*** Just Watched 10 - 最近観た映画 10 ***

評価の最高数は5つ星です。

"The Center of the World" - ***3/4
"The Widow of Saint-Pierre" - 「サンピエールの生命」 ***3/4
"e-dreams" - ***1/2
"Memento" - 「メメント」 ****

"The Center of the World"
「赤い部屋の恋人」 - ***3/4

05/06/01 (Last Updated 05/08/01 - 日本語は下を見て下さい)

Written and Directed by : Wayne Wong
Starring : Peter Sarsgaard, Molly Parker, etc
Official Site :Artsian Entertainment(No one under 18 years old are allowed / 18禁サイトです)

Since I've seen all of Wayne Wang's films except "Slam Dancing", and as a fan of "Smoke" and "Blue in the Face", which are also collaborations with Paul Auster, I couldn't miss this film, although I read some bitter reviews of it at NYT and Village Voice.

In a pitch, this is "an early 21 century version of Pretty Woman", whose idea I loved. You see so many similar things from "Pretty Woman" in this film such as 1) The guy is buying her time with money, 2) The girl, who has red hair, is not a beautiful kind but still attractive. 3) She makes some rules like no kisses on the mouth, etc...
The guy is more romantic, and the girl is more realistic (at least she is pretending that way), which is, I think, very modern. The guy can stay in the cyber fantasy world and still be able to make money. However, the girl has to sell herself for her dream and tomorrow's bread (this part is the same as Pretty Woman in the 80's, though).
Up to the point of the end, the relationship between Richard, Florence, and her friend were pretty realistic, at least for me. However, the end was...

Another reasons why I went to see this film was to see Peter Sarsgaard, who I'm kind of crush on recently. But he was too cute for that kind of computer nerd. And I didn't think Molly Parker was perfect for Florence, either, although she did pretty good job.
As you see their official site, I bet most of people expect this film as a kind of porno, however, this is such a serious film presenting the cyber world generations, who doesn't know how to give his / her self to someone else. I liked that part, but meanwhile, I wanted to see the director plays visually as much as possible he could.
Anyway, it will definitely be rated a R-18 in Japan. Somehow, R-18 films are much popular than non R-18 films recently there. I'm very curious to see how Japanese people see this film.

今年度カンヌ映画祭特別上映のこの映画、NTタイムスやビレッジ・ボイスでは、いまイチの評でした。…にも関わらず、私がわざわざこの映画を劇場まで観にいった理由は4つ。

1つは、この作品が私が10年来注目し続けている、ウェイ=ウオンの最新作であること。デビュー作「Chung is Missing」以来、「Dim Sum」「Slam Dancing(これだけが唯一の未見作品。けっこう評判が悪いので)」「Eat Bowel of Tea(邦題:夜明けのスローボート)」「Joy Luck Club」「Smoke」「Blue in the Face」「Chinese Box」「Anywhere But Here(邦題:此処よりどこかで)」と、取り合えず全作品をチェックしてきた私なので、やっぱりこの映画もハズせないですよね。

2つ目は、この作品の制作会社が、私の恩師であるIra DeutchmanのRedeemable Featuresであること。この会社は、この作品と同じくポール=オースターが原案し、そして自身が監督も務めた「Lulu on the Bridge(主演:ハーベイ=カイテル&ミラ=ソルヴィーノ)」や、「54」「Janis」「Kiss Me Guido」「Way Past Cool」等、小粒ながら批評家からは評判の高いインディー映画を制作。この映画でIraは、Executive Producerを務めています。

3つ目は、ただ今赤丸急上昇Peter Sarsgaardが主演であるということ(これが一番大きかったりして(^_^;)
彼は、「デッドマン・ウォーキング」「二つの仮面を持つ男(だったかな?ディカプリオ主演の)」等、端役ではこれまでにもいろいろな映画に出ていたらしいのですが、一躍注目を浴びたのが一昨年の「ボーイズ・ドント・クライ」。そのベイビー・フェイスに似合わぬ残忍な悪役を演じて、ものすごく強い印象を残しました。
実を言うと私は今、少なくとも3人、彼の大大ファンを知っています(しかも全員映画オタク)。前回「ボーイズ…」ではあまり大きな話題に上らなかった彼ですが(ヒラリー=スワンクの印象が強すぎたので)、今回は皆映画観る前から彼の話ばっかり。「えっ、あなたも好きだったの?」「やっぱり?やっぱり?」みたいな。コレって典型的な人気急上昇(ハリウッド・ビッグスターとかにはならないと思うけど)のパターン。実際彼は、今年だけで他にも「K-19(主演:ハリソン=フォード、リアム=ニーソン)」や「Empire(共演:イザベラ=ロッセリーニ、デニス=リチャード)」「Unconditional Love(共演:キャシー=ベイツ、ルパート=エベレット)」「The Salton Sea(共演:バル=キルマー)」などの公開作品が目白押し、これからの彼に是非ご注目下さい。

そして最後の4つ目は、この映画がいわゆるネット恋愛にちょろっと絡んだストーリーであること。あ、ちなみに私にはネット恋愛の経験はありません。HPにハマっているから、絶対あるでしょ〜とよく言われるけれど、ないんですよね、コレが。実はもう6年も前になる1995年、私「Romance On-Line」という短編映画を監督したことがありまして(脚本は私ではなかったのですが)、それ以来、ネット恋愛をどの様に映像化するかには並々ならぬ興味があるのです。「ユーガッタ・メール」は、いいかげんにしろよ〜っって感じだったけど、この映画ではどんな風に映像化してくれるかな〜ってちょっと期待してました。でも、殆ど出てこなかった(^_^;)。冒頭のタイトルクレジットはそれなりに面白く作ってありましたが、基本的なアイデアは、私が6年前にやってたのと同じじゃんとちょっぴりがっかりしてしまいました。

さてさて、やっと内容的なお話へ(^_^;)。このお話は、コンピュターおたくで、金だけはたんまり持っているリチャードが、ストリッパーのフローレンスに、お金を払うから週末の3日間ベガスで自分と一緒に過ごして欲しいと懇願する、いわば21世紀初頭バージョンの「プリティ・ウーマン」。ヒロインの時間がお金で買われていること、ヒロインが赤毛で基本的にはさしたる美人ではないこと、口同士のキスはしない等のルールがあることなどなど、わざとなの???と思うくらい、このお話と「プリティ・ウーマン」は似通っている部分が沢山あるのです。
けどやっぱり時代ってありますよね〜。私にとってはやっぱり「プリティ・ウーマン」なんかより、こっちの映画の方がずっとリアリティがあるし、この2人がすんごく等身大に見えました。例えばフローレンスの賢くておカタくて、妙に覚めてるフリしている所なんかね(私の周りの女のコはこんなのばっかし ^_^;)。1980年代は、アーパーで(?)かわいいだけが取り得のジュリア=ロバーツでも良かったけど(彼女だって今は賢い女を演じてる!)、21世紀はそうはいきませんのです。

変わって、男の方のヤサ男ぶりも、リチャード=ギアとは全然違う。「プリティ・ウーマン」でセックスというのは、もう何もモンダイないものだったけど(いつもエッチシーンになると、場面が変わってしまう ^_^;)、21世紀バージョンでは、そのセクシャル・ファンタジーが壊れた後、じゃぁそれではセックスって本当に心の繋がりなのか何なのか…って感じで。
女は、自分の意地ぎりぎり一杯の所で“セックスは金であり、それが現実”と主張し、男はそんなはずはない、そうであって欲しくないとのたうちまわる。コレってすんごく現代的だなぁ〜って、見ていて思ってしまいました。
そう、この映画ってオフィシャル・サイトを観て頂ければお分かりの通り、過激なセックス描写が頻発するポルノまがいの映画みたいのがウリになっている様ですが、実はもの凄くマジメで、現代のネット世代をある意味鋭く切り取っている映画なんですよね。二人共ぎりぎりの所までホンネは出さない、というか出し方が分からない。出したら出したで、その後どうしていいのか分からない…。そういった見方をすると、いろいろ考えるコトも多々ある意味深な映画なのではないかなぁと思います。

ただね〜、映画そのものの印象としては、もっとビジュアル的にも凝ってくれるのかと思っていたし、ラストのオチも「は?」って感じだった。Peter Sarsgaardも、演技が悪いというわけじゃなくて、と〜ってもキュ〜〜〜トなんだけど、やっぱりあの役にはベイビー=フェイス過ぎたしなぁ…。久々のウエイ=ウォン&ポール=オースターのコンビだとゆ〜のに、「Smoke」みたいな部分は中盤、フローレンスが自分の前職について語るトコだけだったし…。
う〜ん、この映画、おそらくアメリカではコケるのではないかと思いますが、さてさて日本ではどうなるんでしょうね〜。

"The Widow of Saint-Pierre"
「サンピエールの生命」 - ***3/4

04/28/01 (Last Updated 05/08/01)

Written and Directed by : Patrice Leconte
Starring : Juliette Binoche, Daniel Auteuil, Emir Kusturica
Official Site :
English, French

As a big fan of “Girl on the Bridge”, I expected so much for this another “Innocent Fermme Fatal Platonic Love Movie”. But… Yes, it was innocent and platonic but not as erotic (or stimulate) as “Girl…” at all!!!
Yes, Juliette Binoche was perfect as the fermme fatal and Daniel Auteuil was almost perfect as the noble “Yes-Yes Captain”. However, the total winner in this for me was Emir Kusturica! I was so impressed that his French was so good (how many languages can he speak?). And his charismatic character saved the whole plain movie.
But the end… I needed more! More! More! Can’t I expect that? Is it because it’s a French movie???
Anyway, I am so looking forward to seeing E Kusturica’s next performance at his second film as much as seeing his next directing film~~~.

前作「橋の上の娘」で、すっかりお気に入り監督の一人となったパトリス=ルコント監督(恥ずかしながら「髪結いの亭主」はまだ未見)99年度の作品(日本では昨秋公開済)。彼も今やすっかりフランスを代表する監督の一人なのですね。
私にとって、この作品を観たかった理由は全部で3つ。”監督がパトリス=ルコントである”という以外、「存在の耐えられない軽さ」以来のファンである”ジュリエット=ビノッシュ主演である”ということ、そして”愛しの(?)エミール=クストリッツァ初出演作品”というのもありました(これが一番大きかったと思う)。

このお話は、離れ小島サンピエール島に流れついた漁師ニール(クストリッツァ)が、酒に酔った勢いで人を殺やめ、ギロチン刑を言い渡されたものの、本国からギロチンが届くまでの間、キャプテン(ダニエル・オ−トゥイユ)とその妻(ジュリエット=ビノッシュ)に仕えることになって…。という割と単純明快なストーリー。
前回、「橋の上の娘」でたっぷり見せてくれた”プラトニックなエロチズム”を、今回ルコント監督がどこまで見せてくれるのかが、一番の期待だったのですが、個人的には…けっこう期待外れでした(T_T)。 見せ場少なすぎ。これはもう一度観てみないと分からないかもしれないけれど、けっこう無駄なシーンが多かった様に感じたのは私だけでしょうか…。それにしても、全体のトーンがかなりおとなしかった様な(ラストシーンの海ショットは異様に浮いてましたけど(^_^;)。こちらでの批評家評は、凄く悪いって程でもなかったけど、ルコント監督にしてはあまり誉められてないかな〜って感じでした。

ジュリエット=ビノッシュは、いつものごとく「ファムファタル(運命の女性)」としては、ハマり役。でも、相変わらずラブシーンは下手だなぁ〜(いいかげんに馴れて欲しい…^_^;)。特にラストシーンは、もうちょっと気合いを入れた演技が観たかったです。もしかしてこの作品、けっこう手を抜いてた???
ダニエル=オトウーュは、まぁまぁいい味出していたにも関わらず、ジュリエット=ビノッシュと全然合ってない〜〜〜。ホントはもっともっと味わい深い役柄のはずなのに、残念ながら、今回はただの「かっこいいオッサン」でありました。

そして、俳優としてはこの映画がデビュー作となるエミール=クストリッツア。良かったぁぁぁぁぁっ。まず最初に、彼は一体何か国語話せるんですか???ご存じの通り、彼はサラエボ(ユーゴ)の出身なのですが、かつてコロンビア大学映画科で教鞭を取っていたこともあるくらい(彼の作品「アリゾナ・ドリーム」は、生徒が授業で書いた脚本を彼が映画化したもの)英語には長けているし、今回あんまりフランス語の台詞ないのかな、と思っていたらいっぱい喋っているじゃないですか〜。もうびっくり(ただし、田舎者という設定なので、おそらくけっこう訛りが入っていたと思います。この辺私には全然分からないのですが)。
主人公3人の中で一番光っていたのは、やはりニールでしょう。設定的にはかなり無理がある(特に彼を無理やりヒーローにしようとしているあたり)のに、それが何とか映画の中で生かされていたのは、他でもなく彼のそのカリスマ性のお陰だと思います。いったいど〜したら、あんな泥にまみれてゴツゴツのオッサンが魅力的に見えるというのでせうか???ヒトの魅力というのは不思議なモノですね〜、ホント。彼の朴訥で、荒々しくて、ぶっきらぼうな魅力がよ〜〜〜く出ておりました。このキャステング考え付いた人スゴイ!!!
ただし、やはりここでもジュリエット=ビノッシュとの相性がいまイチだった様な気がしてちょっと残念。左上の写真シーン、おそらく二人の関係のハイライトシーンでもあったのですが、いま一つ、何かが足りなかった!!!二人とも、一人一人としてはとっても良い演技をしていたのですけどね。う〜〜〜ん、残念。
余談ですが、ギロチンの執行人を押し付けられる新移民を演じた俳優さんは良かった。彼の周りだけ何となく、ちゃ〜んと19世紀の香りが漂っていましたね。

ま、ラストについてはネタバレになってしまうので、こちらのネタバレページの方に書きました。
クストリッツア監督については、一時期引退宣言もあったものの「黒猫・白猫」で見事にカムバックしてくれたので、これからの監督業の方にも大いに期待しています。でも、役者業の方にもますます期待だなぁっ。つくづく才能のある人っていうのは、マルチなタレントを持っているモンなのですね〜〜〜。

"e-dreams" - ***1/2

04/28/01 (Sorry, the English version will come soon)

Written and Directed by : WonSuk Chin
Starring : Joseph Park, Yong Kang, etc
Official Site :
www.edreamsmovie.com

長編デビュー作「Too Tired To Die (邦題:ニューヨーク・ディドリーム)」で、いきなり主人公に金城武とミラ=ソルビーノを起用、1998年のサンダンス映画祭で話題を呼んだウォンソク=キム監督の長編第2作目、そして初のドキュメンタリー作品。 この作品は、昨夜IFP(Independent Feature Project)と、リンカーン・センター・フィルム・ソサエティ(ニューヨーク映画祭ニューディレクターズ・ニューフィルム映画祭の主催団体)が主催するインディペンデント・ナイトでワールド・プレミアとして特別上映されました。

主人公は、「Kozmo.com」という24時間ネット・デリバリー会社(ネットでオーダーすれば、1時間以内に頼んだモノがデリバリーされるというサービス)を立ち上げた当時若干26歳のJoseph Pakを中心とした、e-ビジネスの興亡記。
1998年末、たった10人で起こしたKosmo.comは、わずか1年と数ヶ月で雇用者4000人の企業に急成長。CNN、ウォール・ストリート・ジャーナル等でこぞって取り上げられ、世界のビジネス・アナリストが注目。2000年2月には、あのスターバックスと200億円近いディールを交わして(スターバックスが、e企業と手を組んだのはKozmo.comが初めて)、一般の人達からも一躍注目を集めました。そ〜いえば、ウチのルームメイトもオーダーしてたもんね(^_^;)。
え〜、右上の写真、左がスターバックスCEOのハワード=シュルツ氏、そしてそしてその右に立っているのが、そう噂のジョゼフ=パク氏なのです。ベイビー・フェイスでしょう???実は昨日、試写会&レセプションに本人も姿を見せていて、実際の彼にも会ったのですが、ホント中学生みたいだ〜〜。こんな彼が、何百億、何千億ものお金を動かしていたんですね〜。スゴイ。ちなみに両親は、ペンシルバニアでクリーニング店を経営しているのだとか。どうです?典型的なアメリカン・ドリームでしょう???

映画は出だしからテンポ良く、短いカットのつなぎでこの若い会社のビビッドな雰囲気を伝えていきます。会社のトップからデリバリーの従業員まで、人種もアジア人から白人、黒人、スパニッシュとあらゆるタイプの人達が登場。これだけでも見ていて十分面白い。それにしても、ジョゼフ氏のベビー・フェイスが彼のやっている事とどうもミスマッチしてしまってその辺がまた面白いんです。「I don't really care where I work. All I need is a laptop with an Internet connection and my cell phone and I'm ready to conquer the world.(どこで働こうと気にしない。ラップトップ、ネットの接続、そして携帯さえあれば、世界を征服する準備は出来ている)」こんな台詞をビル=ゲイツが言ったら、ただのコンピュター・オタクの嫌味な台詞にしか聞こえないけれど、彼が言うからいいんですよね〜。
このドキュメンタリーは、99年半ばから2000年半ばにかけて撮影されているのですが、チャプターが進むごとに、倉庫で寝泊りしていた社長が、相部屋のオフィスに移り、段々と大きなオフィスに移っていくんですよね。その辺がポンポンと弾む様に移り変わっていって面白かった。
そしてまぁ、CNNからウォール・ストリート・ジャーナルまで、ひっきりなしに応酬される取材攻勢の数々。彼はナント一人のアシスタントも付けていなかったので、全部一人で応対してるんですよ。何かある度にコメント求められるから、一々かまっていたらキリがないんですけどね。

そして…。皆さんもご存知の通り、アメリカのネット・バブル崩壊…。ここからはもう、ジェットコースターの様な落ち方です。コレまた登り以上に早いモンで、去年は大盛況だたeToysやPet.com等が次々倒産に追い込まれて行きます。
Kozmo.comも結局は建て直しが出来ないまま、2週間前の2001年4月12日をもって倒産。撮影が終わったのが去年の暮れだったので、倒産の兆しはすでに現れていたものの、この映画を観に来ていた元社員の人達にとっては、ちょっとツライ時期の試写会であったかもしれません。う〜〜〜ん、人生ってホントに分からないものなのですね。

映画全体の印象でいうと、後半ちょっと間延びしてたかな。前半は凄く良かったんですけどね。お話がスローになる分、やっぱり後半はもっとテンポに気を使うべきだったんじゃないかと思います。音楽で救われている部分、随分ありましたけどね(^_^;)。
ともあれ、偶然とは言え、e-ビジネスの存在意義やこれからが問われているこの時期、この映画の完成はとてもラッキーでしたね。この「e-dreams」、これからシアトル国際映画祭を初め、各国での映画祭上映が予定されています。日本でもKozmo.comについては、随分マスコミが取り上げたそうですから、何かの折りに紹介されるかもしれません。監督が知人なのでちょっとヨイショして書いてしまいましたが、この映画、間違いなく21世紀が始まったばかりのアメリカの歴史証言的作品として、後世の人々にも語り継がれることでしょう。

"Memento"
「メメント」 - ****

04/22/01 (Sorry, the English version will come soon)

Written and Directed by : Christopher Nolan
Starring : Guy Pearce, Carrie-Ann Moss, etc
Official Site :
otnemen

ヒトの記憶が曖昧だということは、耳にタコが出来るくらい言い古されて来た事。それを最近身に染みて感じる様になってきたというのは、やっぱり私もトシだということなのでしょうか(^_^;)?私って、ある年齢までは他の人より断然記憶力良かったんですけどね〜(^_^;)(^_^;)(^_^;)
例えば、断片的に何かを覚えていても、その場面がなぜどういった経緯でその場面に至っているのかが思い出せない。至福の喜びを味わっている瞬間、忘れられない幾つかの瞬間、好きな人とケンカした事、別れてしまうことになった事、もしかしたら相手の方は覚えているのかもしれないけれど、私には思い出せない。例えば、あの瞬間に至る5分前にもう一度戻ることが出来たら、それによってもしかすると衝撃の事実が見つかってしまうのかもしれない。あの時には分からなかった事でも、今ならその小さな事の意味が見えて来たりなんかしてね。

この数ヶ月間で、いわゆる”Rewind Script”と呼ばれる脚本/戯曲の映画/お芝居を立て続けに3本観ました。1本目がハロルド=ピンターによる戯曲「Betrayal」。2本目は韓国映画の「ペパーミント・キャンデイ」、そして3本目が今年のサンダンス映画祭で、最優秀脚本賞を獲得したこの「Memento」。3作品とも、お話は現在から始まり、話がどんどん遡っていって、時制は過去のままで終わります(ラストシーンで現在に戻らない所が、回想シーンから始まってまた冒頭の現在のシーンで終わるという、いわゆる“ノン・リニア・ストーリー”との大きな違いです)。実際の時間軸とストーリーの中での順番を入れ替えるという試みは、「パルプ・フィクション」を始め、すでにいろいろな映画で使われてきた手法ですが、一方向にひたすら戻るという作品は極めて珍しいタイプなのではないかと思います。
こうして3作品を立て続けに観続けて観て来て、それぞれ違うなと思う所は、「Betrayal」が、主人公の心理部分や人々のホンネとタテマエの部分で遊んでいる作品であるのに対し、「ペパーミント・キャンディ」は、一人の人間の人生や本質的部分について、コレでもか、コレでもかというくらい問いかけを繰り返している。そして、「Memento」は、こういった時間の逆戻り現象を、シュチュエーション的に純粋に楽しんで遊んでいます。ある意味一番スマートでクレバーで面白い作品ということも出来ますね(好みの問題は別として)。

ただ、この3作品に共通して言えるのは、それぞれの主人公達(=作品のクリエーター達)が「もう一度過去に戻って、人生を一からやり直したい」と思っているのでは決してないということ。この人生はもうすでにこう進んでしまって(運命論者というのとも違いますが)、それを悔やむつもりは全くないのだけれど、“あの時分からなかった事が、今の自分には分かる”から、それを解き明かしてみたい…、そんな衝動って、皆さんにもふいにあったりなんかしませんか???
これは人間の記憶に対する解釈にも繋がってくるのかもしれないけれど、この世には“真実”なんてものも存在しない。“事実”の解釈だって100通りもある。だから、たった一つの出来事が、それこそ重層的な意味を持って来ることを“結果”から前倒しにして見ていくという手法で解き明かしていく…。これは何も、“違う人間が、同じ事象について見る”という場合だけではないのですよ。“同じ人間が、ある一つの同じ事象について見る”、それですら、その人間がどんな人生のステージに立っているかによって全く違ったものになってくる。この3作品は、そういった人生のトリックを私達に見せてくれる所が、私はとても気に入っています。

お〜、またしても話の紹介が後回しになってしまいましたね(^_^;)。このお話は、妻をレイプして殺したという男に復讐を誓い、その犯人を追いかけるレニー(ガイ=ピアーズ)の物語。ところが、彼は数分以上の記憶を維持することが出来ないという特殊な脳の欠陥症(?)に悩まされており、頼みの綱は自分で撮ったポラロイドとそこに書き残したメモ。大事な事項は身体へ刺青を入れて、しっかりと忘れない様にしています。
当然のごとくラストには、それなりのトリックが用意されているのですが、その部分に関しては途中でというか、けっこう最初から多分そうなんだろうなぁ〜と思っていた結末だったので、もう一捻り欲しかった!!!ただし、決め手になるある一つのライン(一文)が、そういうことだったのか〜。と、これは予想外の結果だったので、その部分については、以上の様にいろいろと考えさせられてしまったというワケです。

ガイ=ピアーズは、私の超お気に入り映画「LAコンフィデンシャル」を一回目に観た時、実はラッセル=クロウ以上に好印象があったのですが、その後段々と興味が失せてきていたんですよね。まぁ、今回もうまかったけど、やっぱりあの「LA…」を一回目に観た時の新鮮さには勝てないかも鴨。
キャリー=アン=モスについては、今回の役、実は身近にああいったタイプの知人がおりまして、何だか妙に彼女の印象が重なってしまった為に、純粋にキャラクターとか演技という視点で見れなかったな(^_^;)。でも、「マトリックス」の時よりはずっと好きでした。

監督のクリストファー=ノーランは、イギリス生まれのイギリス育ち。ロンドン大学在学中は映研で短編映画の制作をしていたという根っからの映画オタク(^_^;)。デビュー作の「Following」は、一昨年のニューディレクターズ・ニューフィルムズ映画祭でプレミア上映されています。私はその時は観なかったのですが、当時観た友達の話によると、やはり似た様なお話だったみたいです。「Memento」は、実弟の書いた短編が基になっている様ですが、次回作の「Insomnia(アル=パチーノ&ヒラリー=スワンク主演)」は、何でもノルウェー映画のリメイクだそうで、何かまた似た様な題材っぽい…。
何はともあれこの映画、日本での公開は今秋10月からの予定。映画オタクの間ではけっこう流行るんじゃないかな〜っと思っている私です。取り合えず、頭はすっきりさせてから映画館に足を運びませう。でないと、主人公のレニーみたいに頭が混乱しちゃいますよ〜〜〜(^_^;)。

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