*** Exhibitions 2000 ***
展示会いろいろ 2000年

<< My 10 Best Exhibitions at MET in Year 2000 >>
mookの選ぶ 2000年 メトロポリタン美術館特別展 ベスト10

03/14/01

唐突ですが、2年ほど前からメトロポリタン美術館(通称メット)の会員になりました。というのも、メットは常設展だけでも全部見るのに1か月以上は軽くかかってしまうから(実際私、メットにはかれこれ20〜30回足を運んでいますが、まだ全然隅々まで見切れていません)。常設展でもよく見ると数ヵ月ごとに作品が少しずつ入れ替わっているし、この2〜3年だけでも、展示スペースが異常増殖しているのですね(^_^;)。

というわけで、常設展のお気に入りについては「NYの部屋」のコーナーに譲るとして、突発的に(いま頃)昨年観た特別展のベスト10を作ってみました。少なくとも月に一度は足を運んでいるので、見逃している展示は殆どないと思います。でもまぁ、これは私の日記みたいなモノですね。各展示にリンクをつけてありますので、一部だけですが作品の方も覗いてみて下さいね。

1位"Master Piece of Japanese Art"June

縄文時代から、江戸後期まで多岐に渡る日本美術の代表作品を一同に展示。室町時代のわびさび美術(左右両対象でない壷)とか、最後にあったNagasawa Rosetsu(漢字分かりません)の”Family of Cranes”なんか特に好きでした。ちなみに去年は、ブルックリン美術館でも、安藤広重"「富岳百景」全コレクション"と、その浮世絵に影響を受けたゴッホら海外のアーティストの特別展が開かれていました。これもなかなか圧巻でしたよ。

2位"John Singer Sargent - Beyond the Portrait Studio"Sep

アメリカ近代美術では一番のお気に入り、油絵の肖像家などで有名なジョン=シンガー=サージェントの水彩画やスケッチを中心とした展示。特に若くて無名だった頃のスケッチや、優しいタッチの水彩画が良かったです。

3位"Rock Style"March

ビートルズからスパイスガールまで、60年代以降のロックスター達の衣装を盛大に展示。いや〜、これも若い人達の行列が出来て激混みでしたが、十分に見応えがありました。

4位"Art & Empire City - New York"Dec

ニューヨークのおよそ100〜150年前の世界を、絵画・彫刻・家具・衣装・装飾品などのさまざまなアートで見せた企画。NY万博の為に建設された今はなきクリスタル・シティという建物の絵や、100年前のマンハッタン地図などがハイライト。ちなみに今住んでいるアパートも見つけました。100年前からあったんですね〜。どうりで、ボロいわけだ(^_^;)。

5位"Walker Evans"May

この展示会を見るまで私には殆ど馴染みのなかった、やはりアメリカを代表する写真家、ウォーカー=エバンス。何の変哲もない労働者達のポートレートや、淋しいげなゴーストタウンの表情がいい。あと、後期に撮ったポラロイドのスナップも面白かったです。

6位"Portraits by Ingres"Jan

ナポレオンの肖像画を書いたことで有名なアングルの肖像画を中心にした特別展。私は人物画を練習中なので、やはり彼のデッサン画やスケッチを見る機会があったのは嬉しかった。また、全体のバランスをよくする為、わざと実際の割合とは違った様に描かれた絵や、肖像部分は全く同じなのに背景だけ違って描かれた絵など、展示のアイデアもGOOD。

7位"Paris Painters"Oct

100年前、パリに集まっていた画家達の絵を集めた特別展。ピカソ、マチス、ブラック、ボナード、キリコ、モネ等、日本人に人気の画家が多かったものの、私にとっては普段の常設展示をちょっと並べ変えてみただけのモノだったので、感動はちょっち薄かったです。

8位"The Year One"Dec

展示物はいまイチだったけど、企画としてはコレが一番面白かった様な。紀元1年、つまり今から2000年前のモノから同世紀のモノばかりを集めた特別展。さすがにローマ・エジプト強し。中国のモノも沢山あったけど、日本の巨大銅鐸もちゃんと展示されていましたよ。

9位"American Folk Art"

25周年記念を迎えて、ますます増殖中のアメリカン・ウィング。アメリカにも近代美術の黄金時代というモノがあったのかぁ、と思わせてくれるなかなか濃い展示会でした。地下にあった水彩画が凄〜〜〜く好きだったんだけど、当時のメモが見つからなくて名前が思い出せな〜〜い(^_^;)。

10位"Carleton Watkins"

風景写真で有名な、これまた私には馴染みの薄かったCarletonWatkinsの写真展。3Dの巨大写真が印象的。

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<< My 5 Best Exhibitions (not in MET) in Year 2000 >>
mookの選ぶ アートショー2000 ベスト5 

1位"Sensation"

牛の糞まみれのマリア像、ホルマリン漬けの動物をスライスにして見せたもの、自分の血を固めて作った彫刻、男性器のついた少女マネキン等、とにかくコントラバーシャルで大騒ぎの展示会でしたが、センセーショナルな作品ばかりでなく、落ち着いて気の利いた作品もけっこう沢山ありました。

2位"2000 Biennial Exhibition”(このページの下の方にあります)

2年に一度行われるホイットニー恒例の新しいアーティストを紹介する特別展。やはりメモが見つからないので、アーティストの名前は分かりませんが、最上階に展示されていた巨大サイズのオブジェ群が圧巻でした。

3位 “Nam June Paik"

ナント60年代にビデオアートを制作していた(当時日本でビデオを持っていた人が何人いたというのでしょうか?)韓国の先駆的ニューメディア・アーティスト、ナム=ジュン=パイクの特別展。今観ても新しいものが沢山あって、とても新鮮でした。

4位"Greater New York at P.S. 1"

クイーンズにあるP.S.1が初めてMOMAと提携して開いた、新人アーティスト発掘大特別展。100人以上のアーティストの作品が並び、これも1日かかって観てヘトヘトっていうくらい見応えのあるショーでした。

5位"The Butterfly Conservatory "May

アメリカ自然史博物館の中に特設の温室がもうけられ、その中に離されている何百種類・何千頭の蝶を見るというモノ。運が良ければ、一箇所に集められたサナギ群の一つが蝶に羽化する瞬間が見られますよ。5月までオープン。

<< End of the Century / Millennium Exhibitions at MOMA & Whitney  >>
MOMAとホイットニーの大世紀末展

03/14/01

1999年の終わりから2001年の頭にかけ、NYではさまざまな世紀末にまつわる特別展が催されました。その中でも特に大きかったのが、ホィットニー美術館の"The American Century"と近代美術館(以下MOMA)の"MOMA2000"シリーズ。

ホイットニー美術館「The American…」の方は、20世紀を1900〜1950年と1951〜2000年の2回に分け、あらゆるジャンルのアメリカン・アートを紹介。
1950年までの第1部では、日本でもお馴染みのエドワード=ホッパー、ジャスパー=ジョーンズ、ジョージア=オキーフ、ジャクソン=ポラック、ジョン=シンガー=サージェント等、かなりの総数の絵画から、二つの大戦を中心とした写真や動画などを展示し、言ってみればこれはアメリカのアートの歴史というより、アメリカの20世紀前半史そのものを見ているようで、なかなか見応えがありました(よく見ると、メットのアメリカン・ウィングから拝借してきた作品もけっこうあったんですけどね(^_^;)。

それが第2部になると、第1部からの期待が大きすぎたのか、知っているアーティストが少なすぎたからか、なぜか面白さが激減。お馴染みのウォーホルやバスキアの作品は殆どなかったし、私の苦手なアバンギャルド・ビデオアートが中心で、なんだかもうよく分かんなかったです〜(^_^;)。

ホイットニー美術館の"The American Century" は
このページの下の方にあります。

MOMAの方は、世界中から20世紀のアートをかき集めようというのですから、これは大変(ホイットニーが二部合わせて約6ヶ月間だったのに対し、MOMAの方は三部全部で17ヶ月間にもなりました)。まず第一部「Modern Starts」からして、「People」「Place」「Thing」という3部構成。
私的には、やっぱりこれが一番見応えがありました(私って、頭古いのかな?)。19世紀後半・印象派の名残りからなのか、作品はパリからのものが多く(そのうちの何作かを、後日メットの「Painters in Paris」で使い回ししていたのが泣ける)、そういった意味ではちょっと偏っていたセレクトだったかも鴨。でも、各部屋の展示の仕方がテーマ別になっていたので、けっこう飽きませんでしたね。

第二部「Making Choices」は、第二次大戦を挟む1920〜1960年のアート。TV・雑誌など、新しいメディアが次第に大衆の手に渡り始め、ポップカルチャーというものが誕生していく。同時に、装飾品・家具などのデザインがアートとして見直される様になっていくのが、この特別展からよく分かります。

最後の第三部「Open Ends」は、60年代から現代まで。ビデオやその他ニューメディアの作品が沢山あるのは勿論のこと、特に女性の作品が目立つ様になったのは、私にとって大きな発見でした。

MOMAの"MOMA2000" へは
第1部は1999年のところ、第2部は2000年のところ、
第3部は2001年のページにあります。

<< Bulgarian American Women Artists Exchange >>

12/04/00

November 2nd through 28th, 2000 (実はもうとっくに終わっているのですが。^_^;)
At Elizabeth Foundation for Arts, New York
Official Site:www.russianamericanculture.com

この展示会は、RACC(Russian American Cultural Center)が毎年行う、Eastern European Women Artists Collaborateというプロジェクトの一つとして開催されたモノで、ブルガリアととニューヨークに住む、それまで互いを全く知らなかったアーティスト同士7組14人が、共同作業によって一緒に作品を作って展示をするという前代見聞のユニークな企画です。

This exhibition was held by RACC(Russian American Cultural Center)as one of the annual projects of the Eastern European Women Artists Collaborate. Those collaboration works, which were created by 7 couples of artists from Bulgaria and New York who never knew each others before, was very unique.

RACCの設立者の一人であり、芸術学芸員でもあるDr. Regina Khidekelを始めとする、数人の審査員によって選ばれたブルガリアのトップアーティスト7人、そしてやはり応募者の中から彼等によって選ばれたニューヨーク在住7人のアーティスト。この計14人が、まず互いの国にいながらE-mail等で自分のパートナーと連絡を取り合い、お互いのアイデアを出し合いました。
そして10月中旬、RACCの招待アーティストとしてニューヨークにやって来た、ブルガリアのアーティストを、ニューヨーク側のアーティストが迎え、お互いの親交を深めながらおよそ3週間の時間をかけて1つの作品を作ったというのが大まかな経緯です。

First, Dr. Regina Khidekel, who is one the founders of RACC and also a curator, and other juries chose 7 top artists in Bulgaria. In the same way, they chose 7 artists in NY from those who applied to this project. Those artists had started contacting with their partners via e-mails and exchanged their ideas during the summer.
Then, those 7 artists from Bulgaria visited NY in the mid Oct, and the 7 NY artists accommodated them. For about three weeks, they had worked on their pieces together as they got to know each others.

私はニューヨーク側のアーティストと友達だったので、この展示会のオープニングにお邪魔し、彼女のパートナーとも話をしました。やはり一番大変だったのは言葉の問題みたいですね。 彼女、ブルガリアから来たとは思えない程かなり英語も喋るし、聞き取りの能力も随分あるようですが、作品のコンセプト等細かくて微妙な話になってくるとなかなかツラかったのかも。で、結局「偶然の産物」で出来た部分もかなりあった様ですが、これがまた大正解って感じでした。
展示作品の殆ど全部がいわゆる”コンセプト・アート”だったのですが、東欧革命から10年、まだまだ伝統的に作品への政治色が濃いブルガリアン・アーティストの作品と、どちらかといえばファッショナブル系のニューヨーク・アーティストの作風が面白い形でブレンドしていて、とても興味深かったです。

Because one of the NY artists is a friend of mine, I had a chance to visit the opening and met her partner there. In spite of her partners good English, they seemed to have had some troubles communicating each other while they were working. Thus, some parts of the piece might be accidentally created without their plan, but it seemed to work very well.
Most of the pieces were so called “Concept Arts”. Those pieces, which are created by Bulgarian artists who are still influenced by political issues after 10 years after the Eastern Europe revolution and the New York artists, who are more tended to fashionable things, were very interestingly blended.

今このページで写真をお見せできないのが非常に残念なのですが(もしかしたら友人の了解を得て、近々アップできるかもしれませんけれど)、例えば壁画と床に置くオブジェの組み合わせとか、ビデオアートとコスチュームの組み合わせとか、アイスアート(氷の溶けるしずくで形作るアート)とそのしずくが落ちる部分のコラージュだとか…。作品によっては、一人の人が作ったんじゃないかと思われる程互いの作品がマッチし合っているモノもありました。

Although I unfortunately cannot show those pieces on this page (but maybe in the future) , let me introduce some of the pieces. For example, there was a piece, which was the mixture of a wall painting and objects on the floor, a video art and a costume art, which appears in the documentary, or a piece which is an ice art (makes some patterns with drips from hanged ice) and a object on the floor, etc...
About some of the pieces, you cannot even tell it is made by two different artists, because both tastes match so perfectly.

このプロジェクト、今ブルガリアのアーティストがニューヨークのアーティスト達を自国に招待して展示会を開く計画を立てているそうです。これは当初、特に予定はされていなかったらしいのですが…。まぁ、それだけ彼等の交流が深まったということですよね。
この展示会で思ったこと二つ。ありきたりですが「アートは国境を越えるんだなぁ」ということ、そして「コラボレーション・アートは刺激的だ」ということ。殆どのアート作品が孤独な自分との闘いであるのに対し、このバックグラウンドが正反対なまでの二人の共同作業は、お互いをパートナーとして、あるいはライバルとして向かい合った、二つのスピリットのスパークが一つの作品として見事に結晶していたという感じです。

I heard that they started planning to have the same exhibition in Bulgaria next, which they weren't planed before the show. I think it means those artists got together very well.
I learned two things from this exhibition. One is "art can cross over borders", and the other one is "collaboration arts are very stimulating". Compare to the most of the arts, which are created by only one artists solitude works, those pieces, which are created by two different artists, whose backgrounds are almost opposite, you can see some spiritual sparks of the two artists, who collaborate as partners or sometimes confront with each other as rivals, in the piece.

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