*** Exhibitions 2001 ***
展示会いろいろ 2001年

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mookの選ぶ 2001年下半期 ベスト10

12/23/01

1位:"here is New York" & "September 11 Phto Project" @ SOHO - Dec

両者共、9月11日のテロ事件に関連した写真展。とにかくどちらも事件が起きてから1ヶ月も経たないうちに開催という行動力の素早さに脱帽。両者共、収益金は事件の被害者へ送られる様になっています。
テロ事件に関連した写真展と言えば、プロの写真家が撮影したものを中心に集めた展示会が、NY歴史博物館でも開催されていましたが、こちらの方は見逃してしまいました。この写真展を元にした写真集は、すでに書店で発売されています。

ちなみにこのホームページでもご紹介している私の写真は、"here is..."と"Sep11..."の両方の写真展に参加していますが(右のの写真は、私の撮影したモノ)、"Sep11..."の方は早くも写真集発売を決定。私も先日、契約書にサインをしました。"here is..."の方はすでにSOHOでの展示会を終えていますが、今度は場所を市立図書館に移して近々再開の予定。"Sep11..."の方はいまだSOHOのWooster Streetにて開催中です。

2位:"Mies in Berlin" @ MOMA & "Mies in America" @ Whitney Museum - July & Sep

ドイツ人建築家、ルドウィッグ=ミースの回顧展。何が凄かったかって、彼のドイツ時代をMOMA(近代美術館)が、そしてアメリカ時代をホイットニー美術館が、それぞれに分けて展示会を行ったこと。コレはNYの美術館史上でも、初めての試みであったそうです。

個人的な感想としては、MOMA版の方が格段に良かったです。私がヨーロッパ様式の方が好きだというのもあるでしょうし、MOMAの方がギャラリー・スペースとしてホイットニーよりずっと有利な条件にあったというのもあります。けど、やっぱり展示会というのはアイデア次第。総合的に言っても、MOMAスタッフの方がホイットニー版よりずっと奇抜なアイデアで、彼のことを多面的に紹介していた様な気がします。
そう言った意味でこの展示会は、ミースという建築家そのものの作品を見るというより、MOMAとホイットニーという二つの美術館の競作という部分にどうしても目の行ってしまう、珍しい展示会だったかも鴨(^_^;)。

それにしても、彼のベルリン時代のデザインは今見てもすっごく斬新。やはり彼は20世紀様式のお手本というより、”先駆けの人”だったんだな〜と改めて感心させてもらいました。

3位:"Norman Rockwell" - @ Guggenheim Museum - Dec

2年前から待ちに待っていた待望のノーマン=ロックウェル展。彼はアメリカ保守派の象徴みたいに思われている画家ですが、意外に多くの黒人ポートレートも描き残しています(それらを”偽善的”と批判する人達がいるのもまた事実ですが)。当時にしてはリベラル過ぎる為、ボツになって掲載されなかった作品も多数展示。40年近くにも渡るSaturday Evening Postの表紙が一挙に展示してあったのも驚きでした。

政治的に何と言われようと、私はノーマン=ロックウエルの絵が純粋に好きなんですよね。その細かい筆さばきは、やはり実物を間近で観ると感慨深いモノがあります。特にその色使いや拳の細かい描写など、私は大好き。一枚の絵に物語性があるのも、私の好きなレーピンみたいで見ていて全然飽きません(光の描き方など、レンブラントやフェルメールの影響もけっこう受けている様な気がするし…)。それから、一枚の絵を完成させるまでに何枚も描いた習作がずらっと並んで展示されていました。やっぱりどんな画家でも、パッパ〜っとたった一枚描いてるワケではないんですよね。

気に入った作品は、「Shuffleton's Barbershop」「Chair Women in the Theater」「Murder in Mississippi」「Freedom from What」「The Problem We All Live With」「Strictly a Sharp Shooter」等。

4位:"Buzz Club - News from Japan"よりHIVE Artists - @ PS1 - Aug

元々公立第一学校であったPS1。MOMAに吸収されてからの一大イベントの一つに、今夏のBuzz Clubという企画がありました。大友克洋や松本大洋といったアメリカではもうお馴染みの日本人アーティストを初め、数十人のアーティストを一気に紹介。その規模と奇抜なアイデアは壮観なモノがありました。
私的に一番ウケたのは、モロ右翼のスタイルをアートにしてしまった鳥肌実の”廃人玉砕”(勿論、政治的には私と相反するモノがありますが)。お菓子でアートのアラキ・ミドリなど。CMディレクターとして有名な田中秀幸氏の巨大ブラジャー(ラフォーレ原宿の広告)や、演劇集団”維新派”の作品なんていうのもありました。

また、この展示会と同時開催されていた、Kim Soojaの"A Needle Woman"もピカ一。NY、東京、ロンドン、上海、カイロ、デリー、メキシコ・シティなどで寸分も動かない彼女を見つめる、それぞれの都市の人達を映像に収めたビデオアートです。


5位:"Alberto Giacometti" - @ MOMA - Dec

今年10月に訪れたスイス出身のアーティスト。10月19日に訪れたバーセル市立図書館や、10月23日に訪れたベイヤー・ファウンデーションからの作品も数多く展示されていました。

現在改築中のMOMAなので、2階に分けての展示。1階は、”ジャコメッティ”というアーティストスタイルが固まる前の彼の作品群。ムーアやピカソ、デユシャンのスタイルから、オセアニア地方の彫像の様な、ジャコメッティ・スタイルとはおよそ想像も付かない初期の作品が沢山ありました。
2階は、お馴染みジャコメッティ・スタイルのブロンズ像や絵画が中心。私はどちらかと言えば彼の油絵が好きです。気に入った作品は「アーティストの母親の肖像」と、それと全く同じセッティングで描かれた「アネッテの肖像」の2枚。

6位:"Helmut Newton : Work" - @ International Center of Photography - Dec

ミーハーな私は大学時代にけっこう彼の写真を集めていたのですが、ビンボー学生だった為に、彼の巨大サイズの写真集にはとても手が出なかったんですよね(^_^;)。
やっぱり彼の写真は、巨大でこそその魅力が最大限に発揮されますね〜。等身大よりも少し大きなヌードの女性達は、”恥ずかしさ”という言葉から世界で一番遠い存在とでも言う様に見る人々を挑発します。

地階はファッション写真が中心でしたが、私の興味を引いたのは彼が交通事故に遭った直後に撮った、ギブス・シリーズ。けっこうキテました(^_^;)。

7位:"Hannah Villiger" - @ Kunsthalle Basel, Switzerland - Oct

10月にスイスのバーゼルへ行った時、たまたま行った展示会。彼女の作品を写真集などで見たことはありましたが、やっぱりちゃんとした作品展でみるとけっこう迫力がありました。
身体の一部を拡大して謎々の様に見せるのが彼女の有名なスタイルですが、それ以前のビデオ作品などもあってとても興味深かったです。

8位:"My Reality 〜 Contemporary Art and the Japanese Animation" - @ Brooklyn Museum - Oct

10月7日の日記も参考にしてみて下さい。こちらは、PS1の紹介した日本在住日本人アーティストではなく、アメリカ等海外に在住する日本人アーティスト達を紹介したもの。
展示の規模やアーティストの地名度はこちらの方が大きいですが、インパクトの面では、ちょっとPS1の方が勝っていたかも。
アメリカでは有名な三大作家、村上隆、森万里子、奈良美智を初め、鳥光桃代、カトウ=ミカ、ヤナベ=ケイジ等の日本人アーティストの他、ポール=マッカーシー、トム=サッチズ等、有名どころの作品が沢山ありました。

9位:"German Impressionism" - @ Neue Galerie - Dec

こちらのページを参考にして頂ければお分かりの様に、今年11月にオープンしたばかりのホヤホヤ美術館。どうしてもパリ派やアメリカ系のアーティストが中心になってしまう、NYのアートシーンに殴り込みをかけたドイツ系アートの逆襲(?)です。その第一弾は”ドイツ系印象派”。パリの印象派達とは全く毛色の違った作品群を観ることが出来ました。

10位:" Signac 1863・935: Master Neo-Impressionist" - @ Metropolitan Museum of Art - Nov

これまで目玉作品目白押しだったメットが、ここへ来て息切れか???まるでスーラの様なシグナックの特別展も、一応話題には上っていたのですが。私的にはあんまし面白くなかったなぁぁぁ。

−その他−

今年後半は、テロ事件以来あまり出歩くことがなかったのですが、その反動で(?)10月に行ったスイス&オランダでは、美術館に行き捲くりました。
スイスのバーゼルでは、市立美術館、ベイヤー・ファウンデーション、近代美術館、写真美術館など、アムステルダムでは、国立美術館、近代美術館、ゴッホ美術館、SEXミュージアムなど。詳しくは、旅行記のページを参考にしてみて下さい。

それにしても、グッゲンハイム美術館でやってた"Brazil : Body & Soul"はつまんなかった〜!!!イイと思ったのは、Adria VarejaoとVik Munizのモダンアートぐらい、アレで12ドルってちょっとボッってるかも鴨…。テロ事件の影響でリストラしまくって、遂にSOHOの分館を閉館してしまったグッゲンハイム、もうじきサウス・ストリート・シーポート館がオープンしますが、この先どうなってしまうんでしょうね…。

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mookの選ぶ 2001年上半期 ベスト10

07/03/01

1位:"Jacqueline Kennedy: The White House Years Selections" - @ Metropolitan Museum of Art - Jun

NYタイムスで、1968年の"Harlem on my mind"以来とまで言われた、マスコミ大騒ぎの展示会。入場するのに半日以上も並ぶとは、昨年のブルックリン美術館「センセーション」以来(いや勿論、それ以上)の激混みでした。やっぱりケネディ家というのは、アメリカの王室みたいなモンなのですね(^_^;)。
私自身ファッションにはまるで興味がないのですが、大統領選からケネディ暗殺の直前までという“時代そのもの”を切り取っているという部分はやはり良かった。勿論、シャネル、ジバンシー、グッドマン、カッシーニ等、当時最高峰のデザイナー達の競作も見モノです。

2位:"Andreas Gursky" - @ Museum of Modern Art - May

デュッセルドルフ出身の写真家、アンドレアス=ガースキーの写真展。巨大な被写体を細部まで見られるように撮影するというのが、彼の写真の特徴。その為、普通の大きさの写真集で見てもしょうがないというか、こうした大掛かりな写真展でもなければ作品を堪能することの出来ない、珍しいアーティスト(^_^;)。
気に入った作品は、「May Day III」「HK Shanghai Bank」「Tole Hosen」「Paris, Monparnas」「Chicago Boad Trade」「Tokyo Stock Market」等。

3位:"The Armory Show" - @ Pier 88 and 90 - Feb

1913年に第1回が開催されて以来、年に1度世界中から集まるインターナショナル・アート・フェアー。まぁ、どっちかというとギャラリー・コンベンションの様なものなのですが、ウォーホルやピカソ等のクラシック的作品から、ダミアン=ハースト、マリコ=モリ等、最新アーティストの作品までが一同に勢揃い。本来なら1日だけでなく2日くらいは余裕をゆっくり持って見たかった超巨大スペースでした(^_^;)。

4位:"William Blake" - @ Metropolitan Museum of Art - May

詩人・彫刻家としても知られるウィリアム=ブレイクの絵画展。宗教画やお伽噺の様な絵、明る過ぎるタッチのものから、オドロオドロしいものまで、独特の世界が広がります。日本の版画の影響や、アジアの宗教画の影響を強く受けている作品群も興味深い。
気に入った作品は、「Pity」5連作。「Europe a Prophecy」「The Angel of the Revolution」等。


5位:" Vermeer and the Delft School" - @ Metropolitan Museum of Art - May

この展示会もかなり混み合いました。寡作のフェルメール全36点のうち、世界中から約3分の2が集められたという、ファンにとっては涙モノの特別展。
有名な「青いターバンの女」、そしてお決まりの”窓際の光りパターン”(?)なども勿論良かったけど、つい最近になって絵の下にもう一つの描き込みが発見された「The Procuress」も興味深かった。

6位:"Frank Lloyd Wright and the Art of Japan" - @ Japan Society - Jun

実は恥ずかしながら、8年間NYに住んで初めて同館のギャラリーを訪れました(平日だと閉館に間に合わないので)。いや、なかなか良かったです。
20世紀の初頭日本の美術に魅せられ、旧帝国ホテルの建築家としても知られる天才フランク=ロイド=ライトの建築デザイン画や日本美術コレクションを披露したもの。
やっぱり圧巻だったのは、ライト本人の直筆による旧帝国ホテルフロア全体のデザイン画・各角度から見たデザイン画・全館の模型など。こ〜んな素晴らし過ぎる至上の建物を取り壊してしまった帝国ホテルは何を考えているのかさっぱり分かりませんです…(-_-)。

7位:"Collaborations with Parkett: 1984 to Now" - @ Museum of Modern Art - May

1984年にチューリッヒで創刊されたアート・ジャーナル「Parkett」にまつわるアーティストの特別展。マルセル=デユシャンからマリコ=モリまで、この15年間のアート・トレンド(アバンギャルドっぽいものが多いけど)を一目で垣間見ることが出来ます。
これは、作品というよりも、企画で勝ちの展示会って感じですね。

8位:"Wink - Takashi Murakami"  - @ Grand Central Station - Apr

グランド・セントラル・ステーションに出現した巨大なオブジェ。おそらく日本よりも世界で有名な村上隆氏の限定展示会。ジャパニメーションを思い起こさせる奇妙な眼で彩られたバルーンやキノコ状のオブジェ群。
実は同時期、チェルシーのギャラリーでも展示会が開かれていたのですが、こっちが時間がなくて見逃してしまいました。

9位:"Van Gogh's Postman: The Portraits of Joseph Roulin" - @ Museum of Modern Art - May


一昨年くらいにMETが、ピカソの「泣く女」を連作で見せる展示会を開いていましたが、私はけっこう、こうした連作展を観るのが大好き(10年くらい前に今は亡き西武美術館で観た「ワイエスのオルガ展」は凄かった)。
これは、ゴッホが何枚もの肖像画を書いたジョゼフ=ルーランの連作展(全世界にある連作中2作を除く全作品が集めれられた)。彼は、ゴッホに手紙を届ける郵便屋さんなんですよね。彼の素朴さがいろんな形で描かれています。

10位:" The Still Lifes of Evaristo Baschenis" - @ Metropolitan Museum of Art - Jan

基本的に静物画は苦手なジャンルなのですが、これだけ豪勢に並んでくれると文句も言えません。特にバシェニスの静物画には楽器が多く、見ているだけでこれらの楽器がどんな音を奏でるんだろう、と想像しているだけでも楽しい。

−その他−

常設展の改装工事が進むメトロポリタン美術館では、その他 「Correggio and Parmigianino: Master Draftsmen of the Renaissance 」(これもベスト10に入れたいくらい良かった)、 「Romanticism and the School of Nature」「Balthus Remembered」等を観ました。

さらに改装工事を派手に展開しているMOMA=近代美術館(リニューアル・オープンは2005年の予定)は、その一大プロジェクトを紹介した「MOMA Builds」まで、しっかり展示の一つにしています(^_^;)。
その他、印刷とアートの歴史を紹介した「What's Print?」や、「About Face: Selections from the Department of Prints and Illustrated Books」の二つは、完全にアイデア企画展。少ないスペースでも、さすがにMOMAはやってくれます。

アートシーンとしては今一番のトレンディスポット、チェルシー西にあるギャラリーのオープニングにも、今年初めにはけっこう行ったんですけれど、資料がどっかに行ってしまったので、見つけたらまた書きますね。 (特に、パンダをスパンコールで描くアーティストの名前何だっけ???)

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