Alejandro González Iñárritu, Written by: Guillermo Arriaga (I)
Starring : Gael García Bernal, Emilio Echevarría, Goya Toledo, etc
Official Site :
English

Won the best picture at Tokyo International Film Festival and critic weeks at Cannes International Film Festival last year, and nominated the best foreign language film for Oscar this year. It's been at theaters in New York for a couple of months already.
Unbelievably, this is the first feature of the director Alejandro Gonzalez Inarritu, which consists of 3 separate stories. Those characters have no connections each other but hit / see the same traffic accident. We see the accident three times from different P. O. V, which is not a new way of telling a story (I just saw exactly the same thing in ”Snatch”. However, I loved those impressive rough vivid shots of that scene.

The first episode is called "Octavio", which is about a guy, who loves his brother's wife. The lead actor, Gael Garcia Bernal, has such sparkling eyes as if he is a hero in Japanese comic book. I bet he'll get calls even from Hollywood very soon (provably happened already).
And those dog fighting scenes are incredible! Wonder how they could shoot it without hurting any dogs.

The second episode is called “Valeria and Daniel”, which I assume many people didn’t like most, however, I think I liked this most. A comic accident with the Valeria’s dog changes the relationship of a couple subtlety little by little in a bad way and a good way, significantly showing their helplessness and healing. It was, somehow, so real for me, and I cannot believe that the same writer, who wrote other two episodes, did write this episode as well.

The third episode is called “Gustavo and Chivo”, which is about a man, Chivo, who used to be an anti-government professor and left his wife and daughter. I was more into the “twisted” relationship between Chivo and the champion dog, Cofi, than the story of him with his daughter, although I was so impressed that how the 37 year-old director dealt with a life of such an old guy.

As the English title says “Love’s Bitch”, “Amores Perros” is a curse word, but it literally means “Love Dogs”. I think the fascination of this film is the balance of the dry part (Love’s Bitch) and the wetted parts, which are not only about love but something religious. I read that the relationship between Octavio and his brother seems like its between Cain and Abel, although the director says he did not intend that way at all.
The director has been selected to one of the creative directors of the new BMW net CFs along with Wong Ka-Wai, Ang Lee, and Guy Riche. I’m looking forward to seeing it (the car chase and the crash scene from “Amores…” telling that he must be great at a car CF directing), and, of course, his next feature!!!

昨年度、東京国際映画祭最優秀作品賞、昨年度、カンヌ映画祭批評家週間グランプリ、今年度アカデミー外国映画賞ノミネートということで、期待も大きかったこの映画。NYでは数ヶ月のロングランを記録して、いまだに記録を更新中。日本でも6月には一般公開になるということで、「現在日本で公開中の映画」コーナーに書こうと思っていたのですが、なぜか突如としてお蔵入りに。一体、何があったとゆ〜のでしょうか???うう、皆さんにもいち早く観て欲しい映画なのに〜。
監督は、ナントこれが長編第1作目というアレハンドロ=ゴンザレス=イニャリトゥ(東京国際映画祭では、最優秀監督賞も受賞)。三話からのオムニバスになっていて、この三作品の主人公は、それぞれある一つの交通事故で繋がっています。時間差で一つの出来事を多面的に見せるのは、何もこの映画だけの特別なモノではありませんが(最近では、「スナッチ」で同じ様な手法を見ました)、私この手の脚本って、けっこう好きなんですよね〜。

第1話目「オクタビオ」は、虐待されている兄嫁に横恋慕する青年・オクタビオのお話。この話では、何と言ってもオクタビオ役・ゲール=G=ガーナルの存在感が光ります。冗談じゃなく、彼の瞳って少女マンガみたいにウルウル光っているんですよね。それだけでもすんごい印象。多分彼って、近い将来アメリカ映画なんかからも山程お声のかかる俳優サンだと思います。兄嫁役の女優サンも、いかにもその辺にいそうな感じで良かったし、粗い映像がけだるいメキシコ郊外の日常をよく表している感じがして、ホントによかった。
この話って、闘犬が中心になっているんですけれど、その迫力がまた凄いんですよね。画面にはちゃんと、公式認定映画(?)お決まりの「この映画制作に当たり、いかなる動物も肉体的苦痛を受けてはいません」というクレジットが出てくるのですが、一体ど〜やって撮影したのでしょうか???
この映画最大の見所の一つ、交通事故のシーンとその前のカーチェイスは、タランティーノ的と言ってしまえばそれまでなのですが、カメラの手ぶれによる躍動感がとてもよく出ていて、ガサツな分、むしろとっても新鮮に感じました。

第2話目「バレリアとダニエル」は、おそらくこの映画の中で一番人気のない話だと思うのですが、私的には割と好きだったお話(実は一緒に観た友達も、この話が一番いいと言っていました)。たわいもない不倫カップルの、ワガママと心の移り変わりが描かれているですが、何か妙にリアルなんですよね。バレリアの愛犬がひょんなことから床下に閉じ込められてしまうのですが、この犬が二人を分かつことになったり、またその逆もあり…。
最初はバカバカしいコミックシーンであったこの愛犬の救出劇が、次第に二人の切なさ、哀しさ、そして救いの象徴になっていくんです。う〜ん、とても1話目を書いた同じ人の作品とは思えない、男女の微妙な繊細さが非常によく出ている回だと思いました。

第3話目「グスタボとチーボ」は、かつて反政府運動に荷担し、大学教授の地位と妻子を捨て、今は殺人を請け負って浮浪生活を送る老人チーボの物語。あの〜、この監督まだ37歳なんですけれど、ど〜してこんな年老いた親の心情を演出することが出来るんですか???
まぁ、ただそれだけのお涙ちょうだい的な話なら、この話もそんなに好きな回ではなくなっちゃうんですけれど、1話目で出てくる無敵の闘犬コフィとの“複雑な”関係がイイんです。また、1話目のオクタビオと兄のエピソードもここでまたちょこっと出てくるんですよね。どこかでこの兄弟は、カインとアベルの化身なのではないかいう意見があったのですが、監督は、この映画に一切宗教的な意味は持たせていないのだとか。それにしてもこの映画は、贖罪とか運命という言葉がよく似合う…。

“アモーレス”とは、“愛”、“ぺロス”とは“犬(達)”。文字通り、この映画は犬を通した、人間同士の情愛が描かれているわけですが、“アモーレス・ペレス”で、“Love’s Bitch(英語のタイトル)”または“サイテー”というけなし言葉にもなるのだとか。こう言った“ドロっとした部分(情愛)”と“カラっとした部分(サイテー)”という部分の両方がバランスよく出ているところが、この映画の魅力なんだと思います。
基本的には、暗〜いお話なんですけどね。やっぱり監督の若さなんでしょうか???このA=G=イリャニトゥ監督、ウォン=カーウワイ、アン=リー、ガイ=リッチー等と並んで、BMWが制作するネットCFの監督の一人に選ばれています。確かに、あのカー・チェイス・シーンは凄かったモンね(^_^;)。長編次回作はどうなるのかな〜。ますます期待の大きい、若手監督の発見でありました。

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