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"Pearl Harbor"
「パール・ハーバー」

06/10/01 (See the English Version from
Here.)

Directed by Michael Bay, Written by : Randall Wallace
Starring : Ben Affleck, Josh Hartnett, and Kate Beckinsale

公式サイトその他については、このページを参考にしてみて下さい。

以下の文章内に“ストーリーのネタバレ部分はありません”ので、まだ未見の方も、安心してお読み下さいませ。

…と、いうわけで、良くも悪くも話題の映画「パール・ハーバー」、全米でオープンして12日目の6月7日に観て参りました。木曜日の夜の回ということで、席はガラガラ(ま、3時間10分もあるので、大抵の人は週末ゆっくり観に行くんだと思います)。どうせ同じ10ドルを払うなら絶対にIMAX劇場で観るぞ!と気張りまくっていた私ですが、別に3D上映であるわけではないし、単に画面が大きいってだけなんですよね(^_^;)。
さて、前置きはこのくらいにして、さっそく感想の方に参りませう。この映画に関しては、モノ申すことが沢山ありますので、1)純粋に映画作品として観て、2)日本人、日系アメリカ人、マイノリティー達の描かれ方について、3)この映画についての私の個人的意見、の3パートに分けて書くことにしました。

<<1)映画作品としての「パール・ハーバー」>>

*Cheapie “TITANIC” in Hawaii*

まず最初に、自分の自己紹介ページにも書きました様に、私はNYのとある映画学校に通っていました。その学校は伝統的に(?)“アンチ・ハリウッド映画”の風潮がありまして、普段一緒に映画を観に行く友達も含め、私がハリウッドのヒット映画を観に行くことは殆どありません(今年上半期、日本でも大ヒットした「キャスト・アウェイ」「ハンニバル」「ザ・メキシカン」の3作品、私は全て未見です)。殊今回、この映画「パール・ハーバー」については、問答無用に「バカバカしくて、こんな映画を観に行く気がしない」という輩が私の周りでは大多数。このページでご紹介した様に、映画評論家の殆どがこの映画の出来を、これでもかというくらいにコキ降ろしているんですよね。
しかし、しか〜し。この映画の監督、マイケル=ベイの映画については、ニコラス=ケイジ&ショーン=コネリー主演の「ザ・ロック」がけっこう面白かったので、前作「アルマゲドン」までしっかり劇場に観に行ってしまった私(^_^;)。彼の第1回監督作品「バッド・ボーイズ」についても、TVで部分的にしか観ていないものの、映像的には割と好感を持っていたのデスよ。だから、ホンネの正直なところを言うと、この映画のコントラバーシャル的なところは一先ず置いといて、少なくともアクション・シーンくらいは“純粋に娯楽映画作品として”楽しませてくれるかな、とちょっぴり期待していたのでした。

それが、ま〜、見所になるはずのアクション・シーンでさえも、超つまんなかったぁぁぁっ!!!ゲストブックの方にも書きましたが、この映画を一言で言うと「Cheapie “TITANIC” in Hawaii」という感じになるのでしょうか???
前述しました様に、私は映画学校に行っていたので、必修でディレクティングの授業も取りましたが、専門が監督・演出ではないので、その辺の詳しいところはよく分かりません。だから、「マイケル=ベイが、ここの所をこう演出したのが悪くって、ここはこうすべきであった」みたいな細かい指摘を書くことは出来ないんです。けどね〜、チープなものはチープだくらいのことはなんとなく分かります。だって観終った後、何の感覚も残らないんですから!!!

私はジェームス=キャメロンやスピルバーグのファンでは全くないのですが、どうしても「タイタニック」や「プライベート・ライアン」等の作品と比べて見てしまいます(「プライベート・ライアン」については後で少し書きますが、私にとっては両作品とも全く好みの作品ではありません)。特に「タイタニック」については、製作者側自身もインタビューで応えている通り、「パール・ハーバー」の製作に当たっては、“1940年代の「タイタニック」を作りたかった”と言っていますし、CNNの映画評にも書かれている通り、この映画作りに当たって製作者達が「タイタニック」を何百回も観直しただろうというコトは、誰もが思っているんじゃないかと思います。
私はこの映画を観る前、この映画が「タイタニック」を意識した部分というのは、アクションとラブロマンスを同時に描き、なおかつ様々な人間模様の重なり合うエピック・ストーリーなのだと思っていました。そうしたら、全然違いましたね〜。結局「タイタニック」らしかった部分は、戦艦の沈没シーンだけだったのであります(笑)。「パール・ハーバー」の襲撃シーンでは(コレは一応、歴史的事実としてご存知だと思いますが)、戦艦アリゾナを始め、8隻の米戦艦が沈没します。その段々と船が傾いて人が転がり落ちていくシーンなんて、モロ「タイタニック」の沈没シーンなんですよね(実際、この沈没シーンに関しては、「タイタニック」のSFXスタッフが関わり、「タイタニック」の沈没シーンの撮影に使われた全く同じスタジオをそのまま使用しています)。ここまで同じにやられてしまうと、ただのギャグにしか見えないのですよ。もうちょっと一工夫しようとか、何か考えなかったんでしょ〜かね???ったく・・・

公開前、「パール・ハーバーの襲撃シーンは、ナント40分間もある」(ちなみに実際のパール・ハーバー襲撃は約90分間であったと言われています)という宣伝文句があり、実はけっこうビビっていた私。それが蓋を開けてみたら、40分全部戦闘シーンというわけではないのです。途中かなり中断シーンが入るので、テンション下がるわ下がるわ。
製作者達は、やはりあの有名な「プライベート・ライアン」冒頭のシーン、ノルマンディー上陸の30分間を意識していたらしいのですが、あのコワさになんて足元にも及ばないってばですよ!あの「プライベート…」の戦闘シーンは、良くも悪くも戦争というモノのホラーをまざまざと見せ付けてくれましたが、「パール・ハーバー」のそれは、他の批評家達も多く指摘している通り、CGゲーム感覚以上の何モノでもないのです。第一アレだったら、「シンドラーのリスト」中盤のナチ襲撃シーンの20分間(ホントは10分ちょっとだったかもしれないけど、私には20分くらいに感じた)の方が、ず〜っとトラウマティックでした。戦闘機が空を飛んでいる迫力だって、「太陽の帝国」のラストのスケールに比べたら、ぜ〜んぜん期待はずれだったし…(クドイですが、私は全くもってスピルバーグのファンではありませんm(_)m)。

あの戦闘シーンは、どこかの批評家が書いていた通り、もうただの「花火大会」。しかも、普通の花火大会にだっていろいろと計画性があって、最初とクライマックスの花火では違う仕掛けがあるのに、あの戦闘シーンの花火は、最初から最後までおんなじ花火が爆発しているだけ。頼むから、ちっとは頭使って欲しいな〜もぉ。そりゃぁ確かに、この映画が仮に“いい出来”だったりなんかしたら、アンチ「パール・ハーバー」の私としては、別の意味で困ってしまうのですが、一応10ドル払ってるんだから(セコイ奴)、いっぱしのアクション映画らしく、少しはドキドキさせて欲しかったよ〜。っとに、怒りさえ起ってこない程、「何の感覚も起きない」戦闘シーンなのでありました。
う〜ん、もしかしてもしかすると私、感覚ってモンが古いのでしょ〜か???今年度アカデミー賞最優秀作品賞を獲得した「グラディエーター」を観た時も私、あのCG作りのローマ帝国を観ただけで、もうあの映画が嫌いになってしまったのですよ。「パール・ハーバー」の戦闘シーンがCG作りであることは、誰もが最初から知っていることですが、あの独特の墨色、なんとかならないんでしょ〜か???なんかいっぺんに興醒めしてしまうんですよね〜。
この映画を観る前の予告編が、再編集された「地獄の黙示録:特別編」でして、改めて大画面で観たこの映画のスゴさに圧倒された直後だっただけに、CG作りの「パール・ハーバー」が余計チープに見えてしまいました(^_^;)。
やっぱりマイケル=ベイは、「アルマゲドン」でやめときゃ良かったんですよね(アレだってフィリップ=カウフマンの「ライトスタッフ」にはまるっきし負けるけど)。タイム誌のインタビューで、プロデュサーのジェリー=ブラッケイマーは、「マイケル=ベイは、我々の世代のスピルバーグであり、ルーカスである」なんて言っていますが、こりゃ〜、彼がそうでないことを証明しちゃっただけでしたね(^_^;)。

*Puppyish Non-Emotional Characters*

さてさて、それでは残りカス(?)の部分について。NYタイムスその他の批評家から「Puppyish Love Triangle」と呼ばれる、ままごとみたいな三角関係は、もう先が見え見え。映画が3分の1までいった時点、ケイト=ベッキンセール演じるエヴリンが○○した時点で、筋書きが最後まで全〜部読めてしまいました。それこそ、私が想像したのと寸分違わぬエンディングになってしまい、ここでも超がっかりだぁ〜(最初から期待するなって(^_^;)???)。
ストーリーが型にはまっているのは、まだいいんです。「タイタニック」だって、その意味では型にハマったラブ・ストーリーだったんだから。それにしたって、前半のギャグトーンは、あまりにもヒドイNYタイムスの映画評で「Sitcom Beat」と書かれていた様に、安っぽいシチュエーション・コメディのノリなんですよね。どこがエピック・ラブストーリーなのかな〜???コレって、本当に「ブレィブ・ハート」の脚本を書いた、ランドル=ワレスのスクリプト???(まさかマイケル=ベイが書き直させたとか???)あれじゃ、ベン=アフレックのファンだって怒るよね。
まぁ、ベン=アフレックが大根役者なのは、特に私が書かなくても皆が散々書いているので、逐一書きはしませんが(特に「ウォール・ストリート・ジャーナル」の映画評がけなしまくってた(^_^;)、あれは、もうただ背が高くてモデルみたいな役者だったら誰でも良かったんでしょ〜ね。彼が来年のゴールデン・ラズベリー賞(毎年3月、前年度最悪だった映画に贈られる映画賞)、ワースト・アクターのノミネートに入るのは確実なのではないでしょうか???

「コールド・コンフォート・ファーム」の時とは、まるで別人の様なケイト=ベッキンセールは、きれいで美人で、真っ赤な口紅がよく似合うのは確かなのですが、ただ単にそれだけなんですよね〜。これもどっかからきれ〜なモデルを引っ張ってきても、結果は同じだったのでは???本当はそんな下手な女優サンじゃないのに、つくづく映画というモノは、演出する人の実力が如実に表れてしまうよ〜で…。
私にとっては新顔のジョシュ=ハーネット(ベン=アフレックの幼馴染み&恋敵役/「バージン・スイサイドに出ていたらしいけど、覚えてない(^_^;)も、カットごとに可愛かったり、カッコイイ顔みせたりするんですけどね〜。全体的に印象が薄い。ラストなんかダサダサ〜〜〜〜って感じでしたよ。やっぱりモトの悪い役者サンだとは思わないんですけれど。いくら超大作とはいえ、こんな映画に出てしまって、自分の株落としちゃいましたね〜。

助演のジョン=ボイド(ルーズベルト大統領役)も全然カリスマ性なかったし、参謀役のダン=アクロイドは、存在自体が笑いを誘うだけだったし…(^_^;)。あとは、ベイ監督の常連俳優が何人か出演していましたが、どれも存在感なし。エヴィリンの同僚看護婦達も、あまりにも個性がなくて(というより、類型的すぎて)、全く感情移入出来なかった。
実在の人物を演じたアレック=ボールドウィン(ドゥーリトル大佐役←前に書いていたドリトルではなく、彼の場合ドゥ-リトルという表記が一般的というご指摘を頂きました)とキューバ=グディンJr.(ドリー=ミラー役)も、だから何なんだ?という役回り(どんなんだ?)何度も書いている様に、私は軍人をカッコ良く見せる映画は大嫌いなのですが、全然カッコよくないんだもん(^_^;)。これじゃ攻撃することすら出来ましぇ〜ん(^_^;)。
いや〜、これだけShallowなキャラクターをよくまぁ揃えられたモンです。1人くらい印象に残るキャラクターがいたって良かったのにね〜。この映画で泣く人って凄く貴重だと思う。あのだだっ広いIMAXシアターでさえ、すすり泣き一つ聞こえてきませんでしたから。う〜ん、見事にハズしまくり(^_^;)。

*Cannot Be the Biggest Bomb with the Biggest Budget in History *

ともあれ、3時間10分もあるのに、これだけ印象に残るシーンのない映画というのも珍しいかも鴨。史上最高の1億4000万ドル(1ドル=120円で換算すると、約168億円)も使って作ったっていうのに、なんて勿体無い!!!(最初の予定は2億8000万ドル≒230億円だったそうですが)
正直言って私、あまりの不出来さに拍子抜けしてしまいました。この映画に関しては、もともとコンセプトからして反対だったから、どんな風に攻撃してやろうかと思っていたのですが、これじゃぁ〜、こちらまで情けなくなってしまう…(^_^;)。いや〜、この夏、「パール・ハーバー」旋風が吹き荒れたらどうしよう?なんて、いらぬ心配をしていた私ですが、この分じゃ口コミでお客が減ったりなんかしてしまうかも。まず第一に上映時間3時間以上ですからね(「タイタニック」だって3時間はいかなかった)。よっぽど凄い作品だよ〜って評判が広まらなければ、客足は鈍る一方でしょう。
今年はこれから、スピルバーグの「A.I」、「ジュラシック・パーク3」もオープンするし、宿敵(?)ドリームワークスのアニメ「シュレック」も、なかなかの好成績を収めていますしね。女の子に人気のニコール・キッドマン&ユアン=マグレガー主演「ムーラン・ルージュ」、まだまだお客の入っている「ハムナプトラ2」もありますから、この2001年、「パール・ハーバー」にはけっこう前途多難な夏なのではないでしょうか(^_^;)???

<<2)日本人、日系アメリカ人、マイノリティー達の描かれ方>>

*Men Without a Face *

ハリウッド映画に描かれる日本人が、もうお笑いの域に入ってしまうくらいトンチンカンなのは書き始めたらキリがないのですが(これもいつの日か、特集で書いてみたいですね)、この映画もご多分に漏れず、その醍醐味(?)を十分にエンジョイできます(^_^;)。
まず、どう考えてもアメリカの何処かで撮影したモノを、中途半端に“日本で撮影した様に見せかける為”、前半の参謀会議は、ナゼかどこかの丘で開かれていて(どうして室内じゃダメなんでしょうか?)、周りでは子供達が凧揚げをしているんですよね(秘密会議じゃないの???)。テーブルの周りには、「尊王」の旗がヒラヒラ…。幕末じゃ〜ないんだから〜〜〜(^_^;)。
そして真珠湾攻撃の直前、彼等がカミカゼ特攻隊の御神酒をやってるのはまだしも、フンドシに朝日マーク(**日の丸だったのではないかというご指摘を頂きましたが…。チェックしている方います???)を付けているのは何だったのでしょうか(^_^;)???あうあう…。

後半の東京襲撃の時も、どうせハリボテのビルとか作るんだったら、ちゃんと日本人スタッフを交えてセット作って欲しかったなぁ。最後のクレジットを観ると、ADとか、ギャファーとか、けっこう日系人スタッフの名前もちらほら見えたのですが、アート・デパートメントには日系の名前が全く見当たらなかった。まぁ、そんなディテールなんかどうでもいいと思っているのでしょうけれど、この辺りのいい加減さに、製作者側が最初から日本についてなんかど〜でもいいという姿勢が見え見えなんですよね。
第一、頼むからもぉ、東京に赤い神社があって(あれは平安神宮だったの?)、そこで着物来て番傘差した女の人が歩いているっていうカットだけは入れて欲しくなかった…。いくらなんでも、あれは史実と違〜〜〜う!戦時中、女の人達がモンペ姿であったことは、インターネットでだってすぐ見つかるでしょっっっ!映画関係者のくせに「黒い雨」とかも観てないのかなぁぁぁっ!

クライマックスで、中国大陸がアイルランドかどっかの島に見えてしまったのも可笑しかったけど、そこに現れる日本人兵士が、これまでのハリウッド映画に出てくるベトコンそっくりだったことにも呆れてしまった。頼むからせめて「シン?レッド・ライン」くらいは参考にして欲しかったよぉ(あの映画だって、私に言わせてみれば不満だらけなのですけれど)。
軍艦に乗っている海軍人達も、み〜んな同じ服着て、誰が誰だか分かんないしね(実は、あの中の一人、軍艦上で旗を振っていた役者さんは私の知人なのですが、その他大勢の中に混じると、どれだかすぐに見失ってしまう…(^_^;)。
殊に、戦闘&爆撃シーンの日本人兵士達に“顔”というモノは全くありません。つまり彼等は、単なる“敵”であり、“悪役”であり、“標的”であり、宇宙戦争に出てくる異星人やCGゲームの攻撃目標となんら変わりはないのです。だから観ている方は、日本人の飛行機が爆撃される(つまり日本人が死ねば)、嬉しい様になっている。もしそこに、彼等の家族や恋人達の物語が挿入されてしまったら、素直に喜べなくなってしまうでしょう?でも、そんなことはお構いなしなんですよね。このハリウッド映画では。
また逆に、東京での爆撃シーンにも被弾で死ぬ人達の映像は全く出てきません。真珠湾攻撃で、あれだけ派手に病院で亡くなる人々を見せておきながら、日本で死ぬ人達のことはお構いなし。だってそれを見せたら、このハリボテの“正義”は、ただの“人殺し”になってしまうんですものね。

日本人役で、唯一キャラクターらしいキャラクターを与え(ようと試み)られていたのが、山本五十六のキャラクター。彼は戦争責任者の一人**(前にここで“戦犯”と書いていましたが、彼は終戦以前に死亡しているし、実際の責任は陸軍省・内務省と言われているので、それは誤りとのご指摘を頂きました。私の場合、戦争犯罪者≒戦争責任者の一人であるという意味で、戦後法廷で裁かれた人という意味ではなかったのですが、紛らわしいので訂正します)でもあり、そんな奴を人間的に描いてもらっても、ちっとも嬉しくないんですけれど(^_^;)。今回初めて知ったのですが、彼はナント、ハーバード大を卒業していたということで、そういった理由もあって贔屓されていたのでしょうか?「A truly brilliant man would find a way not to go to war(本当に頭のいい人間は、戦争回避への道を見つけるだろう→**実際彼が口にした言葉は、“賢明な者は不戦不敗の道を選ぶ”だったというご指摘を頂きました)」なんて、ワケわかんない名セリフ(日本人の“謙遜心”を表現したかったの???)まで与えられていました。
彼を演じた俳優MAKOは、アジア人男優としては初めてアカデミー賞とトニー賞の両方にノミネートされ、彼より一世代早くアカデミー賞にノミネートされた早川雪洲(二人共高校まで日本で生まれ育ったので、正確に言うと日本から来た日本人ともいうことが出来るのですが)と並び、アジア系アメリカ人の間では代表格とも言える日系人俳優。さすがにアメリカで生まれ育った日系二世や三世の俳優とは違い、英語字幕に頼らなくてもちゃんと理解出来る日本語で喋っていましたよ(発音的には、アレっ?と思う時もありましたけれど)。
他の俳優サン達は、何言ってるんだか分からないセリフも沢山ありましたが、日本語を殆ど喋ったことのない三世中心の日系人(実際、私の知人の日系アメリカ人も、日本語は殆ど喋ることが出来ません)や、それこそ日本語の喋れない中国系&韓国系の俳優サン達を中心に固めているのですから、仕方がないですよね。
ったく、西海岸には、ハリウッド映画に出演したくてしようがない日本人俳優が山程いるっていうのにね〜。でも、これはキャスティング・ディレクターが、どれだけ日系のキャスティング会社とコンタクトしたか(またはしようとしたか)、という姿勢の表れなので…。つまり、やっぱりど〜でもいいと思われてるってことですね(^_^;)。

*Jap Sucker*

この映画には、数回「Jap Sucker」というセリフが出て来ます。“Jap”とは、大戦前から使われていた日本人に対する蔑称。今では差別語としてパブリックでは使われなくなったこの言葉を、敢えてセリフに入れた理由について、製作者側は「当時この言葉が使われていたのは史実であるから」としていますが、主役(=ヒーロー)にそ〜いうセリフ言わせるかな?普通???しかも、1回じゃなくって何回も出て来ますからね(数えてないけど)。
「Sucker」とは今でもよく使われている蔑称で(別に日本人に限らず誰に対しても)、本当の語源はよく分かりませんが「Co○k Sucker」とか(さすがに訳は書けない(^_^;)、かなりドぎつい呼び方です。そこから転じて「You suck」というと、「お前は最低」という意味。アメリカ人の友達曰く、「Sucker」は、相手を自分より低く見る時に使う言葉だそうで、「As○ hole」とか、「Son of a Bi○ch」等の蔑称とはまた違ったニュアンスがあるのだそうです。
この「Jap Sucker」、日本公開バージョンではどんな風に翻訳されて字幕になるのでしょうか?日本語バージョンを観る方、是非ぜひ教えて下さいね。また、日本公開バージョンでは削除される、クライマックスでのケイト=ベッキンセールのセリフについては、あまりに長くて覚えきれなかったので、近日脚本でも発売されたら、またちゃんとご紹介しますね。

以上が、「“タイタニック”で全世界興行成績の20%を稼ぎ出した日本のマーケットを心配して、日本人に気配りした“パール・ハーバー”の中に描かれた日本人達の姿」です(^_^;)。
一言で言ってしまうと、“ナメて”ますよね。だって、上に書いた様なこと、ちょっと日本人の美術部スタッフを雇って、日本人のキャスティング会社に電話一本かけて、日本人のスーパーバイザーを一人雇って歴史のリサーチをすれば(“日本語指導”のスタッフはいた様ですが)、簡単に出来ることじゃないですか。西海岸には、そんなことタダ働きだって自分のキャリアの為にやりたい日本人がゴマンといるというのに、「最初からやる気なかった」ってコトですよね。“インターネットで何でも情報キャッチの時代”に、「日本のこと、よく知らなかった」な〜んていう言い訳は、もう効かないんだから〜!!!
う〜ん、この辺のところ、この映画が公開されたら、日本人のライター達はちゃんと書いてくれるのだろ〜か???

*Japanese-Americans’ Portrayals *

そんなめちゃくちゃ怠慢な製作者達も、プロデューサーを始め日系アメリカ人団体には「取り合えず、形式のお伺い」を立てていました。脚本の段階から彼等がコンタクトを取っていたのが、アジア系アメリカ人団体としては一番古くて一番大きい(と言われている)JACL(Japanese American Citizen’s League)。けれども(この辺のところは、また後日詳しく書かなければならないのですが)このJACLという団体、歴史的に言うと「アメリカ・メインストリーム寄り」として、ある意味他のアジア系アメリカ人団体からは批判も数々受けているという、複雑なポジションに位置する団体でもあるのです。
例えば
このページに書きました様に、日系アメリカ人は「パール・ハーバー」襲撃の直後、大統領令によって4年間収容所に送られるわけですが、この時収容所を管理していたWRA(War Relocation Authority)と癒着し、「政府のイヌ」と呼ばれていたのが、他でもなくこのJACLであったりするワケですね。戦後、JACLはこの件に関して謝罪をし、政府への補償運動でも大きな役割を果たしたわけですが、JACLと言うとどうしても「アメリカ政府に媚びている」という印象が拭えないのも確か。実際、JACLのジョン=タテイシ会長は、LAタイムズのインタビューで、「この映画が日系アメリカ人にとって、オフェンシブに描かれているとは思えない」と応えていますし、アジア系アメリカ人として初めて閣僚入りしたミネタ運輸長官も、この映画に対してどちらかと言えばポジティブな発言をしています。

アメリカで生まれ、アメリカ人として生活し、アメリカ人として死んでいく彼等が、”アメリカ政府寄り”の発言をする心情は、よく理解出来ます。けれども、過去そして現在にまで渡って横たわっている「アメリカ人としてすら認められない」現実を目の前にし、ただ大人しく首を縦に振っているのもどうかな〜と思わずにはいられない、日系アメリカ人、そしてアジア系アメリカ人の人達だって、それこそゴマンといるのです
また、“この時代”を知る、日系アメリカ人の心の中にくすぶっている思いは、「“日系アメリカ人収容所”について全く描かれていない」ということだけではありません。「パール・ハーバー」襲撃直後、アメリカ軍に志願して入隊拒否をされた二世達、収容所に送られた後、気まぐれの様に徴兵され、捨て鉢の前線で“アメリカの為に”戦って死んでいった日系アメリカ人だって沢山いるのです。この人達の思いはどこへ行ってしまうのでしょうか???

製作者側は、「3時間映画の大作に、そこまで描く余裕はない」というかもしれません。では、当初多くのシーンがあったにも関わらず、JACLの要請によって大幅にカットされた日系アメリカ人のスパイ(ハワイで開業している歯科医です。俳優はスン=カン)のシーンについてはどう説明するのでしょうか???何だかんだ言っても、彼等が日系人をどんな眼で見ているのかは、このオリジナル・アイデアからすぐ分かります。しかも、一部のシーンはしっかり残っていますしね。ちなみに、この映画にはもう一人“日本人観光客”を装ったスパイ(セス=サカイ)が登場するのですが、あまりにもステレオタイプ的に描かれているので、クレジットを見るまで、先述のスン=カンと同一人物だと思っていました(^_^;)。
え〜、実はもう一つ、JACLの意見が取り入れられた個所があります。「パール・ハーバー」から運ばれてくる負傷者達を手当てしようとする日系人医師(ビク=チャオ)の登場シーン。おそらく1秒あるかないかでしょう。顔なんかまるっきり見るヒマなかったし、「I don’t want a Jap touching me(ジャップになんか触られたくない)」という負傷した兵士のセリフがなかったら、彼が日系人だなんて全然分からなかったと思います。それでも製作者側としては、「1秒だろうが何だろうが、要望に応えてやったぞ」ということになるんでしょうね。だ〜っ。

ってなわけで、日本人同様、やはり実質的には無視に近い状態の日系アメリカ人の存在ですが、これからこの映画を観た彼等がどんな意見を出していくのか、何か見つけたら出来るだけご紹介して行きたいと思います。

*Need Some Minority Characters? *

ビレッジ・ボイスその他の記事でも指摘されていた様に、この映画はハワイを舞台にしていながら、登場するキャラクターは白人ばかり(ご存知の通り、ハワイでの白人人口は完全なるマイノリティーのはずなのですが)。襲撃前夜の喧嘩シーンで、ほんの一瞬小錦が登場するんですけどね(ホントに0コンマ1秒って感じです(^_^;)。
キャラクターとしては登場させる余裕がなかったとしても、襲撃の日の朝に洗濯干してるオバサンや、朝っぱらから野球なんかやってる少年達の一部にハワイアンがいないのは何故???そう、答えは簡単。もし彼等の中に先住民がいたりなんかしたら、それこそそれは、「日本軍によって破壊されてしまう“神聖な”アメリカ・メインストリームの生活」ではなくなってしまうわけですよ。だからね〜。

そう言う意味では、キューバ=グッデインJr.演じる実在の人物、ドリー=ミラーが中途半端にしか描かれていなかったことにも合点がいくかもしれません。「パール・ハーバー」みたいなアクション映画を観に行くお客の多くは、黒人層。だから、キャラクターの中に当時海軍には少なかった黒人キャラクターを入れて来たのは、マーケット上頷けるにしても、あんな中途半端じゃ焦点をぼかすだけNYタイムス評でも、同じことが言われています)。アレ見た黒人の観客、嬉しいか???私は、中途半端な欲求不満が残るだけだと思うな〜。それだったら「タイタニック」みたいに、見事に白人だけで全部やってれくれれば良かったのにぃ…(^_^;)。

それと、キャラクターとしては全く登場しないのですが、冒頭の子供時代、ドイツ人を悪く言うセリフ(何という言葉だったのか思い出せないのですが)が出て来ます。今回この映画に関しては、ドイツでもかなりセンシティブな問題になっている様ですが、このセリフ、ドイツ公開版ではカットされちゃうんでしょうかね〜。
そう言えば今回、ドイツ人の彼氏がいるアメリカ人の友達とこの映画について話し合っていた時、彼女が「ナチが悪者になっているハリウッド映画が山程あるでしょ?ナチは確かに悪者だけど、ああいった映画のお陰で、今でもドイツ人全部が悪い奴みたいに思われているんだから。」と言っていたのを思い出します。う〜ん、確かに。具体的にはちょっと今思い出せないんですけれど、そういうハリウッド映画、沢山ありますよね〜(ちなみにプロデューサーのジェリー=ブラッケイマーはドイツ系移民の二世。それでよくあんなセリフ入れたよね〜)。
数年前、映画「マーシャル・ロー」が公開された時も、戒厳令を強いてアラブ人全員を収容所に入れるなんて話、ハリウッドが戦中日系人を収容所に入れた歴史など何も思っていないことの表れだという意見が一部で大きな問題になりました。まったくね〜。知らぬ間に偏見持っているのはまだしも、そんなんで何億円もかけて映画作らないで欲しい…。ま、予算は中心問題ではないんですけどね。やっぱりすぐお金の方に気が向いてしまう私(^_^;)。

あ、それからマイノリティーと言えば、やはり一部で問題になったんですけれど、ベン=アフレック扮するレイフって、実はDyslexiaという日本では聞いたことのない障害者なんですよ。Dyslexiaというのは、英語のスペルを読んだり書いたりする時、アルファベットの順番を混同してしまうという先天障害。でもそれって、エヴリンとの出会いのエピソードに使われているだけなんですよね。だってその後、二人が文通する時、それ全然障害になってないんだもん。だから、実際のDyslexia の人達は「障害というものを、安易なラブコメディのネタに使わないで欲しい」と抗議したのだとか。ったく、「パール・ハーバー」というのは、つくづくポリティカリー・インコレクトな映画なのでした。

ディズニーって〜のは、この映画が製作されるまで、マイノリティーにフレンドリーな会社だと思われていたのにね(^_^;)。実際、この映画の最初の案が、ジェリー=ブラッケイマーでもなく、マイケル=ベイでもなく、ディズニーのエグゼクティブから出たと聞いた時は、少なからずショックを受けた私です。
ま、でも大戦中はFBIと組んでいたある意味右翼のディズニーですから(その裏金で作られたという「ファンタジア」も、やっぱり大好きな私)、米軍とタイアップしたプロパガンダ映画を作ることには何の不思議もないんですけどね。この辺も書き出したら永遠に止まらなくなりそ〜なので、ここらで最後の章に行きませう。

<<3)映画「パール・ハーバー」について。mookの個人的な意見もろもろ>>

*All About War Movies*

ここまで読んで頂ければお分かりの通り、私はこの映画が嫌いです。でも、何が嫌いって、別に「日本人や日系アメリカ人を悪く描いているから」というワケではないのです。日系アメリカ人はともかく、日本人が「パール・ハーバー」を攻撃したのは事実だし(“奇襲”ではなかった=ルーズベルトはこの攻撃について事前に聞いて知っていた、ということについては、また別の長〜い話になってしまいますが)、むしろ日本軍が当時、アジアでどれだけ悪いことをしていたのか、もっとちゃんと描いてくれれば良かったのに、というくらい。
そう、私がこの映画に対して怒っているのは、「“戦争”、そして“アメリカのメインストリーム”というモノを、彼らが“夢の様にキレイに描いている”という事」なのです。

第2章目で書いた様に、この映画で反撃をくらう日本人達が死んだり苦しんだりするシーンを、観客が目の当たりにすることは一切ありません。これは、湾岸戦争の爆撃映像がまるでTVゲームの様に見えると言われた感覚に、非常に良く似ていると思います。あの花火の様な爆撃の下で、死んでいっている人達は確実にいるハズなのに(たとえその標的が兵器工場であったとしても)、私達の目には決して見えてこない。それはただ、勝利を喜ぶ為だけの映像にしか過ぎないのです。
考え過ぎと言われるかもしれませんが、この映画が、ストーリーのクライマックスに当たる東京爆撃から2年後に起こった東京大空襲や広島・長崎への原爆投下への感覚ですらCGゲーム化する様なものであるとしたら…。実際、この映画に影響されなくても日本での空襲や原爆投下が、それまで日本のしてきたことに対しての“当然の報い”だと思っている(教育されている)アメリカ人は、信じられない程沢山います。何度も書きますが、そりゃぁ、日本だっていっぱい悪いコトしました。沢山ヒトも殺しました。だからって、アメリカ人が犯した大量虐殺まで正当化されてしまってもいいモノなのでしょうか?戦争は勝ってしまえば全てが善???これこそチャップリンが「殺人狂時代」の最後で言っていた「ヒト一人殺せば犯罪者だけれど、大量にヒトを殺せば英雄になれる」というセリフそのものですよね。

私は、架空の宇宙人やモンスターと戦う映画も含め、全ての“戦争映画”に反対します。戦争・アクション・バイオレンスは、映画だけでなく、TV、ゲーム、全てのメディアで、“金になる”。“闘争本能”というのは、人間の本性なのだから、それをとやかく言っても仕様がない、そんな考えはナイーブ過ぎるというヒトが沢山いるコトも知ってます。戦争というモノが、いつまで経ってもこの世からなくならないことも現実。
でも、私の言っているのは、痛くて汚くて地獄の様な戦争の現実を、キレイなオブラートでコーティングし、痛くもかゆくもない様な楽しいモノに見せようとする連中が許せない(そういう奴等に限って、自分は前線に参加しないで戦争特需で大儲けをしている)、というコトなのです。
ビレッジ・ボイスの記事にも書かれていた様に、この映画の裏の仕掛け人には米軍の影があり、彼等は、「トップ・ガン」が公開された時の様に、入隊希望者が増えることを願っています。冷戦の終わってしまった今、彼等の愛国心を駆り立てる“仮想敵国”と言えば、宇宙人か、ナチの残党か、人種の違うイエロー・モンキーしかいないのですから…。

*Racial Trick *

「プライベート・ライアン」と「パール・ハーバー」には、映画作品の出来としては雲泥の違いがあるにせよ、私にとってはある二つの共通点があり、どちらも嫌いな映画ということになっています。
一つは、「プレイベート・ライアン」がやはり“敵=ドイツ人”が死ぬと嬉しくなる様な設定に作られているコト。トム=ハンクス率いる1個中隊の中で一番意気地のない弱虫の兵士がドイツ兵を打った時、映画館中には拍手と歓声が沸き起こりました。コレって、日本軍の飛行機が1機落とされるごとに歓声の起こる「パール・ハーバー」と、本質的には同じ構造なんですよね。

そしてもう一つは、「人種設定のトリック」。実は両映画共、主要キャラクターはRyanそしてMcCawleyという、苗字を聞いただけで分かる“アイリッシュ・スコテッシュ系”のキャラクターなのです。これって、深層心理の所でけっこうウマイ具合に、アメリカ人の観客にアピールしているのですよね。
アイリッシュ・スコティッシュ系の移民というのは、勿論白人ではあるのですが、彼等は、WASP(White Anglo-Saxon Protestant=一級白人)とは一線を引かれた“二級白人”の部類に入ります。けれど、彼等が同じ二級白人でやはりカソリックのイタリア移民と一線を画すのは、三世・四世となった彼等の職業。どうしてもマフィアやレストラン業など“自己中心的な職業”のイメージが付きまとうイタリア系移民に対し、警察官や消防官という“地域の為”的な職業に付いているアイリッシュ&スコティッシュ系の移民達(警察官に関しては、黒人やラティーノの比率も高いですが、消防官に関してはアイリッシュ人口が圧倒的に多いです)。つまり彼等は、アメリカン・コミュニティの“Unity”を、いろいろな意味で象徴しているのです

「プライベート・ライアン」のテーマが、そのタイトルとは正反対に“Public”をテーマにしているのは、明らかなコト。つまりそこには1個小隊を犠牲にしてまで助けなければならないRyan家(先述した様に、Ryanは、ティピカルなアイリッシュ・スコティッシュ系の苗字)の息子がいるわけですが、もし彼が黒人兵だったらどうでしょう?アジア人では?はたまたユダヤ人だったら?そしてやっぱりWASPの息子でもダメなわけです。つまり”Saving Private Gwangwa”でもなく、”Private Chang”でもなく”Private Goldberg”でもなく”Private Smith”でもなく”Saving Private Ryan”。だから観客が納得出来るというワケなのですね〜。
そのトリックは「パール・ハーバー」の主役であるRafeの苗字がMcCawleyという所にも集約されています(ちなみに普通のスペルはMcCauleyと書くのが多いのですが、なぜかこの場合は一風変わったスペルになっています。でもMcが付いただけで彼がアイリッシュ・スコティッシュ系の移民であることは明らか)。いわゆるWASP系の白人ではなく、ちょっと貧乏くさいアイリッシュ・スコティッシュ系であるからこそ、彼の活躍も、全ての観客に対して手離しで誰にでも喜ばれるというモノ。こうした「人種的トリック」を使っている映画は、この二作品に限らず、非常に多いです。

けれど、こうした“二級白人”を前面に出して、ハリウッド映画好きの黒人・ラティーノ達からお金を儲けているのは…そう、何を隠そうハリウッドのユダヤ人&資本を動かすWASP達なんですよね。そしてまた、「プライベート・ライアン」や「パール・ハーバー」の場合は、同じ構造で米軍のプロモーションまでが絡んでくるワケですから、つくづくこの「アメリカ人種統合の幻影」ってヤツは、都合よく出来ておりますデス。
ってなワケで、この「パール・ハーバー」の駆り立てる“愛国心”というのは、単に“日本vs.アメリカ”という構造だけで見ていては、片手落ち。国内の人種構造の矛盾も、うま〜いことオブラートで包み込んでしまおうとしているワケですね。やっぱり私にとって、この映画の一番ムカツク所は、この“アメリカの甘い幻影”なのではないかと思います。ありもしない虚飾の夢、しかも汚い現実を隠す為の嘘で、金儲けしないで欲しいなぁっと。

え〜、たかだか映画1本の感想なのに、異常な激長になってしまいました(フォント10.5で15ページも(^_^;)。取り合えず、ここで一旦終わりにすることにしますが、この先折りをみて、「パール・ハーバー」に関連する3本のアメリカ映画「地上(ここ)より永遠に」「トラ!トラ!トラ!」「東京上空30秒」を観て、追加の意見があれば、また少し書き足そうと思っています。やり始めたばかりの“日米「パール・ハーバー」記事意訳プロジェクト”(?)も、ぼちぼち進めて行きたいと思いますので、まだまだこの映画に対するアレコレは暫く続きそうな感じです。それでは〜。

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